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休日は家でごろ寝してしまう…住職が「やりたいことをやれない人」に提案する"アクティブプラン"

プレジデントオンライン / 2023年2月4日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Cecilie_Arcurs

ダラダラ過ごす時間をなくすにはどうすればいいか。建功寺住職の枡野俊明さんは「時間は主体的に使い切るものだ。やりたいことをやれないなら予定を入れてしまえばいい。プランさえあればアクティブに行動できる」という――。

※本稿は、枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■たくさん眠ることが「健康にいい」とは限らない

「明日は休みだ!」――金曜日の夜はことのほか心が浮き立ちます。朝寝坊できることの解放感から、夜遊び、夜ふかし、深酒をしたくなるでしょう。

しかし「整える力」の観点からは、とてもおすすめできません。規則正しく回すべき生活のリズムが崩れ、体調に悪影響をおよぼす可能性が大きいからです。

とはいえ休日の朝寝坊は気持ちのいい休息にもなりますから、ちょっと譲って、「いつもよりプラス一時間くらいなら、遅く起きてもよし」としましょう。それを過ぎると「惰眠」になります。

たくさん眠るのは健康にいいことのように思うかもしれませんが、じつは逆。睡眠の質を下げ、さまざまな体調不良を引き起こすとされています。十分に眠っているはずなのに、日中に強烈な眠気を覚える場合もあるようです。

いずれにせよ毎日の過ごし方としては、平日も休日も同じような時間帯で活動するのがベスト。“特別感”を得たいのであれば、たとえば「休前日は一時間夜ふかしして、翌朝は一時間寝坊する」程度の変更にとどめましょう。

■“家でごろごろ”ノープランだからだらけてしまう

仕事で疲れていることを口実に、「休日は家でごろ寝」を決め込む人のなんと多いことか。

休みですから、何をしても自由ですが、「何もやることがないから、テレビでも見ながらごろごろと……」というような過ごし方はいけません。“なまけグセ”がついて、かえって心身の調子が悪くなるだけです。

一番いけないのは、「時間に使われている」、つまり自分から行動を起こさず、時間に流されることです。

仕事の日であれ、休みの日であれ、時間というのは自分が主体となって使い切ることが大切なのです。

考え方としては、「休日は、一週間がんばって働いた自分に、あるいは家族に、何かご褒美になることをしよう」。ノープランだからごろ寝になるのであって、プランさえあればアクティブに行動できます。

たとえば好きなゴルフに行く、映画を見に行く、家族でキャンプに行くなど、ちょっとしたイベントを企画してみましょう。休み明け、身も心も軽くなって、新たな一週間をがんばれると思います。

■忙しいからこそ休みを取る

「忙しくて、なかなか休みが取れない」という声をよく聞きます。言葉どおりだとすると、疲労もストレスも溜まる一方ですから、なんとかしなくてはいけません。

しかし、本当に休みが取れないのでしょうか。もしかしたら「評価が下がると思うと、怖くて有休を取る勇気も出ない」のでは?

そうだとしたら、自分から休みを取りにいっていないだけ。つくりにいっていないだけです。

まずそういう認識に立って、「自分から積極的に休日を取る。休日をつくる」というふうに意識をあらためましょう。

そうすると、“忙しさの波”がよく見えるようになります。そのうえで休める日を見きわめ、たとえば「このプロジェクトを3日前倒しで仕上げ、5日間の休暇を取って旅行に行こう」などと決めるのです。

ちょっと大変ですが、休みの計画が待っていると思えば、がんばれるというもの。スケジュールの前倒しは、「休みをつくるための健康法」になりうるのです。

■「やりたいのにやれなかった」未練を減らしてゆく

何かの情報を見て、「ここ、行ってみたいな」「これ、見たいな」「これ、やってみたいな」などと気持ちが動いたとします。そういうときは即、休日のプランにスケジューリングしてしまいましょう。

可能ならその場で劇場やイベントなどの予約をする、それが無理ならメモをして「すぐにやるべきリスト」に入れておく。そんな具合に、気持ちが動いたら即、それをやれる環境を整えておくと、やりたいことを逃さずにすみます。

よくありませんか、「あの映画、見たいと思っていたのに、いつの間にか終わっていた」とか、「あのイベント、絶対に参加しようと思っていたのに、チケットを買うのをすっかり忘れていた」といったことが。

「やりたいのにやれなかった」となると、心に未練が残ります。せっかく芽生えた好奇心も宙に浮いたままモヤモヤと残ります。「思い立ったが吉日」なのです。すぐに着手するよう心がけましょう。

