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だからいつまでも仕事が楽しくならない…振られた仕事をそのまま進めるのは「絶対NG」である理由

プレジデントオンライン / 2023年1月23日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

会社員は振られた仕事にどう向き合うべきか。NTT西日本の連続社内起業家・猪原祥博さんは「仕事をそのまま引き受けてはいけない。おいしく料理してから食べないと、つまらない仕事がどんどんやってきて悪循環にはまる」という――。

※本稿は、猪原祥博『会社員3.0』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■会社員がもっと自由になるための方法

会社員がもっと自由に、もっと楽しく働ける社会を作りたい。

僕は「はじめに」で、本書を書く目的をこのように書きました。

「自由に働く」「楽しく働く」といっても、現実はなかなかそうもいきません。

つまらない仕事は断ってOK!

会社員にこんな自由があれば本当にいいですよね。

お察しの通り、そんな会社はまずありません。

しかし、業務時間のうち、「面白い仕事」が占める割合を増やすことはできます。本稿では、その方法をご説明しましょう。

一般的な会社で仕事が一人の社員に降りてくる過程を考えてみましょう。

多くの場合、上司が仕事を作り出し、部下に依頼します。

「●●君、これ18時までにやっておいてー」

こんな感じですね。

この場合、部下は基本的に仕事を選べません。運よく「面白い仕事」が与えられることもありますが、「つまらない仕事」も降ってくるのが日常です。

■自分のバケツを「面白い仕事」で満たせ

仕事のキャパシティをバケツにたとえてみましょう。

図表1のイラストのように、「面白い仕事」はあるけれども、大半は「つまらない仕事」でバケツは満たされています。バケツに余裕があることが上司に知られると、また「つまらない仕事」を注がれる。あなたにも身に覚えがあるのではないでしょうか?

【図表】仕事のキャパシティをバケツにたとえると
"出典=『会社員3.0』

むしろ、「面白い仕事」が少しでもあったらラッキー! バケツのすべてが「つまらない仕事」という人もいるでしょう。

では、図表1のイラストをご覧ください。

会社員3.0は、面白い仕事を自分で作ってバケツを満たします。バケツは満たされているので、誰かが作った「つまらない仕事」はそこに入りません。結果としてバケツの中は自分が作った「面白い仕事」ばかりとなるのです。

「自分で面白い仕事を作る?」
「どうやって?」
「そんな自由が会社員に与えられるはずはない!」

そう思われるかもしれませんね。

それが、できるのです。仕事は自分好みに「カスタマイズ」していい。

会社員3.0への一つ目の扉「カスタマイズの扉」を開いてみましょう。

■仕事はおいしく料理してから食べていい

与えられた仕事は引き受けるしかない。

会社や上司の命令は絶対で、言われた通りに仕事をするのが会社員である。

こんな「勘違い」をしていませんか?

確かに会社員である以上、「与えられた仕事を遂行しなければならない」という鎖に繫がれています。しかしながら、その鎖には「カスタマイズの扉を開く鍵」がついているのです。

これは、仕事を面白くする「魔法の鍵」の中で最も大切な鍵です。

与えられた仕事は、食べ物にたとえるなら「生の人参」や「生のナス」のようなものです。

そのまま食べてもだいたいおいしくはないですね。馬やうさぎなら、そのままでもおいしく食べられるかもしれませんが、人間はそうもいきません。それなのに、おいしくない仕事を黙々と食べている会社員が多いのです。

