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夫婦で教育方針がずれるのは遺伝子の仕業だった【1】

プレジデントオンライン / 2012年6月10日 16時0分

子供が生まれたばかりのころは、夫婦二人三脚で子育てを楽しんでいたはずなのに、いつの間にか子育てが喧嘩の原因になることが多くなったという夫婦は少なくない。

とくに、この追い込みの時期。夫婦喧嘩は子供にとってもよくないし、なんとか足並みをそろえたい……という夫婦は必読!

動物行動学的視点から男女の違いを観察すると、「なるほどそうだったのか!」と、夫婦のすれ違いの原因がみるみる明らかに。遺伝子レベルでお互いを理解することで、夫婦円満の糸口がきっとみつかるはずだ。

■夫が子供の受験に無責任なのは遺伝子のせい!?

受験期に、妻のいらだつ原因の1つが、「私が一生懸命子供の受験のことを考えているのに、夫はどこか他人事。二人の子供なのに無責任すぎる!」と感じること。一方夫に悪気はなく、「子供の受験なのに、どうして妻がそんなに必死なのか理解できない」というのが本音のようだ。なぜそうした意識の相違が生まれるのか――。

動物行動学的に分析することで、男女の違いを説明できるのではないか、と鳥取環境大学教授の小林朋道先生に伺った。

先生によると、人間の動物としての最大の使命は、「自分の遺伝子を後世に残していくこと」。そのために、遺伝子自身が人間という入れ物と脳という一時的な操作器官をつくって、自分のコピーを少しでも多く残せるようにコントロールしているというのである。

「私たち人間は、無意識のうちに遺伝子に操られて行動している」と考えると、人間の行動が理解しやすいというのだ。

では、子供に対する思い入れが、明らかに女性のほうが強いのはなぜか。

「女性の場合は自分のおなかから生まれた子供は、100パーセント自分の子供という実感があるため、その子を確実に育てていけば、自分の遺伝子を残していくことができます。しかし男性の場合は、女性が浮気してできた子供であるという可能性がゼロではないため、本当に自分の遺伝子が入った子供かどうか確信がありません。生物学的な親性が、父親より母親のほうが強いのはそのためです」(小林先生、以下同)

さらに女性は、自分の遺伝子を伝えられる子供の数が限られていることと、1人の子供にかけるエネルギー量が男性に比べてはるかに多いことも、親性を強くしているという。

「女性が生涯で産める子供の数はせいぜい10人ほど。しかも出産するためには、卵子が受精してから十月十日(とつきとおか)の間、胎盤を通して栄養を与え続け、生まれてからも授乳しながらつきっきりで自分のエネルギーを子供に費やします。その点、男性が精子を放出するのはほんの一瞬。生まれた子供が確実に自分の子供かどうかもわからないわけですから、男性は女性に比べて、どうしても子供への関心が低くなってしまうわけです」

たしかに、動物行動学的視点からみると、女親が子供を大事に育て上げようとする理由は明快で、その後とくに不幸な出来事がなければ、遺伝子は次世代に残っていくことは確実だ。では男性は、自分の遺伝子を確実に残すためにどうするのか――。

「できるだけ多くの女性との間に子供をつくって、遺伝子を残そうとします。子供の数が多ければ多いほど、自分の遺伝子をたくさん残すことができますからね。だからといって、浮気を肯定しているわけではありませんよ」と先生は釘を刺す。

「現在は制度として一夫一婦制が確立されています。本能の赴くままに行動していたら不幸になってしまうため、制度に合わせて生きる戦略を変えていく必要があります。人間は幸せを求めて生きる理性的な動物でもありますから、自分の無意識レベルで起こる衝動をコントロールすることは、意識していればできること」

そのためにも、自分の無意識の行動は、「遺伝子が自ら生き残っていくために脳を操作している可能性がある」ことを知っておくことが必要だ。その視点から子が受験期の妻や夫の行動を観察すると、妙に納得できて、心にも余裕をもって対処することができる。

夫は、浮気の衝動が起こったときも、「これは動物学的遺伝子によって脳が操作されている証拠だ」と冷静にとらえられれば、家族を不幸にするような行動は抑えられるに違いない。

そして妻も、夫が子供の受験を他人事と思わないよう、夫の気持ちを受験に向かわせる工夫が必要だ。

例えば、「お父さん、勉強教えて」と子供から言わせる、妻から受験期の父の役割をあらかじめお願いするなど、手を替え品を替え、夫に適した受験へのかかわり方を編み出してみてはいかがだろう。

(小宮 千寿子 小林朋道=教える人)

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