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週休0日→週休4日で、売上高は600万円→1億円に…元整体師の僧侶が「ちゃんと休むべき」と説くワケ

プレジデントオンライン / 2023年1月4日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/DavorLovincic

働き方改革で週休3日制の導入が進んでいる。福厳寺住職でYouTuberの大愚元勝さんは「何日働いて、何日休むかというのは本質的な問題ではない。本当に考え直すべきなのは、ブッダが説いた『正命』つまり『正しい仕事』とは何か、だろう」という――。

■「働きバチ」が「週休3日」に変われるか

高度成長期時代、日本人は海外の人たちと比較して、その労働時間の長さから、「働きバチ」と揶揄(やゆ)されていました。それが1980年代に入ると、日本の法定労働時間は段階的に引き下げられ、1997年4月には、現在の1日8時間、週40時間、週休2日へと定められました。

今日、ユニクロ、佐川急便、アルペンなど民間企業では、週休3日制を選択できる働き方を取り入れている会社も現れています。

政府においても、親の介護や子育てへの時間を確保するためになど、ワークライフバランスを重要視して、「週休3日制」の導入が検討され、賛否が分かれています。

一方、アメリカでは、ツイッター社を買収してCEOに就任したイーロン・マスク氏が、最低でも週40時間(80時間とも言われている)というオフィスでの労働時間を社員に提示し、「従わなければ解雇する」と強く求めたことが話題になりました。

■「何日働くべきか」に正解などない

週40時間は、私たち日本人にとっては一般的な、1日8時間×週5日労働。週休2日制です。

業績が振るわないツイッター社の社員に対して、マスク氏は「もっと働け」と鼓舞する。

ただでさえ景気が低迷し、さらに欧米諸国に比べて生産性が低いと言われている日本で、週休3日の導入が進んでいる。

一体どちらが、正解なのでしょうか。

本来そこに、正解などありません。

週休3日がその会社や人によって最適であれば、週休3日もよし。それ以上働く必要があれば働けばいいし、それ以下にしたければそれもいい。

稼ぎたい人は稼げばいい。そこまで稼がなくてもいいのであれば、働く時間を減らせばいい。

今の仕事で稼ぎが足りなければ、空き時間に別の仕事をすればいい。

そもそも正しい仕組みの下で、正しく働くのであれば、それなりの成果が出るはずです。だからこそ、古今東西、成功者と呼ばれる人たちは、他人よりも長時間働いてきました。

■成功者たちは長時間労働が当たり前

経営者、医師、学者、政治家、教師、タレント、芸術家、スポーツ選手……洋の東西を問わず、どんな業界においても、成功者と呼ばれる人たちは例外なく、人より長時間働いています。

実際、厳しい口調で「もっと働け」と社員を鼓舞し、一部の人たちから批判の的となったマスク氏も、複数の会社の創業者であり、週120時間以上もの膨大な時間を仕事に費やしていることで知られています。しかも9児のパパです。

「業績が下がっている。だから、もっと働きなさい」

誰よりも働き、世界一の長者に駆け上がったマスク氏の「喝」は、傾きかけた企業を立て直すための、ボスとして必要な判断なのです。

むしろ今の日本に、社員に対して必要な時に、必要な働き方を、堂々と求めることができる経営者が、一体どれぐらいいるのでしょうか。

■「週休4日」でもちゃんと稼ぐことができる

しかしながら私は、中小企業こそ思い切って、あえて週休3日制にチャレンジしてみるのもアリだと考えています。

なぜなら私自身が、週休0日から週休4日にしたことで、年600万円だった売り上げを1億円に伸ばした経験をしたからです。

私は現在、禅寺の住職を務めていますが、かつては僧侶として生きるつもりがなく、起業して整体院を営んでいました。

整体
写真=iStock.com/kazoka30
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazoka30

整体師になったきっかけは、学生時代に始めた空手で骨折したり、交通事故でむち打ち症を患ったりして、常に体に不調を抱えていたことにありました。

幼少期からお寺で育ち、お参りにいらっしゃる檀家の高齢者の方々が「ひざが痛い」「腰が痛い」と嘆くその痛みが、ケガを患ってからというもの、自分ごとのように感じられるようになったのです。

体が痛いと心まで荒んでしまう体験。

体の痛みが和らぐと、心もまた元気になる体験。

そして、出会った素晴らしい治療家の先生に影響を受けて、「私も何か心身の健康に寄与する仕事がしたい」と考えるようになりました。

お寺の一室で小さくスタートした施術でしたが、それなりに患者さんがいらっしゃることを見越して、整体院を新築したのです。

■休みなく働いても利益はあまり残らなかった

看板もなく、最寄り駅からタクシーで20分はかかる立地の、小さな整体院でしたが、それなりの建設費はかかります。少しでも早く借入金を返済したくて、週7日、急患であれば、夜10時でも依頼を受けていました。

しかし経費や建物の借金返済費を引くと、あまり利益は残りませんでした。

1年も過ぎると、利益が上がらないことに加えて、無駄な時間が多いことがストレスとなりました。患者さんを施術している時間よりも、いつかかってくるか分からない予約の電話を待つ時間の方がずっと多いのです。

カレンダーにピンが複数刺さっている
写真=iStock.com/LUHUANFENG
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/LUHUANFENG

