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私は血管年齢が13歳も若返った…循環器内科医が40代半ばから毎日食べるようになった"ある食材"【2022下半期BEST5】

プレジデントオンライン / 2023年1月1日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fcafotodigital

2022年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。食生活部門の第1位は――。(初公開日:2022年9月13日)
血管年齢を若く保つためにはどうすればいいか。循環器内科医の池谷敏郎さんは「青魚の常食と、大股早歩きのウォーキングが効果的だ。私も40代半ばころに生活習慣を見直したところ、実に13歳も血管年齢が若返った」という――。

※本稿は、池谷敏郎『若い体、いつまでも! 心臓セルフメンテ』(工パブリック)の一部を再編集したものです。

■禁煙するだけで血管年齢は10歳も若返る

肺の健康を語るとき、喫煙の問題を避けて通ることはできません。禁煙するのに、遅すぎることはありません。禁煙による健康改善は若年で禁煙するほど効果がありますが、何歳であっても遅すぎることはありません。

「e-ヘルスネット(厚生労働省)」によると、30歳までに禁煙すれば、もともと喫煙しなかった人と同程度の余命が期待できることや、50歳で禁煙しても余命が6年長くなることがわかっています。禁煙すると、24時間で心臓発作のリスクの低下がみられます。このように、早くにさまざまな健康改善効果が期待できます(図表1)。

【図表1】驚異の禁煙効果
出典=『若い体、いつまでも! 心臓セルフメンテ』

禁煙2~4年後には、心筋梗塞などの虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが3分の1に減少します。どんなに大量に吸っていた人でも、肺がんのリスクが低下するのは禁煙5年後以降と少し時間がかかりますが、10~15年経つと、さまざまな病気にかかるリスクが非喫煙者のレベルまで近づきます。

禁煙は、血管の若返りにも貢献します。たばこを1本吸うだけで血管が収縮し、即座に血管年齢は上がります。ところが、たばこを断てば、それだけで10歳も確実に若返るとされています。禁煙を決意したのであれば、自力だけではなく医療機関の禁煙外来のサポートを得ることを強くすすめます。自力ではつらい思いが募(つの)り、ストレスを溜めます。ストレスも血管を収縮させて高血圧を招きますから、血管の大敵なのです。

■肺のコンディションを高める「リンゴの抗酸化作用」

肺のコンディションを整える食材として、りんごを推奨(すいしょう)します。肺がん、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息、気管支炎などの病気を予防・改善し、また肺を浄化して呼吸機能も高めます。りんごに豊富に含まれる抗酸化物質、りんごポリフェノールの作用です。

リンゴ
写真=iStock.com/Promo_Link
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Promo_Link

りんごポリフェノールとは、りんごの皮に多く含まれるポリフェノールの一種で、強い抗酸化力を持ちます。りんごを切ってそのまま置いておくと、切った断面が茶色く変色します。これが酸化です。抗酸化物質は、この酸化を防いだりやわらげたりする作用を持つのです。

りんごポリフェノールが老化を止めたり、各種がん細胞の増殖を抑えたりすることはよく知られています。欧米に「1日に1個のりんごは、医者を遠ざける」という格言があります。北欧では、神々が「青春のりんご」と呼ばれるりんごを食べて永遠の若さを保った、という不老長寿の神話が語り継がれています。私も毎朝、半個のりんごを食べています。

ビタミンの葉酸(ようさん)が豊富なブロッコリーなどの緑黄色野菜も、肺機能を高めます。葉酸はビタミンB群の一種で、ほうれん草や小松菜、春菊などの葉物野菜に多いことから葉酸の名称がついています。葉酸は嚥下(えんげ)反射(食べ物を口から胃に送り込むまでの一連の動作)、咳反射(咳を起こす反射運動)を高め、誤嚥(ごえん)性肺炎予防にも効果的なビタミンなのです。

その他、玉ねぎ、キャベツ、アスパラガス、いちじく、グレープフルーツにも肺を浄化して、呼吸器系の機能を強化する働きがあります。また、肺がんのリスクを低下させる効果もあります。コーヒーも1日3~4杯飲むと、喘息の症状を抑えることに役立ちます。

■動脈硬化が進んだ血管も若返ることがわかってきた

新鮮な栄養素と酸素を血流に乗せて、全身の隅々まで送る動脈は、加齢とともに血液の通り道(内腔(ないくう))に瘤(こぶ)ができてきます。血管の壁は厚く硬くなって、内腔が狭くなります。動脈硬化という血管の老化です。心筋梗塞や脳梗塞などの血管事故の原因となり、突然死につながる怖い血管の老化です。

女性は、女性ホルモンの働きで血管の老化が抑えられるという特権を持っています。ところが、40代後半に入って女性ホルモンの分泌量が低下してくると、動脈硬化のリスクが高くなります。この特権を持たない男性は通常、動脈硬化が20歳前後から始まっていて、不健康な生活習慣が加わっていれば、かなり進行していると考えられます。

