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「年収1500万円以上のイケメンがいい…」クレカのリボ払いを重ね150万円の借金を抱えた婚活女子の末路

プレジデントオンライン / 2023年2月16日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Farknot_Architect

カード会社が積極的にPRしていることもあって、リボ払いを選択する人も増えているが、安易な利用は破綻への一歩となる可能性がある。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「気づいていない人も多いのですが、一般的なリボ払いの金利は15%です。完済までには多くの利息を支払うことになります」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

「借金」というと、人にあらずというか、すごく暗いイメージがあったのは、今や遠い昔。現在では、キラキラとした爽やかな若者たちが、実は負債に苦しんでいるケースが多発しています。彼らが借金地獄に陥るきっかけとなった「リボ払い」の恐ろしさについて、今日は考えてみたいと思います。

■地方から上京して気づいた東京の厳しさ

27歳の派遣社員・竹中綾子さん(仮名)は東京から2時間ほど北にいった地方都市で実家暮らしをしていましたが、コロナの影響でそれまで勤務していた飲食店が閉店してしまったことから、1年ほど前に上京します。

東京での派遣社員としてのお給料は手取り20万円。家賃はなるべく安く抑えたかったものの、女性の一人暮らしなのでセキュリティもそれなりのところでないと……との不安もあり、月8万円のワンルームに落ち着きました。

すると、最低の生活費だけでも15万円はとんでいき、「『東京の生活も結局大変じゃん』ってすぐ気づいたんですよね」と竹中さんは苦笑いしながら話してくれました。そして、将来の不安が募った彼女は、上京後まもなくして「婚活」に走りだすのです。

■「高収入のイケメン」を目指し婚活を開始

もともと結婚願望の強かった竹中さん。せっかく東京にいるのだからと、「高収入のイケメン」狙いで活動をスタートするのですが、高い年収の人たちは行く場所も、持っているアイテムも、普通よりはハイエンドな場合が多いわけです。

それまでは新宿駅の地下街で1万円以下のワンピースを購入していた竹中さんも、周りに合わせるかたちで、伊勢丹などの高級デパートで洋服やバッグを揃え始めます。さらに自分磨きをと、エステやネイルサロン、表参道の美容院にも足繁く通い、美容外科で脱毛を敢行するなど、美しさに磨きをかけていきます。

ここで問題になるのは、その支払いです。彼女はそれらをすべて「リボ払い」にしたことで、150万円の借金を抱えることになってしまったのです。

■リボ払いの一般的な金利は15%

「リボ払い」とは、毎月の支払い額が一定になる支払い方法で、月々の負担が少額で済む分、金利が高いのが最大の特徴です。リボ払いの一般的な金利は15%ですが、これが一体どれほどハードな金利か、シミュレーションしてみましょう。

リボ払いの中にも「残高スライド方式」や「定率方式」などいくつかの方法があります。ここではもっとも一般的な「元利定額払残高スライド方式」で、“30万円”のブランドバッグを月々1万円の返済設定で購入したとしましょう。すると、リボ払いでは総額“37万8000円”を支払うことになります。この場合38回払いですので、完済には約3年かかります。もし月5000円だったら返済期間は約6年になるので、完済する頃にはバッグの流行や自分の趣味も変わっている可能性が高いのではないでしょうか。

新婚カップル
写真=iStock.com/imtmphoto
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imtmphoto

■目先の安さに飛びついてしまう

なぜこんなに損をするリボ払いを選択するのか? 竹中さんをはじめ若い方ほどリボ払いを選びがちなのは、「目先の安さ」だと思います。30万円で済むところを37万8000円払うことになるとしても、「毎月1万円でブランドバッグが今すぐ手に入る」方に力点が置かれているのではないでしょうか。

さらにリボ払いにおける金利の高さを把握していない人も多いので、カード会社からくる「支払い方法をリボ払いに変更しませんか?」といったお知らせメールに飛びついてしまったり、フリマサービスで展開している「定額払い」や「あと払い」といった手数料が発生する支払い方法をいつの間にか選んでしまっていることもあるでしょう。

ただ、私は何より、若年層の給料が伸び悩んでいることが根本原因な気がしていますが……。

■「時間をお金で買う」発想の人も

一方、総額的に損したとしても、あえて「リボ払い」を選択する方もいます。それは「時間をお金で買う」発想に近いと思うのですが、若い学生の方で、今は貯金がなくてどうしても一括では購入できないような高い教材をとりあえずリボ払いで今すぐ手に入れて、勉強の機会損失をなくすという考え方を話してくれた方もいます。でも、そういった方はリボ払いのデメリットも理解した上で利用しているので、返済計画もちゃんとしているんですよね。

竹中さんの話に戻ると、彼女は3枚のクレジットカードでリボ払いを重ねた結果、毎月の支払額が5万円になり、ローン残高は合計150万円まで膨らんでいました。もちろん、貯金はゼロ。この時点で危機感を感じ、私のもとに駆け込んできたのです。

■弁護士に相談し金利を15%から8%へ

ファイナンシャルプランナーとしてこの状況でできることは、まず支出を減らし、浮いたお金をとにかく返済にあてること。彼女の場合そもそもがカツカツではあったのですが、インスタ映えする外食やふらっと立ち寄ってしまうスタバの回数を極限まで減らしてもらった結果、1.5万円ほど借金返済に回すことができました。

しかしこれ以上はどこも削れないと判断し、弁護士の方に金利の低いローンにまとめてもらう手続きをお願いしました。これにより、15%だった金利は約半分の8%まで抑えることが可能に。毎月の返済額を減らせたことで、リボ払い地獄からの脱出にようやく道筋がついたかたちです。

自己投資にお金を使うことは本来自由ですし、そもそも何が自己への投資になるかなんて、そんなことを考えずに使うことだって多いですよね。ただ、竹中さんの場合、美容やブランド品といったあまりに“外見的”な投資が多すぎたような気もします。

■外見を磨くほど、結婚相手に求めるレベルも上がってしまう

私のお客さまで同じく派遣社員の方でも、資格系の学校や通信講座にお金を使ってスキルを身に付け、年収アップにつなげることができた方もいます。ツワモノでは、事務員時代にNHKのハングル講座だけで勉強し、韓国に留学。そこで韓国人男性と出会い結婚し、現地で起業までして現在、旅行会社を経営しているお客さまもいます。

竹中さんの“外見重視”のお金の使い方でさらに難しさを感じたのは、「こんなにお金をかけて外見を磨いたんだから、私の見た目に似合ういい男じゃなきゃ嫌!」と、結婚のハードルもどんどん上がっていったことです。

さらに、「年収1500万円以上」という相手男性の設定の仕方もいかがなものでしょうか。いくらパートナーが今現在高給取りであっても、離婚や病気、死別など、一生安泰でいられる保証などどこにもありません。自分自身の経済力を高めることが唯一の、身を守るすべだと思います。

そういった意味で、竹中さんには自分への投資の仕方を考えてみては、とお話をしました。実際、今の彼女は非常に質素な暮らしをしており、自炊に喜びを見いだしています。節約しながらおいしいごはんを自分で作れるというのは非常に大切な一生ものの生活スキルです。竹中さんには、外見も中身もすてきな方になってほしいと願ってやみません。

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高山 一恵(たかやま・かずえ)
Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演・執筆活動・相談業務を行い女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書は『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)など多数。FP Cafe運営者。

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(Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士 高山 一恵 構成=小泉なつみ)

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