「Fランク大学の無償化は税金の無駄」ひろゆきが共通テスト高得点者の学費をタダにすればいいと考えるワケ
プレジデントオンライン / 2023年1月21日 10時15分
※本稿は、西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)の一部を加筆して再編集したものです。
■フランスの大学は授業料タダ
最近では日本で大学を卒業した人のうち、半分ぐらいが奨学金を借りています。海外だと奨学金は給付型が多いので返済しなくてもいいのですが、日本では大半が貸与型なので、要は奨学金という名の教育ローンなんです。
なので、大半の人は大学を卒業したら300万、400万円の借金を負って社会人をスタートすることになります。それに対して、ドイツをはじめヨーロッパの大学は授業料が無料という国が多くて、フランスも授業料は無料で数万円の学籍登録料などを負担するのみです。
そうすると、卒業してから1年ぐらいバックパッカーをして世界中を周ってみたり、好きな仕事に就くためにいろいろな会社にインターンで入ってみたりして、自分に向いている仕事や進路を見つけることができるんですよね。
でも、日本で奨学金を借りた人は、大学を卒業したあとに興味のある分野の勉強をしたくても、借金を返すためにまず働かないといけません。その結果、とりあえず入社できるブラックな企業に入ったり、十数年かけて毎月3万円とかを返し続けることになります。
近年は奨学金を返せない人が増えたり、自己破産する人も出てきて問題が深刻化しています。
ちゃんと大学に通って勉強をしたのに、社会人になったときに数百万円の借金を負ってスタートする日本の奨学金制度は、大きな問題だと思います。
では、どんな解決策があるでしょうか?
■無償化するとレジャー大学が生き残る
なかには、すべての大学を無償にすればいいという意見もあります。僕は大学無償化自体には賛成ですが、大学に税金を投入するのは反対です。
大学に行ってちゃんと勉強してお金を稼げる人が増えたほうが、国に納税する金額も大きくなるので、それなら無償にしてどんどん大学に行かせたほうがいいのは当然です。ただ、大学に税金を投入するかたちにすると、学費を払いさえすれば4年間勉強しなくても卒業できるようなFランク大学に、ひたすら国のお金を落とす構造になる可能性があります。
とりあえず名前を書けば入学できて、プールが綺麗なのをウリにしているような大学まで無償化してしまうと、おそらくレジャー施設のような大学が生き残ってしまうんですよね。
大学側は「文化祭に芸能人が来ます」「うちの大学にはクラブがあります」などと教育以外の魅力をつくって学生を集めようとします。人を集めるために留学生という名のもとに日本で出稼ぎを希望する外国人を集めまくって、補助金ビジネスに走る学校も出てくるでしょう。
なので、学校への援助ではなく、努力して成績が優秀な学生に対して援助するかたちにしたほうがいいと思います。
■やる気と学力のある学生は無償に
そもそも大学などの高等教育は、勉強をする気がある人が行くところです。国がお金をかけて優秀な人を増やすための場なので、一定の点数を取れない人を国が支援する必要はありません。高得点は取れないけど大学に行きたい人は自腹で行けばいいですからね。
高等教育で勉強する気がない人の学費を補助しても仕方がないので、僕は「大学に行って勉強がしたくて、共通テストなどで一定の点数をクリアした人の学費を、クーポン制などにして国が代わりに払う」という仕組みがいいと考えています。
勉強しない子がトクをしてしまわないよう、クーポンをもらえるための基準はあったほうがいいでしょう。たとえば、共通テストの点数が上位30%の学生の学費は国が支払う仕組みにして、一定以上の学力がある学生を支援する。
共通テストは、言われたことをちゃんと学習できる能力があって努力できれば、ある程度、点数は取れます。ポテンシャルはそれほど必要ないので、やる気と学力は基本的に比例すると思います。
大学無償化は、あくまでちゃんと大学に通って勉強をしたのに数百万円の借金を負ってしまっている人たちを何とかするのが目的ですからね。
厳しい言い方かもしれませんが、やる気があっても基準をクリアできなければ、クーポンはもらえないようにします。
たとえば、英語をいっさい話せも読めもしない人が、海外の論文を読み解く授業を受けても、ついていけないですよね。「英語の勉強をしたけど共通テストで10点も取れません」という人は、大学に行っても英語の授業がわかりません。
行きたいという気持ちはわかるんですが、最低限のことができないのであれば、おそらく大学には向いていないのだと思います。あくまで、高等教育を受けられるだけの理解力があることは前提にしたほうがいいでしょう。
■日本の大学の数は減らしたほうがいい
日本では若い人の人口はどんどん減っていますが、大学の数はこの50年間で倍増していて、大学進学率も上がっています。教育の名のもとにお金を集めているんだけれど、なかには教育なんかほとんどせずに、単なる補助金ビジネスになっている大学もあって、潰れずに生き残っていますからね。
だから僕は、日本の大学の数は減らした方がいいと考えています。
なので、ある程度勉強した生徒が行きたいと思う大学に関して授業料を補助するかたちにしたら、通っても学力向上にも就職にも役に立たないレジャー大学は潰れていくことになると思います。
ただし、これは社会全体の話なので、個人レベルでは別です。
たとえば、もし高校生に「Fランク大学には行ってもムダですか?」と聞かれたら、僕は「どんなランクでもいいから大学には行ったほうがいい」と答えます。
就職するときにも大卒と高卒では条件が違いますし、勉強して高度な知識やスキルを得た人のほうが収入は増えます。あと、海外では労働ビザを取るときに大卒じゃないとデスクワークのビザが下りなかったりします。「大学を出ていないってことは肉体労働者だね」とデスクワークの能力がないと判断されてしまうので、どんなFランでも大学には行っておいたほうがいいでしょう。
個人と社会全体の話は分けて考えないといけません。国としては税金が無限に使えるわけではないので、ダメな大学は減らしていかないと、大学の質は上がらないという話です。
■非大卒の成功モデルがない
僕が大学の数以上に問題だと思っているのは、大学に行かなくても成功しているロールモデルを、日本がちゃんとつくってこなかったことです。
日本の大学卒業率は55%なのですが、たとえばフランスは40%、ドイツは31%なんです。
日本では、「とりあえず大学は行くべきだよね」となっていて、きちんと勉強もせずにただ卒業しただけという人を量産していますよね。でも、フランスやドイツは、大卒ではない人でも充実した生活を送っていたり、稼いでいるロールモデルがいくつもあるんです。
![西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/8/1200wm/img_4859ab3a2c2515b11998cd148a54b158227157.jpg)
フランスなら、ものすごく儲けているレストランや、首相官邸の御用達(ごようたし)のパン屋さんが毎年表彰されていたり、ファッション業界などでも大卒ではない人が活躍しています。手仕事をしている人たちも表彰されたり、きちんと稼いで社会的に認められているんです。
でも、日本だと大卒ではない成功モデルがあまりないんですよね。例に挙がるのは、スポーツ選手や芸能人など、実際になれる人が極端に少ない職業ばかりです。
なので、やる気と学力のある人には国がお金をかけて投資をしたほうがいいですし、一方で大学に行かなくても幸せになれるロールモデルも、もっとつくったほうがいいと思います。
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2ちゃんねる創設者
東京都北区赤羽出身。1999年、インターネットの匿名掲示板「2 ちゃんねる」を開設。2015年に英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。YouTubeチャンネルの登録者数は155万人。著書に『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)、『なまけもの時間術』(学研プラス)などがある。
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(2ちゃんねる創設者 ひろゆき)
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