かつては、「ひとたび動脈硬化が進んだ血管は、2度と若返ることはない」と信じられていました。近年の研究でその常識が破られ、血管が若返ることがわかってきたのです。よい生活習慣を持てば、血管はしなやかになって肌や筋肉に十分な栄養素と酸素を供給し、うるおいや張りを持たせます。

大動脈から手足へと延びる細い末梢(まっしょう)血管(細動脈など動脈が毛細血管に分かれる前の細い動脈)は、自律神経の働きでコントロールされています。緊張・興奮すると血管をギュッと収斂(しゅうれん)させる交感神経と、リラックスすると血管をしなやかに開く副交感神経のバランスによって、正常なコントロールが保たれているのです。

■「第2の心臓」と呼ばれるふくらはぎの重要な役割

自律神経の機能は、食生活をはじめとした健康な生活習慣で維持されます。血管の若返りには手遅れということはありませんが、「血管メンテ」が早ければ早いほど、血管は実に簡単に若返ります。

池谷敏郎『若い体、いつまでも! 心臓セルフメンテ』(工パブリック)
池谷敏郎『若い体、いつまでも! 心臓セルフメンテ』(工パブリック)

若返った血管は、整備が行き届いた高速道路。血流がスムーズに全身をめぐります。ただし、道路が準備万端でも、血液運搬の動力である心臓の送り出す力が正常でなければなりません。スムーズな血流維持には、心臓の送り出す力に加えて、第2の心臓と呼ばれるふくらはぎも重要な役割を担います。

全身の血液のおよそ70%が、心臓よりも下に存在します。この血液は重力に逆らって、心臓まで戻ります。ところが、心臓のポンプ機能は吸い上げる力がごくわずか。その心臓に代わって、ふくらはぎが血液を押し上げるポンプの役目をします。

下半身の血液は、ふくらはぎの筋肉の収縮によって静脈を通り、心臓へと送られます。大股早歩きのウォーキング、これだけで「血管力」がつきます。

■血管年齢の若返りが期待できる青魚

加えて、さばやいわしなどの青魚を常食にすれば、血管年齢は間違いなく若返ります。私も40代半ばころに生活習慣を見直したところ、実に13歳も血管年齢が若返っています。青魚には血流を良好にし、動脈硬化を防ぐEPAが豊富です。

調理されたイワシ
写真=iStock.com/zi3000
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/zi3000

「大股早歩きウォーキング」と「青魚食い」、この2つの習慣は「体が芯から若返る」ための基本の習慣と、私は肝(きも)に銘じています。血管の老化は外からではわかりにくいため、ほとんどの人は気づかずに放置したままです。40代の大半の人の血管が動脈硬化状態にある、といってもいいすぎではありません。

動脈硬化は血管内壁の血液に触れる内皮細胞が障害によって、引き起こされます。そのため、内皮細胞の機能を保つことが、動脈硬化の予防につながります。血管は内膜、中膜、外膜の3層からなっています。動脈を例にとると、内膜は血流に直(じか)に接する最も内側の層。内側の表面は、内皮細胞に覆われています。

内皮細胞は血液が固まるのを防いだり、血管を広げたりするなど動脈硬化を防ぐさまざまな働きを持ち、血管の健康を保っています。血管力とは、おもにこの内皮細胞が本来持つ機能のことなのです。ちなみに、「血管力」は私の造語です。

血管のしなやかさは、中膜を構成する筋肉(平滑筋(へいかつきん))によって保たれます。平滑筋は大動脈には少なく、末梢の細動脈にいくほど発達しています。細動脈は動脈から毛細血管に至る直前に存在する細い動脈。交感神経の影響を受けて血圧を調整したり、血流をスムーズに循環させたりします。

■健康的な生活習慣で血管力を高めることができる

毛細血管は、外側の表面を薄い膜で覆われた、内皮細胞だけでできています。ですから毛細血管自体には収縮したり拡張したりする機能はありません。したがって、そこにつながる末梢動脈を開くことが毛細血管に血液を流すためのポイントとなるのです。

血管がしなやかさを失い、厚く硬くなりはじめる動脈硬化の初期段階で、内皮細胞の機能が低下して障害が生じることがあります。

●白血球やコレステロールが血管壁に付着・沈着しやすくなる
●血栓ができやすくなる
●平滑筋の伸縮がスムーズでなくなる
平滑筋が収縮したままだと、高血圧を招きます。

こうしたダメージが、動脈硬化を進行させていきます。しかし、内皮細胞には回復力が備わっています。健康的な生活習慣で血管力を高めれば、完全に元の状態に戻すことはできなくても、血管事故を起こしにくい状態に導くことができます。多少、硬くなったり狭くなったりしていても、詰まりにくく切れにくい血管へと修復されます。

内皮機能を低下させる原因を取り除いたり、また機能を高めたりすることができれば、動脈硬化の予防・改善はもとより、血管の老化を止めることができるのです。

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池谷 敏郎(いけたに・としろう)
池谷医院院長、医学博士
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。97年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとしてメディアにも多数出演している。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。

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(池谷医院院長、医学博士 池谷 敏郎)

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