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朝起きてすぐスマホを見てはいけない…住職が絶対するなと強調する一日が台無しになる"最悪の習慣"

プレジデントオンライン / 2023年2月2日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

一日を爽やかに始めるための朝の習慣は何か。建功寺住職の枡野俊明さんは「朝からスマホは絶対に見てはいけない。心静かに一日をスタートするどころか、疲れ切ってしまう」という――。

※本稿は、枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■30分早く起きることで、朝食がおいしくなる理由

「起きてすぐは食べられない」という声をよく聞きます。

たしかに、起きた瞬間に「お腹が空いた」とはなりにくい。胃もまだ動きはじめていないので、食欲がわかないかもしれません。朝食抜きの人が多い背景には、そんなこともあるのでしょう。

私が「いまより30分早く起きる」ことを提唱する理由の1つは、まさにそこにあります。30分の間に、家の窓を開けて回ったり、坐禅をしたり、お経をあげたり、掃除をしたりすれば、それだけ体を動かしますから、お腹も空きます。胃腸も動き出します。

起き抜けには無理でも、ひと仕事したあとなら食欲もわくというものです。

私自身は4時半ごろに起きて、6時半くらいに朝食をとります。つまり朝のお勤めは、2時間。その間、境内をけっこう動き回るので、かなりお腹が空きます。「食べないではいられない」くらいです。

みなさんの場合は「いまより30分の早起き」で体を動かすので十分。ひと仕事したあとは、朝食がいっそうおいしくいただけると思います。

■朝食は「軽めに、ちゃんと」がベスト

“ひと仕事”したあとの朝食がおいしいからといって、食べすぎてはダメです。食べる量が多ければ、それだけ消化するのに時間とエネルギーを要します。

それでは日中の活動に振り向けるためのエネルギーが削がれてしまわないとも限りません。朝からドカ食いなんてもってのほかです。

朝食は本来、「一日を元気に活動するエネルギーを補給する」ためのもの。活力を減退させるほど食べるのは本末転倒なのです。

ですから朝食は「軽く」するのがベスト。ご飯、パン、シリアルなどの炭水化物と、牛乳やヨーグルト、卵などのたんぱく質、ビタミン・ミネラルの豊富な野菜・果物などをバランスよく食べるのが理想でしょう。

朝食のパンがのった皿を持つ女性
写真=iStock.com/Imgorthand
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Imgorthand

朝食には脳や身体機能を整え、ウォーミングアップさせる効果があるそうです。食べないと、活動のエンジンが昼ごろまでかからない、といわれています。

しかし「たくさん」の量よりも、「軽め」に「ちゃんと」食べることが大切なポイントなのです。

■嚙めば嚙むほど、少ない量でも満足できる

修行僧の食事は、「粗食中の粗食」ともいえるものです。

とりわけ「小食」と呼ばれる朝食は、水っぽいお粥と、ごま塩、透けるほど薄く切ったお漬物くらいのものです。

あまりにも量が少ないことも手伝って、修行僧たちは食べ終わるのを惜しむように、よく嚙むようになります。

その「よく嚙む」ということが、健康にはとてもいいようです。朝の効用でいえば、嚙むごとに脳が刺激され、いい感じで脳が活動モードに入ること。だんだん頭がクリアになっていく感覚が得られます。

また嚙む回数が増えるにつれ、徐々に空腹感が消えていき、満腹感が広がっていくようです。あまり嚙まないと、脳が刺激されないうえに、食べるスピードが速すぎて、脳が満腹を認識するのが遅れるそうです。

食べ終わったあとで、「ああ、食べすぎた」「苦しい」と後悔することが多い人はとくに、よく嚙み、ゆっくり食べることを心がけましょう。

■食事前の大事な心構え“生かされている”ことに感謝する

禅では古来より、食事をするときの心がまえとして、食べる前に「五観の偈(げ)」というお経をとなえます。

これは、日本における曹洞宗の開祖・道元禅師の著作『赴粥飯法』に引用されて、広く知られるようになりました。

その眼目は、「食べるとはすなわち、自然の恵みたる命をいただくことである。そうして自分が生かされていることに感謝して、いただきましょう」ということにあります。

みなさんも食事をする前、ほんの数十秒でいいので、目を閉じて、心の中で、「いまからこの大切な命をいただきます」「この食事を通して、自分自身の体に栄養をいただきます」といったことをつぶやいてはいかがでしょうか。

感謝の心があればこそ、ぞんざいな食べ方はできなくなるもの。自然と、命を愛おしみながら、ゆっくり、ていねいに食べるようになるでしょう。それがひいては健康に資することはいうまでもありません。

