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部下から好かれているわけでもないのに、必ず頼みを聞いてもらえる上司が連発する"魔法の3文字"

プレジデントオンライン / 2023年1月27日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yagi-Studio

社員が自主的に働くチームとはどんな組織なのか。エグゼクティブ・コーチの林健太郎さんは「リーダーにたいして“控えめな好意を寄せる”応援団のような存在がいると、全体のパフォーマンスが高まります」という。そうした上司が応援団社員にかけている言葉とは何か――。

※本稿は、林健太郎『否定しない習慣』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■相手に否定を感じさせない技術

→否定に感じさせない伝え方3選

人間関係で大事なのは、相手に嫌われないことです。万人から好かれるのは難しいですが、嫌われないことというのは否定をやめることで誰もが目指すことができます。嫌われないとは、表現を変えれば、「好きでも嫌いでもない」というニュートラルな状態。

ここで、理想を言わせていただければ、このニュートラルな状態から、たったの1パーセントでもよいので、相手が「好意を持っている」という方向に針をふれさせることができれば、私はそれでもう十分な人間関係だと思っています。

そんな関係を実現するためには、やはり否定しないこと。

そうは言っても現実問題「否定せざるを得ない場面」に出くわすこともありますよね。

ここで、プラス1パーセントの好意を持ってもらうための「相手に否定を感じさせない伝え方」について、3つご紹介しましょう。

否定に感じさせない伝え方1 面白おかしくする

相手が否定だと感じないように、軽やかに否定する工夫です。たとえば、相手の提案を聞いたとき、ニヤッとして、「そうきたか!」「次の案、いってみよう!」とか、余裕の笑顔で言ってみる。キツイ表情と口調で否定されると致命傷になってしまいますが、面白く、楽しい雰囲気で伝えると、言われた側も深刻に受け止めにくくなります。

否定に感じさせない伝え方2 逃げ道を残す

たとえば、あなたが業務中に、部下がつくっている提案書をチェックしているとして、何か問題を発見したとします。

そんなとき、頭から否定するのではなく、「これはまだ、未完成だよね」とか「参考に、ほかの候補案も今度見せてよ」など、逃げ道を残す言い方にしてみる。こうすれば、相手を追い詰めなくて済む可能性があります。

否定を感じさせない伝え方3 期待をほのめかす

「この案もいいね。○○さんなら、さらにいい案が出せる気がする。もうすこし粘ってみてほしいな~」「今までの○○さんの実力を見てきている私からは、今回まだ力を出し切っていないように感じているよ」

■仕事ができる人の周囲にいる「控えめな応援団」

このように、相手のポテンシャルを認めながらさらなる挑戦をしてほしいとリクエストする形をつくると、現在の案を肯定しながら、改善を求めるメッセージをつくることができます。

これをコーチングでは「チャレンジ」といい、相手の可能性を信じて、現状に甘んずることなく、より強いリクエストをすることができます。

→すべての人を否定しないことが、「控えめな応援団」をつくる

余談ですが、ある映画監督は、役者の演技にNGを出さないそうです。

「いいね。素晴らしいね。もう1回、別の演技をいってみようか」

と言って、何度も演技をさせて、そのどれかを採用するのです。

これも、「否定しない技術」ですね。

セリフを覚えたうえで感情をつくり込んでいる役者さんに対して、「なんだ、その演技は! 学芸会じゃねぇぞ!」なんて言えば、その役者さんは監督に嫌悪感や、苦手意識を持ちかねません。そして、そんな些細(ささい)な言葉ひとつが徐々に積み上がり、結果的に作品全体の品質に影響する、なんてことも起こりうるでしょう。

とくに、上司と部下の関係においては、「この上司の頼みなら、やってもいいな」と思わせるのか、それとも「この上司の頼みなんて、絶対に聞くもんか!」と部下に思わせるのかによって、チームの成果は大きく変わってきたりします。

実際に仕事をしている中で、「上司のことをこのうえなく好きになる」ということは極めて稀(まれ)だと思います。反面、上司のことを激しく嫌いになるということは十分に起こりうるでしょう。

もちろん、チームの中には、上司のことを好きでもなければ嫌いでもないという層が意外と多いですよね。むしろそのほうが大多数かもしれません。

こういった方々とどんなコミュニケーションを取るかが、チームのパフォーマンスに大きな影響を与えたりします。

会議室でプレゼンテーション
写真=iStock.com/courtneyk
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/courtneyk

あなたは、どんなコミュニケーションを取っているでしょうか。

大事なのは、「好かれよう」とか「嫌われるのを避けよう」と考えるのではなく、すべての人に対して「否定しないコミュニケーション」を習慣にすることです。

先ほどの映画監督のような工夫があれば、多くの人は「どちらかといえば、協力してあげてもいいかな」と、控えめに好意を寄せる応援団のような存在になってくれる、というのが私のこれまでの経験からわかっていることです。

この「どちらかといえば協力してくれる、控えめな応援団」の存在が、仕事を進めるうえで、ものすごく頼りになります。

「仕事ができる人は、周りの人たちみんなが、その人のために動いてくれている」という話を聞いたことがありませんか。

あれは、仕事ができるといわれる人たちが、「控えめな応援団」をたくさんつくることに成功しているということなのです。

繰り返しますが、控えめな応援団をつくるには、否定しないこと。そして、否定したいときも、相手が否定されたと感じない(感じにくい)言葉を選ぶことです。

それをぜひ、意識してください。

■相手をその気にさせる「魔法」の3文字

→「潤滑油」になる魔法の言葉とは?

「相手の言葉に同意はしなくても、言ってくれた事実を承認する」とお伝えしました。そのときに、使うとさらにいい関係性になれる魔法の3文字があります。

それは、「さ・す・が」という3文字です。

林健太郎『否定しない習慣』(フォレスト出版)
林健太郎『否定しない習慣』(フォレスト出版)

昭和の頃の古いドラマや映画などを見ていると、「いよっ、社長! お目が高い!」なんて、相手を持ち上げる歯の浮くような言い回しがよく出てきます。いかにも昭和っぽいコミュニケーションですが、言われた相手は悪い気がしないという不思議な言い回しです。

残念ながら、この言い回し自体は若干古臭くて、現代のコミュニケーションにそのまま使うわけにはいかないと思います。

だとして、これを現代版に解釈したのが、「さすが」という言葉。言われた相手は「悪い気がしない」という、こちらも不思議な言い回しです。

使い方としては、こんな言葉の組み合わせになると思います。

「そこに気がつくとは、着眼点がいいね。さすが○○さんだね」
「さすが○○さん。次のステップに進みたいという向上心だね」

私の専門としているコーチングというコミュニケーションでは、褒める、という方法を過剰に使わないように気をつけているのですが、この「さすが」という言い回しは使い勝手がいいので適宜使うようにしています。

つまりこの「さすが」は会話の潤滑剤になるということ。円滑な会話の運びに一役買う、「さすが」という言い回し。ぜひ、使いこなしてみてださい。

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林 健太郎(はやし・けんたろう)
リーダー育成家
合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ。一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、日本におけるエグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏との出会いを契機に、プロコーチを目指して海外修行に出る。帰国後、2010年にコーチとして独立。リーダーのための対話術を磨くスクール「DELIC」を主宰。2020年、オンラインでの新しいコーチングの形態「10分コーチング」(商標出願中)を開発。

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(リーダー育成家 林 健太郎)

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