現役教師が直伝…いくら言ってもゲームをやめない子が「自分からやめるようになる」キラーフレーズ
プレジデントオンライン / 2022年12月11日 11時15分
※本稿は、庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
■いくら言っても子どもがゲームをやめない
ゲームばかりして、やるべきことは後回しの我が子
うちの子、ゲームするときだけ目が輝いて、いつまでもゲームをやめようとしません。最初は優しく伝えるけれど、最後には、
「いつまでやっているの!」
「ゲームは禁止ね!」
「そんなんじゃ、立派な大人になれないわよ‼」
と、声を荒げてしまいます。
そんな声かけではだめなことも分かっています。
どうしたらいいのでしょうか?
ゲームばかりしていると不安になり、こんな声かけになってしまいますよね。どうしたらいいか、ご一緒に考えていきましょう。
ポイントの1つ目は、「横の関係を作る」ということです。
ポイント①横の関係を作る
親は、我が子を養っている。年の差や、経験値も大きく違う。だからこそ、どうしても上下の縦の関係になりやすいのです。
我が子が言うことを聞かない。親である自分がきちんとしつけなければいけない。
そんなときに、上下の関係を作ってしまい、何も言い訳できないような、一方的な上から目線の教え方をしてしまいます。
子どもだから、一時的には言うことを聞くこともあるでしょう。でも、それが積み重なっていくと、年齢とともに言うことを聞かなくなってしまいます。
■子どものしていることに興味が生まれる
ここで大切なことは、「横の関係」です。
上にならないことを意識すると、我が子のしていることに興味が出てきます。
「なぜゲームをしているときに、目が輝いているのだろう?」
「やめられるタイミングとやめられないタイミングの違いはなんなのだろう?」
「どこがおもしろいんだろう?」
「なぜあんなに夢中になれるの?」
興味をもつことができれば、自然とイライラしなくなります。
自分にはない行動から学ぼうと思って見つめることで、横の関係が作れます。
ポイントの2つ目は、「おもしろがる」ことです。
ポイント②おもしろがる
「このゲームのこのタイミングで笑っているな。かわいいなー」
「ずっと集中して、こんな姿勢でやっているよ。よく足が痛くならないなー」
「ゲームしてない間も、ずっと調べてるな。こうやって調べる力、没頭する力すごいな」
自分にはない集中力や興味のもち方を見て、素直にすごい! と思うことはないですか。
これからの時代、学力が優れていることが、大人になってからの幸せにつながるとは限りません。大事なことは「没頭する力」です。
ゲームに没頭できるのだとしたら、それはこれからを生きる力になりえます。その力をなくそうとする必要はありません。とことん付き合ってみてください。
しかし、ゲームには中毒性があります。依存してしまうのであれば、やめさせなくてはいけません。そのやめさせ方は、上下の関係になって、強引に叱ってやめさせるのではなく、横の関係になって、おもしろがりながらやめさせていく必要があります。
そして、ポイントの3つ目は「自分(親)の学んだことを伝える」です。
ポイント③自分(親)の学んだことを伝える
横の関係になって、おもしろがっても、我が子のやりたいことをやめさせることはできません。実は「やめさせる」という我が子の行動をコントロールしようと思っている時点で、それは心の底からおもしろがっていないし、横の関係にもなっていないのです。
「ゲームへの集中力、ほんとすごいよね。集中しているとき、何を考えているの?」
「このキャラクターの好きなところ教えて」
「なんでそんなに素早く動かせるの? すごいね。お母さんには絶対できないよ」
嫌味ではなく、子どもをコントロールしようとせず、人と人として接しながら、すごいと思うところを伝えます。
やめさせたいから言うのではありません。
親として自分にはない、子どもがもっている優れたところを見つけ、心の底からすごいと思いながら伝えるのです。
![ゲームを楽しむ父と息子](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/3/0/1200wm/img_30eb9e5531318415c42f915bd14adb0b510818.jpg)
■親の欲求が伝わるとルールを提案してこない
そして、その後は「そのままでいい」っていうメッセージを伝えます。
もちろん、「やりすぎは心配だからやめてほしい」と伝えることもあります。でもそれはあくまで、子どものことを思って伝えることです。
そこで、子どもから学ぶ姿勢で伝えれば、その思いは必ず届くはずです。すると、「○分でやめる」や「○時まででやめる」などのルールを自分から提案してくれるようになります。
提案してこないようでしたら、まだまだ我が子のことを考えるだけでなく、親としての欲求が出ているからだと思います。
「親として、子どもにゲームのやらせすぎはよくない」
「親ならば、ゲームばかりでなく、勉強もさせなくてはいけない」
「友達の親はもっとちゃんとやっているはず」
