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あなたの近くにウヨウヨいる…「イヤなヤツ」にムカムカさせられずに済むたったひとつの方法

プレジデントオンライン / 2023年1月28日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

世の中に多くの固定観念があるが、必ずしも正しいとは限らない。コラムニストの石原壮一郎さんは「実社会やSNSで人脈や交友を広げることがいいとされていますが、かえってそれがストレスになり、腐れ縁になってしまうケースも多い」という――。

※本稿は、石原壮一郎『無理をしない快感』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■人脈は作らなくてオッケー

これまでの人生を振り返ってみて、“作ろうとして作った人脈”が役に立ったことがあるでしょうか。いやない。

「人脈が豊富な人と思われたい」「メリットがある人脈をつかみたい」という下心を丸出しにして、せっせと人脈作りにはげんでいる人は少なからずいます。そういう人を見るたびに、ちょっと軽べつが混じった視線を向けてきたのではないでしょうか。

「仕事ができないヤツに限って、人脈人脈って言いたがるんだよな」ぐらいのことも思ったでしょう。年齢を重ねて社会経験を重ね、いろんな人を見るにつれて、その思いは確信に変わっていったに違いありません。

若いころは「異業種交流会」という響きに魅力を感じ、「人脈を広げたい」と期待に胸をふくらませて参加してみたことがある人は多いでしょう。恥ずかしながら、私も何度か行きました。

しかし、そこで交換したたくさんの名刺を翌日になって見直しても、相手の顔はほとんど浮かんできません。まして、わざわざ連絡を取ることも連絡が来ることもまずありません。

そもそも人と人とのつながりを「人脈」と呼ぶところが、うさん臭さに満ちています。「鉱脈」から連想されるように「おいしいメリット」の存在が前提になっているし、「山脈」を重ね合わせて自分を実際以上に大きく見せようというセコい了見もうかがえます。面と向かって「Aさんと人脈ができて嬉しいです」と言われたら、Aさんはさぞ気分が悪いでしょう。

「人脈が広がればデキるビジネスマンになれる」と「これこれこういうハウツーを身に着ければモテる」という妄想は、よく似ています。妄想しているあいだはウキウキできますが、現実には昨日と同じイマイチな自分がいるだけ。むしろ、必死になって妄想を追えば追うほど、よりイマイチになっていきます。

無理をしなくても、つながる必然性がある相手とは、やがてつながります。私たちは昔から、そういうつながりを「ご縁」と呼んできました。「人脈を作らなければ」という気持ちは、今すぐ捨てましょう。そうすることで初めて、自分にとって本当に必要で大切にしたい「いいご縁」が寄ってきます。

■イヤなヤツとは縁を切ってオッケー

人生において何がストレスの元になるかと言えば、ぶっちぎりのトップは「イヤなヤツ」です。小さな権力を笠(かさ)に着て嫌がらせをしてきたり、収入や学歴を鼻にかけて人を見下してきたり、逆恨みで悪意や憎しみをぶつけてきたり……。

「困ったヤツ」もストレスの元になりますが、仕方ないなと思えたり多少かわいげがあったりするぶん、だいぶマシです。しかし「イヤなヤツ」は、人を不愉快にさせる才能が服を着て歩いているみたいなもので、救いようも同情の余地もありません。

ただ、それはあくまで「自分にとっては」という話です。そいつが全人類にとってイヤなヤツなのかといえば、そうとも限らないはず。自分がそいつをイヤだと感じるのは、多分に相性の問題もあります。

抽象的な群衆
写真=iStock.com/gremlin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gremlin

自分だって、誰かにとっては「イヤなヤツ」かもしれません。いや、きっとそうです。どこをどう直したとしても、「いいヤツ」には昇格できないでしょう。

「イヤなヤツ」にムカムカさせられずに済む方法は、ただ1つ。それは縁を切ることです。冷静に考えたら、顔を見るたびに「コイツ、イヤなヤツだな」と思うような相手と、無理に付き合い続ける必要なんてカケラもありません。

その「イヤなヤツ」だって、こっちがイヤだと思ってるんですから、こっちに対してきっといい感情は持っていないはず。なぜか積極的に絡んでくるとしたら、それは意地悪をするターゲットにしたいだけです。

「そうは言うけど、会社内や仕事関係の付き合いだと縁を切るわけにも……」と思うかもしれません。その場合は、とりあえず心の中でスッパリと縁を切りましょう。「自分には関係ない人」の箱に入れたうえで、必要最小限のやりとりを無難にこなします。

そうすれば、何を言ってきてもたいして腹は立ちません。

「イヤなヤツ」への怒りやイライラは、多くの場合、自分の中の「執着心」によって引き起こされています。そいつのイヤな部分を変えたい、失礼な発言をしたことを自覚させたい、もっと自分に敬意を持った対応を取らせたい……。

どれも無駄な努力だし、望んでもけっしてかなえられることのない虚しい願望です。

「イヤなヤツ」への執着はさっさと捨ててしまうのがいちばん。人生には、好きな人や気の合う人や尊敬できる人と付き合う時間しかありません。

■SNSと縁を切ってオッケー

誰しも、たくさんの「腐くされ縁」を抱えています。なかなか別れられない恋人や配偶者、迷惑をかけられてばかりの友だち、別に美味しくも安くもないのに通ってしまう知り合いの飲み屋……。

