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6~11歳の子が「大嫌い!」「あっちへ行って!」と怒りだしたときに、親が本当にやるべきこと

プレジデントオンライン / 2022年12月28日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kool99

6~11歳の子供が反抗期になったとき、親はどう接するべきか。心理療法士のイザベル・フィリオザさんは「子どもの反抗的な態度には必ず理由がある。子どもの本音を知って、対処することが何よりも重要だ」という――。

※本稿は、イザベル・フィリオザ『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■子どもの問題行動には必ず理由がある

もし、子どもがきちんと食べなかったり、よく眠らなかったり、学校でうまくいかなかったりするなら、それは子どもが悪いのではなくて、何かがうまくいっていないからなのです。

それが、子どもなりの「何かが足りない」あるいは「調子が悪い」ということを知らせるやり方なのです。

子どものメッセージを解読して、何が必要なのかを見つけるのは私たち親です。大人である私たちには、子どもにはまだない思考力があり、仮定したり、推理したり、分析したりできるのですから。

今回は、子どもたちが「接触を拒否する」「何も話してくれない」「聞こえないふりをする」といった日常でよくみられる3つのシーンを挙げ、それぞれ、子どもたちの心の中の声を代弁し、親の最適な接し方についてお伝えします。

■「接触を拒否する」ときの子どもの本音

子どもの心の声

 ママがいなくて寂しかった! いてほしかったのに、ずっといなかったじゃないか。つらかったよ。でもママにとって重荷になるのはイヤだ。だから軽くなるようにしてる。ママが義務だと思ってぼくといてくれるより、1人のほうがいい。仕方がないからって思われたくない。それより自分の部屋に入って1人で遊ぶほうがマシだよ。

子どもは寂しさを感じないように、時には親をわずらわせないように、あえて距離を取ることもあります。さらには、攻撃的になることだってあるのです。

イラスト=『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』
イラスト=『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』

子どもの心の声

 とにかくママはわたしのことわかってない。ママが大好きなのに、どうすればいいのかわからないの。

■子どもは親が嫌いで避けているわけではない

わが子にドアを閉じられると、自分自身が子どもの頃に親から拒絶的な反応を受けていた親は、内面に確固とした安心感がないため、子どもに嫌われていると思って防御姿勢で対応してしまう恐れがあります。

考えるより前に、海馬(かいば=扁桃体のすぐ横にある小さな脳の組織で、記憶を司る部分)が危険を思い出し、大脳周辺部(感情の分野)を活発化させ、前頭前野の働き(思考)を抑制してしまいます。

そのため自分の子どもに注意を向けるより、自分自身を守りがちになり、子どもから離れるか、怒り出してしまうのです。

■親から関係修復のために動こう

このような逃避を正当化するために、こうして距離を取ることが自然であり、さらには教育的なのだと主張する親もいます。

「あの子も1人になりたいのだろう」とか「1人になって自分の部屋で何かするのが好きな子だから……」と。

実際には、その親は自分自身の親の姿をわが子に投影しているのです。子どもの部屋に入っていくことも、抱きしめようとすることもできません。それほど新たな拒絶にあうのを恐れています。それは、子どもの頃、親に近づこうとして手痛く拒否されたからなのです。

アドバイス

 うちの子は、私の視線を避けているのかな? そう思うことはありませんか? 避けているのではなく、訴えているのです! 子どもが期待しているのはたった1つ──親が親子間の関係を修復してくれること。

 抱きしめる、遊ぶ、笑う、マッサージする……。子どもに捧げる時間が、きっと親子の絆を回復してくれるはずです。でもその前に、拒絶されたり泣かれたりするかもしれません。

 子どもが心の扉を閉めてしまうのは、親がその障害を乗り越えて来てくれるのを待っているから。自分のほうから働きかけて、がっかりさせられ、またつらい思いをするかもしれないと恐れているから。

 子どもはそうやって自分の心を守っているのです。親が信頼に背いたり、約束を破ったり、理不尽に罰したりしても、子どもは常に親を許したいと思っています。子どもはいつだって自分が愛されていると感じ、親とつながっていると感じたいのです。

■「何も話してくれない」ときの子どもの本音

「みんなで何したの?」「べつに」

「学校の食堂で何食べたの?」「いつもとおんなじ」

親の質問に対して、子どもがきちんと答えてくれないことがあります。こんなとき、子どもはどんな気持ちでどのように考えているでしょうか?

イラスト=『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』
イラスト=『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』

子どもの心の声

 なんて答えればいいの? わたしが何を食べたかがどうしてそんなに大事? もう忘れたし、どうでもいい。お昼がパスタでも、チキンでも。友だちの話のほうが、お皿の中のものより大事。

「どんなだった?」という質問はあまりに漠然としているので、子どもの脳はなんと答えればいいか、どう考えればいいかわからないのです。

しかも、親に報告しなければならないのだと感じると、子どもは口を閉じてしまいます。

■子どもの話を聞くためのゆとりを持とう

子どもが何も言わないのは、私たち親が普段から子どもの話を聞くためのゆとり(スペース・時間)をとっていないということでもあるのです。私たちは子どものことを本当によく知っているのでしょうか?

