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3位は早乙女太一、2位は宇野祥平、1位は…国内ドラマ「2022年俳優ランキング」男性部門ベスト10

プレジデントオンライン / 2022年12月27日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ackun

2022年に日本国内で放送・配信されたドラマで、評価するべき俳優はだれか。ドラマ偏愛コラムニストの吉田潮さんが作成した「2022年俳優ランキング」を紹介する。第1回は男性部門ベスト10――。(第1回/全3回)

■2022年を通して活躍した俳優を独断で選出

今年もやります、超主観的「ベスト俳優ランキング2022」。プレジデントオンラインは経済系の硬派サイトなのに寛容だわ。

今回はランキングの根拠を示すことにした。出演した各ドラマで名主演または記憶に残る熱演を30点、その人ならではの比類なき好演を10点、適役または評価すべき演技を5点とし、合計点を算出。複数のドラマで好演するほど得点が積み重なる。まずは男性部門から。

10位 阿部サダヲ

「空白を満たしなさい」(NHK)30点。

死んだ人間が時を経て突然生き返ったがゆえの苦悩を描く物語。主人公の徹生(柄本佑)につきまとう謎の男・佐伯を演じたのが阿部サダヲだ。初回からその薄気味悪さや実体のつかめなさは、観る者に生理的嫌悪感を与えた。不確かな存在だが強烈な存在感。

4話で画家のゴッホの自画像を例に、ある種の正論で徹生を諭した佐伯は、逆に神々しかった。自死をめぐる見解は真摯(しんし)だが辛辣(しんらつ)でもあり、「正しさという名の毒」に言及。気まずさの打破を体現できる役者として評価したい。

■大河のラストは語り継ぐべき名演

9位 林遣都

「初恋の悪魔」(日テレ)30点。

停職中の刑事で凶悪犯罪をこよなく愛する鹿浜鈴之介役。しょっぱなから面倒臭さと厄介さ全開、賢さと不器用さのアンバランスは遣都ならでは。厄介な人に仕上がった経緯も余すところなく、鹿浜という愛すべき人物の来し方を見事に体現。幼少期の自分と対峙(たいじ)する場面、初恋の終焉(しゅうえん)を噛みしめる切ない場面が忘れられない。

8位 小栗旬

「鎌倉殿の13人」(NHK)30点。

伊豆の片田舎の心優しき次男坊・北条義時(小四郎)が粛清に次ぐ粛清で人の心を失いつつも、非道な覇権争いを制して執権に上り詰める。主君に、家族に、御家人に、翻弄(ほんろう)され続けた人生を演じきった。小四郎の心の揺らぎと死に際は語り継ぐべき名演。

7位 高橋一生

「恋せぬふたり」30点、「岸辺露伴は動かない」5点(ともにNHK)。計35点。

恋愛もセックスもしないアロマンティック・アセクシュアルの男性を演じた「恋せぬふたり」は適役。普通を押し付ける世の中の無神経さに腹を立て、時に理路整然と反発する姿はもちろんだが、さりげない好意や配慮の表現は格別。また、漫画の奇想天外な世界を体現した「岸辺露伴~」は、別次元の趣がしっくりハマった。

■主役ではないが好演が光った

基本的に、メディアでは主演俳優や主演作だけが取り上げられがちだが、名アシストも評価されるべき。多くの作品に出演していた役者にスポットライトを。

6位 尾上松也

「親愛なる僕へ殺意をこめて」(フジ)30点、「まったり!赤胴鈴之助」(BSテレ東)5点。計35点。

鳥肌モノの残虐非道な半グレリーダー、昭和漫画の少年ヒーローを令和でギャグ化。他にも、陰気でうだつの上がらない長男役(「やんごとなき一族」フジ)、他力本願で楽観的な刑事役(「ミステリと言う勿れ」フジ)、蹴鞠(しゅうきく)が似合う負けず嫌いのやんごとなき策士(鎌倉殿)……今年はマツヤラッシュといってもよい。ボトムからトップまで演じる役の振り幅! つい目がいっちゃうんだよ。

