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むしろ二流選手のほうが稼げる…元ロッテ・里崎智也が現役引退後に1億円プレイヤーに返り咲けたワケ

プレジデントオンライン / 2023年1月18日 13時15分

里崎智也氏(写真提供=徳間書店)

プロ野球選手が現役引退後にお金を稼ぐにはどうすればいいのか。元千葉ロッテマリーンズの里崎智也さんは「コーチや監督になれる選手は限られている。私は、ほかの人にできないことを考え、YouTubeチャンネルを開設した結果、1億円プレイヤーとして返り咲くことができた」という――。(第1回)

※本稿は、里崎智也『YouTube『里崎チャンネル』はなぜ当たったのか 再び1億円プレイヤーになるまでにしたこと全部』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

■無名の人ほどYouTubeをやるべき理由

YouTubeに関して、僕はこう考えています。YouTubeとは「世間的にはまったく知られていない一般人がやり始めるもの」

今、圧倒的な登録者数を誇っているHIKAKINさん(チャンネル登録者数1090万人)(※)や、ヒカルさん(同486万人)、コムドットさん(同373万人)たちも、YouTubeを始められた頃は皆一般人でした。最初のうちはわずかなチャンネル登録者から始めたものの、視聴者に刺さる内容の動画を届け続けたことで、人気を勝ち取っていったのです。

※文中の登録者数・再生回数等は書籍発刊時点のもの

でも「YouTubeって有名人がやるものでしょ?」と考える人は少なくありません。プロ野球OBでいえば、高木豊さんやデーブ大久保さん、清原和博さんもいますよね。一般人に比べて知名度が高いことは、YouTubeを始めるに際しては大きなアドバンテージとなるのは事実です。

清原さんを例に挙げれば、元プロ野球選手の中でも最後発でYouTubeを始めたにもかかわらず、50万人超のチャンネル登録者数を誇っています。知名度が高い人ほど、YouTubeでもほぼほぼ人気者になれるのです。

これが人気タレントであれば、さらにすごいことになります。とんねるずの石橋貴明さんが2020年6月から『貴ちゃんねるず』を立ち上げたところ、約1カ月後にはチャンネル登録者数は100万人を突破したんですからね(現166万人)。例えば、明石家さんまさん、タモリさんやビートたけしさんといった、お笑い界の大御所がこぞってYouTubeを始めるようなことにでもなれば、太刀打ちできる人は非常に少なくなるんじゃないでしょうか。

YouTubeチャンネル数は、日本だけでも5万3000チャンネルくらいあるそうです(2022年11月11日時点)。そこでの競争になるわけですから、「名前を知られていないよりは、知られているほうがいい」し、知名度の高い人のほうがチャンネル登録される確率も当然高くなります。

けれども、知名度はアイデアを邪魔することもあります。むしろ、一般人だからこそ、怖いもの知らずに大胆な発想の動画を生み出すことができる。前述の先輩YouTuberたちのブレイクも含めて、こういうことが言えるんだと思うんです。

■なぜ「里崎チャンネル」は成功したのか

僕もどちらかというと、その部類です。プロ野球選手時代に多少目立った時期はありましたが、選手時代全体で見れば全然大したもんじゃありません。所属していたのはプロ野球界が誇るマイナーチーム、ロッテですし、通算成績にしても、並の選手ですよ。

それでもYouTubeで成果を上げられたのは? これに尽きます。僕にしかできないコンテンツを作り続けたからここではまず、次の3カ条の問いを覚えておいてください。

◎自分はどういうキャラクターなのか?
◎自分にしかできない強みとは何か?
◎どういった人たちが興味を持って見てくれるのか?

こう見えて僕、物を考えるのが好きなんです。あらゆる角度から突き詰めて分析していくこととか。そういう性分もYouTubeチャンネルがうまくいっていることの理由の一つだと思いますね。

だから、皆さん、「自分は無名だから無理だ」と端から諦めないでください。自分にはどんなことができるのかを改めて考えてみてください。誰も持っていない才能、個性として売りになるものに気づけばしめたもの。まずは自己分析を深めることから始めてみるとよいでしょう。

■引退後、年収は1.6億円→0.2億円に

おかげさまで、僕の収入は引退後もずっと右肩上がりをキープすることができています。やはり、「どんな仕事でも引き受けてきた」ことが大きかったと思います。

一流選手の年俸というと、1億円という線引きがありますけれど、僕が1億円プレイヤーになれたのは、現役時代の2007年。引退後もこの金額を目標にやってきたわけですけれど、選手として圧倒的な成績を残したわけじゃなく、プロ野球の中でもマイナーなロッテ出身の僕が、「引退しても1億円!」と公言するなんて、鼻で笑っていた人もいたことでしょう。そんな大方の予想を裏切り、僕は21年に1億円を突破しました。

それまでの年収の変遷ですけれど、引退した翌年の15年はガクンと下がるものなので、まさに「来るもの拒まず」の状態で仕事を受けてましたが、どうにか年収2000万円くらいでした。16年は前年に引き続き、来た仕事は原則すべてこなしていたところ、それらに加えてテレビやラジオのレギュラー仕事も入ってきて、収入が上昇気流に乗ってきたんです。

