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服を減らせば解決するわけではない…「服の出しっぱなし問題」を根本解決する江戸時代から続くある習慣

プレジデントオンライン / 2022年12月31日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miniseries

きれいな部屋をキープするにはどうすればいいのか。整理収納アドバイザーの米田まりなさんは「散らからない仕組みをつくることがポイントだ。服を減らして解決しようとする人がいるが、それでは根本的な解決にはならない」という――。

※本稿は、米田まりな『あの人にイライラするのは、部屋のせい。』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。。

■洋服1着のスペースは「3cm」

「クローゼットもタンスも洋服がギュウギュウ。入りきらないから、ハンガーラックを買い足そうかな」
「洗濯物の山から服を抜き取って着るから、クローゼットにある服はほとんど出番がない」
「パートナーの服が多くて、自分のスペースが侵食されている」

などなど、服の収納に関する悩みはつきません。

捨てられないモノの筆頭にあげられるのが衣類。服は片づけ難易度の高いアイテムですが、家族仲良くスペースを分け合えば、片づけはうまくいきます。

まず取り掛かるべきは、収納可能な枚数の測定です。

メジャーを用意してください。ハンガーラックもタンスも、洋服1着の収納幅は「平均3cm」。掌の厚みは2.5~3cm程度なので、手を入れてもスムーズに取り出せるというのが数値の根拠です。

ハンガーラックは、一般的な賃貸マンションでは90cm~120cm幅で設計されていることが多いですが、120cm幅であれば40着が上限(120cm÷3cm)、夫婦で使うなら各々20着ずつとなります。

タンスは、横幅60cm×3段の場合、180cm÷3cm=60着の服が収納できます(分厚いセーターや薄いシャツなど、アイテムによって厚みは変わるため、あくまで目安値です)。

洋服はできるだけたくさん、ギュウギュウに詰め込みたくなる気持ちもわかりますが、3cm以下の間隔で詰め込んでしまうと、服が見えない、服が戻せない、重圧で痛むなどのデメリットがあります。力を入れないと出し入れしにくくなるため、出しっぱなしの原因になったり、着る服が偏り、奥に収納した服が死蔵品と化します。

おすすめは、ハンガーの本数を決めること。揃いのハンガーを、収納可能枚数分だけ購入することで、見た目にも統一感が出てスッキリします。

■江戸時代には「衣替え」を年4回行なっていた

「理想の所有数が分かったとしても、洋服は減らせない」「そもそも、ハンガー20着&タンス30着に服を絞れるわけないでしょ」という声もあるでしょう。

メルカリが2019年に20~60代男女1030人に行なった「衣替えに関する実態調査」によると、男性は平均48点、女性は平均105点のアパレル関連アイテムを保有しているとのこと。

平均程度の保有量でも、賃貸マンションの収納スペースには収まらないことが大半で、特に男性が服を50点以上保有している家庭では、クローゼットなどの収納場所だけではどうにもならないようです。

そこで提案したいのが「戦略的衣替え」です。

歴史をひも解くと、衣替えは平安時代に中国より伝来し、江戸時代には年4回、洋装が導入された明治時代以降は年2回が主流となりました。

例えば、夫婦で合計200着の衣類を保有していて、クローゼットとタンスの容量100着分相当の場合、衣替えは年2回実施するのが適切です。

■タンスには今シーズン着る服だけを置く

それを上回る枚数の場合、衣替えの頻度を年4回(春夏秋冬)に増やします。

先ほどの要領で、今シーズン着る服はラックとタンスに3cm間隔で配置します。そしてそれ以外の服は圧縮して、クローゼットの上段や下段などに収納することで、服が溢れることもなくなり、日々の服選びや整頓がスムーズになります。

ポイントは、季節ごとにきちんと衣替えをすること。ラックとタンスはつねに、「今シーズン着る服」だけが並ぶようにキープします。これなら見た目だけでなく、服を選ぶ手間や時間もかかりません。

シーズン中に一度も着なかった服は、売ったり誰かに譲ったり、劣化した服は雑巾にするなどします。衣類圧縮袋でカサを減らしても居場所を作れなかった服は、外部収納で次の季節まで預けましょう。