こうした仕事の受け方をしていると、次のような状況に陥ります。

①おいしくないから、仕事がつまらない
②やらされ感が募る
③頑張って終わらせても、つまらない仕事がどんどんやってきて悪循環にはまる

これでは、自由どころの騒ぎではありません。

こうならない秘訣(ひけつ)は、与えられたつまらない仕事をそのまま食べずに「自分好みに料理すること」です。

淡々とつまらない仕事をして消耗するほど、人生の貴重な時間は長くありません。

与えられた仕事が「つまらない仕事」だと感じたら、なんとか料理して面白くできないかを考えてみましょう。

人参であればカレーに、ナスであれば豚肉とナスの味噌炒めに料理して食べる。料理なら当たり前のことですよね。仕事でも同じなのです。

たとえ一時的に仕事が増えたとしても、自分がおいしいと感じられるように料理することがポイントです。

それができれば、あなたは次のような状況を手に入れられます。

①仕事が面白いと感じられる
②主体性と粘り強さが生まれる
③面白い仕事で業務時間を満たせるようになる

「上司や会社がイチ社員にそんな勝手を許すはずがない」なんていう声が聞こえてきそうです。確かに何も言わずに勝手にやると、何か言われそうですね(笑)。

もちろん、内緒ではできません。上司や会社にメリットがある形でそれをやれば良いのです。

「仕事は自ら創るもの。与えられるものではない」これが会社員3.0の仕事への向き合い方です。

僕は「カスタマイズの扉」を開いて、業務時間のほぼすべてを「面白い仕事」に変えていきました。実際にやってきた仕事を例にして、「仕事を料理する方法」を説明しましょう。

■オフィスの引っ越しという「やらされ仕事」も面白く料理できる

つまらない仕事は、どんな会社にもあります。「強制されたオフィスの引っ越し」なんてその最たるものです。

新規事業開発スタッフ70人の総括業務をしていたときの話です。

他の部門が同じフロアに引っ越してくることになりました。そこで僕の部署に「10mほど横に移動してもらえないか?」と依頼がありました。

「移動に伴う予算はある程度使ってよい」とは言ってもらえましたが、業務スペースは狭くなるし、半ば強制的な、なんとも気の進まない「つまらない仕事」だと感じました。業務スペースが狭くなってうれしい人なんていませんし、10mとはいえ70人での引っ越しは面倒なものです。

この「与えられたつまらない仕事」を「面白い仕事」に料理できないか?

オフィスに積み上げられた段ボールと一つの箱を運ぶ男性
写真=iStock.com/shironosov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/shironosov

会社員3.0は、自由に楽しく働く会社員です。気乗りしないつまらない仕事をそのまま食べることはしません。

「10m移動する」は必須条件として受け入れつつ、この機会を利用して、「僕らのオフィスをリニューアルするプロジェクト」にしてはどうか? と考えました。さあ、ここからが本番です!

重要なことは「なぜやるのか?」という理由と遊び心です。

まずは、ゴールのイメージを固めます。「オフィス+斬新」「オフィス+仕事に与える影響」などのキーワードで検索します。

今のオフィスとは比べものにならない、しびれるような写真に刺激を受けつつ、オフィスと仕事の関係性、人の動線の重要性、そこで生まれる会話などのイメージを膨らませます。

■新規事業を生み出す部署の「あるべきオフィス」をゼロから考案

作りたいオフィスのために、備品を購入したかったので、会社の承認を得る必要があります。承認を取り付ける方法については、別の章で詳しくご説明しますが、当時はこう伝えました。

オフィスと創造性にまつわるデータや写真を見せながら、みんなに嫌がられる10m移動を半ば強制的にやらせるより、「オフィスリニューアル」の方が前向きで社員の協力も得やすいと思います。

また、創造性が大切な新規事業部門が「単に10m移動するだけ」なんて、全然創造的ではないですよね? こういうときこそ、創造性を発揮しましょう!

このように上司や予算をくれる部署に、移動するだけではなく、オフィスリニューアルにした方がいい「理由」を語り、巻き込んでいったのです。新規事業を生み出す部署の「あるべき姿」「あるべきオフィス」とは何か? をゼロから考え、企画していきました。

締め切りもあり、予算やスペースに限りもあったので、やりたい放題できたわけではありませんが、まずまずのオフィスにリニューアルできました。

「そのまま移動すればいいことなのに、わざわざ仕事を増やしてオフィスリニューアルプロジェクトにするなんて変なやつ」と思った人もたくさんいたと思います。しかし、結果的に「仕事がしやすくなった!」との同僚からの賞賛もあり、自分自身の達成感も味わうことができました。

