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「かつ丼」や「お守り」より受験に役立つ…東大生が試験開始直前まで机の上に置いていた"あるもの"

プレジデントオンライン / 2023年2月16日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Lincoln Beddoe

一発勝負の受験で100%の力を出すにはどうすればいいのか。現役東大生ライターの布施川天馬さんは「一番大事なのは『いつも通り』を貫くことだ。受験を特別視しすぎるとペースが狂い、実力が出せなくなる」という――。

■人生を左右する受験で緊張しないためには

みなさんは、ここ一番という時に緊張するタイプでしょうか。長い人生、ここ一番という踏ん張りどころに直面することもあるでしょう。そういったとき、万全に準備して全力を発揮できるようなタイプの人がうらやましくなりますよね。本当なら全力投球すべき場面なのに、体はいうことを聞いてくれず、心なしかお腹も痛くなってきた……なんてことになってしまったら、目も当てられません。

とはいえ、緊張とは意思とは関係なくしてしまうもの。どんなに「いまはリラックスしておくべきだ!」と頭では理解していたとしても、体は勝手にガチガチにこわばりますし、手足は震えだしてしまいます。こんな状況では、万全とはいえませんから、良いパフォーマンスを発揮できるとは到底思えませんよね。

2月といえば受験本番です。さまざまな大学が入学試験を実施し始めます。受験といえば、人生でも有数の緊張する場面でしょう。その合否が先の人生を大きく左右するからです。多くの人は、その紙切れに向かって一喜一憂してきた年月を思い返しては、目を白黒させていたのではないでしょうか。

■試験中に10分仮眠しても東大に合格できた

僕は全く緊張しないタイプだったので、本当にリラックスしたままで受験に臨むことができました。そのリラックス度合いは、なんと実際の試験中に約10分間寝てしまえたほど。僕が東大に合格したのもこのおかげだと思うのですが、やはり気になるのは「どうして緊張しなかったのか」というところ。実は、ここには秘密があります。

僕の場合は、勉強する前に必ず行うルーティンがありました。「目をつぶって、大きく深呼吸を2~3回程度行う」というものです。僕は、自分がどんなにいつもと違う空間にいたとしても、これを行うだけで、スッといつも通りの自分に戻ることができました。このルーティンを早くから導入していたおかげで、試験本番でもまるで自宅にいるかのようにリラックスした状態で受験することができたのです。

このように、世の中の「緊張しない人」には、実は緊張しないための裏ワザを持っていることがあります。本日は、実際に東大生20人に聞いてみてわかった、「緊張しないためにみんながやっている裏ワザ」をご紹介します!

■メンタルを前向きにしておく

現役東大生が実際に使っていた緊張を緩和する方法はまさに十人十色でしたが、おおむね「精神状態を前向きに保つようにする」という面では一致している回答が多くありました。具体的には、「前向きな意見をくれる人と話すようにする」だとか「大事な試験の前の日には好きな漫画を読んだり、好きな映画を見たりしていた」という回答がありました。

何気ない意見ですが、「前向きな意見をくれる人と話すようにする」というのは、大変効果がある方法です。

もちろん、ネガティブな意見で批判してくれる人も、大変貴重な存在ではあります。しかし、大一番の直前にもなれば、「やっぱりこんなことをすべきではなかった」という一歩引いた意見よりも「いまやるべきことを全力でやろう」という、前に向かって全身全霊で突き進んでいけるような意見のほうが力になります。前向きな意見をくれそうな人にエールをお願いしてみるのも、一つの手でしょう。

■いつも通りでない「かつ丼」は避けるべき

また、「いつも通りの生活をする」というのも大事な手段です。「大事な場面でいつも通りなんていいのか」と思われるかもしれません。でも、本当は逆なんです。「いつも通り」こそが、一番いいことなんです。

昔のゲン担ぎとして「試験や試合に勝つようにかつ丼を出す」なんていうものがありますが、実は、これはあまり良くないんです。なぜならば、あまりにも試験や試合を特別視しているから。自分では大したことがないと思っていても、周りの人があまりに騒ぐものだから、逆に緊張してしまったという事例もよくある話です。

かつ丼
写真=iStock.com/kyonntra
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kyonntra

他にも、「お守りを渡す」というのもよくある応援方法だと思います。これも少量なら悪くはないのですが、過ぎた願掛けは逆効果になるかもしれません。想像してみてください。試験当日に家族や親戚から贈られたお守りをリュックやカバンにじゃらじゃらと付けた状態で、果たして万全に実力を発揮できるでしょうか。むしろ、いつも通りではないという違和感や、家族からの期待によるプレッシャーが足を引っ張る可能性も否めません。

「いつもと違う」という感覚はストレッサーになります。いつも通りとは違う環境が、特別な日、特別な場所、特別な場面であることを思い起こさせてしまい、緊張する羽目になってしまうのです。

これを避けるためには、「いつも通り」な環境を常につくり出すことが効果的です。例えば、先ほどの意見にもあったように「いつもと変わらない日常を過ごすようにする」というのも良いでしょう。試験などの非日常的な空間をあまり意識することなく、日常生活の延長線上に持ってくることが可能になるからです。

■自分だけの「ルーティン」を確立する

もしくは、日常を非日常空間に持ち込んでしまうのも良いでしょう。僕がやっていた「ルーティン」もこの手法の一つです。ルーティンとは「決まり切った動作」という意味。いつも行う決まり切った動作をきっかけとして、「あぁ、いつも通りなんだ」と体に認識させるテクニックのことをルーティンというのです。

