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SDGsバッジは外国人から「謎のカルト」と思われている…SDGsが通じるのは日本だけという残念な事実

プレジデントオンライン / 2023年1月20日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

SDGsに世界の国々はどのように取り組んでいるのか。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「実は、他の先進国ではまったく知られていない。生真面目に取り組んでいるのは、国連が大好きな日本だけだ」という――。

※本稿は、谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない4』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです。

■日本が積極的に取り組んでいるSDGs

日本ではここ数年SDGsが大流行です。

SDGsとは「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)のことです。2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後に、2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された目標であり、加盟国の全会一致で採択されました。2030年までに持続可能でよりよい世界をめざすというものです。

17のゴールと169のターゲットから構成され、地球上の「誰ひとり取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。日本の外務省によれば「SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいる」となっています。

■紙ストローを採用している企業の笑える実態

日本ではこのSDGsなるものが企業の取り組みとして重要なアピールポイントになっていて、Webサイトで「わが社はゴールの達成に頑張っています!」と書きまくった動画を公開、また企業として大々的なキャンペーンを展開しています。

SDGsは「環境に良い活動」を中心に掲げていますが、その目標には平等な社会の達成や性差の是正なども含まれているので、こういう取り組みがなされるのです。太陽光パネルも設置し制服も変えて、祈りのスペースも用意してと、やること満載です。

一方で某電機メーカーでは「わが社は環境に優しい企業をめざしているので、カップ麺の汁はトイレなどに流さないでください。汁は全部飲むように!」ということを社員に強制していたりしています。

みなさんが大好きな(?)「紙ストロー」もSDGsの一環です。あれを採用すると「わが社はSDGsをやっています!」というアピールポイントになり、年次報告書にも得意満面で記載することができます。でもドリンクの入れ物はプラスチック製で、巨体の部長がどっかりと座っている社員食堂やオフィスの椅子もプラスチックなんです。

■Google検索すると本当の姿が見えてくる

日本で大人気のSDGsですが、国連のような偉い機関が提唱しているので日本人は全世界の国々がこれに沿って生真面目にリサイクルや太陽光パネル発電、さらには幼い子どもにも一生懸命、地球環境に関して教育をしていると思われるかもしれません。

ところが他の先進国ではSDGsがまったく知られていないのです。試しに「SDGs」をキーワードに「Google」で検索してみてください。出てくるのは国連関係組織のWebサイトやマイナーな非営利団体のサイト、大半は日本のWebサイトです。「Google」検索でニュースセクションに飛んでも海外大手メディアではまったく出てきません。

Web上でSDGsの動画を探しても国連の宣伝になるようなものばかり。これまた他の国の一般の人々がSDGsについて語っているとか、イケてる「TikTok」の有名人が「時間制限いっぱいの10分間で環境保護の動画やってみました!」みたいなのがほとんど出てこないのです。

若者に流行っている斬新なネタだと「TikTok」にかなり登場してくるはずなんですよ。それから「Roblox」でもネタにもなっていない。あのゲームは旬なネタを取り入れるのが早いですからね。ネットでもコラ画像が出回りまくりますよね。

■SDGsバッジは外国人から見ると「謎のカルト」

ようするにどういうことかというと、国連と日本以外ではまったくといっていいほどSDGsはキー検索されていないワードなんです。そして決定的なのは日本のサラリーマンや役人が胸に付けている大きな謎のSDGsバッジです。あれを付けている人が多いのでヨーロッパの人々はこう言います。

SDGsピンバッチ
SDGsピンバッチ(写真=Project Kei/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

「日本は何か謎のカルトに入っている人が多いの?」
「それとも、あのカラフルな丸いバッジは国による強制なの?」
「いや、神道の決まりじゃない?」
「アニメのキャラが付けてるから流行ってんの?」

そんな感じで真剣に聞いてくるのです。

あのバッジはヨーロッパでもアメリカでも売っている場所がないし、あんなマークを知っている人がいないんです。やたらと日本人だけが胸に付けているので、なにか日本の特殊な習慣か祈祷なんじゃないかと思われても仕方ないでしょう。日本には謎の習慣が多いですからね。