その後、僕はこの経験を生かし、2社目の子会社を作るときにはオフィス企画チームに自ら志願し、「これでもか!」というほど徹底的にオフィスにこだわりました。

引っ越しを強要された社員の不満のはけ口になりながら「つまらない仕事」を淡々とこなすのか? それとも本来オフィスとはどうあるべきで、どうしたら仕事の成果を出せる空間になるのかを考え、実行するのか。選ぶのは自分自身なのです。

■訪問販売の研修に同期を誘ってチームを組む

仕事を料理(カスタマイズ)することに役職や年次は関係ありません。

今から25年前、新入社員研修として「フリーダイヤル」という商品を店舗に訪問販売する機会がありました。

僕が配属された営業所では、地域ごとにフリーダイヤルに入っている店舗をまとめる冊子を作成して、地域住民に配布するキャンペーンを実施していました。店舗からすれば掲載された冊子が広告にもなります。

新人として「フリーダイヤルに入りませんか?」と営業を行うのですが、僕は全くワクワクしませんでした。一人で訪問販売する気にもなれず、同期のS君を誘ってチームを組むことに。

まずはS君と二人で店舗に入り、どちらかが営業をします。契約が取れるとがっちり握手し喜び合い、うまくいかないと慰め合いました。これだけでも、一人で黙々と営業を続けるより、モチベーションが上がります。

ある商店街に入ったときのことです。

店主が僕らの持っている地図を指さし、「この商店街で他に入っている店はあるの?」と聞いてきました。「このお店と、このお店です」と話すと、「じゃあうちも入る」と契約してくれたのです。お店を出て恒例の握手をした後、僕らは作戦会議を開きました。

■地味な仕事こそゲーム感覚で面白く

「どうやら他の店が入っているかどうかが、契約する上で重要な情報らしい」

そうであれば、順番に回るのではなく、広告を出したがっていそうな店を攻略した後、次のレベルの店に営業していこうと決めたのです。

お金に余裕がありそうな店舗には、「冊子が数千人に届くので、広告と思って入ってください!」と言って契約してもらいます。

同じレベルのお店に一通り入っていただくと、「もうこんなにたくさんのお店にご加入いただいています! 枠に限りがあるのでお早めに!」と言って、次のレベルの店舗を狙います。

「入らないと置いていかれる感」を出して営業することで最終的に、商店街の8割程度がフリーダイヤルに契約してくれました。

猪原祥博『会社員3.0』(サンマーク出版)
猪原祥博『会社員3.0』(サンマーク出版)

もはや僕らの仕事はフリーダイヤルを売ることを飛び越えて、ゲームのような楽しさになっていました。トークを変更するともっと効果が上がるのではないか? 店舗間のライバル関係を探って、競争相手が入っていると知ると「うちも!」となるのではないか? などとアイデアを出してはすぐ試して、効果を検証し、どんどん好循環が生まれていきます。

結果として僕らは販売の功績を認められ、営業部長から表彰されたりするのですが、そんなことよりも僕にとっては契約をもらってお店を出たときに、S君とニヤリとしながら握手をするときの爽快感がなんともいえない報酬でした。

与えられた仕事はフリーダイヤルを売る面白くない仕事でした。しかし、僕らは営業戦略を立案し、さらに成功確率を高める調整をし、楽しい仕事へとカスタマイズしていったのです。

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猪原 祥博(いのはら・よしひろ)
連続社内起業家
1973年広島県生まれ。NTT西日本の新規事業の創出組織に所属。国内最大級の電子コミック配信サイト「コミックシーモア」を運営するNTTソルマーレ、太陽光発電の遠隔監視装置「エコめがね」を展開するNTTスマイルエナジー、ねむりのDXによって未病ケア社会を創るNTTパラヴィータの戦略子会社を3社連続して立ち上げた。社内ベンチャー・新規事業創出のプロフェッショナルとして、NTTドコモ、NTT東日本、オムロン、旭化成、アサヒビールなど複数の企業社員に対して講師を務め、慶應義塾大学、大阪市立大学などでも講演を行っている。

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(連続社内起業家 猪原 祥博)

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