今、もっとも多くの人が抱えている「腐れ縁」の相手は、いろんな種類のSNSではないでしょうか。人間との腐れ縁と同じで、こんな面倒な相手とはさっさと別れたいと思っているのに、ダラダラと付き合い続けてしまいます。

フェイスブックの知り合いの投稿に、どうでもいいねと思いながら次々に「いいね!」を押すルーティンをやめられない。腹が立つだけなのはわかっているのに、ついツイッターを覗いてしまう。もはや惰性で付き合っているだけなのは自覚していても、アプリを削除する決心はなかなかつきません。

スマホで、SNSの投稿に「いいね」を押す手元
写真=iStock.com/Tonktiti
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Tonktiti

SNSに三下り半を突き付ける決断を阻んでいるものは何か。人間同士の関係なら「冷たいと思われたくない」とか「仲間内の評判が落ちるから」とか「心では嫌っていても……」とか、いろんな理由があるでしょう。しかしSNSは、無理をしてまで付き合い続ける必要は特になさそうです。

しいて言えば「習慣を変えるのが面倒だから」ぐらいでしょうか。目先の面倒が壁となって、毎日そこそこの面倒を背負い続けているわけです。それが人間の愚かさと言ってしまえばそれまでですが、もしSNSがストレスになっているなら、毎日続く膨大な無理を放棄するために、目先の小さな無理に挑みましょう。

首尾よく縁を切れたら、きっと生まれ変わったようにすがすがしくてラクな日々が訪れるはず。「世の中から取り残されるのではないか」「友だちとのつながりが切れてしまうのではないか」なんて心配する必要はありません。SNSの外側の世の中のほうがはるかに広くて濃密だし、SNSがなければつながりが持てない友だちは、自分にとってつながる必要がない友だちです。

もちろん、やってて楽しかったり、それなりに役に立つと感じていたりするなら、がんばって縁を切る必要はありません。人間にせよなんにせよ、いいところもあれば悪いところもあります。腐れ縁も縁のうちということで、適当に力を抜いてなるべくストレスのない付き合い方を模索しましょう。いつでも別れてやると思いつつ。

■気が乗らないからと誘いを断ってオッケー

「明日、こういうメンツで飲みに行くんだけど、いっしょにどう?」
「来週の日曜日、河原でバーベキューするんだけど来ない?」

そんなふうに誘われたけど、なんとなく「気が乗らない」ときはあります。

誘ってくれた相手や来るメンバーが嫌いなわけじゃないし、予定が入っているわけでもない。なぜ気が乗らないのか、自分でもよくわからない。具体的に断る理由が見つからないと、つい「いいね、行くよ」と言ってしまいがちです。

しかし、なんとなく「気が乗らない」というのは、けっこう重要な判断材料。誰しも思い当たるフシがあるでしょうが、最初にそう感じた場合、やっぱり行ってよかった、けっこう楽しかったと感じることはめったにありません。

ことさら楽しそうに振る舞って疲れたり、誰が悪いわけでも具体的にイヤなことがあったわけでもないけど、どよーんとした思いを抱えて帰ることになったりするのが常。たいていの場合、当日を迎える前から、「あーあ、行くなんて言わなきゃよかった」と憂鬱(ゆううつ)な気持ちになります。

いつのころからでしょうか、私たちは「誘われたらとりあえず断らないのが、人として望ましい姿勢」と思い込むようになりました。若いうちは、そうすることで世界が広がったり、可能性をつかむことにつながったりすることもあるでしょう。若者にとってフットワークの軽さは、たしかに大きな武器になります。

石原壮一郎『無理をしない快感』(KADOKAWA)
石原壮一郎『無理をしない快感』(KADOKAWA)

ただ、人生も後半戦の年代になったら、その姿勢を貫く必要はありません。気が乗らない誘いに無理して付き合っても、特にメリットなんてないどころか、気持ち的にも物理的にもデメリットのほうがはるかに大きいでしょう。

「気が乗らない」と感じるのは、これまでの人生経験で培われたセンサーが拒否反応を示して、「行かなくていい」と教えてくれているのかもしれません。いや、きっとそうです。自分を信じて断る決断をしましょう。

言わずもがなですが、「気が乗らないから」と本当の理由を言う必要はありません。人間関係がギクシャクして、別のストレスを抱えることになります。別の予定をでっちあげるなどしつつ、いちおう残念そうな素振りを示しておきましょう。それが誘ってくれた相手に対する礼儀だし、うしろめたさを払しょくする生活の知恵です。

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石原 壮一郎(いしはら・そういちろう)
大人系&検定系コラムニスト
1963年三重県生まれ。1993年に『大人養成講座』でデビューして以来、大人の素晴らしさと奥深さを世に訴え続けている。『大人力検定』『父親力検定』『大人の言葉の選び方』など著書多数。最新刊は、会社の理不尽と戦うための知恵と勇気を授ける『9割の会社はバカ』(飛鳥新社、共著)。郷土の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」を務める。

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(大人系&検定系コラムニスト 石原 壮一郎)

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