■他国企業は「映えるんじゃね?」というノリ

では他の国ではSDGsに該当することはやってないのかというと、まぁ一応どの国も役所や上場企業は以下のようなアピールをしているんですよ。

「われわれはこんな環境に良いことをやっています!」
「再生可能エネルギーだけを使っています!」
「人種差別とたたかっています!」
「性差別を解消しています!」
「紙ストローを使っています!」

投資家とかクレーマーの消費者に向けて訴えているのですが、ただそれに対して何かフレームワークがあるとか決まりがあるというわけではないのです。「こんな感じだといいんじゃね? 株主総会で映えんじゃね?」というノリでやっていて、担当はCSRの部署とか差別解消なんとかの部署で、ようするにコスト部門が対応しプロフィット部門ではないところがやっていて、あくまでも広報目的なんです。

こういうことを熱心にやっている会社ほど実際は幹部のほとんどが特定人種だとか、紙ストローを使っている社員のほとんどが車通勤で、幹部は超でかいランドローバーに乗っていたりプライベートジェットでバンバン飛びまくっていたりするんです。

■日本人が大好きな“多国籍な町内会”

では、なぜ日本だけこんなことになっているかというと、実は深~い背景があります。 日本人はなぜか国連が大好きです。ところが、この“世界のニュース”シリーズ①でご紹介したように国連の実態は“多国籍な町内会”なのです。

ここでチョット「例え話」をしてみましょう。

その昔、ご町内で派手な抗争があって、やらかしちゃった日本とドイツという武闘派のお宅に「ワレ! じゃかあしいわいっ! 貴様らはおとなしくしとれやっ!」と他国が怒りまくって、毎年“みかじめ料”を徴収するようにした仕組みが国連です。

この町内には中国とロシアという武闘派がおり、個人で所有している土地や車は全部没収しろと無茶苦茶なことを言いまくる一家がいるんですが、そちらも叩きのめすのは面倒くさいので一応は町内会の幹部ということにしてしまいました。

こんな腐りかけた町内会なのでドブ掃除すらきちんとやることができません。ロシアと中国が文句をたれるうえに、町内のほとんどの家が貧乏生活を強いられて町内会費を払わないので、ドブ掃除のスコップすら買えないからです。

このように財政が乏しい町内会はダメだということが最初からわかっている家が多いので、この国際的な機関は数多くの家から相手にされていません。

ニューヨークにある国連本部ビル
写真=iStock.com/mizoula
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mizoula

■日本はたった独りでSDGsを売る羽目に

とはいえ日本は毎年必ず“みかじめ料”を払っているうえに、素直で単純な性格のため、この腐れ町内会の幹部が繰り出す口車に乗せられてしまいます。

谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない4』(ワニブックスPLUS新書)
谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない4』(ワニブックスPLUS新書)

そして、ここが提唱する「ゴミ箱は“護美箱”と呼びましょう!」とか「多様性は地球を救う!」などといった町内の問題解決とはかけ離れたどうでもいい掛け声や運動に同調してしまい、ここで買わされたポスターを家の中に貼り、玄関には看板まで立ててしまいます。

さらに幹部が「地球を救うから!」と言い張るタピオカティーを、神社の祭りでなんとたった独りで売る羽目になっているのです。

ところで日本のみなさんは「SDGs! SDGs!」と国内で叫ぶまえに、ご近所さんがビニール袋や産業廃棄物が混ざっている工場の廃液をその辺に垂れ流したとか、特定民族グループを収容所にぶちこんでいるとか、女性を殴りつける男だらけだとか、ゴミ出しのルールどころか道がゴミだらけだとかいうことを指摘し、どうにかしろと怒鳴りつけたほうがよろしいかもしれませんね。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)
著述家、元国連職員
1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。

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(著述家、元国連職員 谷本 真由美)

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