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「夜9時以降はスマホ断ちして、月を愛で、星に感動しなさい」禅が教える"ストレスが消える夜のルーティン"

プレジデントオンライン / 2023年2月3日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bennymarty

毎日を活き活きと過ごすにはどんな習慣を持つべきか。建功寺住職の枡野俊明さんは「夜9時以降は仕事を切り上げ、スマホ断ちすることだ。代わりに月を愛で、星に感動することで心が洗われストレスが消えていく」という――。

※本稿は、枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■夜9時以降は「何も考えない」

日中を活動的に過ごすと、かなり疲れます。夜遅くまで遊ぶ体力は、とても残っていないはずです。仕事も遊びも、遅くとも夜9時前後には切り上げ、疲れをクールダウンさせる。

「整える力」を高めるためには、それが夜にふさわしい過ごし方です。

私は夕方6時ごろに仕事を一段落させ、2時間ほど夕飯や入浴に費やします。その後1時間半くらいまた仕事をして、9時半にパソコンの電源を切ります。

あとはお仏壇にお参りして眠りにつく。夕方から夜にかけては、だいたいそんなスケジュールです。日中の興奮がうまい具合に静まり、布団に入った瞬間、ストンと寝入ります。

みなさんには残業やら、夜のおつき合いやらがあって、夜も何かと忙しいと思いますが、極力「活動は9時前後まで」と決め、そして就寝までのせめて2時間くらいは、たとえばヒーリング系の音楽を聞いたり、詩集を読んだり、画集を眺めたり、アロマを焚いてまったりしたり、心を整える安らぎの時間を過ごしてください。

日中は頭を使うことが多く、脳の活動が前頭葉に集中するそうです。だから夜は何も考えず、前頭葉を休めてあげるのがいいとされています。

■もう全部“朝送り”にしよう

夜は一人で落ち着いて考えるのに適した時間帯のようですが、それはまったくの見当違いです。

なぜなら闇に覆われる夜は、思考がネガティブに陥りやすいからです。とても“ポジティブ思考”“未来思考”にはなれないのです。

また大事な判断をするときも、夜はふさわしくありません。判断というのは、それが大事なものであればあるほど、心身のエネルギーがマイナスに傾いているときにしてはいけません。

思考が悲観的になり、消極的な行動を促し、はかばかしい結果が得られない危険性があるからです。

夜は心身の疲れを癒す。それが自然の摂理にかなった過ごし方です。へたに考えごとをして眠れなくなるより、何も考えず、何も決めず、気になることがあっても“朝送り”して、よく眠り、心身のエネルギーを充塡(じゅうてん)することのほうが大切です。

そうして朝、すっきりと目覚め、日の光を浴びて活動を開始する――。そのときこそ“判断の旬”なのです。

■達磨大師が教えてくれる「安眠」のヒント

いかに寝つきのいい人も、翌日に心配なことや不安を覚えることがあると、とたんに眠れなくなるものです。そんなときはこう考えてください。「心に生じた心配や不安には実体がない」と。それを教えてくれるいいお話があります。

ベッドで眠る女性
写真=iStock.com/PonyWang
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/PonyWang

禅宗の始祖である達磨(だるま)大師は、慧可(えか)という弟子から悩みを打ち明けられます。「私の心はいつも不安でいっぱいです。どうか取り除いてください」と。

すると達磨大師は「わかった。取り除いてあげよう」と請け負いました。が、「その前にまず、私の前にその不安とやらを出してみてくれないか」というのです。

これには慧可も困り果てました。不安を心から取り出すことはできないからです。そして慧可はハッとしました。不安には実体がない――このことに気づいたのです。

達磨大師のこの教えが示唆するように、心配や不安のほとんどは自分の心が勝手につくり出したもの。実体はありません。“妄想”なのです。そうとわかれば、「起こっていないことで悩む必要はない」と、簡単に心から閉め出せるでしょう。

