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「北朝鮮のミサイル」も「ロシアの核」も実はぜんぜん怖くない…ニュースの見方が変わる「地政学」の使い方

プレジデントオンライン / 2022年12月15日 10時15分

イラスト=『90枚のイラストで世界がわかる はじめての地政学』より

なぜ北朝鮮は日本海にミサイルを発射するのか。YouTubeでの歴史解説で累計1億回以上の再生回数を誇る「非株式会社いつかやる」のメンバー、いつかやる社長は「北朝鮮の目的はアメリカへのアピールで、中国の隣国という地理的条件を利用している。地政学的に考えれば、いたずらに不安を抱くことはなくなる」という――。

※本稿は、いつかやる社長『90枚のイラストで世界がわかる はじめての地政学』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■北朝鮮がミサイルを発射する地政学的理由

北朝鮮は朝鮮半島にある国で、韓国の北に位置する。

年々ミサイルや軍隊を強化していて、「演習と称し、北朝鮮から日本海にミサイルが発射された」なんてニュースもよく聞いたりするよね。かなり危険なイメージがある国なんだけど、国内はとても貧乏で、貧しい地域では餓死してしまう人が出るほどの食糧難にも悩まされているんだ。

にもかかわらず、ミサイルを撃ったり軍を強くする理由は、北朝鮮に「考え」があるためなんだ。

じつはこのミサイル、アメリカへのアピールなんだ。

北朝鮮はミサイルを強くすることで自分たちを危険な国だと思わせて、アメリカを交渉の場に引き出したいと考えている。その交渉でアメリカから経済支援を受けることができれば、国内の食糧不足も貧困も解決できるからね。北朝鮮はアメリカと仲がいい日本に「いつでも攻撃できるんだぞ!」とアピールするためにミサイルを撃っているんだ。

もちろんミサイルは驚異的だから、十分注意しなくちゃいけないんだけど、必要以上におびえることはないんだ。

アメリカが北朝鮮に経済支援をおこなう可能性は十分にある。北朝鮮はアメリカ最大のライバル中国の隣となりにあるから、北朝鮮を味方にできれば、中国の動きをより近くで封じることができるんだ。

北朝鮮も自分たちの地政学的によいところを利用しているんだね。

■中国にとって北朝鮮は「盾」

中国はなんで北朝鮮の味方をするんだろう? じつはここにも中国の地政学的な思惑が隠されている。

北朝鮮という国は朝鮮半島という場所にあって、もとは大韓帝国という1つの国だったんだよ。

だけど1910年に一度、むりやり日本の領土にされて、第二次世界大戦が終わってからも今度はアメリカとソ連がやってきて、アメリカが現在の韓国を独立させて、ソ連が現在の北朝鮮を独立させた。

こうして朝鮮半島は分断されてしまい、2つの国ができあがったんだ。

この北朝鮮のある朝鮮半島は地政学的に重要な場所にあって、1950年に起きた韓国と北朝鮮の争い(朝鮮戦争)では、韓国にいたアメリカ軍を追い出そうと中国とソ連が北朝鮮と一緒に戦い、アメリカが韓国とともに戦ったんだ。

戦争はいま休戦になっているけど、現在でも朝鮮半島はランドパワーとシーパワーがぶつかり合う場所の1つになっているんだ。

中国の視点から考えてみよう。

北朝鮮とアメリカが仲良しになると、ライバルのアメリカがすぐ近くまできてしまうよね。中国としては、アメリカを遠ざける盾がほしい。それが北朝鮮というわけだ。

だから北朝鮮がミサイルを飛ばしても、中国が反対する核実験をおこなっても、中国は北朝鮮をかばって仲良くしている。北朝鮮は中国にとって大事な「盾」になっているから、北朝鮮の行動にはあるていど目をつぶっているんだよ。

