子供が巣立った"アラフィフ"でもなぜ美貌を保てるのか…年を重ねても若々しい"美魔女"の共通点
プレジデントオンライン / 2022年12月14日 10時15分
※本稿は、和田秀樹『70歳80歳を笑顔で超える生き方』(さくら舎)の一部を再編集したものです。
■ドラマ「水戸黄門」ばかり見ていると老化が進む
若いころから前頭葉型思考をしてきた人にとっては、ある種の快感体験になるのかもしれないが、前頭葉をあまり使わない生活をしてきた人にとっては、想定外の突発事項が次々に起こるのはしんどいものである。
まして、年をとってくると、ただでさえ前頭葉を使うことがめんどうになってくる。それがストレスになると、うつになることもある。
だから、むしろ40代のころから、女性でも男性でも前頭葉を使うくせをつけておくのがよい。
子どもが大きくなるまでは家庭にトラブルを起こしたくないのであれば、疑似恋愛でもいい。ただの追っかけでは、あまりに知恵がない。やはり、相手を動かすことで双方向の関係を築き、思い出に残る出来事をつくっていったほうがおもしろい。
テレビドラマの「水戸黄門」やシリーズものの2時間ドラマが年寄りじみているのは、結論が見えているからである。結論が見えている番組は、見ていても安心感がある。一種の心地よさというものがある。
だが、小説でも映画・テレビでも、先が読めるものに安住していると、老化は進む一方だ。
■知識よりも考え方の面白さが評価される時代
アメリカの映画は、筋書きが読めないものが多い。そこで、ハラハラ、ドキドキさせられるわけだが、日本映画と違って、脚本を一人でなく、大勢で書いているからだろう。
韓国では文化輸出をしたくて、映画に対しても国が奨励金を出している。しかし、日本の場合、はなから外国では売れなくてもいいと思っているから、テレビをそのまま映画にし、キャスティングまで同じという作品が少なくない。これでは、外国人から見て魅力的な映画などつくれるわけがない。
国の文化面で、このような状況がつづけば、社会全体が老化していくことになるだろう。
いまでは、ただ知識をたくさんもっているだけの文化人では、評価されない。ネットを検索すれば、同じような答えはいくらでも引き出すことができる。物知り型の知識人より、考え方のおもしろさのほうが高く評価される時代なのだ。
■価値観の変化に気づかず、友達ができにくくなる
過去の栄光もそうだが、自分が経験して身につけたことは、いつの時代にも通用する絶対的な真理だと思い込んでしまうところがある。
そのときはそうだったかもしれないが、年をとってくると、時代が変われば価値観も変わるのだということが、なかなか認識できなくなる。
自分の考え方を疑うより、そのほうがラクだからだ。前頭葉が老化してくると、こうした経験則の落とし穴にはまってしまいがちである。
高齢になるにつれて友だちが少なくなる要因の一端は、ここにもあるような気がする。
男性の場合、定年後に友だちができる人とできない人の差は大きい。会社時代の友だちとの関係をつなげていけるだけでも、立派なものだ。麻雀や飲み会に誘われるとしたら、その関係はできるだけ大事にしたほうがいい。
女性のほうが友人関係はキープされやすいだろう。50代から60代になっても、一緒に旅行したりするグループはよくある。ただ、子どもが同じ学校に通っているうちは、ママ同士の友だちは増えることがあるけれど、40代以降に新しい友だちができる人は、それほど多くはない。
増えることがないというのは、新たな環境に出ていって友だちを増やすということをしなくなるからだ。
■新しい環境づくりに取り組む
もう一つは、ケンカをしたときの仲直り能力が、年をとるにつれて弱くなることも影響している。相手の気持ちを推し量ることができにくくなって、強引に自分の主張ばかりを通そうとするから、周囲から敬遠されて、友人も歯が欠けるように減っていく。
一般に、60代、70代になっても友だちが多い人は、前頭葉をしっかりはたらかせている証拠といえよう。
よく60代になったら地域のコミュニティに入って、新しい友だちをつくろうなどといわれるけれど、なかなか思うようにいかない人が多い。とくに男性の場合は困難である。
めんどうくさいことを嫌がるから、よけいにその傾向が強くなる。
飲み屋のカウンターで隣り合った見知らぬ人に声をかけたりするのは、いろいろな経験を積んできた、年をとってからのほうがしやすいと思うのだが、なぜかあまりしなくなる。
しかし、老化に抗していきいきとすごしたいなら、新しい環境づくりに積極的に取り組むべきだ。
■日常生活に少しの変化を加えて刺激を与える
会社に勤めていたころは、好奇心とは関係なく、毎日の仕事がある。ぼんやりとしてばかりもいられなかった。
ところが、定年後、会社に行かなくてもよくなると、外出することもどんどん少なくなり、日々の買い物に行く以外は、終日、家でぼんやりしていることが多くなる。
これが若者なら、完全な引きこもりだ。
中高年になってからの引きこもりは、いっそう前頭葉の機能を低下させるため、寿命を縮めてしまうこともある。この段階から、ハラハラ、ドキドキさせるようなレベルにまで回復させるのは、とても困難である。
だからこそ、感情が老化をはじめる40代から、仕事や子育てにかわって刺激を与えてくれる対象を探したり、いろいろと試したりしていかないと、手遅れになりかねないのだ。
とはいえ、なにをしたらいいかわからないというのが現実ではないだろうか。
中高年は、ただでさえ刺激に慣れっこになっている。なにを見ても、先が読めてしまうというか、自分の知識と経験が邪魔をして、新鮮味を感じなくなっている。よほど意識して刺激を求めないと、多少のことでは感動しない。
刺激をもたらしてくれるのは、好奇心である。
