申し込み期限は2月末「マイナンバーカード」はそもそもなぜ何万ポイントもくれるのか
プレジデントオンライン / 2023年1月24日 11時15分
※本稿は、山崎俊輔『お金の悩みは4マスで考える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
■メリットが多いのは現金かキャッシュレス決済か
コロナ禍で一気に利用率の高まったキャッシュレス決済
電車のICカードから広まった電子マネー、スマホ普及に伴って一気に展開したコード決済など、キャッシュレス決済の利用率が高まっています。
コロナ禍の数年で情勢は一気に変わりました。現金の授受を行わないことが衛生的であることと、キャッシュレス推進プロモーションが国の主導で行われたことなどが奏功し、経済産業省の調べでは2021年度のキャッシュレス決済比率は金額ベースで32.5%となったそうです。「回数」ではもっと数字が高まり、大手コンビニエンスストア3社のデータでは2022年3月のキャッシュレス決済比率は40.6%と報告されています。
キャッシュレス決済のメリットを4マスで考えたらどうなるでしょうか。
「現金払い」と「キャッシュレス決済」を横軸に置いて違いを見てみます。もう一つの縦軸は安いかどうか、です。具体的には「ポイント還元の有無」を見てみます。
■キャッシュレスを「どう賢く使うか」に頭を使う時代
しばしば「現金払いが一番賢い」というような言い方をしますが、これはクレジットカードの分割払いなどで利息が上乗せされた場合との比較で使われてきた言葉です。
通常のキャッシュレスには利息は乗りませんから、この視点はもはや無視していいものとなっています。むしろキャッシュレスのメリットは「ポイント獲得による実質的な割引」です。
一時期、コード決済のプロモーションで「20%還元」と大々的に案内されたとき、多くの人がアプリを設定したのは実質的に割安な買い物が実現したからです。最近では高還元率のキャンペーンは減っていますが、それでも数%の割引を得れば「現金よりお得」であることは間違いありません。
![スマホでQRコード決済を行う手元](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/e/f/1200wm/img_eff648fbdb089c59f5228a8cfaf93a8c480888.jpg)
「いや、現金払いでもポイントはつきますよ」と思うかもしれませんが、それは「店頭ポイント(お店のポイントカードやdポイントなどの共通ポイントカードを提示して貯まるポイント)」であり、それは、キャッシュレスでもついてきます。したがって、現金払いのメリットにはなりません。
実際問題として、現金をいちいちやりとりしなくていいだけでもキャッシュレスに切り替える価値はあるように思います。利用シーンも日常生活のほとんどをキャッシュレスでカバーする時代がやってきました。しかもスマホに設定しておけば、「財布を忘れた○○さん」のような心配もありません。財布を忘れて家を出ても、スマホは忘れないからです(玄関を出て数分のうちに、一度はスマホ画面を見ますよね?)。
キャッシュレスの注意点はむしろ、お金を使った「重み」が感じられなくなることでしょうか。財布の中の1万円札が少しずつ減っていくと私たちは節約を意識しますが、キャッシュレスで1万円利用しても、なかなか1万円札分のお金が消えたという実感をもてないのです。とはいえ、キャッシュレスはもう、「使うか使わないか」ではなく、「どう賢く使うか」に頭を使いたい時代といえます。
いまだに切り替えができていないという人は全面的な切り替えを検討してみましょう。この手の変更は最初の一歩目だけの問題です。面倒な人は交通系ICカード(Suica等)をそのまま交通機関以外で利用するだけでもいいでしょう。
■巷にあふれるポイントやクーポン どう利用すべきか
クーポンやポイントは徹底的に使い倒す
クーポンやポイントを利用しない人は、今、ほとんどいないでしょう。ファーストフード、コンビニ、スーパーにドラッグストアなど、クーポンを配っているお店は山ほどありますし、ほとんどのお店でポイントを貯めることができます。
ポイントについていえば、1回の支払いで、お店のポイントカード、クレジットカード、電子マネーなど何重にも貯まるチャンスがあります。どんどんポイントを貯め、クーポンを使ったほうがいいでしょう。むしろ注意するべきは「その先」です。
クーポンやポイントは、売り上げを増やし、利益を残そうとがんばっているお店と、私たち客との間に、どのようなメリットデメリットがあるのでしょうか。今回はちょっと「お店の目線」で考えてみましょう。
![【図表】「お店の目線」で考えるクーポンやポイント](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/2/b/1200wm/img_2b8cb4d4a7c329cd3c5047c377ac12bb478801.jpg)
ポイントカードは「顧客の囲い込み」だとよく言われます。ポイントカードを作ることで、そのお客さんが常連さんに変わっていく可能性があるからです。
クーポンもそうです。興味のあるお店のクーポンを手に入れれば、「行ってみようかな」と思います。何度か行ったことがあるお店なら「久しぶりにあそこでランチしよう」のように足を運ぶ原動力となります。
■ムダづかいは避けつつ割引はゲットする
ポイントやクーポンは何らかの形で売り上げにプラスに働きます。あえて「ポイントやクーポンを出し渋る」ことは「売り上げに影響なし」どころかマイナスに作用するかもしれません。お店にとってもお客さんにとってもメリットになるわけです。
デパートなどでの洋服のセールは、値下げしてでも在庫が残るほうにマイナスがあるから行っています。あるいは、宣伝として大幅値下げを行う可能性もあります。「最初の一歩」をお客さんに踏み出してもらうために無料クーポン券を配るようなことがありますが、これは赤字でも「CMとしての価値」を認めて行われています。
