1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

遺伝学が解明「ルックスに恵まれない人は、筋トレ、ボイトレで逆転可能」

プレジデントオンライン / 2023年1月13日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imtmphoto

ルックスは決してよくはないのに、なぜかモテる人がいる。一方で、ルックスがよいのに、なぜかモテない人もいる。なぜなのか? 遺伝学によれば、モテる人生は自分で作り出すことができるという。「プレジデント」(2023年2月3日号)の特集「運を上げる習慣」より、記事の一部をお届けします──。

■なぜかモテる人は特異な遺伝子を宿す

美女と野獣。世の中には周りからすると「どうしてこの組み合わせ……」と思うようなカップルが存在します。しかし、そもそも人はアソータティブメイティング(Assortative mating)といって似た者同士が惹かれ合う傾向が強く、考え方や能力が自分と似ている人に魅力を感じます。

アメリカの学生を対象にした研究では、関係が長く続いているカップルほど、入学時の学力のレベルが同等であることが明らかになりました。身体的特徴についても同じことが言え、特に中指の長さが相対的に似ている者同士が惹かれ合い、カップルとなりやすいことがわかっています。

人には良い面があれば、悪い面も同じくらいあります。お互いの長所と短所が両極端で異なる場合、それぞれの最悪な面ばかりを子どもが受け継いでしまうリスクは大いにあります。しかし、両親が似た者同士であれば、子どもに悪い面が遺伝されるのはともかくとして、良い面を受け継ぐ可能性を高めることができます。似た者同士が惹かれ合うことは、人類の長い歴史のなかで遺伝子に組み込まれた、生存戦略なのです。

ですから、美男美女のカップルが誕生するのは遺伝学的にも自然な流れです。それなのになぜ、容姿が優れている者とそうではない者のカップルが存在するのでしょう。その答えは「免疫力」に隠されています。

いかに子どもの生存率を高めて遺伝子を残していくか。人類において最も重要な課題です。免疫力が高い子孫を残せる相手をパートナーとして選べるかどうかが問われています。

ヒトの免疫に関わる遺伝子にHLA(ヒト白血球抗原)というものがあります。体内のほぼすべての細胞の周りに分布し、病原体などの異物を排除する、大切な役割を担っています。

HLAは両親から半分ずつ受け継ぎ、型の組み合わせは数万通りもあります。HLAの型は血が繋がっていない関係では数百〜数万分の1の確率でしか一致しないとされています。

臓器移植をする場合、この型が一致した相手からしか臓器提供を受けることができません。型が一致していなければ「異物だ」と判断され、排除しようとしてしまうからです。しかし、恋愛や結婚における相手としては、HLAの型が違っていればいるほど相性が良いと判断されます。

例えるなら、HLAは病原体に対抗する武器のようなものでしょう。戦いに行くとき、同じ武器を2つ持つよりも、違う種類の武器を持っていたほうが臨機応変に戦うことができますよね。お互いのHLAの型の種類がかけ離れているカップルから産まれる子供は、感染症に対して強くなります。免疫力が高い子孫を残すために、本能的にHLAの型の一致率が低い相手をパートナーとして選ぶようになっているのです。

「容姿はふつうなのに意味がわからないほどモテてるな」という人は、非常に珍しいHLAの型を持っているのかもしれません。HLAの型が似ている相手ほど相性が悪い、かけ離れているほど相性が良いと感じるようになっているので、レアな型を持つ人は、多くの人にとって自分と異なる型の持ち主となるからです。

■モテたくば自分を磨け

HLAの型は病院で採血してもらえば調べることができますが、容姿だけではわかりません。相手が自分と型が似ているのか、違うのかを本能的に判断しているのは嗅覚です。「なんだかいい匂いだな」と思う人っていますよね。好きな人の体臭そのものに好感を持つ人も少なくないでしょう。これには理由があって、実はHLAの型の重なりを匂いで見抜いているのです。

スイスのウェデキント氏が1995年に行った研究では、相手と自分のHLAの型の重なりが少ないほうがその人を良い匂いに感じ、重なりが多いと良くない匂いだと感じる、ということが判明しました。この匂いで型の重なりを判断する能力は、女性にしか備わっていないことがわかっています。

メスがオスを選ぶ、というのは動物界の大原則です。メスは1度妊娠すると、妊娠期間中はオスとの繁殖活動にエネルギーを割けません。特に人間の場合は妊娠から出産に加え、子育てにも大きなエネルギーを費やさねばならず、莫大な時間がかかります。

天は自ら助くる者を助く自分磨きで恋愛強者になれ!

■メスのほうが慎重に相手を見極める

一方で、オスはメスが妊娠している間も別のメスを妊娠させることができます。動物のオスのほとんどが、繁殖に関しては、メスさえよければ基本的にそれでよい、相手は選ばない、という「来るもの拒まず」なスタンス。メスはオスをじっくり選ばないと、年単位で次の繁殖の機会を失うことになるため、メスのほうが慎重に相手を見極める能力をより高く備えているのです。

免疫力が高い子孫を残すためには、HLAの型だけでなく、高い免疫力の相手を選ぶことも必要です。相手の免疫力を判断するうえで大きな手がかりとなるのが、声が魅力的かどうかです。

声の魅力度は客観的に数値化できません。ある研究では、サンプル対象の人たちに1から10まで数を数えてもらい、その声を聞いた人たちに、良い声かどうか判断してランクを付けてもらいました。そのランクと比較したのが、サンプル対象の人たちの体の左右対称性。声のランクが高い、つまり声が魅力的な人ほど、体の左右対称性が高い、という結果が出ました。

本来、人間の体は左右対称に成長するようにできています。この成長を妨げるのが病原体です。発達段階で病原体に攻撃されて影響を受けてしまうと、対称性が崩れていきます。体の左右対称性が高い人は、病原体に攻撃を受けてこなかったか、攻撃されても影響を受けずに対抗できたということ。つまり体の左右対称性が高いほど、免疫力も高いことを意味します。

ほかにも、免疫力の判断材料はいくつかあります。ルックスの良さも含まれていて、筋肉量、IQの高さ、喧嘩の強さ……。これらの要素を総合的に見て、免疫力が高いかどうかは判断されます。アピールと努力次第では、実力以上に免疫力が高いように「思わせる」ことができます。

動物界の話をすると、オス鳥はメス鳥に自分がいかに優れているかをアピールするために、歌やダンスを披露します。自分がいかに他の鳥よりも優れているか、免疫力が上回っているかをメスに見せつけ、メスはそのアピールを受けて相手を選びます。

それは人間だって同じ。容姿は遺伝的なものですから、後天的に変えることはできません。これこそ運次第です。しかし実際の力はさておき、モテるためには相手に自分の免疫力がいかに高いか、ということをアピールできさえすればよい。容姿が優れていなかったとしても、筋トレやボイストレーニングしたり、良い学歴を経たり……。免疫力は総合的に判断されるのですから、他の要素でカバーできる話なのです。

容姿が最高に恵まれている人でも、他の要素が足りない、あるいは相手に十分アピールできなければ、免疫力が低く見られてしまい、「イケメンなのになぜかモテない人」と言われることとなってしまいます。

モテる人生は、自分でつくり出すことができます。卑屈にならず前向きに、努力を重ねていきましょう。

----------

竹内 久美子(たけうち・くみこ)
動物行動学研究家
愛知県出身。著述家として、多数の著作を世に送り出す。近著に『66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。』(ワニブックス)。

----------

(動物行動学研究家 竹内 久美子 構成=冨田ユウリ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください