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「忘年会が憂鬱な人は"2日前の欠席連絡"がおススメ」産業医が教える気が重い予定から自由になる方法

プレジデントオンライン / 2022年12月1日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JackF

忘年会や義実家への帰省など、年末年始の予定が憂鬱で仕方ない時にはどうすればよいか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「気がすすまない忘年会や新年会は、断りましょう。Noと言って断ることができる人は、そもそも憂鬱にはなりません。断ることができない人に、お勧めしたい断り方があります」という――。

■忘年会もお正月休みも楽しめない人たち…

こんにちは、産業医の武神です。早いものでもう12月です。私のクライエントでは久しぶりの忘年会、年末年始のお休み、年明けの新年会などの計画の話を聞くようになりました。このように楽しいはずの12月ですが、この時期になると必ず、12月は憂鬱だという社員が時折産業医面談にきます。

そこで今回は、この憂鬱の原因と、取り除くためのたった1つの習慣とお正月休みでばっちり回復する方法について、お伝えします(秋から冬にかけての季節性の憂鬱について書いた11月の記事と合わせてお読みいただけますと幸いです。)。

どうして12月が憂鬱なのでしょうか。

それは、この時期のイベントの期待値と実際がアンバランスであることが理由です。忘年会と新年会という“飲み会”と、年末年始の“休暇”に分けて、2つの産業医面談ケースより考えてみましょう。

■会社の忘年会がどうしても嫌だというAさん

11月中旬に産業医面談にきたのは、入社10年目の業務部のチームリーダーの40代男性のAさんでした。

Aさんは、面談が始まるとすぐに、「忘年会、参加したくないがどうにかなりませんか」とおっしゃいました。もともとお酒が飲めず、そのような席も好きではないとのこと。ここ2年間はコロナ禍のため、会社での忘年会がなくよかったが、今年は忘年会が復活するようで、そのことを思うと気分が優れないとのことでした。どうして忘年会が嫌なのか聞いてみると、「忘年会って実際お金や時間の無駄ですよね。飲まないのに飲み放題の料金を払うこと。部署の忘年会とチームの忘年会が恒例であること。会費は役職により変わるので、かなりの出費であること。また、上司に気を遣う会は楽しくないし、部下が自分に気を遣っているのを感じることも嬉しくない」などを挙げられました。

忘年会にお金や時間を費やすならば、プライベートな友人達や家族でもっと楽しく有意義に使いたいとのこと。実際、大学時代の旧友たちと毎年年末に集まるが、最近は誰かの家で鍋をやるため、会費ももっと安く、また、気を使わないで済すむので楽しいとのことでした。

■忘年会への「期待値」と「会費」がアンバランスだと憂鬱になってしまう

私が産業医面談を通じて知る限り、社員達にとって忘年会や新年会は、“誰と”で“いくら”かが大切で、いく前から期待値は違うようです。また、実際に参加すると、(会費が)高いから楽しいとは限らず、仕事がらみの会は高いが疲れて楽しくない、旧友との会などは安いけど楽しいなど、皆、過去の経験から色々思うことがあるようです。

最近は減りましたが、以前はタバコの煙の匂いが嫌だ、帰宅すると家族に嫌がられるなどの訴えも聞くことがありました。

つまり、忘年会/新年会への期待値と、実際の会費(コスト)や楽しさがアンバランスであること、このバランスに納得感が持てないことが、飲み会の憂鬱の原因なのでしょう。

重量スケール不均衡概念
写真=iStock.com/ugurhan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ugurhan

■「結婚の話を持ち出されるのが不快…」帰郷が辛いBさん

Bさんは30代前半の一人暮らしの女性社員でした。

彼女は大学時代から一人暮らしをしていたため、九州の実家に帰っても、話の合う友人はいないし、親戚ともあまり話が合わず気が休まらない、むしろ気疲れするだけだとおっしゃっていました。正月に親戚が集まると必ず結婚の話を持ちだされ不快だが、親の手前笑顔で流すよう努めるため気疲れが多く、それが実家に帰りたくない理由の1つでもありました。

次第にBさんは、年末年始は実家に帰らず旅行をして年越しをするようになりました。この2年間は、コロナ禍を理由に年末年始も東京にいたものの、今年は両親が帰郷することを強く望んでいるようで、どうするべきか悩んでいるとのことでした。Bさんは実家に帰らずとも、大晦日や初詣は一緒に過ごす友人たちがおり、寂しさは全くないようです。しかし年々独身の友人も減り、また、今年は実家に帰る友人も多く、一人東京で年末年始を過ごすと寂しいかもしれないと感じることが、実家に今年は帰らないと決めきれない理由でもあるようでした。

■年末年始の休暇を楽しみに感じられない人たち

12月が憂鬱な2つめの理由である年末年始の休暇は、どうして憂鬱に思ってしまうのでしょうか。

有給休暇取得率が50%にも届かず、先進国の中で万年下位の日本において、年末年始は8月のお盆休みに次いでサラリーマンが周囲に気兼ねなくまとめて休める時期だと思います。米国の研究では、人は、楽しい休暇を計画すると、実際にその休暇の8週間前から幸福度が上がるというものがあります。

