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3位は安達祐実、2位は宮澤エマ、1位は…令和版「コメディエンヌランキング」ベスト10

プレジデントオンライン / 2022年12月4日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Liukov

令和以降に放送されたドラマで、コメディ演技がひときわ光った女優はだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが選んだ、令和版「コメディエンヌランキング」ベスト10をお届けする――。

■笑いを届けてくれたコメディエンヌたち10名

ドラマの中で笑いを誘うキャラクターは、男性のほうが脚光を浴びがちだが、女優だって負けていない。鬱屈したコロナ禍でも、ひそかに笑いを届けてくれた女優たちに感謝を込めて、勝手にランキング。

選考基準は、ここ数年のテレビドラマに出演し、コミカルなキャラクターやシーンが秀逸で脳裏に焼き付いたかどうか。順位は超主観的だが、10人挙げてみた。TOP3の前に、10位~4位をご紹介。

■失われしヤンキー&スケバン文化を体現した

10位 北香那 小悪魔女子から筋金入りのオタクへ 

ちょい気の強い女子の役が多かったが、「拾われた男」(NHK)で演じたレンタルビデオ店のオタク店員役はそこはかとなくおかしかった。脚本家・荒井晴彦のファンで、ロマンポルノにも精通という役どころ。舌打ちとつぶやきがシニカル、口を開けば一定のトーンでまくしたてるマニアっぽさ、視点の定まらなさと目線の低さで人付き合いが不得手な女子を体現。この役だけでコメディエンヌ新人賞だ。

9位 ファーストサマーウイカ ミス・ヤンキー・オブ・ザ・イヤー 

今年は彼女の飛躍の年。「私(あたい)のエレガンス」(BSテレ東)ではトラック運転手のシングルマザー役で主演、「ナンバMG5」(フジ)でもガラの悪いヤンキー、そして「ファーストペンギン!」(日テレ)では魚市場の仲買人役。2022年はヤンキー系で足場を固めた。メンチと啖呵を切る姿は「失われしヤンキー&スケバン文化」のまごうことなき継承者であり、懐かしさと笑いを誘った。

8位 野呂佳代 全国の病院に必ずひとりはいるよね

「ナイトドクター」(フジ)、「ザ・トラベルナース」(テレ朝)で看護師を演じたが、キビキビ動いてパリパリ食べてカラッと愚痴を吐く。全国どこの病院にもいそうな看護師のリアリティーがあった。ナースといえば野呂佳代、と思わせた。逆に、「顔だけ先生」(フジ)では生徒と関係をもつ教師など、シリアスな役も好演。コメディエンヌとしての活躍はもちろん、今後はさらに役の幅が広がりそうな予感。

■令和ドラマに欲しい人材No.1

7位 水野美紀 真顔&昭和的なセリフ回しで笑いを呼ぶ達人

もっと上位にいてもいいが、今年はコメディ控えめだったので7位に。日テレでは「黒い十人の女」「探偵が早すぎる」「マネキン・ナイト・フィーバー」「極主夫道」「カラフラブル」、テレ朝では「奪い愛、冬」「M 愛すべき人がいて」あたりが爆笑モノ。特に、死語を駆使して持論を熱く語り、若い人を諭す水野の姿は思わず噴く。殺陣もアクションもできるが、あえてコメディエンヌ姐さんと呼びたい。

6位 泉里香 キラキラハイスペックだが恋愛偏差値底辺

港区が似合う狩人系ハイスペック女性の印象が強いが、案外顔芸が多彩。「正直不動産」(NHK)で主人公を狙う銀行員役も、シリーズ化した「高嶺のハナさん」(BSテレ東)で見せた挙動不審なヒロインも、コミカルな目と唇の微細な動きで表現。「できるキャリアウーマンだが、恋愛偏差値小学生以下」のギャップをコミカルに演じ、ポテンシャルの高さを感じさせた。ちょいアホな役がいいと思うのよ。

BSテレ東 真夜中ドラマ「高嶺のハナさん」オフィシャルページより
BSテレ東 真夜中ドラマ「高嶺のハナさん」オフィシャルページより
5位 長井短 低体温と塩対応がデフォルトの稀有な存在

変わった役も多いが、基本「やる気レス」「NOと言える」低体温な女を演じる。「書けないッ⁉~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~」(テレ朝)では丸投げ体質のプロデューサー補役、「武士スタント逢坂くん」(日テレ)では筋肉&男根フェチのアシスタント役、「自転車屋の高橋くん」(テレ東)では理不尽な上司をきっちり拒む同僚役。塩対応が絶妙だし、令和ドラマに欲しい人材No.1である。

4位 木南晴夏 しれっと嫌味・ちくっと一刺しが十八番

悪役でも敵役でもなく、日常の背景に自然体で存在しながら、愚痴や皮肉、雑言をダダ漏れさせるのが実にうまい。友達に欲しいタイプだ。「おいハンサム‼」(フジ)で演じた長女はその権化。「闇金サイハラさん」(TBS)では元チンピラ(中尾明慶)の妻役で、ふがいない夫の手綱を握るさまが板についている。言うことがたいてい的を射ているので、ふふっと笑わせる。的確な皮肉の名手でもある。

「闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん」(ドラマイズム/MBS 毎日放送)オフィシャルページより
「闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん」(ドラマイズム/MBS 毎日放送)オフィシャルページより