私はダウンジャケットや羽毛布団など、クリーニングも兼ねて、トランクルームよりも安くて手軽な宅配収納サービスのサマリーポケットに預けています。

■タンスは開け閉めしやすいものをチョイス

ちなみに、服の収納に悩む方のご自宅を訪問すると、「タンスが木製で重い」「開け閉めがしにくい」など、家具にも問題があるケースが多いです。

出し入れの時のたった数秒の負荷が「出しっぱなし」を招き、タンスの中の洋服が死蔵品と化します。特に古い木製のタンスの場合、慎重に出し入れしないと引き出しの端で手を傷つけてしまうことも。そのような収納環境では、日々の出し入れがさらに億劫になります。

これからタンスの購入を検討される方は、「引き出しの軽さ」を最優先とし、プラスチック製の衣装ケースも選択肢に含めてはいかがでしょうか。

我が家で愛用しているのは、アイリスオーヤマの「ウッドトップチェスト」の隠す収納タイプのもの。ここにオンシーズンの衣類を収納し、季節外の衣類は中身が見えるクリア収納タイプの「BCチェストシリーズ」を利用しています。非常に軽く、クローゼットや押し入れの中はもちろん、部屋に置いてもあまり場所を取らないのも良い点です。購入前には、設置場所を決め、奥行きと幅を測り、きちんと納まるサイズを選びましょう。

「先代からの思い入れがあるが、使いにくい」という家具があれば、ブランド家具に特化した買取専門店などに売ってしまうのも手です。この際、収納家具を見直してみるのも収納ストレスを減らす助けになるでしょう。

■「洋服減らしてよ」はタブー

気を付けたいのは、服や靴がクローゼットにビッシリとあるのに、また飽きずに似たようなモノを買ってくるパートナーに対して「同じような服ばかり買わないでよ」と頭ごなしに注意してしまうこと。

夫に文句を言う妻
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

家族やパートナーの買い物癖に呆れても、「無駄な服が多い」と指摘しないことです。衣類をつい買ってしまうのは、たんなる娯楽や趣味ではなく、コンプレックスの解消であることが多いためです。

米田まりな『あの人にイライラするのは、部屋のせい。』(PHP研究所)
米田まりな『あの人にイライラするのは、部屋のせい。』(PHP研究所)

「ショッピングが趣味」と言う方ほど、手持ちの服に自信が持てず、次から次へと新しい服を買い求めている可能性が高いです。そこでおすすめしたいのが、第三者視点の活用です。パートナーが客観的に、手持ちの服と向き合える機会を作ってあげましょう。

手っ取り早いのは、プロのスタイリストに一度相談すること。スタイリングサービスはよほどのお金持ちか芸能人が利用するもの、と思うかもしれませんが、昨今ではオンライン型、ショッピング同行型、自宅来訪型など、気軽に利用できるアプリから本格的な対面サービスまであり、形態も料金も様々です。

パートナーは頭ごなしに「洋服を減らして」と言うのではなく、洋服について本人が冷静に判断できるような機会を作ることでサポートしていきましょう。

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米田 まりな(こめだ・まりな)
整理収納アドバイザー
脚本家の祖父・研究者の父の影響を受け、茨城県・宮城県でモノに囲まれた幼少期を過ごす。2014年、東京大学経済学部卒業後、住友商事に入社。Eコマース領域の事業投資を担当。18年、株式会社サマリーに出向、収納サービス「サマリーポケット」の運営に従事する。現在は大手不動産デベロッパーで働く傍ら、プライベートで整理収納アドバイザー(1級)の資格を活かし、副業としてイベントや雑誌監修、記事執筆など多方面で活躍。作家・デザイナー・起業家から一般の家庭まで幅広い層に向けて片づけのコンサルティングも行なっている。著書に『集中できないのは、部屋のせい。』(PHP研究所)、『あの人にイライラするのは、部屋のせい。』(PHP研究所)がある。

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(整理収納アドバイザー 米田 まりな)

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