私は、根本的に院の経営を見直すことにしました。

患者さんを待つのではなく、こちらが来院してほしい時に患者さんに来てもらうようにしたのです。

具体的には、週7日の営業日を1日だけに絞りました。

■「週1日営業」にしたら一気に繁盛

すると、これまで1カ月間にパラパラと来院していた既存の患者さんが、その日にまとまって来てくださるようになりました。

たった1日の営業日は朝から晩まで、トイレに行く間もないほどに施術が連続します。患者さんはその繁盛ぶりを見て、慌てて次回の予約をとって帰られるのです。

その日の予約が1カ月先まで埋まるようになったタイミングで、新たな営業日を増やしました。そしてまた1日、新たな日を増やす。

気がつくと、週3日の営業で月の売り上げが100万円を超え、多い時には150万〜160万円になる月も増えました。

週3営業日ですから、週休3日ではなく4日です。

私が養成したスタッフも、私と同じやり方で、同じような成果を出すことができましたので、東京や大阪などにも出店しました。

かくして、週7日営業で月50万円の売り上げだった整体院は、年1億円の売り上げをあげるようになったのです。

■営業日を減らすことで余裕と集中力を得た

けれども、この快進撃の秘訣(ひけつ)は、営業日を減らしたことではありません。営業日を減らしたことによって、品質が向上したこと。これが本当に大きな成果でした。

整体院の品質とは、施術家の知識、技術、経験、そして人間力です。

ですから週3日の営業日以外は、完全OFFだったわけではありません。

「少しでも早く患者さんの症状が回復してほしい」「患者さんが安心して施術を受けられるにはどうしたらいいか」と、専門知識や技術、接遇の勉強はもちろんのこと、仕組みづくりや環境づくり、新規事業の立ち上げなどに取り組んでいました。

営業日を減らしたことによって、心の余裕と、なすべきことへの集中力が格段に上がったのです。

しかしながら、この話をすると必ずツッコミが入ります。

「でもそれって結局、週休4日じゃないじゃん」というツッコミです。

■休むか働くかは、社員たちの選択の自由

確かに、週休4日とは、院の営業日が週3日ということであって、社員の休みが4日あるわけではありません。

けれども、営業日以外を休むか働くかは、私の選択ではなく、社員たちの選択でした。

彼らが働きたかったら、彼らが勉強したかったから、休んでも構わない日にも集まって研究をしたり、研修に出かけたりしていたのです。

私は、「働くこと、働く時間は、他人から押し付けられるものではない」と考えています。

週3日の営業日以外の時間に、働きたいものは働けばいい。勉強したいものは勉強すればいい。休みたければ休めばいい。

私が示したのはただ、「週3日で、一人月100万は超えような」という、生産性の基準でした。その基準をクリアできないスタッフには、何かが足りないということ。

基準を満たせない者は当然、必死で勉強していましたし、その基準をクリアしている者は、なお一層勉強していました。

それが品質の向上につながり、繁盛院へとつながっていったのです。

■ブッダが説いた「正命」という教え

ブッダは、苦しみを離れて幸福に生きる道標の一つに、「正命(しょうみょう)(サンマー・アージーヴァ)」という教えがあります。

正命とは、「正しい仕事」という意味です。私たちが生きるためには、何かしら仕事をする必要があります。

「正命」とは、人の迷惑になる仕事をせず、人の役に立つ仕事をすること。

人の役に立っていれば、その人はどんな不況になっても生き延びることができます。社会が放っておかないのです。お客さんに困ることがなく、働けば働くほど成果につながります。

「人の役に立って、正当な報酬を得ること」
「自分の務めをきちんと果たして、正当な報酬を得ること」

ブッダはそれを、大いに奨励したのです。

秤に載せられたコイン
写真=iStock.com/sommart
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sommart

■「働き方」よりも「いかに生きるか」

元気に働くためには、休みも必要です。けれども、「何日働いて、何日休むか」は、本質ではありません。

サンマー・アージーヴァ。この「アージーヴァ」は、日本語で仕事と訳されるのですが、その本義は、「どのように生きているか」です。

どんな目的に向かって、どのような目標を立て、どのように生きているか。

「経営」とは仏教の言葉です。

経営の「経」はお経の経。お経とは、真理が書かれた紙を束ねる縦糸のこと。

つまり経営とは、「真理(目的)の縦糸に、創意工夫の横糸を組み合わせて、長く、広く、丈夫で美しい織物を織る営み」のことです。

今、私たちが本当に見直すべきは、「働き方」だけではありません。

「経営」そのもの、「生き方」そのものを、考え直すべきではないでしょうか。

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大愚 元勝(たいぐ・げんしょう)
佛心宗大叢山福厳寺住職、(株)慈光グループ代表
空手家、セラピスト、社長、作家など複数の顔を持ち「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。僧名は大愚(大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意)。YouTube「大愚和尚の一問一答」はチャンネル登録者数29万人、5400万回再生された超人気番組。著書に『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語』(扶桑社)、最新刊としてYouTube「大愚和尚の一問一答」のベスト版として書籍化した『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え 一問一答公式』(飛鳥新社)がある。

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(佛心宗大叢山福厳寺住職、(株)慈光グループ代表 大愚 元勝)

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