普通の人間は「失敗」より「成功」を怖がっている…爆発的な成功を収めるために凡人が覚悟するべきこと
プレジデントオンライン / 2023年2月17日 10時15分
ヘンリー・フォード(写真=National Photo Company Collection. Copyright by Keystone View Co., Inc., of N.Y/PD US expired/Wikimedia Commons)
※本稿は、藤本梨恵子『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■真のライバルとは?
恐るべき競争相手とは、あなたのことをまったく気になどかけず、自分の仕事を常に向上させ続けるような人間だ
(ヘンリー・フォード 企業家)
ライバルのことが気になってしかたがない、なんてことはありませんか?
Aさんはプライドが高く承認欲求も強いので、部署で一番自分が評価されないと気に入りません。評価されるためには、自分のスキルやコミュニケーション能力を磨けばいいのですが、ライバルの動向ばかりが気になり、自分の成長がおろそかになっています。
例えば、ライバル視している相手にかかってきた電話や、相手が社内の他の人と話していると、必ず手を止めてその話を聞いています。さらに、その相手の粗をいつも探して、批判したり、攻撃したりするのです。
ビジネス界は競争社会です。そのため、比較意識が強い人は同僚をライバル視して、対抗心を燃やしやすいのです。
相手を意識して、自分を成長させる人はいいのですが、自己肯定感が低い人は、相手がうまくいっていると自分の劣等感を刺激され、妬んだり、嫌がらせをしたりします。相手の成功は自分の失敗を意味するからです。
だからライバルが「褒められていないか?」「他者から高い評価を得ていないか?」といつも気にして、自分のことに集中できません。そして、相手が成果を上げようものなら、相手の批判を周りの人に繰り広げます。相手の足を引っ張り、批判して、貶めて、自分のほうが優れていると思い込むことは、努力するよりはるかに簡単にできるからです。
■他人を気にせず、自分を磨くことに注力する
自動車の育ての親と言われるヘンリー・フォードは、ライン生産方式で自動車の大量生産に成功し、自動車の大衆化を実現しました。産業構造を変え、人々の労動環境も変え、自動車生産を起爆剤にアメリカ全土を豊かにしました。
彼は「恐るべき競争相手とは、あなたのことをまったく気になどかけず、自分の仕事を常に向上させ続けるような人間だ」と言っています。
同僚からライバル視され、提案をすればことごとく文句を言われ、陰で悪口を言われ続けたBさん。でも彼はそんなことに気を留めず、それどころか、競合他社について調べ、自社の弱点を補強するためのプランをどんどん提案し、成果を上げ、上司からも信頼されていきました。自分の仕事を向上することに注力したのです。
50戦無敗、ボクシング元世界5階級制覇王者のフロイド・メイウェザーは神業的なディフェンス技術で王座を守ってきました。その驚異的な成績の理由は、他でもない彼の練習量にあったのです。練習の鬼と言われるほど、真摯(しんし)に練習にとり組んだ彼は、
「お前が休んでいるとき、俺は練習している。お前が寝ているとき、俺は練習している。お前が練習しているとき、もちろん俺も練習している」
という名言を残しています。この練習量こそが、メイウェザーの技術力と自信を支えているのです。
最近の格闘技は、ライバルの戦い方などを映像で研究することが当たり前になっています。もちろん、ライバル研究も必要ですが、何よりも、圧倒的に自分自身に向き合い、自分を鍛え、磨いた人が王者に君臨できるのです。
大切なのは、他人を気にしすぎて、相手の成功を羨んだり、妬んで足を引っ張ったり、誹謗(ひぼう)中傷したりすることではなく、自分を磨くことに注力することです。
目標を達成した人物に「ライバルは誰ですか?」と聞くと、「自分です」と答える方が多いのは、本当に戦うべき相手が他人ではなく、自分の自信のなさや、目標から遠ざける自分の考えや行動だということがわかっているからです。
真のライバルとは、他人ではなく、自分自身なのです。
■成功という名の試練
成功さえも試練である
(稲盛和夫 実業家)
「人は闇よりも光を恐れるものである」。私の心理学の師匠が話してくれた言葉です。
