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「納期に遅れそうです」と書くのは三流以下…一流のビジネスマンが「遅延の理由」をメールするときの鉄の掟

プレジデントオンライン / 2022年12月2日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hirun

頼まれていた仕事が期限までに間に合わないとき、どのように相手に伝えればいいか。起業家の野原秀介さんは「『提出予定の資料がずれ込みそうです』などと連絡してしまう人は三流以下だと言わざるを得ない。ビジネスを分かっている人は、メール一通にしてもExitシナリオが描けている」という――。

※本稿は、野原秀介『投資思考』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

■投資もビジネスも「Exitイメージ」が大事な理由

さて、

“投資”というと一般的なイメージでは株式などに資金を投下する、その行為のみが意識されることが多いですが、実はその前工程・後工程が存在しています。一般的な投資活動のライフサイクルは以下のようになっています。

ファイナンス(投資資金の調達)
ソーシング(投資案件の開拓)
投資判断・実行
投資期間(株式・債券などに資金を投じている期間)
Exit(資産を売却し、利益を確定させる)

そしてこの投資のライフサイクルの中で、最も重要なステップを1つ決めるとすれば、それは⑤のExit(資産を売却し、利益を確定させる)に他なりません。

これは多くの人にとっては意外かもしれません。

③投資判断・実行こそがインテリジェンスの介在する行為で、経験豊富で頭脳明晰な投資家が知恵を絞っている箇所のように考えてしまいそうです。投資スタイルにもよりますが、実は投資判断というのはおおかた同じ結論になることが多く、買う/買わないの分別に価値が介在することはそう多くありません。

それよりも投資対象について、最終的にどのような性質の買い手に対して、どのようなニーズを喚起し、どのくらいの値段で売却=Exitするのか。こういったExitシナリオを明確に持った上で投資に参入することが成功の鍵なのです。

これはビジネス・事業造りにおいても共通しています。多くの人がビジネスを立ち上げる際、自分の身の回りで感じた不便さや、「こんなサービスがあったら便利だな」程度のインサイトを根拠に動き出し始めてしまいますが、これは大きな間違いです。

新しいビジネスを立ち上げる際は、顧客が商品・サービスに対してお金を支払う姿が浮かび上がるようでなければ決して成立しません。つまり商品・サービスにとってのExitシナリオがありありと描けていることが必要不可欠なのです。

■そのサービス・商品を利用したいという顧客はいるか

恥ずかしながら自分自身もビジネスを始めたての頃、この落とし穴にハマった経験があります。

自分たちのやり方は“リーン・スタートアップ(米国の起業家エリック・リースが提唱した事業立ち上げ手法)的”なのだと解釈して、「なんとなくこんなものがあったら便利だよね」「こういうユーザーを集めたら、その人たちにこんな商品を売ってマネタイズできるよね」くらいの解像度でせっせとプロトタイプを作成し、ユーザーインタビューを実施。

UX開発者とUIデザイナーが打ち合わせ中
写真=iStock.com/Weedezign
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Weedezign

上々のリアクションが得られたところで、ビジネスとして採算の合う価格(事業者都合の値段)を設定して、勢いよくローンチ。しかしながら、実際にお金を払ってくれる顧客は一切集まらず、やむなく撤退。このようなことを何回か繰り返し、気づいてみれば会社の口座残高は倒産寸前というような羽目に陥りました。

このような経験から私は、常にExitシナリオから全てを組み立てる重要性を学びました。極論ですが、プロトタイプがなくとも、お金を払ってでもそのサービス・商品を利用したいという顧客さえ見つかっていれば、ビジネスが成立する一番大事な要件は満たしているわけです。

一方で、どんなにキャッチーなアイデアであろうと、世界初の試みであろうと、著名なベンチャーキャピタルからの出資が決まろうと、最終的に顧客の財布からお金を引き出さない限りはビジネスは成立しません。