たとえば手近なところでは、いつもの通勤ルートを変えてみるとか、一つ手前の駅で降りて歩いてみるとか、基本的に同じことのくり返しである日常に、いつもと異なった行動をとって変化をつけてみよう。
普段ほとんど買い物に行かない街やデパート、若者向けのショップに入ってみたり、新聞に書いてある演劇やコンサート、講演会のチケットを買って実際に行ってみよう。
■とりあえずなんでもやってみる
年をとれば、アイディアや仮説が思い浮かびにくくなる。ものごとを決めつけ、常識や定説を疑うことができなくなったりする。
思考が鈍くなったら、とりあえず、なんでもやってみることだ。というのも、なにごとも、やってみないとわからない、あるいは、やってみてわかることがたくさんあるからだ。
もちろん、いつもうまくいくとはかぎらない。むしろ、失敗することのほうが多いかもしれない。しかし、だからといって、なにもしないでいたら、なにもはじまらない。
なにはともあれ、まずやってみることによって、前頭葉が刺激され、好奇心や意欲が生まれてくる。その中から新しいアイディアも誕生してくる。
■家庭に入る女性は子育て以外の「自己実現」のツールに乏しい
人間、年を重ねると、これまで手に入れたものに執着するようになる。そこから、会話の中にも、昔の話の割合が多くなったり、子どもに関する話題、とくに自慢話が多くなったりするようになる。
男性の場合、自分の出世をあきらめたころから、その傾向が強くなる。
年をとると、新しいものに対する適応力が悪くなるため、どうしても古いものにしがみつこうとする。これも老いの一つのパターンである。跡継ぎのことを考えたり、発想が次の代のことに移ってきたりするのも同類だ。
会社での会話の中に、兄弟や子ども、家族のことがさかんに出てくるようになったら、老いを自覚するべきである。
女性の場合は、やや事情が異なる。というのも、母親が子どもの教育についてあれこれいうのは、男性と違って、自己実現の手段があまりなく、どうしても子どもの教育に向かってしまうところがあったからで、それをもって老化と断ずるわけにもいかない。
いまでこそ女性が男性に伍して社会進出したり、結婚しても仕事を辞めなかったりするケースが多くなったが、昔は、仕事を辞めて専業主婦になったら、子どもの教育で自己実現するぐらいしか方法がなかったのだ。
これからは、それも少しずつ変わってくるのではないかと思う。
■子供以外の関心を持つ
ただ、それでも、子どもにばかり気がいって、受験とか就職のことばかりに熱中していると、おのずと自分の身辺に注意がいかなくなったり、女としての自分を見ようとせず、母親的側面のほうが強くなったりする。
子育てや子どもの受験ばかりに躍起になっていると、同窓会で会ったときなど、独身でずっと仕事をつづけてきた人と、見た目の若さに大きな差異ができていることに気づかされるだろう。
やはり、子どもにしがみついていると、どうしても老けやすくなる。いまのアラフォーとかアラフィフとか美魔女とかいわれる女性たちは、それほど子どもべったりではないのではないか。
老けたくなかったら、子ども以外に興味・関心をもつこと。
とくに恋愛でなくてもいい。たとえば料理とか、テニス、エステでもいい、カルチャースクールに通って勉強してもいい。
なにかしら子ども以外に自分を伸ばそうとか、若さを保とうとか、そういう試みをしていかないと、子どもが離れたとたん、どっと老け込んでしまう。
![肌を気遣う女性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/a/6/1200wm/img_a6c10b9de491c8a3d86f101c93085d56581165.jpg)
■「何かで勝とう」と思い続ければ若さは保たれる
老化を防ぐ方法として、女性の場合、着飾るとか美魔女に走るとかの方法はあるが、男の場合は、やはり上を目指すことだ。
ゴルフをやるにしても、ほかに身体を動かすことがないからとか、健康のためとかいうのは、老いのサインだ。
![和田秀樹『70歳80歳を笑顔で超える生き方』(さくら舎)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/c/1/1200wm/img_c123cebef310c7f98b29106215a36794194498.jpg)
そうではなく、スコアにこだわって、「絶対に勝ってやるぞ」と思ってやること。そうした闘争本能があるうちは、まだ若い証拠だ。負けても平気になったら、要注意。
人間は、40代、50代で、ある種の停滞現象が起こる。体力的にも能力的にも、あるいはルックス的にも、上昇停止が起こってくる。そのときに、ほかのなにかで勝ってやろうと思う人は、若さを保ちつづけられる。
闘い方がだんだん変わってくると、つい子ども自慢になったりしがちだけれども、そうではなく、どの分野でもいいから、たとえばオタク的なことでもいいから、自分自身のことで、多少なりとも人に勝ちたいと思うことだ。
子どものころの勝ち負けは、勉強とかスポーツとかにかぎられているが、その点、大人の場合は、いろいろな面で人に勝てるところを見出すことができる。
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精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
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(精神科医 和田 秀樹)
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