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目的は「不倫相手を探す」だけではない?…「既婚者限定マッチングアプリ」に集まる人たちの言い分

プレジデントオンライン / 2022年12月21日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

「既婚者限定マッチングアプリ」とは、どんな目的で使われているのか。街コンサイトを運営する三輪賢治さんは「既婚者同士の出会いの場を作ってはいるが、運営側は不倫を推奨しているわけではない。不倫相手を見つけられるかどうかは、利用者の使い方による」という――。

※本稿は、三輪賢治『100歳まで出会える人生』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

■既婚者が出会いを求めるのは極めて高リスク

現在において、既婚者が配偶者以外の人と関係をもつことについてはどのように捉えられているのでしょうか。

これについては、公的な調査がないため、民間調査をベースに解説していきましょう。

基本的に、既婚者が恋愛をしたいと考え相手を探そうとするとき、独身者に比べて抱えているものが大きくなります。それに伴い、出会いから交際まで全ての期間におけるリスクも大きくなります。

配偶者にバレて離婚されるリスク、離婚となったら有責配偶者は子どもを失うリスク、身内から批判されるリスク、職場にバレて社会的な信用を失うリスク、慰謝料を請求されてお金を失う金銭的なリスク……というように、挙げてみると不倫はリスクが非常に高いのです。

ほとんどの人が、このリスクを恐れて出会いや恋愛を諦めるという判断を取るのでしょう。しかし、一方で、既婚者だからといって新たな出会いをあきらめなくてはならないのはおかしいと考える人たちもいるのも事実です。

■それでも恋愛したい既婚者はどうするか

「セックスレスが長く続いていたら配偶者以外の異性を求めるのが自然である」
「会話がないなどお互いに関係を維持する努力がなくなったら他に恋愛関係を求めてもいいのではないか」
「子育てから手が離れ、互いに愛情がなくなっていたら離婚までせずとも、お互いに新しい人と恋愛関係を築いてもいいのではないか」

こうした考えにより、「不倫」「婚外恋愛」「卒婚」などを選ぶ人たちが現れています。

新しい相手と出会いたいという人間の自然な欲望は、結婚という社会的制約で抑え切れるものではありません。

そのため、時代とともに生まれた便利なツールやコンテンツにより、既婚者の出会いの場も大きく変化し、そして結婚しても恋愛をする人が増えてきています。

ネットでの出会いが盛んになる以前は、既婚者の出会いの場は日常生活の輪の中に限られていました。職場、仕事帰りに寄るスナックなど行きつけの店、休日の趣味や習い事の場などで関係が深まるパターン……それらが王道です。久しぶりの同窓会で初恋の相手と……なんていうのも、よく耳にする出会いのきっかけでした。

しかし、日常生活の輪の中での不倫関係は、仕事や生活を壊してしまうという危険性が大きくありました。現代のネットシステムは、より安全に、より多くの相手との出会いを可能にしました。そして、不倫や婚外恋愛に求められるルールやコツといったものも変化してきています。

■既婚者向け出会い系SNSの衝撃

様々な出会い系サイトがありますが、近年、増えているのが「既婚者クラブ」をはじめとする既婚者専用のマッチングアプリです。

「人生は一度きり。不倫をしましょう」というキャッチフレーズを掲げ、2001年にカナダ発で開設した「アシュレイ・マディソン」という出会い系のSNSがありました。

既婚者同士の交流を目的としており、日本でも大きな話題となりました。しかし、費用の高さがネックとなっており、サクラが多く存在するとも言われていた中で、2015年に大きな個人情報流出事故を起こしたことから、急速に下火となりました。

また、あからさまに「不倫=体の関係」を堂々と表に出した売り出し方に対し、気後れ感を抱いた人も多かったようです。その点も、日本人にとっては少々使いづらさがあったのではないかと思っています。

ただし、このサイトの登場は一定の評価がありました。それは既婚者同士が恋愛をしたいと思っているという潜在的なニーズを掘り起こしたことです。

特に、周囲の人間関係にバレないように、しかし安全に出会いたいという既婚者のある意味ワガママな要望との親和性が、ネットを利用したマッチングは高いと評価されたのでしょう。

■既婚者マッチングアプリが誕生したワケ

「アシュレイ・マディソン」からユーザーが離れた後も、既婚者向けのマッチングアプリやマッチングサイトは、進化し続けてきました。

というのも基本的に、婚活を目的とするような“恋人探し”をするようなマッチングアプリやサイトでは、既婚者はNGです。過去には、独身者のふりをして参加する既婚者が既婚バレをして、ネット上に個人情報を晒される……などのトラブルも続出しました。そこで運営側もトラブルを避けるために、独身証明書を提出させるなどの対策をとっています。

既婚者は、まじめな“恋人探し”ができるサイトからは追い出されてしまったというわけです。

もちろん、既婚者でも出会いを探せるアプリやサイトは昔からあります。ですが、そこにいる女性の多くが金銭目的。つまり、恋愛関係を継続していきたいと考えている人は少数派なのです。

そこで誕生したのが既婚者向け(既婚者限定)、または既婚者が参加できるマッチングアプリ(以下、既婚者マッチングアプリ)で、代表的なものに「既婚者クラブ」があります。既婚者マッチングアプリには、独身者向けのものと違う独特のルールや注意点があります。

■探すのは不倫相手ではなく、話し相手

まず根本的に注意しなくてはならないのが、既婚者マッチングアプリは、イコール不倫系アプリではないということです。既婚者マッチングアプリのほとんどが、基本スタンスとして不倫を推奨しておらず、不倫を助長すること自体をNGとしています。