これは有名なスポーツ選手でもやっていることです。例えば、元プロ野球選手であるイチロー選手は、バッターボックスに立った際に、必ず袖を軽くまくり、バットを真正面に掲げながら構えに入ります。または、体操の内村航平選手などは、演技に入る前に両手を前に伸ばし、距離を測るような動作をします。それ以外にも、さまざまなプロフェッショナルたちが取り入れているのが、このルーティンなのです。

実際にルーティンを集中すべき場面で取り入れていた僕としては、緊張をなくすのに一番効くのはこのルーティンを導入することだと考えています。ルーティンとする動作はなんでもよく、「いつも同じタイミングで同じようにできること」ならすべての動作がルーティンとなりえます。

僕のように深呼吸するだけでもいいですし、必ず柔軟をするとか「外郎売」を朗読するとかでもいいでしょう。重要なのは「大事な場面の前に行うことができる手軽な動作である」ということです。

■服装も「いつも通り」のほうが安心できる

それほどおススメできる超万能選手ではあるのですが、一点だけ弱点も存在します。それは、「ルーティンが体に定着するまで時間がかかる」ということ。

ルーティンによる鎮静作用の源は「いつも行っている行為である」ことに大きく依存しています。そのせいで、短い期間行った程度では、あまり効果を得ることが難しいのです。半年から1年程度のスパンで、長い準備期間を必要としますが、それを補って余りあるほどのリラックス作用を持ちますから、緊張しがちな方にはぜひ試してほしいと思います。

「いつも通り」を保つための技術で、変わったものとしては「いつも通りの格好を決めておく」というものがありました。下手に勝負服で決めてしまうと、そのせいで「特別な場なのだ」という思いが増して、緊張してしまいます。ですから、大事な試験であるからこそ、逆にいつも通りの格好で行くのだというのです。

確かに、いつもと変わらない服装で臨むことができれば、緊張しなさそうです。ただ、あまりにもリラックスしすぎて寝てしまわないように気を付けなくてはいけませんね。

■「緊張している自分」をメタ認知する

緊張をほぐすための技もありました。それは「自分をメタ認知する」というもの。メタ認知とは自分を客観的に見る技術のこと。「あ、いま自分は緊張しているんだな」というように、一歩引いたところから自分を見ることによって、どこか他人事のように考えることができます。こうして緊張を回避するのだというのです。

これもまた面白い意見です。自分自身をメタ認知することは、確かに有効な手段です。僕自身も緊張してしまいそうなときは「うわー、自分緊張してるなぁ」と、どこかのんきに考えることで、緊張をやり過ごすことができました。

さらに、メタ認知することにはもう一ついいことがあります。それは視野が広がること。自分が緊張してしまうほどの大一番、おっかなびっくりしているのは自分だけとは限りませんよね。

例えば、すまし顔で隣に座っている女性も、いかにもできそうな雰囲気を醸し出している男性も、実は内心びくびくしているかもしれません。もちろんこれは妄想ではありますが、そんなことを考えるだけでもちょっとおかしく思えて、もしかしたら緊張がほぐれるかもしれません。

■緊張を吹き飛ばすほど勉強するのが一番の克服術

しかし、一番多かった意見は「緊張しないくらいに勉強(練習)すること」という意見でした。緊張してしまって試験を恐れる心は、きっと自分自身の至らなさを振り返るところからきているのだから、そんな隙が生まれないほどに万全の準備を整えれば大丈夫だろうというのです。

試験勉強中の学生
写真=iStock.com/fotostorm
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/fotostorm

さすがは難関試験を突破してきた東大生だと思わされる回答ですが、確かにその通りだとも思います。最後に頼れるのは自分自身なのですから、「自分は敵を恐れてしまう程度の練習しかしてこなかったのか」と改めて問い直して、自分自身を奮い立たせることは、意外と有効な手立てなのかもしれません。

実際に東大に合格した受験生が「精神的支柱」としていたのは、「使い古した参考書」でした。自分が長年使ってきた参考書たちは、いつも通りの自分を取り戻すための手掛かりになりますし、なにより自分がそれまで頑張ってきたことを表してくれる軌跡でもあります。最後に頼れるのは自分自身であるからこそ、使い古した参考書があると落ち着くという意見が出てきたのかもしれません。

本番に向けてこれからできることは多くありません。しかし、どんな困難な状況であったとしても、工夫次第で立ち向かうことができます。これを「無駄なあがき」とするのか「有効な手段」とするのかは、自分次第です。せっかくの大一番、良い結果を出せるように頑張ってください!

【図表1】東大生が受験生時代に実践していた主な「緊張緩和術」

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布施川 天馬(ふせがわ・てんま)
現役東大生ライター
世帯年収300万円台の家庭に生まれ、金銭的余裕がない中で東京大学文科三類に合格した経験を書いた『東大式節約勉強法 世帯年収300万円台で東大に合格できた理由』の著者。他にも『人生を切りひらく 最高の自宅勉強法』(主婦と生活社)、『東大大全』(幻冬舎)、『東大×マンガ』(内外出版社)、『東大式時間術』(扶桑社)などがある。

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(現役東大生ライター 布施川 天馬)

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