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あなたは「10秒間の片足立ち」ができるか…「できない人」は「できる人」より7年後の死亡率が84%も高い

プレジデントオンライン / 2023年1月3日 12時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/microgen

年をとっても元気でいるためにはどうすればいいか。愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長の伊賀瀬道也さんは「1日3回、1分間の片足立ちを習慣化するだけで筋力と骨量は増やせる。片足立ちで10秒間静止できる人とできない人では、死亡リスクが大きく変わる」という――。

※本稿は、伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■「寿命が伸びる可能性が高い」開眼片足立ち

私が所属する愛媛大学の抗加齢・予防医療センターでは、老化と「開眼片足立ち時間(目を開けたまま片足立ちで立てる時間)」の関係性を、10年以上にわたって研究してきました。

結論を言うと、「片足立ち」ができる人は、「寿命が延びる可能性が高い」ということが判明したのです。まずは、開眼片足立ちのやり方を紹介しましょう。

●開眼片足立ちのやり方
1.足をそろえて立つ
(足はまっすぐ伸ばす。深呼吸してリラックスする)
2.片方の足を床につかない程度に軽く浮かせる
(浮かせやすい足でOK。目は開けたままで)
3.そのまま1分間キープする
『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

■片足立ち10秒ができない人はできる人より死亡リスクが高い

私たちはこの方法で、体のバランス力と認知機能の関係を研究しました。390人(男性151人、女性239人、平均年齢67歳)に60秒を上限に片足立ちを行ってもらい、MRI画像で脳の萎縮の程度を調べたところ、片足立ちできる時間が短い人ほど脳が萎縮していることがわかったのです。

片足立ちできる時間と脳の萎縮度
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

その後、50歳以上の健康な1387人(男性546人、女性841人)を対象とした研究では、片足立ち時間とさまざまな病気の関連性が示唆されました。特に、片足立ちが20秒未満しかできない人は、明らかに、無症候性ラクナ梗塞(隠れ脳梗塞)、無症候性微小脳出血(隠れ脳出血)を持っている可能性が高いことがわかりました。これらは将来、脳卒中を発症する可能性が高いことを示唆しています。

片足立ち20秒未満の人の割合と隠れ脳梗塞の個数
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

片足立ちと寿命に関する研究は、世界中で進められています。ブラジルの研究チームによる1702人を対象とした調査では、片足立ちが10秒できなかった被験者の7年後の死亡率は17.5%に上り、片足立ちが10秒できた人に比べて、何らかの原因で死亡するリスクが84%も高いことが判明したのです。

■練習すれば長い時間できるようになっていく

なぜ片足立ちと寿命に関連性があるのでしょうか。片足立ちは、筋肉と骨が丈夫でなければできません。したがって、片足立ちができない人は、筋力と骨量が減少してサルコペニアになっていると推測できます。

サルコペニアは血管の老化も促進するため、脳梗塞などのさまざまな生活習慣病や、脳の萎縮を招くのです。片足立ちはサルコペニアの予防改善にもなりますし、練習すれば長い時間できるようになってきます。

今はできない人も、将来的に1分以上できるようになるのが目標です。

■筋骨を鍛えて神経ネットワークを活性化させる

片足立ちは、たんなるトレーニングではありません。脳卒中や認知症といった病気の発見に役立つ「診断機能」も兼ね備えており、習慣にすることそのものが、たいへんすぐれた「サルコペニア予防」になります。

伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)
伊賀瀬道也『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)

片足立ちを毎日行うと、太ももの大腿四頭筋やハムストリングが鍛えられます。骨には適度な負荷がかかり、骨密度を上げる効果もあります。

1分間の片足立ちを1日3回行うと、足の付け根の骨には50分歩くのと同等の負荷がかかるため、大変効率のいい運動なのです。1分間できない人も、毎日挑戦すれば、筋肉や骨が鍛えられて、徐々にできるようになるはずです。

