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白米ばかり食べると死亡リスクが高くなる…抗加齢の専門医が「今すぐ玄米を食べなさい」と訴えるワケ

プレジデントオンライン / 2022年12月31日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bonchan

長生きするにはどんな食生活を送るべきか。愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長の伊賀瀬道也さんは「全粒穀物はミネラルやビタミンが豊富で、低GI食でもある。白米を玄米に、白いパンを全粒粉パンに置き換えることで糖尿病・心筋梗塞・がん・脳卒中による死亡リスクを下げられる」という――。

※本稿は、伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■糖質オフダイエットのやりすぎには注意が必要

ごはん(白米)やラーメン、パスタなど、ついつい炭水化物(糖質)を食べすぎてしまう人は多いと思います。昨今、炭水化物は太る元凶とされ、糖質オフダイエットも一般的になりました。確かに糖質の過剰摂取は避けるべきですが、一方で、糖質は人間の活動に欠かせない大切なエネルギー源です。食べすぎは体に悪いですが、まったく食べないのはもっと体に悪いといえます。

そもそもなぜ、糖質の摂りすぎが体に悪いのか簡単にひも解いていきましょう。食事をすると、食材の中の糖質は、血液の中に取り込まれます。この情報が即座に膵臓に伝達されると、膵臓はインスリンを分泌して、血液中の糖の濃度(血糖値)をコントロールします。

■血糖値が高いと老化が早まるメカニズム

通常、糖分は全身の筋肉や肝臓に優先的に取り込まれていき、余った糖分が脂肪組織に取り込まれていきます。このとき、糖質が過剰だと、余分な糖分が脂肪にどんどん取り込まれ、不必要な脂肪(内臓脂肪)として蓄積されてしまうのです。内臓脂肪はメタボリックドミノを引き起こす大きな原因です。

また、血糖値が高い状態が続くと、それをコントロールしようとインスリンの分泌過多が続きます。すると、インスリンを作る膵臓が疲弊し、その結果、インスリンが枯渇してしまうのです。糖尿病の人がインスリンの注射を打つのは、体内で作れなくなったインスリンを補うためです。

血糖値が高いことは、糖尿病の原因になるだけではありません。血液中に糖分が多いと、血管を内側から傷つけてしまい、動脈硬化を加速させ、さまざまな生活習慣病や老化の原因になるのです。こういった悪循環を回避するために、糖質の摂りすぎには注意しなければなりません。

■麺類を食べるなら「低GI食」のそばを選ぶ

そこで頼りになるのが「低GI食」です。GIとは食品ごとの血糖値の上昇の度合いを示す指標のことです。GI値が高いと血糖値が上がりやすく、低ければ上がりにくいことを意味します。

一般的に血糖値は、炭水化物、タンパク質、脂質の順番で上がりやすくなります。そのため、主食となる炭水化物を低GIの食品に置き換えていくことが、血糖値の上昇を抑える戦略になります。図表1は、炭水化物系の食品のGI値の比較です。ごはんなら玄米、麺類なら日本そばが低GI食品です。

炭水化物の食品のGI値の比較
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

そばの中でも、そば粉8割につなぎの小麦粉を2割使った「二八そば」より、そば粉を10割使った「十割そば」のほうがGI値は低くなります。また、そばには必須アミノ酸のリジンやビタミンB1、抗酸化作用があり血圧の上昇を抑えるルチンなどの栄養素が豊富に含まれているのも魅力的です。麺類の中では最もオススメの低GI食です。

日本そば、ネギ、わさび
写真=iStock.com/ahirao_photo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ahirao_photo

■白米より玄米、白いパンより全粒粉パンが死亡リスクを下げる

主食として、ごはんやパンの中でもオススメなのは、玄米や全粒粉のパンなどの全粒穀物食品です。全粒穀物とは、ぬかなどの外皮や胚芽を取り除かずに残した穀物のことです。

白米や白いパンは、外皮や胚芽を精白・除去する過程で、食物繊維や抗酸化物質、ミネラルやビタミンなどの重要な栄養素が削り取られてしまっています。全粒穀物ならこれらを豊富に得ることができるのです。さらに、優秀な低GI食でもあるので、血糖値の上昇を抑えることができます。

全粒穀物が健康寿命を延ばすことは、さまざまな研究によって実証されています。全粒穀物の摂取量と、糖尿病・心筋梗塞・がん・脳卒中による死亡リスクを、45の研究から総合的に解析した研究によると、全粒穀物の摂取量が増えるにつれて死亡リスクが下がることが判明しました(図表2)。特に糖尿病による死亡リスクは、1日90g(全粒粉パン3切れ相当)食べることで、半分ほどまで大幅に下がっています。

全粒穀物の摂取で死亡リスクが低下
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

■健康寿命を縮める食事因子第1位は「全粒穀物不足」

また、世界195か国の27年分のビッグデータを分析した研究では、健康寿命を縮める食事因子を調べた結果、第1位は「全粒穀物の摂取量が少ない」でした(図表3)。2017年は全粒穀物不足により世界で300万人が死亡したと推計しています。

寿命を縮める食事因子1位は「全粒穀物不足」
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

このように、玄米や全粒粉パンなどを摂取することは、健康寿命を延ばすために非常に有効なのです。毎日食べる「主食」は、体に大きな影響を与えます。高GI食ばかり食べている人は、この機会に低GI食を取り入れてみてはどうでしょうか。

■ワインを好むフランス人は心臓疾患になる人が少ない

血管の健康に良い食材として、「野菜や果物の皮」が挙げられます。野菜や果物の皮には、ポリフェノールという抗酸化物質が豊富に含まれています。赤ワインに含まれている成分として記憶している人も多いでしょう。

ワインを好んで飲むフランス人は、他の欧米人と同じように肉をたくさん摂取していますが、なぜか心臓疾患になる人が少ない傾向にあります。その理由は、赤ワインに含まれているポリフェノールにあることが判明し、世界中で赤ワインがブームになりました。

■ポリフェノールを豊富に含むのは「赤い皮」

このポリフェノールは、赤ワインの原材料に含まれるブドウの皮はもちろん、ほとんどの野菜や果物の皮にも豊富に含まれています。野菜や果物の皮は、がんの発症リスクを低下させることがわかっています。

伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)
伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)

野菜や果物を食べる際は、無理のない範囲で「皮ごと」食べることをオススメします。できれば無農薬で栽培されたものを選びたいところですが、そうでない食材についてはしっかり水洗いしてから食べれば大丈夫です。

「皮」の中でも特にオススメは、ブドウ、りんご、ピーナッツ、アーモンドなど、赤色をした皮です。赤色の皮には、ポリフェノールの一種である「レスベラトロール」という成分が含まれています。

レスベラトロールには、血管の若返り効果のある「サーチュイン」という物質を活性化させるという研究報告もあるのです。これまで皮を捨てていた人は、健康にいいサプリメントだと思って、食べるようにしましょう。

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伊賀瀬 道也(いがせ・みちや)
愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長
1964年愛媛県生まれ。1991年、愛媛大学医学部卒業後に第二内科(循環器)に入局。2019年4月より現職。2006年に抗加齢センター(現・抗加齢・予防医療センター)を開設。『血圧がみるみる下がる! 8秒ジャンプ』(文響社)、『1分 ゆるジャンプ・ダイエット』(冬樹舎)などの著書のほか、メディア出演も多数。

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(愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長 伊賀瀬 道也)

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