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なぜしっかり寝たのに疲れが取れないのか…「朝から体がだるい人」がガチガチになっている"筋肉の名前"

プレジデントオンライン / 2023年2月1日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Wand_Prapan

なぜしっかり寝たのに疲れが取れないのか。ウォーキングコンサルタントの犬飼奈穂さんは「長い時間同じ姿勢のままでいると、筋肉や骨に負担がかかってしまう。睡眠の質を高めるには、寝返りを打てるように、背中の筋肉をやわらかくすることが重要だ」という――。

※本稿は、犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■睡眠の質と寝返りには密接な関係がある

良質な睡眠に寝返りは欠かせません。一般的に成人は、7~8時間の睡眠中に、20~30回ほどは寝返りをすると言われています。

「ぐっすり深く眠る」と聞くと、ほとんど動かずに眠り続けることをイメージされるかもしれませんが、それは逆です。睡眠中、長い時間同じ姿勢のままでいると、筋肉や骨に負担がかかってしまいます。そこで、人間の身体は無意識のうちに体をひねりながら寝返りを打つことで、筋肉を動かし、体への負担を減らしているのです。寝返りには、血行やリンパの流れを促進したり、体温調整を助けたりする働きもあります。

ところが背中の筋肉が固くなってしまうと、寝返りが打ちづらくなります。背中や肩、腰などの筋肉が収縮して可動域が狭くなると、うまく体をひねることができないからです。寝返りは無意識の動きだからこそ、体の状態がダイレクトに反映されるのです。

「背中が固くなっている」と言っても、すぐにはイメージしづらいかもしれません。少しご説明しましょう。「背中が固い」というのは、具体的には、「体の後ろ側の筋肉=背中の筋肉」が、こり固まっている状態を指します。

多くの人は、日常生活で「体の前側」の筋肉ばかりを使っています。ものを掴む、パソコンやスマホの操作をする、料理をする、歩く……普段の生活では、残念ながら「体の後ろ側」の筋肉はほとんど動かせていないのです。動かせていないと、筋肉は固くなります。

■なぜ子供は疲れを持ち越さないのか

日ごろは意識しない背中の筋肉ですが、人間の体の構造上、とても重要です。「広背筋(こうはいきん)」と呼ばれる背中の大きな筋肉の一つは、肩甲骨(けんこうこつ)や上腕、骨盤などに付着しています。

この広背筋が固くなると、あらゆる不調を引き起こすと言っても過言ではありません。背中の周囲の筋肉が不自然に引っ張られるので、肩こりや巻き肩、腰痛、O脚などを誘発し、呼吸も浅くなります。筋肉が固くなると血流が滞り、リンパの流れも悪くなって、代謝も下がります。体はどんどん元気を失っていきます。

小さな子どもは、寝返りの回数がとても多いです。でも、年齢を重ねて筋肉の柔軟性がなくなったり筋力が落ちたりすると、寝返りの回数は減ると言われています。若くても、背中の筋肉が固いと寝返りの回数は減ってしまいます。

寝ている男の子
写真=iStock.com/baona
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/baona

悪い夢を頻繁に見る、夜中や明け方によく起きてしまう、朝起きても疲れが取れていない……。こんな悩みを抱えている人は、背中の筋肉が慢性的に緊張して、ガチガチになっている可能性が高いです。背中をゆるめれば、寝返りで体は快適な状態になり、深く安定した呼吸とともにこわばりも解け、リラックスできるようになります。

■背中が固いと呼吸が浅くなる

背中の固さと呼吸との関係をもう少し説明しましょう。背中が固くなると、呼吸が浅くなってしまいます。呼吸が浅くなると、肺に酸素を十分に取り込めないので、体内の酸素量が減少します。疲れやすさ、冷え、集中力の低下、自律神経の乱れなどを引き起こします。

これは睡眠中も同様です。呼吸の質を上げて良質な睡眠を得るためには、「深い呼吸」が大切です。このためには、筋肉をゆるめる必要があります。

呼吸というと、「肺が広がったり縮んだりする」と考えがちですが、肺そのものが勝手に動いてくれるわけではありません。肺の周辺にある筋肉(呼吸筋)の動きによって、呼吸は行われています。

