7年で配当金が2倍に…「保有株の9割が増配中」の投資家が「株価を気にせず今すぐ始めなさい」と勧めるワケ
プレジデントオンライン / 2023年2月14日 9時15分
※本稿は、配当太郎『年間100万円の配当金が入ってくる最高の株式投資』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■「保有株の9割が増配中」は決して珍しくない
これから配当株投資を始める人にとって、最も気になるのは、「どのくらいの企業が増配しているのか?」ということではないでしょうか?
私が保有している銘柄(株を発行している企業名)でいえば、2022年は約9割が増配しているのが現状です。
昨年に限ったことではなく、基本的には、長らく増配が続いているという状況です。
私のポートフォリオ(所有している株の組み合わせ)全体で見ても、前期と比べたら、増配の恩恵だけで配当金が10%くらい増加しています。
この先も10%ずつ増えていくかどうかはわかりませんが、仮にこのペースが続いたとすると、およそ7年で現在の配当金が2倍になる計算が成り立ちます。
こうなると、企業の決算発表が楽しみになって、ワクワクしながらその日を待つことになります。
金融の世界には「72の法則」と呼ばれる計算式があります。
資産運用の際に、元本が2倍になるまでの年数と利回りが簡単に求められるというもので、一説にはイタリアの数学者で「会計の父」とも呼ばれたルカ・パチョーリが考案したといわれています。その計算式は、次のようになります。
72÷金利(%)=投資期間(年数)
先にお伝えした「配当金が10%ずつ増えていけば、配当金がおよそ7年で2倍になる」というのは、この計算式で算出したもので、「72÷10(%)=7.2(年)」となります。
追加投資をして株数を増やさなくても、複利効果によって約7年で2倍になるということです。
あくまで概算ですが、配当株投資を進めていく上での、ザックリとした目安にはなると思います。
銀行の普通預金の金利は現在0.001%ですから、この計算式に当てはめてみると、50万円を預けても、それを100万円にするためには、実に7万2000年が必要であることがわかります。
普通預金に大事な資産を預けたままにするより、配当株投資を始めた方がいい……と考えるのが、ごく自然なことのように思えます。
配当株投資で増配を享受していくためには、「今後の成長が見込める企業をどのように選んで、いかにその株を増やしていくか?」が大きなカギを握ります。
なお、投資先の企業を「どのような基準で選ぶか?」については、本書の別の章で詳しくお伝えしています。
■「もっと労働者を大切にすべきではないか」という議論
日本企業はアメリカ企業と比べて、株主に対する「還元意識」が低く、配当金も安い傾向にある……といわれてきました。
それが、アメリカ株に人気が集まっている要因のひとつとされています。
![ドルマークが刻まれたコインに絡む両矢印](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/e/0/1200wm/img_e04d19582424ad5c47ab32c355991662105722.jpg)
現実はまさにその通りだと思いますが、日本企業の姿勢も大きく変わってきていると感じています。
アメリカは資本主義経済のトップリーダーですから、株主を大切にする意識が根付いており、あまりにも株主に還元する姿勢が強いため、「もっと労働者を大切にすべきではないか」という議論が芽吹いているような段階にあります。
それに対して、日本企業には「労働こそがすべて」という意識が根強く残っていたため、「株で金を儲けるのは、いかがなものか?」と考えるタイプの経営者も多く、これまでは、株主還元にあまり重きを置いていない傾向があったようです。
その背景には、高度経済成長の時代に大きく利益を積み上げた成功体験がありますから、「別に株主を意識しなくても、利益は上げていける」という考えがあったといわれています。
■日本企業の「還元意識」は、年を追って高まっている
企業の意識が大きく変わり始めたのは、バブル崩壊を経て、いわゆる低成長時代に突入して以降なので、2000年代に入ってからのことです。
「株主に対する意識をきちんと持たないと、このままではマズい」という風潮が芽生えて、ようやく株主に対する向き合い方が変わり始めました。
2001年の商法改正で「自社株買い」が解禁されたことも、その背中を押したといわれています。
自社株買いとは、企業が自社で発行する株を自ら買うことです。
企業が自社の株を買って保有することは、それを買うための費用が発生しますから、企業の財産的基盤を損なう可能性があり、株式取引の公正さを阻害するので公益に反する……という理由で規制されていたのですが、それが解禁されたことで、企業の株に対する考え方が変わりました。
