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寝る前「たった数分」でメンタル回復…! 外資系産業医が伝授する"鋼のメンタル"を手に入れるスゴ技3選

プレジデントオンライン / 2023年1月19日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/acongar

すぐに心が折れてしまう豆腐のようなメンタルはどのように鍛えればよいのか。外資系企業で産業医を務める武神健之さんは「大切なことは、時間と心の余裕を常に自分に与えることです」という――。

■メンタルヘルスは簡単に保てる

ウィズコロナの生活がもうすぐ3年になろうとしています。

私は産業医として2022年は1282件の産業医面談をしました。2021年は面談の約9割がZoomやTeams、電話等でのリモート面談でしたが、昨年は7~8割と従来のような対面での面談が少しずつ増えてきました。コロナ禍の影響で自分を見つめ直す機会が多かったから、この数年はさほどストレスがないうちから、自らのメンタルヘルスに関心を持ち、どのようなことができるかを聞きにくる社員が増えた印象です。

そこで今回は、すぐに心が折れてしまうという豆腐メンタルの人たちが2023年健やかに過ごせることを願って、メンタルヘルスのために、誰でも簡単にできる3つの習慣についてお話ししたいと思います。

■寝る前に「たった数分」でできる幸福度を高める方法

まず1つめにお勧めしたいのが、毎日寝る前にその日にあった「3つのいいこと」を書くことです。

いいこととは、うれしかったこと、楽しかったこと、感謝の気持ちになったことなど、ポジティブに自分が感じたことならばなんでもOKです。

これは、アメリカの心理学者でポジティブ心理学を提唱したマーティン・セリグマン教授が提唱した習慣です。寝る前に「3つのいいこと」を1週間継続して書くことにより、その後半年間、幸福度が高まり不眠が改善したという報告に基づきます。

寝る前にたった数分でできる方法ですが、産業医面談でこれをお伝えすると、2通りの返事が来ることが多いです。

「はい、やってみます」。たいてい、このような返事する人は、メンタルヘルス的にいつも健康な人です。「そんなこと言われても、いいことなんてなかった日はどうするの?」「毎日3つもいいことなんてありません」。このような返事をする人こそ、この習慣を身に付けてほしい人です。

■日中から“いいこと”に向けてアンテナを立てているか

個人的な見解ですが、これは結局、自分の心を何に向けるかという心のあり方なのです。3つのいいことを書くために、日中から“いいこと”に向けてアンテナを立てている人は、通勤電車がすいていてうれしかった、久しぶりに出社したら懐かしい顔ぶれと話せて楽しかった、今日は家族全員で食事が取れてよかったなど、日常のちょっとしたことをポジティブなこととして認識できるのです。

もしポジティブに思えることがないときは、ぜひ感謝の気持ちを書いてみることをお勧めしています。朝ごはん毎日作ってくれてありがとう、電車が今日も遅延なく動いていることにありがとう、何もなく今日も眠れることをありがとう等々。

反対に毎日、不安、不平、不満に意識を向けていたら、どのような顔つき、どのような気持ちになると思いますか? どちらの気持ちに意識を向けるか、選ぶのは己自身なのです。

寝る前に意識をポジティブな方に向けておくことで、寝ている間の潜在意識もその方向に考えやすくなり、きっとポジティブな翌日につながると思います。ぜひやってみてください。

腕でバツ印をつくり、ジェスチャーで拒否を示す女性
写真=iStock.com/Farknot_Architect
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Farknot_Architect

■やるべきことでなく、「やらないこと」を決める

2つめにお勧めしたいのが、年間を通じて「やらないことを決める」ことです。

私たちの多くは、仕事でもプライベートでも、たくさんのやるべきことを持って社会的生活を営んでいます。しかし、やらねばならないことに縛られることは生活を忙しなくし、われわれから時間ばかりか心の余裕も奪ってしまっています。

有給休暇で他人が働いている時に休むより、年末年始のお休みの方が多少期間が短くても気持ちがのんびりとできることを多くの人は実感していると思います。これは、自分の休みと同時に世の中もお休みのため、やらねばならないことが減ったことが多少ならずとも影響しています。大切なことは、時間と心の余裕を常に自分に与えることです。

やらねばならないことを減らし、自分に時間と心の余裕を取り戻すことができるのは、自分自身です。そのために一番効果的なのは、引き算的思考です。やるべきことをリスト化したり厳選したり、さらなる効率化を目指すのではなく、やらないでいいことを決めるのです。具体的な方法としては、毎日の自分の行動に「何のために、これをしているのか?」と自問してみてください。その答え(目的)が明確でないものは、きっとやらなくていいものです。答えが出たら次は、「その目的って本当に必要?」と自問してみてください。そして最後に、やらないことによる不安とリスクを受け入れてください。きっとその不安は的中しませんが。