もちろん、サッカーが好きだとか、バスケットボールが好きなこと、サンドウィッチにはサラダ菜1枚とトマト2切れをはさんでほしいことはわかっていますが、本当にわが子について知っているのでしょうか? 子どもの頭の中で何が起こっているか、わかっているでしょうか?

いつもそばにいるのが当たり前になっていて、ただ一緒に生活するだけになっていることが往々にしてあるため、注意が必要です。

アドバイス

 どこかへ行く道すがら、あるいは夕飯の支度をしながら、食事の時、夜寝る時など、できるだけ落ち着いた時間に親子2人で話す時間を作るようにしましょう。

 まずは黙って耳を傾けること。そのあと親も話すことになりますが、これは取り調べではなくて、お互いのことを知るためです。親のほうも今日楽しかったことやイヤだったことを話してください。

 それから「今日何かいいことあった?」とか「今日したことで、やってよかったな、って思えることは何?」とか「今日一番よかったことは?」などと聞いてみましょう。そのあとなら「今日一番つらかったことは?」という話に持っていくこともできますから。

イラスト=『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』
イラスト=『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』

■「聞こえないふりをする」ときの子どもの本音

私たち親はおしゃべりです。小さい女の子はある程度は親の話を聞いてくれますが、小さい男の子はそれがあまりできません。知能が劣るというのではなく、脳の言語野の発達が女の子より遅いからです。

身体を自在に動かすための神経系統の形成に忙しいのです。そのため、言語の受容と連合野がまだうまく結びついていません。

親の小言に慣れっこになっている男の子は、ふた言目からはもう聞いていません。全体の3~10%の子どもには聴覚障害がある(男の子は女の子の2倍)のでなおさらです。

親が少し声を上げると、男の子は身を縮めてやり過ごすか、気にしないようにして、外界に対して障壁を作ってしまうため、私たち親は無関心なのだと受け取ってしまいます。そんな時は、ちょっと体にふれてあげると、注意を喚起することができます。

ところで、私たち親は、物事がうまくいくように子どもに四六時中指図をしています。1日に何回指図しているか数えたことはありますか? 紙と鉛筆を用意して、1回言うたびにメモしてみてください。結果はどうでしたか?

子どもの心の声

あれしなさい、これしなさいって、いつもいつも言われるのにはうんざりだよ。まるで赤ちゃんみたいじゃないか。

■親の指図は「自分への過小評価」と感じる

指図をする親の意図ははっきりしています。「すべきことを言ってあげないと……」。子どものほうはそこから、「自分ではすべきことがわからないから親に言われるんだ」というメッセージを受け取るため、自分は過小評価され、責任を負えないと感じて、やる気をなくしてしまいます。

イザベル・フィリオザ『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)
イザベル・フィリオザ『6~11歳 子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)

確かに緊急の場合は、指示に従うことが大切です。しかし、そうした極端な場合以外、指示や命令は逆効果を生むだけです。

7歳~10歳の子どもが、本来はルールが好きで、適切に行動できるということを思い出してください。わざわざ反抗心を呼び起こす必要があるでしょうか?

また、私たち親は良かれと思って長いお説教をする傾向も見られます。私たちは子どもが「理解すること」を願っていますが、子どもは途方に暮れてうんざりし、注意を向けなくなります。

すると親は、わからせようとして、子どもに自分が悪いのだと思い込ませます。子どもはうんざりして、せいぜい恥ずかしいと思うかもしれませんが、やる気を起こすことはまずありません。私たち親が望んでいるのは、子どもに罪悪感を抱かせることではなくて、学んでもらうことですよね。

■くどくど言わず「単語で伝える」と子どもの脳が働く

命令でも強制でもなく、ただ子どもの注意を目的のものに向けさせるだけでいいのです。

特に文章にして言うのではなく、シンプルに単語で伝えることが大事。そうすることで、子どもの前頭葉の働きを促しましょう。脳は、やる気ホルモン、すなわち自発的行動を促すホルモンであるドーパミンを分泌します。オキシトシンと同様、このホルモンもストレスを減らし、恐怖と怒りのシステムを抑制します。

確かに自発的にテニスシューズを片づけさせたり、スポーツや習い事の道具を持っていくことを考えさせたりするには、呼びかけ以上のものが必要に思われます。けれど……あえて口に出さず、見守りましょう。

アドバイス

より効果的に、おだやかに伝えるため、言葉を短くしましょう! できるだけ頻繁に、さりげなく、抑揚を抑えて、一言だけを、そこに注意を向けさせるためにだけ口にしてください。「シャワー」「電気」など……。一言だけだと、子どもの前頭葉が機能しやすくなります。子どもの脳の特性を知って、子どもが動きやすい言葉かけのコツをつかみましょう。

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イザベル・フィリオザ 心理療法士
1957年パリ生まれ、心理療法士。父は心理学者、母は心理療法士で病気を体・心・感情を含めて全体的に見るというホリスティック医療の先駆者。パリ第5大学で、臨床心理学の修士号を取得したあと、フランス、アメリカ、ベルギー、イギリスなどで、交流分析、新ライヒ派のセラピー、神経言語プログラミングなどを学ぶ。それ以後、独自のセラピーを開発し、感情を専門とするセラピストとして、多くの大人や子どもの治療に当たる。世界的ベストセラーシリーズ『子どもの気持ちがわかる本』(かんき出版)ほか著書多数。

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(心理療法士 イザベル・フィリオザ)

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