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人生やビジネスといった「答えのないゲーム」を有利に進めるために覚えておきたい「3つの口癖」

プレジデントオンライン / 2022年12月21日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/marchmeena29

人生やビジネスといった「答えのないゲーム」を有利に進めるにはどうすればいいか。経営コンサルタントの高松智史さんは「そのためには経験したことのない『ファクト』に対峙しても『示唆』を感じ取り、言語にする必要がある。私は3つの口癖を覚えるようにしている」という――。

※本稿は、高松智史『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

■誰もが日々当たり前のように行う「示唆」の正体

「示唆」とは、ファクトから言えることです。

英語が達者な人であれば、インプリケーション。

BCG的にいえば、So-What(ソーワット)。

僕が好きな言い方でいえば、メッセージ。

これらはすべて「示唆」と同じ意味で使える言葉です。

ビジネス書なのでそれっぽい言葉にしてみましたが、誰もが日々「示唆」と過ごしています。

・仲のいい友達が「髪の毛をばっさり切って、女子会に登場」した時、「イメチェン? 何かあった? 失恋!?」

このようにひと盛り上がりするシーンがありますよね。

ここにも「ファクトから言えること」=示唆が含まれていますがわかりますか?

それはもちろん、ファクト=「髪の毛をばっさり切った」で、示唆=「失恋!? (失恋したに違いない)」です。

・めったにインスタグラムにアップしない友達のA子が「イタリアンのお店で食事をしている+ピントは向かいの皿に合っている」写真をアップした時に、コメントに「彼氏できた?」

この何気ないやりとりにも「ファクトから言えること」=示唆が含まれています。

仕事上での何気ないやりとりも示唆だらけです。

・いつもは「タカマツさん」と呼んでくる上司が「タカマっちゃん」と呼ぶ時、これは「何か、ちょっと面倒なお願いをしてくるんだろうな」と察し、聞こえないふりをする。

・店舗ごとの売上が記載された表を見ながら、「渋谷店は売上がガクッと落ちているから、何かが起きているかもしれない」とか、「原宿店は急激に売上がアップしている。店長に連絡して、どんな施策を打ったのか聞いてみよう」と動き出す。

これらはまさに「ファクト」から「示唆」を汲み取った上で何かしらの行動をしており、示唆によって突き動かされた具体的なシーンと言えるでしょう。

また、よく言われる「オンナの勘」はまさに示唆で溢れています。

・デートの時、携帯を裏返しに置く男は浮気しているに違いない。

・いつもは誰と行くとか言わないのに、金曜日のある飲み会の時だけ「先輩の○○さんと飲んでくる」と言う男は浮気しているに違いない。

これらも「ファクト」とファクトから言えること=「示唆」で構成された発言です。

しかしながら、これらの発言のほとんどは、自分の過去の経験、もしくは誰かから教えてもらったこと=他の人の経験からの発言です。

つまり自らが経験したこと、過去にあったことからしか示唆を言えないポンコツということになってしまいます。

この本のテーマに添った表現をすれば、「答えのあるゲーム」でしか使えないということになります。

高松智史『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』(実業之日本社)
高松智史『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』(実業之日本社)