年末年始の休暇が憂鬱な人は、この休暇の過ごし方を実際に楽しみに感じられない人たちだと私は思います。それは、この期間に孤独感や寂しさを強く感じてしまう人たちと、せっかく休んでいるはずなのに気持ちが休めない人たちです。

この時期多くの人は実家に帰り、家族や親戚と過ごすことが多いようです。そうすると一人暮らしで、実家に帰らない人は特に、この時期は遊ぶ人もいなくなり、孤独や寂しさを感じるようです。既婚の社員から年末年始が寂しいという声は聞いたことがありません。

干渉する義母と夫婦間の対立の写真
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz

■義実家への帰省が疲れる

また、結婚して子供のいるご夫婦の場合、夏のお盆休みよりも、年末年始の方がどちらかの実家に帰る人が多いでしょう。自分の実家の場合は問題ないのですが、義実家の家に泊まるとなると、どうしてもさまざまな気苦労が生じ、お休みなのに実際は義理親族とのお付き合いのため休めない、会社にいるより疲れてしまうようです。

このように、休暇への期待値と、実際に楽しめなかった過去の経験というアンバランスが原因かと思われます。

■忘年会はあなたが参加しなくても多くの人は気にしない…

では、そのような中、どのように12月の憂鬱には対処すれば良いのでしょうか。

産業医からの処方箋を述べたいと思います。

まず、気がすすまない忘年会/新年会は、断りましょう。Noと言って断ることができる人は、そもそも憂鬱にはなりません。断ることができない人は、ぜひ、コロナになった人の濃厚接触者になってしまった可能性があると、前々日くらいに幹事に相談してはいかがでしょうか。飲み会での感染拡大を防ぐためにも、あなたは泣く泣く不参加を選択することになるのです。

正直なところ、参加者たちは参加していない人たちのことをあまり覚えていないものです。参加者は参加した人を覚えているのではなく、たいていは話した人のみを覚えているのです。ですので、無理に参加して、隅っこの方で静かに飲んでいるのならば、参加しないのとあまり変わらない可能性は高いと言えます。多くの参加者たちの記憶にはあまり残らないのであれば、不参加でも変わりはないでしょう。大丈夫ですよ、きっと。

コンピュータを使用したオンライン飲み込みセッションの画像
写真=iStock.com/kazuma seki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

■寂しい人はオンラインで繋がればよい

一人で過ごす年末年始が寂しい人は、ぜひ、オンラインを活用してみてはいかがでしょうか。コロナ禍で増えたzoom飲み会でもいいですし、流行りのオンラインゲーム等はいかがでしょうか。最近は単身世帯が増えています。あなたの周りも探せば同じ状況同じ気持ちの人もいると思います。もしくは、オンラインでドラマを一気に視聴するなどもありかもしれません。年末年始で時間があるからこそ、できることを探せば色々あると思います。

このように、ぜひ、期待値と現実のバランスを調整してみてください。今から準備すれば間に合います。

■お正月休みを一人で過ごすことでハッピーになれる

私の産業医面談では、義理親族とのお付き合いについては、卒業したと教えてくれる人たちもいます。ストレスを感じる義実家での年末年始をやめ、孫と夫(妻)だけが帰り、自分はその間自由を思いっきり満喫した、翌年は自分と子供が自分の実家に帰り、妻(夫)は自由とした。このような試みをしている人は、この時期にあまりストレスを感じていないようです。むしろ、一人になることができる時間を楽しみに計画している印象です。

コロナの心配があるから、実家に帰るのは最少人数にするとか、ちょうど年末に職場でコロナが流行ったので念のためとか、言い方は色々あるでしょう。義理親や義理親族から不評なのではとか色々心配でしょうが、実際に実践している人は、どちらの両親も孫に会えるのが楽しみであり義理の息子(娘)にはそこまで興味がないようだとわかったとおっしゃっています。

ぜひ、あなたも、今年はこうしてみない? とパートナーに提案してみてはいかがでしょうか。今年うまくいかなければ、来年はやめればいいだけなのです。

以上、12月が憂鬱な人について考察してみました。

■イベントへの期待値は控えめに

12月のイベントに対する期待値を高く持たないこと(下げること)で、期待値と実際のアンバランスは多少改善します。そして憂鬱さも少し改善するでしょう。楽しく思えない忘年会や義実家を断れば、マイナス感情はゼロになります。

しかし、もっと楽しい12月、幸福度を上げたい人は、断ってできた時間に、ぜひ、ご自分が楽しく思える予定をいれてください。終わりよければすべてよしという言葉があります。なんとか12月を気分よく乗り越えて、新年を気持ちよく迎えたいですね。今日の話があなたのお役にたてば幸いです。

では、よいお年を。

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武神 健之(たけがみ・けんじ)
医師
医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。ドイツ銀行グループ、BNPパリバ、ムーディーズ、ソシエテジェネラル、アウディジャパン、BMWジャパン、テンプル大学日本校、アプラス、アドビージャパン、Wework Japanといった大手外資系企業を中心に、年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。働く人の「こころとからだ」の健康管理を手伝う。2014年6月には、一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、「不安とストレスに上手に対処するための技術」、「落ち込まないための手法」などを説いている。著書に、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書』や『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣』『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』などがある。公式サイト

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(医師 武神 健之)

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