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どんなに寒い日でも"温かい布団への未練"を断ち切れる…"朝"を制覇する人がやっている寝起きのルーティン

プレジデントオンライン / 2023年2月1日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/aquaArts studio

いい状態で一日をスタートするにはどうすればいいか。建功寺住職の枡野俊明さんは「“寝床への未練”を断ち切るための、毎朝1分に満たないルーティンがある。目が覚めたらパッと起き上がり、寝室とリビングの窓を開放して空気を入れ替えることだ」という――。

※本稿は、枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■いい一日になるかどうかは、「朝」で決まる

「寝起きが悪い」人は、意外と多いようです。

前日に夜ふかしをするせいなのか、不眠症気味なのか、はたまた気の重くなることがあって起きるのがイヤなのか。いずれにせよ、一日のはじまりとしては最悪といわざるをえません。

私たちの活動時間は、一日に16、7時間くらいなもの。スタートからつまずくことによって生じる無駄を挽回できるほど長くはありません。

それにスタートにつまずいた焦りから、次々と余計なトラブルを生じさせてしまうこともままあるでしょう。

いい一日になるかどうかは、「朝」で決まる。人生は「朝」で決まる。

そういっても過言ではありません。寝起きがよくなるよう、前日の夜の過ごし方を見直しましょう。

またどんなにイヤなことが待ちかまえている日でも、それに立ち向かう元気が出るよう、これから述べる「朝の整え方」を参考に、朝の過ごし方を工夫しましょう。

■朝のバタバタはトラブルを呼ぶ

学生さんも、勤めに出る人も、たいていの人が口をそろえて「朝は忙しい」といいます。たしかに、やることはたくさんあるでしょう。お子さんのいる方なら、お弁当をつくったり、身支度を手伝ったり、なおさら忙しい。

しかしその忙しさは、シンプルに、ちょっと早起きすれば解決するのではないでしょうか。出かける時刻から逆算して、ギリギリまで寝ているから、忙しなくなってしまう部分がありそうです。「1分を惜しんで寝たい」からかもしれません。

その考えの逆をいきませんか? 「1分を惜しんで起きよう」と考えるのです。実際、「余裕を持って行動するためにはぐずぐず寝ている場合ではない」のですから。

朝がバタバタになると、部屋や台所をぐちゃぐちゃにしたまま出かけたり、忘れ物をしたり、転んでケガをしたりなど、何かしらトラブルが起きるものです。

いまより30分早く起きましょう。朝のバタバタが解消されるばかりか、心にも行動にも余裕が生まれます。静かな気持ちで朝を迎え、ゆとりを持って行動する。それができてはじめて、アクティブな一日のスタートが切れるのです。

■“寝床への未練”を断ち切る方法

私はもう何十年来、目覚まし時計のお世話になっていません。毎朝、決まって4時半前後に目が覚めるからです。

“寝床への未練”は一切なし。一度、仰向けのまま、グイーッと大きく伸びをして、「よし!」と気合いを入れて、パッと起き上がります。

そのあと、お寺の門や戸をすべて開けて回ります。そうして朝のさわやかな空気を入れることで、夜の間にこもった空気のよどみを一掃するのです。

みなさんもすべての部屋の窓を開放するのは手間かもしれませんが、せめて寝室とリビングの窓くらいは、出かけるまでの数十分、開け放して空気を入れ替えることをおすすめします。

窓を開けて朝日を浴びる女性
写真=iStock.com/show999
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/show999

このわずか1分にも満たない行動で、いっぺんに目が覚めますし、これから一日に向かう心身の準備が整います。

「パッと起き上がり、サッと窓を開ける」ことが習慣化すれば、目覚まし時計いらず。いい朝を迎えることができ、最高のスタートを切ることができます。

■体いっぱいに朝陽を浴び「朝の気」を深く吸い込む

窓を開けたタイミングで、朝陽のほうを向いて、深々と一礼。同時に、深呼吸を2、3回するといいでしょう。曇っていても大丈夫。厚い雲の向こうには、いつだって太陽が光を放っています。

起床後すぐに朝陽を浴びることは、健康にいいとされています。理由はおもに3つ。第1は、脳に光が届くと、メラトニンという眠りに誘うホルモンの分泌が抑制されて、体がスムーズに活動モードに切り替わること。

第2に、幸せホルモンとして知られる脳内物質のセロトニンの分泌量が増えること。そして第3に、免疫力を増強するビタミンDが生成されることです。

体いっぱいに朝陽を浴びながら深呼吸をし、朝の空気を胸深くまで吸い込みましょう。さらに東から南、西、北と四方を拝むことをおすすめします。

これはその昔、朝廷が正月に行なっていた「四方拝」と呼ばれる儀式のようなもの。天皇がその年の災厄を払い、皇位の長久を祈ったように、その日一日の無事を祈って拝むといいでしょう。