「お義父さん、お義母さんに、だめな母だと思われたくない」
このように、我が子だけでなく、自分のことを考えて叱っていることがあります。それが子どもに伝わると、子どもは言うことを聞いてくれなくなります。
とにかく、我が子のことを思い、横の関係で伝えるのです。
■「上下関係」でルールを決めない
事前に我が子とルールを決めておくことも上手にやめさせるコツの一つだと思いますが、そのルールの決め方が、上下の関係になって決めている話をよく聞きます。
「30分を超えたら、もうゲームさせないからね」
「ルール守れなかったら、お小遣いなしだからね」
このようなルールを決めるときは、
「やりすぎはよくないとお母さんは思う。どう? 1日何分にするか一緒に考えよ」
「あなたは、ちゃんとルールを決めて守れる子だって知っているよ。信じているよ」
などと、横の関係でメッセージを伝えます。
「いつも、ちゃんとやめることができて、本当にすごいといつも思っているよ。お母さんが子どもの頃は絶対できなかったから、本当にすごい。これからも続けてね」
と、学んだことを伝えましょう。
■「できていること」をおもしろがる
子どもだから、守れるときもあれば守れないときもあります。
できているときをおもしろがること。
どうしても、私たち親は、できているときを当たり前だと思って何も声をかけず、できていないときに、大きな声で叱ってしまいがちです。
横の関係をいつも意識して、できていることをおもしろがり、我が子から学んだことをとにかく毎日伝える。それを続けるだけで、自然と約束を守る子に育っていきます。
子どもから学ぶために、横の関係を作り、おもしろがり、学んだことを伝える。
「そうは言っても、全部を一度に行うなんてできないよ」という声が聞こえてきそうです。
そう、すぐにはできませんし、いつも行うことはできません。
でも、それを意識して我が子と接するだけで、関係性はあっという間に変わってきます。
■マジックワード「もうちょっと教えて」で子どもから学ぶ
そこで、「我が子から学ぶ」ときのマジックワードは「もうちょっと教えて」です。さっきのゲームでしたら、「このゲームのおもしろいところ、もうちょっと教えて」「すこしやらせて。やり方教えてくれる?」といった声かけです。
![庄子寛之『子どもが伸びる「待ち上手」な親の習慣』(青春出版社)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/2/1200wm/img_52bce5f0037475f07d259cf5ca39e3e8168708.jpg)
「教えて」と声をかけることで、自然と横の関係を作り、おもしろがることができます。
そこで、やった感想を話します。
「ただのゲームだと思っていたけれど、とても勉強になるね」
「ボスを倒すためには、計算もしなきゃいけないんだね」
「思ったより奥が深かったよ。おもしろかった」
言われた我が子はどうでしょう。
きっと、いい気持ちになるでしょう。少なくとも悪い気はしないはずです。
ゲームを肯定されたと思うだけでなく、自分自身を肯定されたと思うでしょう。そのような声かけが、子どもの自己肯定感を育んでいきます。
■純粋に子どもから学ぶ気持ちを持つ
そこで大切なことは、「やめさせたい」という思いを前面に出さないことです。とにかくやめさせたいから怒らずに伝えているのだと、我が子はすぐ気づきます。
言葉よりもマインドセット(心の持ち方)が大切。
純粋に子どもから学ぶ気持ちで「もうちょっと教えて」と伝えましょう。「もうちょっと教えて」と言いながら、興味をもって見る。やりすぎることが、心配であることを伝える。我が子と一緒に、我が子中心でルールを決める。ルールを守れているときに、子どもを認める。
やめる習慣ができるまで、横の関係でおもしろがり、学んだことを伝え続ける。
「我が子なら大丈夫」という、愛を伝えながら我が子から学ぶだけで、関係性はがらりと変わっていきます。
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東京都公立小学校指導教諭
大学院で臨床心理学科を修了。道徳教育や人を動かす心理を専門とする。学級担任をするかたわら、「先生の先生」として全国各地で講演を行っている。最近では、教育関係者だけでなく、企業や保護者向けにも講演。担任した児童は500人以上、講師として直接指導した教育関係者は2000人以上にのぼる。元女子ラクロス日本代表監督の顔も持ち、2013年、U-21日本代表監督としてアジア大会優勝、2019年、U-19日本代表監督として日本ラクロス史上トップタイの世界大会5位入賞を果たす。著書に『叱らない技術』『withコロナ時代の授業のあり方』(ともに明治図書出版)、『オンライン学級あそび』(学陽書房)など著書多数。
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(東京都公立小学校指導教諭 庄子 寛之)
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