「家族に相談してから決めます」という人は一人もいない…モナコの大富豪たちが必ず守る人生のルール
プレジデントオンライン / 2022年12月4日 10時15分
※本稿は、『結局、「手ぶらで生きる女(ひと)」がうまくいく』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
■迷っているクライアントさんとの関係を断ち切った理由
「私はこれ以上、あなたのために時間を作ることができません」
私は現在、企業や店舗、個人のブランディングのコンサルタントをしているのですが、冒頭の一言は、あるクライアントさんとの打ち合わせの席で、私が発した言葉です。
関係を断ち切るような厳しい言い方になってしまったのには理由があります。
「迷いの森から出たい」と言いつつも、なかなか動き出そうとしないクライアントさんに、しびれを切らしてしまったから。
そのクライアントさんは、60代の女性でした。ご両親の暮らしていた古民家をリノベーションして、1日2組限定の宿泊施設を経営したいというご相談でした。
初めての面談は1時間の予定だったのですが、気がつけば3時間におよびました。というのも、彼女には理想のイメージがなく、コンサルティングをしながらそれを具体的なイメージに落とし込んでいくことに時間がかかったからです。それでも何とか方向性を示すことができ、私は安堵(あんど)していました。
そこで最後に、この先も継続して私が彼女のプロデュースを続けていくかどうか、決めることになりました。
すると彼女は、「息子に相談してから決めてもいいですか……?」と言ったのです。
■重大な決断は一人でしないといけない
息子さんの意見を聞きたいという気持ちはよくわかります。私も、夫の生前はいつも、「夫と相談してから決めます」と言っていたからです。また、一人でビジネスを始めたときは決断するのが怖くて、先輩経営者の意見を聞いてから決断していました。
たった一人きりで重大な決断をするのは不安なものです。信頼できる人の意見を聞いて、一緒に考えてもらってから答えを出したいと思うのは自然なことかもしれません。
しかし、特にビジネスにおける決断、あるいは自分自身の今後の生き方を左右するような決断については、自分の声に耳を傾け、自分で決めるべきだと私は考えています。
たとえ息子さんから何かしらの意見を言われても、仲間から意見を聞いて迷ったとしても、最後に決めるのは自分。なぜなら、自分の人生を生きていくための「地図」は、他の誰でもない自分自身が描かなければならないからです。
■「決断」と「行動」が人生を切り開く
私は、クライアントが決断をあまりに迷うようなら、こちらからプロデュースをお断りするようにしています。クライアントを説得したとしても、自主性がなければ良い結果にはつながらないからです。
先のクライアントさんが、「息子に相談しようと思います」とおっしゃった時点で、私は、「この方は、自分ですべき決断を、誰かに委ねるのだな」と感じました。
ご本人は、これで3時間を超えるミーティングが終わるとほっとしたご様子でしたが、しばらく経(た)ってから後悔したかもしれません。
今後も、私以外の誰かに相談するためにお金を使い、それでも決断ができず、時間とお金を浪費するかもしれません。
もちろん、誰しも初めから決断力や行動力を持っているわけではありません。決断、行動し、失敗を重ねて、ようやく自分なりの力が身についていくものです。
私自身、これまでも何度も「人生の新しい扉」を自分で開きながら、その過程で決断力を養っていきました。
![モナコ在住の起業家プロデューサーで美容家のエミチカさん](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/6/7/1200wm/img_67488c4479dcbd41ca2a65a64ff8fa4f502671.jpg)
ゼロから美容業界に飛び込んだときも、三重から上京したときも、単身でモナコに移り住んだときも、目の前の暗闇に差し込む一条の光を頼りにチャレンジしたことで、私の人生は少しずつステージアップしていったのです。
なぜ、それが可能だったのか?
私がしてきたことは、2つだけです。
それは、「決断」と「行動」です。
人に相談し、アドバイスを受けることもありましたが、最後には必ず、自分で決めて、自分で動いてきました。
迷いに迷って、ここではないどこかや誰かに答えを求めても、正解は自分の心の中にしかありません。
「いつか絶好のタイミングがやってくる……」と待っていても、「いつか」はやってきません。
大切なのは、自分で自分の生き方を決めること。
モナコに移り住んで、日々たくさんの大富豪と接していると気づくのですが、誰一人として、自分の人生を他者に決めてもらおうとはしません。大きな決断も小さな決断も、必ず自分で決めるのがルールなのです。
■「他人の価値観」で動くと失敗しやすい理由
人生は、毎日が小さな選択と決断の連続です。
30代、40代の私は、「こうあるべき」という誰かが決めた理想を自分の目標だと思い込み、その理想に何としてでも近づこうとしていました。
「この場面では、こんな選択をしたほうがいいだろうな」
「嫁らしく振舞わなければ」
「母親らしく、子どもの勉強を見てあげなければ」
「働く夫を献身的に支える妻でなければ」
こんな考えでがんじがらめになっていました。
これは、人から求められた人生を生きているのであって、自分の人生を生きているわけではありませんよね。
モナコに移り住んでから強く感じているのは、一人ひとりに違った生き方があり、それがその人の魅力になるのだということ。
その魅力は、その人の価値観をもとに、毎日の小さな選択や決断を積み重ねていく中で生まれます。
■自分を見失わないように日々精進
それがわかっているにもかかわらず、モナコから日本に帰国するたびに、マーケティングに踊らされてしまう私がいます。
日本に帰国してドラッグストアに立ち寄ったときのことです。健康にいいとされるサプリを見かけて、「そんなに高くないし、体にいいなら試してみようかな」とレジに持っていきました。
![エミチカ『結局、「手ぶらで生きる女」がうまくいく』(PHP研究所)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/0/1200wm/img_003fc260f01c7281f69220b3c50c6e29279289.jpg)
ドラッグストアを訪れた時点では、サプリを買う気なんてまったくなかったのに……。結局、たった数日で飲まなくなってしまいました。
こういうとき、「あれ? 私、人から与えられた価値観に踊らされている?」と我に返ります。買うことはストレス発散の一助になっているかもしれませんが、結果的には時間もお金も浪費して、そのうえ、本来するはずがなかった選択ミスを反省することになります。
これは、日常のほんの小さな出来事です。でも、そんなことでさえも軸がブレてしまうのは、自分の価値観を信じきれていないから。
モナコに移り住んで、自分の軸をしっかり持っている人たちに囲まれて暮らしている私も、まだまだ精進しなければと思う毎日です。
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EMICHIKA Co.Ltd 代表取締役。三重県出身。モナコのパレスエリア(王宮前)で暮らす唯一の日本人。50歳のときに眼科医の夫が急逝し、2人の子どもを抱えながら2 億円の負債を抱える。51歳で美容ビジネスを立ち上げ、わずか5年で年商7億円企業に成長させる。しかし、その後大病を患い、生き方やビジネスの進め方の大転換を迫られる。その経験から、「古い価値観を手放して手ぶらになる生き方」にシフトし、本物の自由を手に入れる。2018年には、知り合いなし、コネなし、語学力なしの状態から、持ち前の行動力で次々とコネクションをつなぎ、「大富豪でなければ住めない」と言われ、世界中のセレブが集まる国・モナコで暮らし始める。また、「本物の幸せを見つければ人生は変わる」というアイデアをスピーチした海外TEDxは、2022年7月度の世界最高再生回数を記録(日本人女性初のランクイン)し、好評を博している。現在は、モナコのパレスエリアと日本を行き来しながら、多くの女性たちのプロデュースを手がけている。
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(起業家プロデューサー、美容家 エミチカ)
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