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姿勢をよくしようと上に伸びてはいけない…猫背に悩む人が勘違いしている「体の構造」

プレジデントオンライン / 2022年12月11日 14時15分

『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』より

「猫背」をなおすには、どうすればいいのか。臨床心理士の大橋しんさんは「上方向に体を伸ばそうとしてはいけない。重力に逆らうと、体は余計にかたくなってしまう」という――。

※本稿は、大橋しん、赤松かおり『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』(飛鳥新社)の一部を加筆、再編集したものです。

■身長を伸ばそうと体を上に持ち上げるのは逆効果

「大人になったら、もう身長は伸びない」

ほとんどの方はそう思っていると思いますが、本当でしょうか。ちょっと検証してみましょう。「身長が伸びる」ということには、大きく2つの側面があります。

まず1つ目は、「骨が伸びる」ということ。成長期にはどんどん骨が伸びていきます。最近では、成長が止まってから骨延長手術を受ける人も出てきました。しかしこの記事の趣旨とは異なりますし、現実的なやり方ではないので、ここでは取り上げません。

今回お伝えしたいアプローチは、2つ目の「体が本来の長さになる」ということ。今の骨の長さのままでも、姿勢がよくなることで、結果として最大の身長になれる、というわけです。

身体測定のときに、少しでも身長が高くなるように「上へ上へ」と体を持ち上げて、頑張っている人を見かけたことはありませんか? ふだんは多少猫ねこ背だったり、お腹が出ていたりするところを、身長を測るその一瞬だけ姿勢をよくしたり、体を持ち上げたりして、身長の最大値を出そうとしている人、いますよね。

実はこれ、どれだけ頑張ったところで、ほとんどの場合は逆効果なんです。上へ上へと体を突き上げるほど、実は体は縮んでいます。

一番わかりやすいのは、「上方向」へ持ち上げようとする意識が強すぎて、背骨で頭を突き上げてしまうパターンです。これだと首が縮んで、身長も縮んでしまいます。首が縮んでいないように見えても、このとき筋肉は確実に緊張して縮んでいるので、身長が最大化しているということはあり得ません。

■「下方向」を意識すると体は本来の長さになる

ではどうすればいいか?

背骨が「下方向」に、耳と耳の中心からやさしくたれ下がっているイメージを持ってみましょう。そのとき、頭がふわっと上に離れていく感覚があると思いますが、このとき体は本来の長さとなり、身長は最大化し得るのです。

『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』より
『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』より

私が指導したケースでも、最大で2cmほど身長が伸びた方がいらっしゃいました。そこまでいかなくても、ほとんどの人は1cm程度は身長が伸びています。

無理も緊張も頑張りもないのに、一番長くなる。これが自然な体のあり方なのです。

■姿勢をよくするときは「上方向」へ伸びてはいけない

『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』より
『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』より

私は「不必要な努力をやめる」「緊張と緊張する習慣を取り除く」という方針で、いつも患者さんを診ています。その観点からは、姿勢をよくしようとするあらゆる努力は、すべて不要だと断言できます。

どういうことか、説明しましょう。「上へ上へ」と体を持ち上げて頑張ってしまうこと、これは言い換えれば、重力に逆らうことです。たしかに重力は、「下方向」に働くので、首を縮めたり、背中を丸めたり、お腹を出したりして、姿勢を崩す要因にもなります。

この「下方向」の力に逆らって、姿勢をよくしようと筋肉の力で「上へ上へ」と努力しようとする気持ちは、理解できます。しかしながら、ここで見落としているものがあります。

■重力と反発力に戦いを挑んではいけない

それは、「下方向」の重力に対して、かならずセットで働く「上方向」の反発力です。この反発力をうまく味方にして使えると、頑張ることなく、筋肉の力に頼ることもなく、美しく快適で動きやすいベストな姿勢になれます。

大橋しん、赤松かおり『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』(飛鳥新社)
大橋しん、赤松かおり『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』(飛鳥新社)

そのためには、重力に逆らうのをやめること。まず、体をかためようとする力を抜いていって、骨で立ち、関節が緩んでいることをイメージしてみてください。

そのうえで、「上方向」へ立ち上がってくる反発力を感じてみてください。具体的には、立っているときは足の裏から、座っているときはお尻の座面から、力強く姿勢をサポートしてくれている反発力を感じてみるのです。これが、私の言う「重力に従う」ということです。

『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』より
『すごい自然体に読むだけでなれる4コママンガ』より

このとき、筋肉の力で「上へ上へ」と頑張っていると、この反発力を感じることはできません。反発力のサポートを得られませんので、もっと体を緊張させて(かためて)姿勢を保とうとします。すると、ますます重力と反発力のサポートが得られなくなる……という悪循環に陥ってしまうのです。

本来は味方であるはずの、重力と反発力に戦いを挑んではいけません。すべて降参して、重力さんにすべてお任せしたとき、私たちは自然体へとなれるのです。

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大橋 しん(おおはし・しん)
理学療法士、アレクサンダー・テクニーク国際認定教師
岐阜県生まれ、神戸在住。(株)フローエシックス代表取締役。ドイツでチェロの修業中にアレクサンダー・テクニークを知り、帰国後に理学療法士とアレクサンダー国際認定教師の資格を取得(両資格の所有者は国内初)。救急病院勤務を経て、整形外科クリニックにて「特命理学療法士」として数々の難しいケースを解決。2020年に独立し、リハビリと太極拳を中心としたスタジオを開設。姿勢改善の研究成果を積極的に学会で発表しており、医療だけに頼らない健康とケアのあり方を提案している。テレビ・ラジオ出演多数。著書に10刷のロングセラー『魔法のフレーズをとなえるだけで姿勢がよくなるすごい本』(飛鳥新社)がある。

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赤松 かおり(あかまつ・かおり)
漫画家、イラストレーター
コルクラボマンガ専科5期修了。見た人がホッとするような漫画・イラストを描くため日々修行中。体がかたくて胃腸が弱い。

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(理学療法士、アレクサンダー・テクニーク国際認定教師 大橋 しん、漫画家、イラストレーター 赤松 かおり)

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