休日の充実度、幸福度がアップします。だらだら、ごろごろしていたら、せっかくの休日があっという間に終わってしまいますよ。

■“運動習慣”はゆるくはじめて、だんだん強度を上げるのがコツ

休日のスケジュールに1、2時間の運動を組み入れてはいかがでしょうか。

平日はラジオ体操をやる5分程度の時間しか取れなくとも、休日ならもっとまとまった時間が使えますよね。やったことのないスポーツに挑戦するのもいいですが、馴染みのある好きな運動をすることをおすすめしたい。

公園で伸びをする女性
写真=iStock.com/K-Angle
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/K-Angle

抵抗感なくはじめられるし、自分の力を把握している分、ほどほどにがんばる、その塩梅がわかっているからです。

一番よくないのは、最初にがんばりすぎて、続かないこと。ゆるくはじめて、計画的にだんだん強度を上げていくのが続けるコツです。

ともあれ、週に一度、休日の運動というのは、日ごろの運動不足を解消して体力を増強するにも、気持ちをリフレッシュするにも、とてもいいものです。気分が乗ったときだけ運動するのではなく、休日の計画に組み入れて、習慣的に運動しましょう。

私も以前は空手をやっていました。20年ほど続いたでしょうか。やらなくなってしばらく経ちますが、この原稿を書きながら「またはじめようかなあ」と気持ちが動いています。

■体の老化より先に来る「感動の老化」に注意

仕事一辺倒のビジネスパーソンは不器用といいますか、「無趣味」を自認する人が少なくありません。休日になると、たちまちやることがなくて、戸惑うようです。

そういう人は「趣味」という言葉に対して、ちょっと身がまえているところがあるように見受けます。

芸事とか、特別な能力を要するものなどをイメージするのかもしれませんが、趣味は、余暇を楽しむものなのですから、わずかでも「好き」「面白い」と心が動くものであれば、なんでも趣味の範疇だととらえていいのです。

とりあえず休日を使ってさまざまなことにチャレンジし、「これをやっていると、時間を忘れる」とか、「幸せな気分になる」といった、心に潤いをもたらすものを探してみてはいかがでしょうか。

そうしていくつか趣味にできそうなことを見つけておくと、時間が豊かになります。「感動の老化」は体の老化より早く来るといいます。

感動の老化を防ぐためにも、時間を忘れて、我を忘れて、好きな趣味を楽しむ時間が持てれば、命は輝きを増します。体調にいい影響を与えることはいうまでもありません。

■好きなことをすれば、不思議なくらい疲れない

好きなことをしていると、不思議と疲れません。だから、好きなことを仕事にしている人はいくら働いても疲労感に押しつぶされることがないのだと思います。

私自身、住職のほかに庭園デザイナーとして活動していますが、この仕事は本職の延長線上にある“趣味”のようなものともいえます。

室内から見た日本庭園
写真=iStock.com/t_kimura
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/t_kimura

また「禅の庭」を手がけるなかで、その仕事がホテルの庭園や海外の大使館の庭などに広がっていきました。さらに、「禅の庭」から派生して、そこに置く照明器具や家具などのインテリアまでデザインするようになりました。

広い視点から庭を含めた空間全体をデザインするようになったのです。これが非常に楽しくてしかたがない。疲れを感じることはほぼないといっても過言ではありません。

そんな私ですから、好きな趣味を見つけたら、それに没頭してみることをおすすめします。疲れないどころか、平日の仕事の疲れを、好きな趣味に取り組んで得られる心地よさで相殺できるくらいです。

へたに休むより、ずっと元気になります。趣味で健康増進ができる、といってもいいでしょう。

■好きなことを「広げる」「深める」方法

好きではじめた趣味でも、楽しむうちに、その世界を探求したい気持ちが動き出すことがよくあります。前項でお話しした私の庭園デザインもその例に漏れません。

枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)
枡野俊明『仕事も人生もうまくいく整える力 禅が教えてくれる98の養生訓』(三笠書房)

趣味の世界を広げる、もしくは深める際のキーワードは「探求心」です。方向性はおもに2つ。1つは、好きなことの枝葉を広げていくことです。

たとえばジグソーパズルが趣味だとして、風景やお城、名画、人物など、いろいろな絵柄に挑むなかで、その背景や歴史などに興味を持ちはじめたらどうでしょうか。次から次へと知りたいことが出てきて、教養を広げる勉強につながっていきます。

もう一つの方向性は、趣味の世界を深掘りすることです。私の知り合いは現役時代から地元の歴史を調べるのが好き。休日には近隣をあちこち歩き回ったり、図書館で調べ物をしたりしていました。

そしてリタイアしたいまは、地元の郷土史のスペシャリストとして、ボランティアガイドを務めています。とても生き生きとしています。

いずれのケースもまさに「趣味は身を助ける」。枯れることなくますます盛んな探求心は、アグレッシブな生き方を支えてくれるもののように思います。

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枡野 俊明(ますの・しゅんみょう)
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー
1953年、神奈川県生まれ。多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。

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(曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー 枡野 俊明)

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