人の肺は、胸椎(きょうつい)や肋骨、胸骨、横隔膜などで囲まれた「胸郭(きょうかく)」と呼ばれる骨組み状の箱の中におさまっています。その内側の空間を「胸腔」と呼びます。胸腔が広がったり縮んだりすることで呼吸活動が行われているのですが、胸郭を動かしているのが、呼吸筋なのです。呼吸筋が固くなって動きが悪くなると、胸郭はうまく広がらなくなります。

■睡眠の質を高める寝る前の習慣

呼吸筋として代表的なものの一つに、肋骨の周辺にある「肋間筋(ろっかんきん)」があります。肋間筋は、肋骨を取り囲むようにぐるりと背中側にもついているので、背中の筋肉が固くなると、肋間筋のスムーズな動きをさまたげてしまい、肋骨がうまく広がらなくなります。そうすると、もう一つの代表的な呼吸筋「横隔膜」の動きも制限されます。こうして胸郭が広がらなくなると、無意識のうちに呼吸は浅く、速くなります。

筋肉はピンポイントで固くなるのではなく、引っ張り合い、連動しています。背中にある、大きな筋肉をたくさん動かしてゆるめることで、胸まわりの筋肉や呼吸筋をゆるめることができるのです。

では、眠る前に簡単に背中をゆるめることができる方法を1つご紹介します。実は「深い呼吸」を意識することによって、背中をゆるめることもできるのです。呼吸が深くなると、酸素の供給量が上がります。筋肉にも酸素がしっかりと届くので、筋肉の柔軟性が上がって動きやすくなります。呼吸によって背中の筋肉がゆるみ、筋肉がゆるむことでさらに呼吸が深くなる……。このような良い循環が生まれます。

呼吸というと「腹式呼吸」がイメージされる人が多いと思いますが、私は「胸腹式呼吸」をおすすめします。なぜなら、腹式呼吸の場合、息を吸い込む際に無理にお腹を膨らませる必要があるため、不自然な動作になってしまうからです。お腹の動きも同時に意識しなければいけないので難易度が上がってしまいます。

その点、胸腹式呼吸は簡単です。鼻から吸って口からフーッとラクに吐くだけです。肋骨全体が広がり、特に背中側が動いていることを意識しながら行います。寝る前に10呼吸程度でいいので、毎日続けてみてください。

■背中をゆるめると健康になる

背中をゆるめると、ぐっすりと眠れるようになる以外にもたくさんのメリットを得られます。背中をゆるめ、筋肉への負荷や内臓への負担を減らし、血流やリンパの流れを良くすることで、基礎代謝が上がり、免疫力も上がります。老廃物の排出がしやすい体質になり、便秘の解消につながります。動かせる筋肉が格段に増えるので、やせやすい体になっていきます。つまり、身体が健康な状態になります。

犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)
犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)

健康になると、勝手にキレイになります。美しさは求めるものではなく、結果としてついてくるものなのです。若さも同様です。若く見せることを追求するのではなく、健康になることで、「結果として若返る」のです。自分が心地よい状態を求めることによって、日常のちょっとしたしぐさに軸が生まれ、はつらつとして見えるのです。

「年齢よりも若く見られたい」という欲求は自然なものです。もし見た目を気にしてアンチエイジングにあれこれと投資されているようなら、背中をゆるめることにも目を向けてください。最大のアンチエイジングであり、即効性が期待できるのも嬉しいポイントです。

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犬飼 奈穂(いぬがい・なほ)
ウォーキングコンサルタント
歩き方コーチ。「ORO(オーロ)ウォーキングスタジオ」代表。「オーラをまとう歩き方レッスン」主宰。愛媛県松山市出身。「正しい歩き方」ではなく、「心地よい歩き方」を探求し、これまでに述べ6000人以上に指導し、肩こり・腰痛、猫背、坐骨神経痛など、体が抱える数々の悩みを改善してきた。開催する講座やセミナーは1000回を超える。

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(ウォーキングコンサルタント 犬飼 奈穂)

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