一時期のコード決済が「20%還元!」とぶち上げていたのは、多少売り上げが減ったとしても、それにつられてたくさんの人がスマホにアプリを設定してもらえるほうに価値があったからです。その証拠に、最近のコード決済は大盤振る舞いをしなくなっています。宣伝の時期は終わったということです。
![キャッシュバックキャンペーンのイメージ画像](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/5/1200wm/img_055461f38f0b05260c43bee2b56280c8410901.jpg)
言い換えれば、クーポンやポイント還元率でずっと赤字を垂れ流すほどお店や運営会社はバカではないということです。だから、私たちはお得なクーポン、ポイントは徹底的に使い倒していいわけです。
ただし、お店にとっての売り上げアップが、あなたにとってのムダづかいになる可能性も潜んでいます。したがって注意点は、ポイントにつられて「もう1点買ってしまった」とか「いつもより高いものを買ってしまった」というようなムダな支出をしないことです。
私も「2000円以上のお会計10%オフ」と言われて無理やり2000円以上の買い物をしてしまうことがあります。こういう場合、必需品が見つからず買わなくていいものを追加してしまいがちです。それこそがお店側の狙いです。
物価が上がっている時期ですから、ポイントやクーポンは最大限利用しつつ、ムダづかいを抑えるようにしたいところです。
■マイナンバーカードはなぜ何万ポイントもくれるのか
マイナポイント1人2万円相当の大盤振る舞い
第2弾のマイナポイントに間に合わせるためのマイナンバーカード発行申し込みは終了間近(申請期限:2023年2月末)です。すでにカードを持っている人であれば、マイナポイントの手続きをしておきたいものです。
マイナンバーカードは、国民が自分の意思で取得するものですが、取得促進のために国がポイントを発行する取り組みをしています。それがマイナポイント事業です。マイナンバーカードを取得することで一人最大2万円分のマイナポイント(新規取得で最大5000円分+健康保険証としての利用申込み7500円分+公金受取口座の登録7500円分)がもらえます。
このマイナンバーカード、2×2の軸で考えてみるとどうでしょうか。
![【図表】マイナンバーカードを2×2の軸で考えてみると](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/e/1200wm/img_8e4401b04d7d0d16875dd1cce2cb85eb433721.jpg)
あなたの選択肢は「マイナンバーカードを作るか、作らないか」の二択です。できるだけ役所の業務効率化は行うべきであり、それは当然データ活用、デジタル化を意味します。マイナンバーのような管理システム抜きに効率化はありえません。
私たちは、「自分にとってマイナンバーカードを発行する意義があるかどうか」で考えるべきです。「作らない」を選択した人は「ポイント付与」のチャンスも得られず「生活が便利になる」チャンスもありません。
これに対して「作る」を選択し、マイナンバーカードを取得して手続きをした人は「ポイントがもらえて」かつ「生活が地味に便利になる」ことになります。
コンビニで住民票や戸籍を取得できる(深夜でもOK!)というのはマイナンバーカードの普及のわかりやすいメリットといえるでしょう。転退職などの国民年金の手続きや雇用保険の手続きなど、徐々にマイナンバーカードがあれば自宅からできる手続きが増えています。「市役所で行列に並ばされるのは苦痛……」ということが少しずつ減っているわけです。
■ポイントがもらえて、便利になる
マイナンバーについてそのセキュリティを危ぶむ人がいますが、個人的にはマイナンバーカードの不正利用で得られる犯罪者のメリットはわずかだと思います。給付金等を不正に申請しても1人分で一度しかできませんし、本人のほうに通知や請求が行けば、すぐ不正は発覚します。不正がバレれば当然返金を余儀なくされ逮捕されます。あまり割に合う犯罪にはなりません。
![「マイナポイント事業」のサイトより](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/0/8/1200wm/img_0821b6a73b4cf1f91a5e47cbd263b3af235323.jpg)
![山崎俊輔『お金の悩みは4マスで考える』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/7/e/1200wm/img_7ed58da0fe8b74f20408f7f01ab7cd6c224138.jpg)
マイナンバーカードを健康保険証として利用登録した人だけ医療費がわずかに増えるという政策のミスは解消されることになりました。公金受取口座登録も、心配ならいつもはほとんど利用しない銀行口座を届けておけばいいでしょう(国が勝手に出金する可能性は限りなくゼロに近いと思いますが)。だとしたらカードを作ってポイントをガッツリもらっておいたほうが合理的なように思います。
将来的には健康保険証や自動車の免許証とマイナンバーカードを一体化させたりスマホに収める取り組みがあります。きっと、マイナンバーカードを持たない生活のほうが不便になっていくことでしょう。
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ファイナンシャルプランナー
フィナンシャル・ウィズダム代表。連載12本を数える人気コラムニスト。『マネーハック大全』など著書多数。
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(ファイナンシャルプランナー 山崎 俊輔)
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