■「会社の飲み会は2回に1回は断る」会社員Aさんのやらないこと

私のクライアントの社員Aさんは、2021年の年始に、「会社の飲み会は2回に1回は行かない(2回に1回は断る)」と決めました。

そこに至った理由は、コロナ禍の在宅勤務で通勤時間がなくなると毎日90分ほどの時間ができ、その時間を勉強や趣味の時間に充てることができ、心の圧迫感がとれたことを実感したからです。「時間」というものがいかに貴重かを実感したAさんは、出社勤務が始まると通勤時間のため失われた「時間」の捻出を真剣に考えるようになり、出した結論が、「会社の飲み会は行かない」でした。しかし、会社の人間関係が嫌いなわけではないので全く行かなくなることも寂しくもあり、2回に1回は行くと決めたそうです。

Aさんは昨年1年間この習慣を実践した結果を12月の面談で教えてくれました。まず、自分で決めたことなので、迷いなく飲み会を断ることができるようになり心身的負担がかなり減ったようです。特に悪い影響は何もなく、通勤がある時も趣味の時間が全くないわけではないこと、飲み会に参加しなくても何もネガティブなことはないと知ることで心が少し軽くなったとおっしゃっていました。しかし、それ以上に大切な学びがAさんにはありました。それは、自分の時間や心の状態は、自分で望む方に変えることができるということが腑に落ちて理解できたとのことです。

今年のやらないことは何にするのか、面談に来られたら聞いてみるのが楽しみです。

生ビールで乾杯するグループ
写真=iStock.com/taka4332
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/taka4332

■メンタル休職者に勧めたい「趣味づくり」

3つめにお勧めしたいのが、新しい趣味や好きなことを何か1つ試してみることです。

私が産業医面談でメンタル休職者に趣味について尋ねると、一番多い答えは「趣味はありません(即答)」です。また、忙しくてタフな職場でメンタルヘルス不調にならずに長年働き続けることができている人たちに共通していることは、どんなに忙しくても定期的に趣味・好きなことをする時間を持っているということです。趣味や好きなことをするということはとても大切なのです。ですので、私はメンタル休職者には必ず趣味や気分転換をしっかり作ってから復職することが、再休職にならないためのポイントであることを伝え、趣味作りを休職中に推奨しています。

■好きなことをした日はよく食べ、よく眠れる

好きなこと(趣味)をすると、誰でも楽しいし、その日はよく食べられるし、よく眠れます。好きなことは気分転換になります。

誰でも不安やストレスがない生活ができることが理想的ですが、なかなかそうはいきません。職場で仕事の量や質にストレスを感じたり、人間関係に嫌な思いを持っていたとしても、仕事や他人は自分では変えることはなかなかできません。だからこそ大切なのは定期的な気分転換なのです。そのために必要なのが好きなこと・趣味の時間です。また、われわれはいずれリタイアすると、平日が毎月20日以上あります。多趣味の方が、楽しい時間を過ごせるでしょう。

私自身、毎年趣味を作るべく、何か1つを試してきました。登山、ヨガ、山頂からの星空撮影、瞑想、オンラインゲーム、サウナ、カヤック等々。1回で終わったものもありますし、趣味として続いているものもあります。生涯の趣味になりそうなものもあります。

世界地図を広げたテーブルの上には双眼鏡とコンパスとカメラに麦わら帽子など
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Liudmila Chernetska

■チャレンジしようという気持ちが大切

当然、好きなことは楽しいですし、その日は気分よく食事もすすみますしよく眠れます。最高の気分転換になります。それ以上に大切に感じるのは、何か1つチャレンジしようという気持ちを持つことで、自分の殻にこもることなく、常に自分の外側に好奇心を持てることだと思います。同じ日常生活の繰り返しの中でも、心は新しいものを求めることができること、不安やストレスに強い人が持っている習慣だと思います。

繰り返しますが、私が推奨しているのは、新しい趣味を見つけましょう、作りましょう、ではありません。何か1つでもやってみればいいのです。1年間で1つ試してみるのはそう難しくはないと思います。どうでしょう? それだったらやれそうな気がしませんか。

いかがでしたでしょうか。

新型コロナ感染症の感染拡大に伴い急速に広まったリモートワークも、もう私のクライアントでは企業ごとにさまざまなルールややり方で、根付いてきていると感じます。そして、多くの社員たちは、コロナに伴う社会の規制や働き方の変化に、慣れた、ダレた、疲れてきたというのが率直な感想です。

しかし、最終的には自分の働き方や自分の健康は自分で責任を持たなければなりません。このような認識は今度もっと広まると思います。年始のこのお話が、皆さまの1年間を明るくすることを願ってやみません。

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武神 健之(たけがみ・けんじ)
医師
医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。ドイツ銀行グループ、BNPパリバ、ムーディーズ、ソシエテジェネラル、アウディジャパン、BMWジャパン、テンプル大学日本校、アプラス、アドビージャパン、Wework Japanといった大手外資系企業を中心に、年間1000件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。働く人の「こころとからだ」の健康管理を手伝う。2014年6月には、一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、「不安とストレスに上手に対処するための技術」、「落ち込まないための手法」などを説いている。著書に、『職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書』や『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣』『外資系エリート1万人をみてきた産業医が教える メンタルが強い人の習慣』などがある。公式サイト

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(医師 武神 健之)

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