■仕事は先に最終的な完成イメージを具体的に描き切る

そして皆さんに是非ご理解いただきたいのが、仕事の進め方についても全く同じことが言えるということです。

つまり仕事は最終的な完成イメージを具体的に描き切ってから、そのパーツを集めるような順序で進めていくのが鉄則です。これをするとしないとでは、かかる時間も最終的な仕事の品質も大違いです。

例えば、多くの人が携わるであろう資料作成。まず考えるべきことは「この資料を作成してどんな目的を達成したいのか」ということです。

状況を報告することが目的か、どのプランで行くか判断をしてもらうことが目的なのか、はたまた自身の腹案があり結論をそこに誘導することが目的なのか。目的によって適切な資料の構成や含めるべき情報は全く変わってきます。

これはメール一通を送る場合でも例外ではありません。部署や会社を跨ぐようなプロジェクトに関わっていれば、他部署のメンバーや社外のステークホルダーとのメールのやり取りは日常茶飯事です。

このような時に「ちょっと自分・自部署・自社内の業務が逼迫しているので、今月末に提出予定だった資料が来月末にずれ込みそうです」という連絡をしている人をよく見かけますが、このような仕事の仕方は三流以下だと言わざるを得ません。

野原秀介『投資思考』(実業之日本社)
野原秀介『投資思考』(実業之日本社)

自分方のタスクが遅延したことで、相手方と当初合意していた予定にはどのような影響があるのか、またリカバリーは効くのか/効かないのであれば再合意する必要がある事柄はなんなのか……などプロジェクトの完了というExitイメージに向かって仕事が出来ているのであれば当然含まれる内容が一切ありません。

より一般化して言えば、「このメールを送信することで、どのような状態を作り出したいのか」(=Exitシナリオ)を念頭に置いてから仕事に取り掛からないのであれば、その仕事にかけた時間は全て無駄であると言えるでしょう。

■何をするか、どうやるかより、あなたはどうしたいか

自分で会社を興す場合にも、明確なExitシナリオを描くことが重要です。

会社(株式)を売却してまとまった資産を築くことが目的なのか、規模や成長を追わず自分の理想の働き方を実現することが目的なのか、はたまた自分の想いを実現するための手段が会社経営なのか。

目的に良い/悪いはありませんが、目的を明瞭にし、その目的にあったアプローチをすることが重要です。

例えば売却がゴールなのであれば、むやみに時価総額を上げればいいわけではありませんし(あまりに高いと買い手が見つからなくなってしまうので)、メンバー集めをする際もその目的はきちんと説明しておくことが誠実でしょう。

重要なのは常に「何をするか」「どうやるか」よりも、「あなた自身がどうしたいのか」なのです。

■思い描いたことしか実現しない

あなたが人生を通じて成し遂げたいことはなんですか? それはいつ迄に達成したいことですか? もしこれらの問いに明確な答えを持ち合わせていないのであれば、自分自身に問いかけて答えを見つけることをお勧めします。

多くの人はこのような状態で、なんとなく周囲の人々を眺め、その平均値のような人生を描くことが多いように感じます。

ナポレオン・ヒル『思考は現実化する』は20年の歳月をかけ、500名もの成功者を調査し、その成功哲学をまとめた書籍です。多くの愛読者を持ちますが、もちろんタイトル通りに思い描きさえすれば必ず達成するわけではありません。

しかしながら少なくとも思い描かない限り夢や目標が達成されることはあり得ない点については自分も強く同意しています。

Exitイメージを具体的に描くことは、仕事に限らず人生そのものにおいても最も重要な考え方だと言えるでしょう。

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野原 秀介(のはら・しゅうすけ)
X Capital代表
1991年生まれ。東京大学卒業後、新卒でゴールドマン・サックス証券に入社、債券為替コモディティ営業本部にて数多くの金融機関とのディールを経験。その後2018年に株式会社X Capitalを創業、現在まで代表を務める。「日本経済に、パラダイムシフトを。」というビジョンを掲げ、日本に経営人材を創出すること、プリンシパル投資により中長期的な企業価値を増大させることを目指して事業を拡大し、創業以来増収増益を達成している。

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(X Capital代表 野原 秀介)

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