【イラスト】北朝鮮は中国にとって大事な「盾」になっている
イラスト=『90枚のイラストで世界がわかる はじめての地政学』より

■ウクライナ戦争は「ロシアとNATOの代理戦争」

2022年、ロシアはウクライナに侵略をおこなった。

ロシアは侵略の理由を「2014年から続いてるウクライナの内戦で、ウクライナがロシア派の人たちを殺していて、それを助けるためだ」といっているんだ。だけど、そう主張している内戦は、そもそもロシアが自分たちの都合でクリミアを奪ったことにより起こった争いだよね。ロシアはそういって、自分たちを正当化したいだけなんだ。

ロシアが侵攻をおこなった本当の理由は、ソ連の崩壊と深く関係している。ソ連崩壊後に独立した旧ソ連の国は、ソ連の敵だったNATOに次々に加盟していったんだ。NATOは世界で一番大きな軍事同盟だから、ロシアがどれだけがんばっても勝てない。

そこに、ロシアのとなりのウクライナまで加盟してしまえば、敵であるNATOがとなり合ってしまうことと同じだ。

ロシアはNATOに入る前のウクライナを自分たちの手下にし、NATOとロシアのあいだにウクライナという「盾」をつくりたかったんだよ。

当然、そんなロシアの横暴は許されないよね。

ウクライナ侵略では、NATO加盟国や日本など、多くの国がウクライナの味方に回って、食料や兵器、お金を支援しており、ロシアとの貿易を止めたり経済制裁をおこなっている。だけど、ロシア側も負けを認めず、NATOのヨーロッパ諸国や日本に経済制裁をおこない、ウクライナには連日攻撃を続けている。戦争のゆくえはまだわからないけど、ウクライナを戦場にした「ロシアとNATOの代理戦争」になっていることは事実なんだ。

■核兵器は威力を失いつつある

核兵器のもっとも効果的な使い方はなんだと思う?

じつは、「核兵器を使わないこと」なんだ。せっかく最強の兵器をもっているのに、使わないってなんだか変だよね。それは、国際社会のなかでの約束が関係している。

いつかやる社長『90枚のイラストで世界がわかる はじめての地政学』(飛鳥新社)
いつかやる社長『90枚のイラストで世界がわかる はじめての地政学』(飛鳥新社)

そもそも、核兵器を使うと「報復核」といって、「核を使った国を世界中で攻撃しよう」という約束があるんだ。だから核兵器は国際社会のなかで使えない。使うためではなく、「もしかしたら核を使ってくるかも、ヤバい」と、相手を怖がらせるためにあるんだ。

だけど、「もしかしたら使うかも……」と思わせるのは至難のわざなんだ。とくに日本は歴史上で唯一、核兵器を使われた「核被害国」。日本が核兵器をもったとしても、どこの国からも「核兵器を使うワケない」と思われてしまうから、正直あまり効果はないんだ。

最近では、核兵器を無力化する攻撃も研究されている。2010年にイランの核施設にあった装置 約8000台が破壊されたことがあったんだ。このときに使われたのが、「スタックスネット」と呼ばれるコンピューターウイルス兵器。

のちにアメリカのNSA とイスラエルの8200部隊が共同でつくったことがわかるんだけど、10年以上も前に核を無力化する兵器が生まれている。

今後は、核を撃たれる前に爆発させる技術も生まれてくるといわれているよ。もはや核兵器は威力を失いつつある、古い骨とう品のような武器なんだ。

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いつかやる社長 YouTube動画再生1億回、チャンネル登録者数40万人を超える日本初の歴史系ユニットチャンネル「非株式会社いつかやる」のメンバー。いつかやる社長、副社長、ぴろすけの3人でユニットを組んでいる。 世界史、日本史、国際情勢、ニュース、軍事などの動画を、どんちゃん騒ぎしつつも、至極マジメな内容で配信しており、中高生や新社会人から絶大な人気と信頼を得ている。

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(いつかやる社長)

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