本書の目的は「答えのないゲーム」において勝利することです。

ですから、この章では皆さんに「答えのないゲーム」における「示唆」の使い方をお伝えします。

経験したことのない「ファクト」に対峙しても「示唆」を感じ取り、それを言葉にできるようになれば、答えのないゲームを有利に進めることができます。

ようこそ、示唆の世界へ。

さようなら、ファクトだけの世界。

■「示唆」を身につけるための2つの口癖

何かを学ぶ時、中でも特に「考える力」や「答えのないゲームの戦い方」、「示唆」など目に見えないものを学ぶ時に大事にしてほしいのが、口癖=自分に問いかける言葉です。

言葉が整うと思考が整う。

示唆を学ぶ上では2つの大事でセクシーな口癖があるので、覚えてほしいと思います。

いや、何かにつけて、カッコつけて、叫びましょう。

まず、1つ目は王道のフレーズです。

「示唆はファクトから言えること」

そしてファクトを見た時、グラフを見た時、文章を読んだ時、こうつぶやきましょう。

「何が言えるっけ?」

目の前に、親友のアッコが髪の毛をばっさり切って登場した時、「おー、ばっさり髪切ったね、かわいいね」で終わらせず、自分の中で何が言えるっけ? と叫ぶ。

「ばっさり髪を切った。このファクトから何が言えるっけ?」と思考を回転させ、無理やりでもいいのでこう続けてほしい。

「おー、ばっさり髪切ったね、かわいいね。なんか心境の変化あった? 失恋でもした? それとも、マラソンでも始めた?」

後半がまさに「示唆」に当たります。

本当かどうかは、聞くまでわかりません。

それが「示唆」というものなのです。

この口癖をスウィッチに示唆を出す。このファクトから示唆を出すんだ! と意気込んでほしいのです。

■「見たままですが」という魔法の言葉

このように示唆を言えれば最高ですが、そう簡単に示唆は浮かびません。

また示唆を出すのが難しいファクトは、日々目の前に現れます。

その時にもう1つ口癖にしてほしい言葉が「見たままですが」です。

これは「ファクト」を「ファクト」として確実に認識し、示唆と区別するための言葉です。

示唆を言えるようになる前に、まず、しなければならないのは、ファクトと示唆を明確に分けることなのです。

それを僕は「ファクトVS示唆」と名付けました。

自分の発言がファクトなのか示唆なのかを区別できていますよ! という枕詞が「見たままですが」です。

このフレーズを置くだけで「示唆を言いたかったんだけど、浮かばなかったからとりあえずファクトを言うね」ということを自分の中で意識付けできる上、相手にもそれが伝わります。

さきほどの例でいえば「おー、見たままですが、ばっさり髪切ったね」です。

「見たままですが」→「何が言えるっけ?」のコンボになるわけです。

ビジネスシーンに置き換えてみます。

ミーティングで次のグラフがスクリーンに映し出されました。

あなたは参加者の中でもっとも下っ端であり、最初に発言するのが自然な流れだったとしましょう。

しかし、何も浮かばない、言うべきことが何一つ浮かばない。

その時にこう言うのです。

「見たままですが、売上が級数的(等比級数的)に上がっていますね」

ある会社の売上グラフ
出典=『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』より

「見たままですが」を付けずにいきなり「売上が級数的に上がっていますね」と言ったら、全員から「そんなもんは言わなくてもわかる」と突っ込まれるでしょう。

でも、「見たままですが」を付け加えることで間が生まれます。

それだけでなく「見たままですが」が口癖になっていると、それが「示唆」を導くためのスウィッチとなり、自分の思考が回転するのです。

加えて次の議論につなげやすくなるというメリットもあります。

間を入れても何も思いつかない時は、「見たままですが、売上が級数的に上がっていますね。ということは……○○さん、どう思いますか?」と違う人に託してもいいし、みんなで議論する方向に持っていってもいいでしょう。

この流れを覚えておいてください。

「見たままですが」→「何が言えるっけ?」

さて準備運動はここまで。

徐々に示唆の深い世界に入っていきます。

■脱ゼロ・イチ文化。答えのないゲームの始まり

さっそくですが、問題です。

問題
出典=『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』より

それも3つ!

何事もそうですが、ただ単に文字を読んでいるだけでは技術は習得できません。

無理やりにでも、答えをたくさん出すことが重要です。

量を絞り出すことによって、より技術を吸収でき、成長できるのです。

さて、示唆を3つ出せたでしょうか?

■ファクトと示唆の違いとは

まずはさきほどの問題でよくある答えを3つ挙げておきましょう。

【よくある回答】
①この会社は成長している
②売上が伸びており、今後も伸びる
③この会社に投資しよう!

この中のどれがファクトでどれが示唆かわかるでしょうか?

①と②はファクトに近いけど、②の後半部分「今後も伸びる」はやや示唆が入っている気がするのではないでしょうか。

そして③はもっと示唆に近づいている感じがしませんか?