■「朝からスマホ」は一日を台無しにする悪習慣

片時もスマホを手放せない人が増えているようです。それがクセなのか、習慣なのか、朝起きるとすぐに枕元のスマホを手に取り、何かしらの操作をはじめる、そんな具合です。

「朝は忙しない」とバタバタしているのに、スマホをいじる時間はあるのかと、なんとも不思議な感じがします。

ニュースを見ているのか、メールやLINEをチェックし、返信しているのか、ゲームをしているのか……いずれにせよ、起き抜けからやらなくてもよいではありませんか。緊急の連絡などめったにないはずです。

起き抜けにスマホをチェックする女性
写真=iStock.com/Hirurg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hirurg

そもそも心静かに一日をスタートさせるうえで、スマホほど邪魔になるものはありません。

へたしたら、目を酷使したり、情報洪水にさらされたりすることで、朝から疲れ切ってしまいます。さわやかな朝が台無しです。

せめて通勤電車に乗るまで、スマホをガマンしませんか? それは自分の心身を整え、健康を守ることでもあるのです。

■禅の精神に反する「ながらスマホ」

朝食に限らず食事全般でいえることですが、「食べながら、スマホをいじっている」人のなんと多いことか。「スマホをいじりながら、食べている」感すらあります。

そんなふうにして食事からスマホに意識が奪われると、最悪の場合、自分が何を食べているのかもわからなくなります。

また「嚙む」ことも疎かになり、消化によくありません。そのうえ、脳からの“満腹信号”が遅れるために、ついつい食べすぎてしまいます。結果、味覚の衰えや消化不良、肥満などの体調不良をまねく危険があります。

禅では「喫茶喫飯」といって、「お茶を飲むときは、お茶と1つになり切って味わう。ご飯を食べるときは、ご飯と1つになり切って味わう」ことの大切さを説いています。

つまり「食事のときは食事に集中して、おいしさを味わいなさい」ということ。逆にスマホを操作するなら、それだけに集中しなさい、ということです。このように禅は基本的に“ながら行動”を戒めています。

■心と体にいいことずくめの「朝散歩」

朝の散歩は本当に気持ちのいいものです。空気はじつにさわやか。歩くほどに、胸がいい気で満たされますし、歩くことで頑丈な足腰をつくることもできます。骨にも刺激が加わり、骨が強化されるそうです。歩くなら朝がベストです。

歩くことはほかにも「脂肪をエネルギーとして燃焼しやすくなり、肥満が解消される」「代謝が上がり、血中脂質や血糖値、血圧の状態が改善する」「心肺機能が高まる」「快感ホルモンの分泌が促され、マイナスの感情が低下する」など、いいことずくめ。

散歩というのは、心身を整える「養生」を絵に描いたような営みなのです。

桜の木がある河川敷を歩く親子
写真=iStock.com/Free art director
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Free art director

ですから、朝、散歩のための時間が取れるなら、取ったほうがいい。何も無理してエクササイズやジョギングをしなくてもいいのです。朝の風景に季節を感じながら、ぶらり歩くので十分です。

「朝の散歩の時間は取れない……」という人は、通勤の駅までの道を利用してもいいでしょう。ちょっと遠回りする、バスに乗る距離を短くする、自転車を徒歩に変えるなどして、散歩感覚で歩くことを楽しんでいただきたいと思います。

■「いい一日になる!」と強気で家を出よう

今日一日がどんな日になるかは、誰もわかりません。もちろんスケジュールがありますから、日によってはワクワクしたり、気分が重くなったり、さまざまでしょう。家を出るときの気分というのは、その日待ち受けている仕事に左右される部分が大きいと思います。

枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)
枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)

だからこそ、「今日はいい一日になる!」と声を出し、そう確信し、明るさで向かう先を照らすように、元気な一歩を踏み出すことが大切なのです。

とくに負の予測をするのはやめて、とにかく気分を明るくしましょう。そうすれば、やるべきことがなんであれ、尻込みすることなく、元気に向かっていくことができます。たとえ結果が出なくても、「精いっぱいのことをやった」という爽快感が残るはず。

少なくとも「なんとなくおよび腰になって、持てる力の半分も発揮できなかった」というふうなことにはなりません。

よく「イヤな予感ほど当たる」といわれるように、「うまくいかないかも」とビクビクして取り組んでうまくいった試しはないのです。ここは強気でいきましょう。

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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー
1953年、神奈川県生まれ。多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。

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(曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー 枡野 俊明)

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