既婚者同士の出会いの場を作っておきながら、不倫は推奨していない⁉

と、確かに混乱を呼ぶスタンスです。

これは、最終的に体の関係を持つことができないといっているわけではありません。あくまでも交際に至るための基本スタンスの話です。

想像してみてください。もし職場や習い事、またはこどもの学校のPTA活動といった場所で、家庭もあり子供もある人間が、ギラギラと出会いを求めていたらどうでしょうか? ドン引きされてハブられるのは必須ではないでしょうか。ネット上でも同じこと。既婚者には、“建前”が求められるのです。もちろん、運営サイドが不倫を助長していると批判を受けないためというのもあります。

つまり、既婚者マッチングアプリでは不倫相手を探すことだけが目的なのではなく、配偶者との関係における悩みを相談したり、既婚者ならではの孤独感を分かちあったりと、既婚者同士でなければ分からない問題についての話し相手を探している場合も多いのです。とはいえ、相談に乗っているうちに信頼感が生まれて、その先の関係に発展するというのも王道のひとつではあります。

つまり、既婚者マッチングアプリは、「既婚者同士が出会ってコミュニケーションをとる」もので、その先に、もしかしたら交際が待っているかもしれないけれど、運営側は関知しませんというスタンスなのです。

手すりで互いの手を寄せている、それぞれ結婚指輪をはめた男女カップル
写真=iStock.com/Carolyn Horlings
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Carolyn Horlings

■「老後は新しいパートナーと趣味を楽しみたい」

現在、62歳になるTさんは、定年まで勤め上げた会社を引退後、再雇用という形で今もフルタイムで勤務しています。働いているとはいえ、現役バリバリの頃と違い、定時で終わり、土日もしっかり休めるため、プライベートも充実させたいと考えていました。

また、妻とも家庭内別居のような形が長く続いており、せっかくなら定年後の生活は、新しいパートナーと趣味を楽しみたいと考えていました。

「同世代の友人も多くは、妻とは長年セックスレスであるとか、子ども以外の話をしたことが何年もないという状態。フィリピンパブや風俗で遊んで恋愛気分を楽しむ人もいますが、私の場合は、継続的にお付き合いしてけるような人と出会いたかったんですよね」

■普段の生活ではなかなか出会いの機会がない

ところが、Tさんは、あまりお酒を飲むタイプではないこともあり、出会いのチャンスが近くになかったと話します。

「友人の中には、行きつけのカラオケスナックで知り合った女性とお付き合いしている人もいますが、私はお酒を飲まないので、スナックなどにも足を運ぶ機会が多くなく、そうそううまく出会えることがなかったんですよね。職場でそんな関係になってしまったら問題があるでしょうし……」

Tさんは旅行が趣味で、旅行先の美術館や史跡巡りをすることを好んでいることもあり、セカンドライフではそんな楽しみを新しいパートナーと共有できたらと願っていました。

「趣味の場なら出会えるのかもしれない。そう考えたこともあります。今、大学のオープンカレッジで美術史などを学んでいるのですが、現実的には難しいですよね。

まず、相手が出会いを求めているかどうかも分からず、結婚しているかどうかもよく分からない。そんな状態だと、なかなか話しかけられません。セクハラと捉えられてしまったら、それこそ問題ですし。せっかく見つけた楽しく学べる場を、失ってしまうのもイヤだなあと思うと、ここでも手を出せない……」

■お付き合いに至らなくても「大収穫」

そんな時に雑誌で見かけたのが、既婚者専用のマッチングアプリサイトの「既婚者クラブ」でした。

「中高年の利用者が多そうだということで試しに登録してみました。住んでいるところがそれほど遠くなく、良さそうだなという6人の女性にメッセージを送りました。返信があったのは4名です。そのうち2人とはすぐに連絡が途絶えました。残りの2名と何度かやりとりをして、お茶でもしましょうということになりました」

三輪賢治『100歳まで出会える人生』(扶桑社)
三輪賢治『100歳まで出会える人生』(扶桑社)

残念ながら、1人とは一度のお茶をしただけ、もう1人ともお茶の後に食事をしただけで、お付き合いには至らなかったそうですが、Tさんはそれでも満足だと言います。

「これまで、出会い系サイトは使ったことがなかったのですが、使ってみて、そんなに怖くないとわかったことが大きかったですね。そして、実際に、出会いを求めている女性もいることがわかった。これだけで大収穫ですよ」

すぐに出会って、交際相手が見つけられるというわけにはいかないようですが、出会いを探す楽しみが日常に加わっただけでもTさんとしては満足であるようです。

これから、ますます長寿社会になるに従って、第二の人生は新しいパートナーと送りたいと考える人が出てくるのではないでしょうか。

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三輪 賢治(みわ・けんじ)
ノマドマーケティング代表
1981年、愛知県生まれ。慶應義塾大学在学中から出会いのイベントを企画、実行する。大学卒業後、一般企業に就職。インターネット上での出会いに未来を感じ、独学でホームページの制作・運用を学ぶ。アフター5と休日のサイドワークとして街コン・婚活サイト「e-venz」を2009年に立ち上げる。同サイトが人気となり、2014年に起業。出会いイベントのプラットフォームサイト、オウンドメディアの先駆けとして、新しい出会いの形や情報を提供し続けている。著書に『100歳まで出会える人生』(扶桑社)がある。

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(ノマドマーケティング代表 三輪 賢治)

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