もう1つクイズを出しましょう。

【問題】①~③よりも示唆っぽい④を挙げよ。
①この会社は成長している
②売上が伸びており、今後も伸びる
③この会社に投資しよう!
④(  )

当然ですが、ファクトよりも示唆に近づけなければなません。

「合っているかもしれないが、実際のところはわからない」というのが示唆です。

断言できてしまうことはファクトです。

例えば次のような示唆はどうでしょうか。

④この会社の人事制度は崩壊している

ここまでいくとファクトではなく、「ファクトから言えること」=示唆に近づいています。

しかしこの④も皆さんが出してくれたであろう示唆も、ファクトなのかそれとも示唆なのか、この境界を明確に示すことはできません。

示唆は程度問題
出典=『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』より

ファクトと示唆は白黒はっきりさせられるものではなく、図表3のように「程度問題」なのです。

さきほどの④は徐々に示唆の“濃度”が濃くなっていると捉えられます。

示唆成分の“配合”が増えている、と言ってもいいでしょう。

この辺のニュアンスはなかなか難しいのですが、示唆はグラデーション、つまり割合の問題であると強く意識してください。

違う表現をすれば、ファクトは100人中100人が「そうだよね」と納得することといえます。

この視点でさきほどの選択肢を見ていきましょう。

①この会社は成長している

これはおそらくほとんどの方が「そうだよね」と納得するでしょうからファクトといえます。

②売上が伸びており、今後も伸びる

これはどうでしょう。

いやいやいやいや、そうとは限らないだろ。

という方が出てきそうです。

ましてや、「今後も伸びる」ためにはそのためのアクションやあるいはお金も必要です。

これはやや示唆に近づいていると考えていいでしょう。

③この会社に投資しよう!

ここまでくるとますます「そうだよね」と言う人は減ってくるので示唆寄りです。

では、ファクトが「100人中100人」が納得する事柄とすれば、そのファクトから導き出せる価値のある示唆は何人中何人くらいか、これをここでは「100人中3人」としておきます。

僕はこの「100人中3人」が「そうだよね」と納得する示唆をプラチナ示唆と呼んでいますが、それは本書で詳しく解説します。

その示唆を聞いただけでは「そうだよね」と納得しない人でも、説明を聞けば「なるほど、確かに」と納得するものが、ファクトから限界まで離れつつも示唆と認識される範囲というイメージです。

これを超えてしまうと、ただの「関係ないこと」になってしまうリスクが出てきます。

例えばさらに、このグラフから、「この会社は1年後に倒産する」までいくと「そうだよね」と納得する人が100人中3人未満となり、単なる「勘」となってしまう可能性が高いのです。

■ファクトから示唆を出す思考がインストールされる

さて、前の項で伝授した口癖、「見たままですが」→「何が言えるっけ?」に「何人中何人」を加えてみます。

「見たままですが」→「何が言えるっけ?」→「それは何人中何人?」

こうして口に出し、思考グセを付けてしまうのが最善策。

ファクトから示唆を出す思考が自分の中にインストールされていきます。

最後に「④この会社の人事制度は崩壊している」の回答について説明して、この項を締めます。

④「この会社の人事制度は崩壊している」が出てくる理由

「売上が急激に増えたということは、当然、社員も増えていることが予測できる。社員の増加は、雇用形態の多様化につながる。するとどうしても、管理体制に“例外”が生まれ、それに応じて給料や働き方もバラバラになる。この“例外”の数の増加が5年も続いているとすれば、人事制度は形骸化し、もっといえば崩壊しているに違いない」と、このように説明できます。

もちろん「答えのないゲーム」なので本当のところはわかりません。

ただ、示唆の技術を身につけると、さきほどのグラフからこういった示唆を読み取れもするのです。

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高松 智史(たかまつ・さとし)
経営コンサルタント
カナタ代表取締役。一橋大学商学部卒。NTTデータ、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)を経て「考えるエンジン講座」を提供するKANATA設立。本講座は法人でも人気を博しており、これまでアクセンチュア、ミスミ等での研修実績がある。BCGでは、主に「中期経営計画」「新規事業立案」「組織・文化変革」などのコンサルティング業務に従事。YouTube「考えるエンジンちゃんねる」の運営者でもある。

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(経営コンサルタント 高松 智史)

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