企業が自社株を買うと、市場に流通する株数が減ることになりますから、会社の利益が変わらなければ、1株当たりの利益が増えることになります。
1株当たりの利益が上がれば、その株を買う投資家が増えて、株価水準が高くなることが期待できる……という状態になったのです。
日本企業の還元意識は、年を追って高まっていますが、平均的な配当性向(利益に占める配当金の割合)は30~40%のレベルですから、今後はさらに株主還元が進むことが予想されます。
各企業の内部留保はしっかりと残されているので、それを自社株買いに充てたり、特別配当金で分配することもできます。これからの伸びシロは、十分にあるということです。
■最近は「累進配当」を強くアピールする企業が増えている
実際、最近では、自社のホームページ上で「株主還元の姿勢」を明確に打ち出す企業が増えています。
これまでは、自社の配当性向を明かす企業は少なかったのですが、近年は「利益に対してこれだけの配当金を出します」とか「利益の何%は配当金を出します」と表明する企業が増えています。
配当性向だけでなく、「ウチの会社は配当金を下げませんよ」とか、「何年間は配当金を上げていきます」など、「累進配当」(配当金を減配せず、維持や増配すること)の方針を強くアピールする企業も出始めています。
こうした傾向からも、日本企業がようやく株主のことを見始めていることを理解できると思います。
日本企業が「株主重視」に動き始めた理由は、企業側にとっても、そうせざるを得ない事情があるということです。
現在は誰でも気軽に投資ができる時代ですから、日本人が海外企業の株を簡単に買えるのと同じように、海外の人も手軽に日本企業の株を買うことができます。
企業としては、ある程度の株価を維持して、時価総額を高めておかなければ、簡単に外資系企業などに買収されてしまう危険性があるのです。
きちんと株主に還元している企業であれば、個人投資家たちが一斉に「やめて!」と声を上げ、その阻止に力を貸してくれることも期待できます。
もう一歩踏み込めば、企業があまりにも内部留保ばかりを溜め込んでしまうと、「それを従業員に出した方がいいんじゃないの?」という議論が出てきてしまう可能性があるため、それを回避するために、「それなら株主に還元しておこう」と考える企業が増えているようにも思えます。
日本でも、ようやく「会社は株主のもの」という考え方が浸透してきましたが、「会社は社長のものであり、従業員には必要以上に還元しない」という古い体質は、まだまだ色濃く残っています。
会社は儲かっているけれども、従業員の給料は少しも増えない……という日本特有の珍現象が、それをリアルに物語っています。私たちがこの膠着(こうちゃく)状態から抜け出すためには、労働者であるだけでなく資本家となって、「労働収入」(給料)とは別の「資本収入」(配当金)を得る必要があるのです。
■時期やタイミングを気にせず今すぐに始めた方がいい
この先、配当株投資の恩恵を受け続けていくためには、次の4つのポイントが大事になってくると思います。
②長期的な視点を持って、淡々と株数を増やしていく
③1つの企業に集中せず、分散して株を保有する
④自分の目標に届くまで、中途半端にやめない
![配当太郎『年間100万円の配当金が入ってくる最高の株式投資』(クロスメディア・パブリッシング)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/5/9/1200wm/img_59b47de19a8b47e9c6e1ac7d0e706f55139506.jpg)
配当株投資は短期間で大きな利益が得られるものではなく、最低でも10年は必要な長期投資です。
配当金を増やしていくためには、ある程度の時間がかかりますから、できるだけ早く、可能ならば今すぐにでも始めた方がいいと思います。
株価の動向などを気にする必要はなく、始めるのに適した時期やタイミングがあるわけでもありません。
20代であれば30代、40代であれば50代になってからの生活を楽しみにしながら、粛々と配当金ダルマを大きく育てていくのがベストです。
50代の方であれば、定年後の生活を安定させるために、厚生年金や国民年金の他に「自分年金」を作る……というイメージが、リアルに描けるのではないでしょうか。
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投資家
学生時代に株式投資を始め、リーマン・ショックを経て、配当株投資に目覚める。大型株を中心に投資し、保有銘柄の9割は配当金が年々増える「増配銘柄」が占める。Twitterのフォロワーは7万5000人超。毎日、配当株投資に関する情報を発信している。本書が初の著書となる。
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(投資家 配当 太郎)
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