■目覚めたことに感謝する“幸せ体質”の磨き方

たとえば病床にあるなど、自らの命に限りのあることを強く意識している方は、よくこんなことをおっしゃいます。

「朝、目覚めると、『ああ、今日という新たな一日を、生きて迎えることができた。ありがたいな。幸せだな』と、幸福感に満たされる」と。

健康だとそういう感覚はなかなか持てないものです。「毎朝、目が覚めるのは当たり前」と思ってしまうからでしょう。

しかし「命に限りのある」ことは、万人に共通の現実です。誰もが「生きて新しい一日を迎えられる」とは限らないのです。

朝起きたときに抱くこの「幸福感」は、持ったほうがいい。窓を開けて、昨日とは違う今日の景色に目をやり、朝陽を拝みながら、あるいは深呼吸をしながら、「ありがたいな」と感謝し、しみじみと幸福感に浸りましょう。

なんといっても、幸福感は健康に資するビタミン剤。ほんの短い時間でも、「幸せだなあ」と思うと、それだけで心が整い、“幸せ体質”が磨かれます。

■ササッと「朝掃除」が人生に効くワケ

イヤなことが続いていたり、前の日の疲れが取れなかったりすると、朝から気分がどんよりします。このマイナス気分を立て直すのは、けっこう時間がかかります。

そんな気分は朝、早いうちにリセットしたほうがいい。そのために一番有効なのが、「朝掃除」なのです。

玄関前を掃除する女性
写真=iStock.com/JGalione
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JGalione

掃除をして、気分がすっきりしない人はいません。みなさん、「部屋がきれいになるのと同時に、心も掃き清められる思い」だとおっしゃいます。

ただ「掃除をしましょう」というと、なんだか億劫に感じられる方が多いようです。それでゴミを溜めて、気分まで悪くなっている人のなんと多いことか。少し大げさに考えているのかもしれません。「ササッ」と簡単にやればいいのです。

たとえば「リビングの床をササッと掃く、またはササッと掃除機をかける」「テーブルやソファなどに散らかっている物をササッと片づける」「ベッドやおふとんをササッと整える」など、5~10分程度でできる掃除で十分。それだけで気分がリセットされ、うまくいけば一日中、その心地よさを維持できるでしょう。

■10分「朝坐禅」で一日分の心の栄養をチャージ

ぜひ「正しい姿勢」を習いましょう

私が「いままでより30分早起きを」とご提案する一番の理由は、ぜひとも10分程度の朝坐禅の時間を取っていただきたいことにあります。

坐禅とは「調身・調息・調心」そのもの。姿勢と呼吸と心を整えることができるので、一日のスタートに行なうのにうってつけなのです。いうなれば、元気をチャージしてくれる栄養剤のように、「心身の英気を養う」効果があります。

ただし坐禅は、自己流ではいけません。「本や映像の教材などを参考にすれば簡単にできる」と思われるかもしれませんが、これがなかなか難しい。自分ではまっすぐ座っているつもりでも、左右どちらかに傾いていたり、前屈みや反り腰になっていたり、あるいは首が曲がっていたりする場合がほとんどです。

一度、お寺の坐禅会などに参加して、「これがあなたのまっすぐですよ」という姿勢を教えてもらいましょう。それをつかみ、体で覚え込んだら、あとは自由に好きなだけやってOKです。朝以外にも気持ちを落ち着け、整えたいときなどにどうぞ。

■腹式呼吸で読経が体の免疫力を上げる

僧侶は宗派にかかわらず、さまざまなお経をあげます。お経とは、ひとことでいえば、お釈迦さまが説いたたくさんの教えを、弟子たちがまとめたものです。

世の中の真理や、私たちが心安らかに生きていくための知恵など、ありがたい文言が並んでいます。

そのお経をあげることが、近年は健康法としても注目を集めているそうです。とりわけ腹式呼吸で読経すると、体の免疫力が上がり、心はリラックスし、脳の働きが活性化するともいわれているのです。体も心も整えてくれます。

私も毎朝どころか、ときには一日中、お経をあげていますので、身をもってお経の心身に与えるいい効果を実感しています。

みなさんも朝の坐禅に、加えて読経を取り入れてはいかがでしょうか。坐禅に引き続いて読経、このほうがむしろ取り組みやすいかもしれません。

おすすめは「般若心経」です。短いので、さほど負担にはならないかと思います。それにもかかわらず、その効果は大きいので、ぜひ実践してみてください。

■朝から元気な人の「声を出す」習慣

「読経はハードルが高い」という人も、何かしら「声を出す」ことはやったほうがいいかと思います。

枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)
枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)

とくに寝起きは、口の中が乾くこともあって、声がかすれがち。そのまま無言でいると、会社に着いてからも、なかなか調子が出ないでしょう。けれどもお腹の底から、声を出してごらんなさい。元気がモリモリわいてきます。

たった、ひとことでもいい。たとえば「今日も一日、がんばるぞ!」とか「何もかもうまくいくぞ!」「いい一日にするぞ!」などと大声で叫ぶだけで、自分に気合いを入れることができます。

声に出すと、その言葉が自分の耳に入り、脳に伝達されるので、気持ちが整い、自然と心が奮い立つでしょう。

少々古い話になりますが、その昔、経団連の会長を務められた土光敏夫さんは、毎朝、「エイッ! エイッ!」と大きな声を出しながら、剣道の素振りをされたそうです。

そのあとで「般若心経」をとなえられた、とも聞きます。この朝の習慣が、土光さんの仕事、人生にいい影響を与えたのではないでしょうか。

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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー
1953年、神奈川県生まれ。多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。

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(曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー 枡野 俊明)

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