5位 笠松将

「TOKYO VICE」(WOWOW)30点、「エロい彼氏が私を魅わす」(フジ)10点。計40点。

笠松の筋肉を密かに愛でる女性は少なくない。その魅力を存分に活かしたのは「エロい彼氏~」のまなぶ役。工事現場で働く姿といい、まっすぐな心根といい、夢と妄想を与えてくれた(私に)。

写真=フジテレビ「エロい彼氏が私を魅わす」公式サイトより
写真=フジテレビ「エロい彼氏が私を魅わす」公式サイトより

が、メインは「TOKYO VICE」の若きヤクザ・佐藤役。暴対法施行前の1990年代、新聞記者と刑事とヤクザ、それぞれの思惑と身過ぎ世過ぎを描く硬派な作品だ。

笠松は元宣教師でワケありのホステス・サマンサ(レイチェル・ケラー)と恋に落ちる。ヤクザの青春&純愛という「甘さ」と、仁義か人の心かで揺らぐ「つらさ」の両極を繊細に表現。この役で飛躍の予感。

■暗躍という言葉が似合う名俳優

4位 岡部たかし

「エルピス」(フジ)30点、「あなたのブツが、ここに」(NHK)10点、他10点。計50点。

ちょいと遊び人の運送会社社長で、コロナにかかり、隔離期間に孤独と向き合うという生々しい役を演じたのが「あなたのブツが、ここに」だ。陽性者の胸の内を吐露する(浮気性も反省する)という重要かつ世相を表す役がぴったりでね。そもそもちょっぴり情けない役が抜群の岡部だが、今年はわりと「正義」の人だった。

セクハラ・パワハラ発言に始まり、古巣の報道局を悪しざまに侮辱する、激しくひねたテレビマン・村井を演じたのが「エルピス」。口は悪いが、正義を貫くしんどさを知っている。本当は部下を守りたい人なのだと、超絶長いセリフから滲み出ていて感心した。

「17才の帝国」(NHK)では、総理大臣の息子で秘書だったが、汚れきった政界(と父親)に絶望し、政界を離れたという役どころ。「インビジブル」(TBS)でも経産省官僚に脅迫される下請け建設会社社長役。家族を守るという正義のために、暗殺組織に殺害を依頼し、自らも犠牲になろうとした。斜に構えたり、身を引いたりで、良くも悪くも正義の人という印象の2022年。

あ、「空白を満たしなさい」では四角四面で慇懃無礼な保健所窓口の人も適役だった。

岡部愛・たかし贔屓。来年も暗躍を期待するひとりである。

■惜しくもランク外となった「鎌倉殿」出演者

さて、ようやくベスト3へ……と思ったが、触れずにいるのは惜しい次点もご紹介しておきたい。役を説明せずとも、名演・怪演っぷりはおわかりいただけるかと。

山本耕史 25点 「鎌倉殿の13人」、「競争の番人」(フジ)、「クロサギ」(TBS)
菅田将暉 20点 「ミステリと言う勿れ」、「鎌倉殿の13人」
渋川清彦 20点 「ザ・タクシー飯店」(テレ東)、「真犯人フラグ」(日テレ)
梶原善 15点 「鎌倉殿の13人」、「ファーストペンギン!」(日テレ)
オダギリジョー 15点 「カムカムエヴリバディ」(NHK)、「アトムの童」(TBS)

なんなら「鎌倉殿」は全員30点つけたいくらい、豪華名脇役の詰め合わせだったが、民放局でも活躍した加点でこの5人に。

キリがないのでベスト3の発表を。

■私の心と脳が揺さぶられた

3位 早乙女太一

「封刃師」30点、「六本木クラス」10点(ともにテレ朝)、「カムカムエヴリバディ」5点、他5点。計50点。

殺陣の美しさに魅せられた「封刃師」は太一の主演作。人を殺人鬼にしてしまう呪いの刀をおさめるお仕事ね。

俳優の早乙女太一さん
画像提供=LDH JAPAN

「六本木クラス」では主人公の宿敵である社長の息子役で、韓国の本家の役者に負けない底意地の悪さと気の毒さを発揮。「カムカム~」の気障なトミーも適役だったし、「親愛なる僕へ殺意をこめて」では主人公の父で殺人鬼LLとされた悲劇の人。物語の後半であまりの不遇と不運に衝撃を受けた。