そうして17年から19年も仕事が順調に入っていき、20年もさらに頑張るぞ……と思っていたところに、新型コロナウイルスの蔓延でプロ野球の開幕が延期。数カ月間ですが、いつもの解説の仕事がキャンセルになったため、引退後初めてと言っていいくらい自由な時間ができました。

■再び1億円プレイヤーに返り咲いたワケ

この空き時間に僕は何をしていたのかというと、これまでもやっていた「株」をさらに独学で勉強してみたところ、おかげさまでグッと儲けが出たんです。

そして株と同様に、力を入れ始めたのがYouTube。

動画投稿自体はやってはいたし、YouTuberが結構稼いでいるということは知ってはいたものの、それほど傾注していたわけではなかったんです。

どうせならこの機会にもっとやってみるかと思い、『里崎チャンネル』の定番となった「12球団全試合総チェック」とか、前述の「プロスピA」や競馬の動画を上げていったんです。

画像=『里崎チャンネル』より
画像=『里崎チャンネル』より

結果的にこれが当たって、3年経った今ではチャンネル登録者数が55万人を超えるまでになりました。

これでメディアの前に出ての仕事や、講演会、野球教室にYouTubeが加わって、21年にはとうとう年商が1億円を突破しました。引退から7年が経っていました。現役で1億円に到達するまでに9年かかっていますから、引退後のほうが早かったというのも嬉しい話ですね。

自分で言うのもなんですが、正直、僕はよくやったほうだと思います。0から1を作り出し、1から10、10から20、20から30と実績を積み上げて、コツコツと仕事を重ねてきた結果が、この数字なんですからね。誰かの言葉ではありませんが、まさに「自分をほめてやりたい!」(笑)。

これから先も1億円プレイヤーであり続けたいものですけど、未来に何が待ち受けているのかわかりません。さらにデカい儲け話や新たな仕事が現れるかも……。そのためにも、ひたすら実績を積み上げていくこと、仕事への嗅覚を高めていくこと、これに尽きますね。

■コーチの年俸は800~1500万円

答えがあったら教えてほしいと思います。働かなくても1億円稼げるんでしょうか?

里崎智也『YouTube『里崎チャンネル』はなぜ当たったのか 再び1億円プレイヤーになるまでにしたこと全部』(徳間書店)
里崎智也『YouTube『里崎チャンネル』はなぜ当たったのか 再び1億円プレイヤーになるまでにしたこと全部』(徳間書店)

「そんなこと無茶だ」と言う人は多いでしょう。「何を馬鹿なこと考えてるんだ」とも。でも僕はいたって真剣に考えているんです。なぜなら、プロ野球選手引退から7年で「働いて1億円稼ぐ方法」を見つけたからです。実は、元プロ野球選手の中でも、引退後に1億円プレイヤーに返り咲いた例は稀なんです。

例えばイチローさんや松井秀喜さんといった大物野球人であれば、CM収入などだけで1億円稼ぐことは可能でしょう。けれども、僕のようなプロ野球での実績がそれほどない人間が、引退してから現役選手のような稼ぎを手にするなんて、恐らく誰も予測できなかったはずです。

現役選手が引退すると、大半は指導者に、まずはコーチとしてユニフォームを着ることを目標にするものです。けれども、コーチの年俸の相場はチームにもよりますけど、800万~1500万円で、ヘッドコーチで2000万~3000万円くらいなんです。

ちょっとシミュレーションしてみましょう。仮に年俸1000万円の3年契約だったとしたら、手取りはざっくりと見て600万~650万円くらい。3年の契約が満了した翌年はその前年の年俸から税金がかかってきます。次の仕事が決まっていなければ、家計は厄介なことになります。

契約内容にもよりますけど、日本一になった翌年に降格とか切られるコーチもいたりしますから、必ずしも成果主義的な査定をしてもらえるわけでもない。選手の年俸交渉とは違って、基本、球団からの言い値で年俸が決まるケースが多いらしいんです。

■ユニフォームを着ることに旨味がない

低い年俸でも受けざるを得ないのは、コーチの枠という需要に比べて、コーチになりたい(再びユニフォームを着たい)という供給が多すぎるからなんだと思います。しかも、契約更改前の11月あたりからはクビと隣り合わせになるわけで、来季のことを考えて眠れなくなるコーチって多いみたいですね。

ちなみに、監督は年俸6000万円くらいの人もいるようです。以前は最低1億円と言われた時代もありましたけど、世知辛い世の中ですね。選手の年俸の相場は上がっているんですけど、指導者は厳しい現実なんです。

だいぶ話が逸れました。再びユニフォームを着ることの旨味のなさを考えた僕は、外の世界に飛び出しました。再び1億円プレイヤーになるまでに稼げるようになったのは、ズバリ、 馬車馬のように働いたから今がある僕のスケジュール帳は、おかげさまで引退後からずっと予定が埋まっています。野球解説、講演会、野球教室、YouTubeと、仕事がひっきりなしだったからこそ稼げた金額だともいえるでしょうね。

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里崎 智也(さとざき・ともや)
野球解説者
1976年、徳島県生まれ。鳴門工高(現・鳴門渦潮高)、帝京大を経て、1998年のドラフト2位で千葉ロッテマリーンズを逆指名。2014年に現役を引退。2019年にYouTubeチャンネル「Satozaki Channel」を開設。著書に『非常識のすすめ』(KADOKAWA)など。

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(野球解説者 里崎 智也)

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