それで万事解決。不眠から体調を崩すリスクをぐんと減らすことができます。

■9時以降はスマホを物理的に遠ざけなさい

スマホほど、夜の静かな時間を乱すものはありません。特段使う必要もないのに、手元にあると、ついいじりたくなるのでやっかいです。

加えて寝る直前までスマホの画面を見ていると、興奮状態が続き、眠りに入りにくくなります。

ここは思い切って、「夜9時以降はスマホを断つ」などと決めましょう。それもただ決めるのではなく、ある程度の強制力を持たせることがポイントです。

たとえばスマホ自体に、「画面を見ない時間帯を設定する」「通知機能をオフにする」など、物理的な制限を加える。あるいは自分のいる場所から遠く離れたところに、充電を兼ねたスマホの“居場所”をつくる。

一階にいるなら二階の部屋とか、寝室にいるなら玄関とか、あるいは子ども部屋や親の寝室など、わざわざ取りにいくのが面倒になるところがいいでしょう。もちろん呼び出し音をオフにすることをお忘れなく。

とくに何か心身に不調があって、「スマホ時間」の長い人は、試しにまず「寝る前のスマホ」をやめましょう。睡眠も改善され、体調が格段によくなるはずです。

■月を愛でると、心が洗われていく

夜もふけるころ、空を眺めてみてください。満ち欠けを繰り返す月の姿がくっきりと浮かび、そのときどきの美しさに感嘆することでしょう。

毎晩眺めていると、月の姿が隠れる雨の夜にも、幻影を見るかのような心地になると思います。

仏教で月は、私たちに本来備わっている美しい悟りの心を象徴するものとされています。だからこそ月を愛でると、自分の心が澄んでいくようなすがすがしさを覚えるのかもしれません。

「誰家無明月清風(たがいえにめいげつせいふうなからん)――どんな暮らしをしている家にも月は明るく宿り、清らかな風は吹き抜ける」という禅語があります。

明月と清風は仏性を意味し、「どんな貧しい人の心にも仏性は宿っている」と説いているのです。心が洗われるようではありませんか。

毎晩、月を愛で、心を自分本来の美しい心にリセットする。それも心の養生のために大事な営みではないかと思います。

松の木の上に昇る満月
写真=iStock.com/kyoshino
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyoshino

■星に感動すると、ストレスが消えていく

夜空に輝くのは、月だけではありません。無数の星が瞬いています。田舎に行くと、まさに「星が降る」という形容がふさわしい、圧巻の風景が眺められます。

そうはいえども、ふだん星空を眺める人がどのくらいいるでしょうか。都市部ではとくに、ほとんどの人がネオンに気を取られて、星はあまり見ないように思います。非常にもったいない。月を愛でるついでに、意識して星空を見上げましょう。

なぜそんなことを提案するかというと、夜空に瞬く星々には「悠久のロマン」が感じられ、その時間軸の広がりとともに心がゆったりするからです。

星々の光が私たちの目に届くまでの時間を考えてみてください。たとえば一万光年離れたところにある星の光なら、一万年という途方もない歳月をかけて宇宙空間を飛び続け、ようやく地球に届くのです。

そう思うと、ちっぽけなことに思い悩む気持ちがなくなりませんか? とくに心がざわつく夜は、星空を眺めましょう。その悠久のロマンに浸るうち、心にのしかかるストレスが軽減され、整っていくと思います。

■一日の振り返りとともに「ありがとう」

私は夜、眠る前にお仏壇にお参りし、その日にあったことや、感じたこと、気づいたことなどを振り返ります。そして最後に、「今日も一日、無事に過ごせました。ありがとうございます」というひとことで締めくくります。

枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)
枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)

そうすると、心がとても落ち着きます。心がとても軽くなります。

また一日の振り返りとして、「感謝日記」をつけるのもいいかと思います。

スマホやパソコンなど、デジタル機器を使ってもいいのですが、できればアナログのノートやメモ帳に、いいこと・悪いことをひっくるめて、今日一日の出来事を記します。

こうすることで、さまざまな感情をアウトプットできるので、驚くほど気持ちがすっきり整います。

ただし最後の一行は、必ず「感謝の言葉」で締めくくることをお忘れなく。

そのひとことで心身に温もりが広がり、心穏やかに一日を終えられるでしょう。そうすれば、いい眠りに入れること請け合いです。

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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー
1953年、神奈川県生まれ。多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。

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(曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー 枡野 俊明)

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