「ミステリと言う勿れ」では子供を虐待から守る謎の男性役。岡山天音(彼も好演!)とのトリッキーなコンビが記憶に濃い。今年は出ずっぱりだったのよね。

■来年も私の心と脳を揺さぶってくれ

2位 宇野祥平

「ヒヤマケンタロウの妊娠」(Netflix)30点、「ザ・タクシー飯店」10点、他15点。計55点。

ショウヘイと言えば宇野祥平。今年は泣かされ、笑わされ、驚かされた。「ヒヤマ~」は主役の斎藤工が妊娠する話だが、実は宇野も妊娠する役。華々しくスポットライトが当たるのは工で、祥平は男性妊夫の「影」を担当。光と影がセットになる残酷さが物語に深みを与えたが、その重要な役を祥平が見事に演じきった。

渋川清彦主演のタクシー運転手の物語「ザ・タクシー飯店」では同僚役。ワケありの過去をもち、ふがいなさが炸裂している男だ。親族内で情や仁義が薄い人ってめちゃくちゃリアル。「今度生まれたら」(NHK BSプレミアム)でも、ちょっと空気の読めない娘婿役。絶妙にはずす感じが親戚にひとりはいるタイプ。“リアリティの雄”と呼びたいのは、コメディだけでなくシリアスな作品での暗躍もあるから。

「両刃の斧」(WOWOW)では交番勤務の巡査役。腐った上層部がいる組織に属する人間の悲劇。罪の意識に苛まれ、衝撃的な死を遂げる。苦悩した時間の長さと出演する時間は反比例なのだが、胸がつまる。ただし、「オカルトの森へようこそ」(WOWOW)では関西弁で勇ましく化け物と闘う江野祥平役。強くて頼れるヒーローで驚いた。

来年も、私の心と脳を揺さぶってほしいひとりである。

■今年のドラマ界は「太賀と大河」だった

1位 仲野太賀

「拾われた男」(NHK)30点、「初恋の悪魔」30点、他10点。計70点。

2019年10月3日、韓国・釜山で開催された「第24回釜山国際映画祭」のオープニングセレモニーのフォトコールに出席した、俳優の仲野太賀さん。
写真=Penta Press/時事通信フォト
2019年10月3日、韓国・釜山で開催された「第24回釜山国際映画祭」のオープニングセレモニーのフォトコールに出席した、俳優の仲野太賀さん。 - 写真=Penta Press/時事通信フォト

今年は「太賀と大河」と断言しよう。主演作3本、その熱量と技量にひとりスタンディングオベーションだ。俳優・松尾諭のエッセイをドラマ化した「拾われた男」では、松尾本人に寄せる技術もさることながら、コミカル&楽観的な面を見せながら泣かせる神業を披露。役者の売れない苦労話をエエ話で終わらせないところがよかったし、この役は太賀以外にできなかったと最初っから最後まで思わせた。

「初恋の悪魔」では、刑事だった兄(毎熊克哉)の死に疑問と罪悪感を抱く弟を演じた。劣等感の裏返しで人と争わないスタンスを貫く。前半では超ド級のお人好し、中盤では爆発する怒りと悲嘆、最終的には調子よく幸福を堪能するという、波のある役だが違和感ナシ。親近感と奥行のある人物を好演。

一方、観客の前で一発撮りのシットコム「ジャパニーズスタイル」(テレ朝)では、主役だが舞台上では完全アウェー。邪魔者扱いされても、へこまないどころかへらずぐちを叩く鋼のメンタル。これぞ太賀節とも言える「ちょいムカつく人」で観客を魅了。額から流れる汗に、2022年を全力疾走した感が。お疲れさまとありがとうを伝えたい。

ひとつの作品における好演で順位付けをするなら、主演男優賞は小栗旬、助演男優賞は阿部サダヲ。皆さんもぜひ採点してベスト10を出してみてくださいな。

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吉田 潮(よしだ・うしお)
ライター
1972年生まれ。千葉県船橋市出身。法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より東京新聞の放送芸能欄のコラム「風向計」の連載開始。テレビ「週刊フジテレビ批評」「Live News イット!」(ともにフジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。

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(ライター 吉田 潮)

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