また、第2の心臓であるふくらはぎが刺激されて、血液循環が良好になります。体がふらつかないようにと、脳を起点とした神経ネットワークも活性化するため、脳トレとしての効果も期待できるでしょう。

サルコペニア対策にあれこれ習慣にするのが大変な人は、1日3回、1分間の片足立ちだけでも、生活の中に取り入れるようにしましょう。

■ふくらはぎを親指と人差指で囲めたら危険信号

自身がサルコペニアの疑いがあるかどうかは、次の簡易チェック法でわかります。利き足でないほうのふくらはぎの一番太い部分を、両手の親指と人差し指で輪をつくって囲んでみてください。

囲めない人には十分な筋肉量があります。指とふくらはぎの間に隙間ができる場合は、サルコペニアの危険性が高いです。このことは医学論文でも報告されています。該当する人は、筋肉をつける習慣を身につけていきましょう。

■サルコペニアの兆候を測れる、もうひとつの部位

サルコペニアの兆候は、握力にも現れることがわかっています。2015年、カナダのマクマスター大学のダリル・レオン博士が医学誌『Lancet』に発表した研究で、握力が弱いほどさまざまな死亡リスクが高まることが判明したのです。

この研究は、世界17か国の17万人以上(年齢35~70歳)を約4年間追跡調査したもので、握力が5kg低下するごとに、「すべての原因での死亡リスク」が16%、「心臓関連死リスク」が17%以上、「脳卒中リスク」が9%、「心筋梗塞リスク」が7%以上上昇することが明らかになったのです。

ただし、握力の強い人は、もともとよく運動している傾向にあるため、その点からも死亡リスクが低いのだと考えられます。つまり、握力の低下は、サルコペニアの兆候や、運動量を測る指標になるといえるでしょう。

文部科学省のデータによると、男性は30~34歳で握力のピーク(最高48kg)を迎え、女性は40~44歳でピーク(最高29kg)を迎えます。

握力は、体の他の部位の筋肉よりもピークを迎える年齢が高く、かつ20代から50代まで力の差があまりありません。

成人の握力の変化
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

■寝る前に手足を「ギュッパッ」で握力を鍛える

これは、握力は日常生活において頻繁に使われるからだと考えられます。手でつかむ、つまむ、握る、絞る、結ぶ、持ち上げる……など、生活の中で握力を必要とする場面は非常に多いです。使う機会が多いぶん、自然と鍛えられやすい部分だといえます。それでも50代以降に、握力は徐々に衰えていきます。日常生活において活動量が減るのがその一因でしょう。握力をキープするには、「手を使う」仕事や家事を積極的に行うことが大切です。

また、次の「手指足指ギュッパッ運動」をしてみましょう。握力を鍛えると同時に、足の指も鍛えることで、毛細血管の血流を促し、むくみや血栓の予防にもなる運動です。1日の終わりにベッドの上で行ってみてください。

●手指足指ギュッパッ運動のやり方
仰向けになり、ひじを曲げて、両手を上に向ける
【手の指】
・親指を内側に入れて、強く握る(ギュッ)
・指先まで目いっぱい開く(パッ)
・10回繰り返す
【足の指】
・足首を伸ばして、足指を強く握る(ギュッ)
・足首を手前に曲げ、足指を思い切り開く(パッ)
・10回繰り返す
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

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伊賀瀬 道也(いがせ・みちや)
愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長
1964年愛媛県生まれ。1991年、愛媛大学医学部卒業後に第二内科(循環器)に入局。2019年4月より現職。2006年に抗加齢センター(現・抗加齢・予防医療センター)を開設。『血圧がみるみる下がる! 8秒ジャンプ』(文響社)、『1分 ゆるジャンプ・ダイエット』(冬樹舎)などの著書のほか、メディア出演も多数。

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(愛媛大学医学部附属病院 抗加齢・予防医療センター長 伊賀瀬 道也)

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