顔芸やドタバタが得意な「表」の女優もいれば、セリフ回しや間合いでじわじわと笑わせる「裏」の女優もいる。ウイカ・野呂・水野・泉は「表」、香那・長井・木南は「裏」かな。というところで、そろそろTOP3へいきましょう。

■「陰キャ」道を究める元天才子役

3位 安達祐実 名子役→不遇の母→奇跡の40代→陰キャ炸裂の新境地へ

長いキャリアで培った高い演技力は、悲劇の象徴としても存在感を発揮。が、ここ数年の安達祐実は「陰キャ」道を究めている気がする。「警視庁ゼロ係」(テレ東)では一言多くて斜に構えた事務員役が好評だし、「リーガルV」(テレ朝)では過去に横領で服役したパラリーガル役も、陰キャとして輝いていた。いや、輝いたら陰キャじゃないんだけど、スパイスとして適役だった。

陰キャとは言い切れないものの、「海月姫」(フジ)で演じたドールマニア役(しゃべり方が完全にオタク)には説得力があったし、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」で演じた女優・美咲すみれ役には毎回笑わせてもらった。こうるせーし、めんどくせー女優なのよ、すみれ。

現在、放送中の「ザ・トラベルナース」(テレ朝)では毒舌&冷徹な看護師役だが、居丈高な男とどんくさい女が大嫌いで、吐く言葉は手厳しい。怒りの感情を明確な言葉にするのが頼もしくて、かつ面白い。ヒモの元夫(松尾諭)に情をかける優しさもあるが、「裏」の笑いを届けてくれる。

■北条義時の妹役は彼女以外ありえなかった

2位 宮澤エマ 無表情で失笑を誘う、期待値大のコメディエンヌ

テレビドラマは寡作の人だが、映画『記憶にございません!』で演じた通訳の役がそれこそ記憶に残る名演だった。がっつりコメディの中でひとり淡々と職務に徹する姿が、逆におかしくて。通訳独特の平坦なしゃべり方や間合いのとり方、「ヨッ、大統領!」という些末な掛け声まで丁寧に訳しちゃう生真面目さ。天性のコメディ筋肉がある! と思ったのがはじまり。「裏」系のおかしさがにじみ出る。

実際には、ワケありな役も多い。朝ドラ「おちょやん」ではクズオヤジの後妻・栗子役。貧しい時代に三味線ひとつで男を手玉に生き抜いた、したたかな女だったが、最終的にはヒロインへの罪悪感を抱えた「好敵」に。「和田家の男たち」(テレ朝)では、主人公の家族(のスペック)にグイグイとにじり寄る、圧の強い女だった。

これらの強烈な役柄を経て、大河「鎌倉殿の13人」である。

「鎌倉殿~」は手練れぞろい、そこにいるだけで笑いをとれる猛者ばかり。その中で皮肉百連発、男の沽券を一蹴する笑いを生む実衣は、宮澤エマにしか演じられなかったと思う。

■精力的に「老い」を表現する大女優に拍手

1位 松坂慶子 年齢を重ねた侘び寂びを笑いに転化

50歳以上の人からすれば、松坂慶子と言えば「愛の水中花」であり、『蒲田行進曲』、もしかしたら『上海バンスキング』かもしれない。昭和を彩った女優の中でもコケティッシュな存在、時を経てからは貫禄と品のあるマダム役も多かった。

映画『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』のジャパンプレミアで、レッドカーペットに登場した女優の松坂慶子さん(=2018年1月15日東京都港区のTOHOシネマズ六本木)
写真=時事通信フォト
映画『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』のジャパンプレミアで、レッドカーペットに登場した女優の松坂慶子さん(=2018年1月15日東京都港区のTOHOシネマズ六本木) - 写真=時事通信フォト

個人的には「スミカスミレ 45歳若返った女」(テレ朝)あたりから変化したと思っている。男性経験のない65歳の女性が、屏風の黒猫にかけられた呪いを解いた報酬に、日中は45歳若返って20歳になれるというファンタジーだった。

他にも、55歳で代理妊娠するという役(NHKの「マドンナ・ヴェルデ」)など、ややトリッキーな作品にも出演。大女優にはタブーの「年齢を重ねた侘び寂びを前面に出す」役が増えた。精力的に「老い」を表現し始めたことは評価すべきだと思う。

コメディエンヌとして話題をかっさらったのは、朝ドラ「まんぷく」の強烈な母親役。「私は武士の娘」と言い張り、娘夫婦(安藤サクラ・長谷川博己)を困らせ放題。自分勝手な実母は、通常なら視聴者から嫌われるものだが、慶子は真逆。「武士の娘節」を心待ちにした視聴者も多かったと記憶している。

■今年のNHK2作はほんとうに秀作だった

そして、今年はNHKで2連発。ケチくさい夫に辟易し、人生の選択肢を誤ったと後悔する70歳専業主婦の憤りと憂いを体現した「今度生まれたら」。冷ややかに夫の価値を再査定する慶子は、シニカルな笑いを提供。

もう1本は、生活を共にしていた親友を亡くし、路頭に迷った挙げ句、刑務所に入ろうと奮闘する老女を演じた「一橋桐子の犯罪日記」。パチンコ屋でなりふりかまわず働く慶子、犯罪をもくろむも失敗続きの慶子。とにかく動きがおかしくてかわいらしい。どちらも秀作で、表の笑いも裏の笑いも、まるっと堪能できた。納得の1位じゃないすか?

ということで、来年も期待しております、女優たちの笑いの競演を。

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吉田 潮(よしだ・うしお)
ライター
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News イット!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。

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(ライター 吉田 潮)

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