この言葉を聞いた当時、私は「そんな、ばかな!」と思いました。みんな幸せになりたいし、誰もが成功したいと思って頑張っているのに、幸せや成功を恐れるわけがないと思ったのです。しかし、潜在意識の仕組みを学ぶと、人は失敗や不幸より、成功や幸せを恐れることが真実だとわかったのです。
私の知人のAさんはとても美しい方です。でも、人から容姿を褒められることをひどく嫌います。話を聞くと、実はAさんには姉がいて、幼い頃からAさんが近所の人から「かわいい妹さんね」などと褒められると、あとで姉から意地悪をされたというのです。それが繰り返されるうちにAさんの中には、「褒められる=あとで酷い目に遭う」というX=Yの公式が生まれ、褒められるのを嫌う・避けるという条件づけができてしまいました。
褒められるのを避ける行為は、容姿だけにとどまりません。仕事でうまくいって良いフィードバックを受けても、「とんでもない」と評価を受けとらないような返答をしたり、「相手がお世辞を言っている」と思い込んで褒められていないことにします。褒められる行為を受けとらないほうが安全である、と無意識の深い部分で信じているからです。
「人から認められることは危険である」という思い込みをAさんが手放さない限り、人からの承認を受けとったり、仕事で成功したりすることはありません。今まで慣れ親しんだ無意識のパターンを手放すのも一つの試練です。
Bさんは出版社に企画書が採用されていたのに、1年以上原稿を書くことができず、結局出版の話は頓挫してしまいました。
Bさんは出版して多くの人の目に自分の書いたものが晒され、批判されることが怖かったと言います。出版という光を手に入れるためには、批判されるリスクという闇も同時に手にする覚悟が必要です。
■誰からも批判されずに成功することは不可能だ
Cさんには、自分の仕事がうまくいっていないときにいつも励ましてくれる友人がいました。しかし苦労を重ね、ようやくビジネスを成功させたとき、その友人は途端に冷たくなったと言います。
人間関係に上下関係を持ち込む人は、相手が不幸なうちは自分が上の立場でいられるからいいのですが、相手が成功すると自分が負けて下の立場になったような気がしてしまうのです。さらに人には現状維持メカニズムがあり、変化を嫌います。その友人は、不幸なCさんのまま、友達でいたいと思っていたのです。
自分が成長したり、成功したりしたときに心から喜んでくれない相手とは、お別れしなければならないときがきます。それは寂しさを伴うかもしれません。それも試練です。
ケント・M・キースは著書『それでもなお、人を愛しなさい』(早川書房)の中で「成功すれば嘘の友達と本当の敵を得ることになる。それでもなお、成功しなさい」と言っています。
ビジネスで成功すると応援してくれる人はいますが、同時に批判されたり、妬まれたりすることも増えます。自分のやりたいことに反対する人が現れたとき、「反対されるから諦める」のか、「反対されるのは想定内。自分はなんとしてもやり遂げる」と思うのか、自分の本気が問われます。
光と闇はいつもセットです。成功すると嫉妬されたり、批判されたりすることがあります。誰からも批判されずに成功することは不可能です。
自分の達成したい目標の光(良い部分)だけを手に入れたいと願うのではなく、闇(悪い部分)も引き受ける覚悟を持つことが大切です。それが目標を達成し、成功することの本質だからです。
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ファイン・メンタルカラー研究所代表
NLP心理学を中心にコーチング、カウンセリング、マインドフル瞑想などの手法を習得し統合。その手法を生かし、キャリアカウンセラー・講師として独立。各企業・大学・公共機関の講演の登壇数は2000回を超え、婚活から就活まで相談者数は1万人を超えている。コーチング、パーソナルカラー、カラーセラピスト、骨格診断ファッションアナリスト等のプロ養成講座の卒業生は500人を超え、個人診断においては1000人を超える。著書に『いつもよりラクに生きられる50の習慣』(かんき出版)などがある。
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(ファイン・メンタルカラー研究所代表 藤本 梨恵子)
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