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お父さんは気がつかない思春期の娘が傷つく言葉【1】

プレジデントオンライン / 2012年7月6日 16時0分

小学校高学年くらいから、女の子はお父さんと距離を置くようになります。事前アンケートでも、会話がなくなったという回答が多数。パパライターが、世の夫を代表し2人の専門家に対処法を聞きました。夫にも教えてみては。

教えてくれたのは

植木理恵先生

心理学者。慶應義塾大学講師。臨床心理士として、東京都内の病院の心療内科に勤務。著書に『フシギなくらい見えてくる!本当にわかる心理学』『小学生が「うつ」で自殺している』『「ココロのため息」がスーッとなくなる本』など多数。また、講演活動やフジテレビ系「ホンマでっか!?TV」などのコメンテーターとしても活躍中。

明橋大二先生

精神科医。真生会富山病院心療内科部長。小学校スクールカウンセラー、児童相談所嘱託医、「子どもの権利支援センターぱれっと」理事長も務めながら、年100回以上の講演活動を行う。著書『子育てハッピーアドバイス』シリーズは、400万部を超えるベストセラーに。また、読売新聞で「子どものこころ相談室」も連載。


■思春期の女の子は女になりたての女なんですよ

ついに恐れていたときが来てしまった。娘が思春期に突入したのだ。もちろん、ある日を境に「今日から思春期ですっ!」となったわけではない。しかし、何かが違う。子育ての大半をカミさんに委ねている私でも、それくらいは感じる。

思春期の娘をもった父親は悲惨だという話は、かねてから聞いていた。おやじギャグに笑ってもらえないのは当たり前。話しかけても返事をしてもらえない。汚らわしいものを見るような目つきをされる。かつては「パパ、パパ」とまとわりついてくれた娘の冷たい仕打ちに、そっと涙をぬぐう父親も少なくないと聞く。いよいよ私も覚悟を決めねばならないのだろうか。

そんなときに編集部から届いたアンケートの束。思春期の娘がいる(いた)父親に聞く、悩みアンケートだそうだ。「何を言っても無視。毛嫌いされる」「父親は臭い、汚い存在と思われないように、体臭や身なりに気をつけた」など、ご同輩の皆さんの戸惑いと悪戦苦闘の様子が伝わってくる。

幸いにしてわが娘は、まだ少しは私と言葉を交わしてくれるが、この先いったいどうなるのか。焦る気持ちで心理学者の植木理恵先生に教えを請うた。

「思春期の女の子って、『女になりたての女』なんですよ。ある意味、女であることに一番忠実な年代かもしれない。まずはそこをわかってあげないと」と、笑顔でさらっとおっしゃる。が、わたくし、女心ほど苦手なものはない。カミさんの本音すら感じ取れない男に、どうして娘の女心などわかるというのか。

「じゃあ、女心の話の前に、思春期ってどんな時期なのかというところから、復習しましょうか」と植木先生。

お願いします、お願いします!

「小学校の低学年くらいまでの子供を、ギャングエイジといいます。ギャングが集団で行動するように、この年代の子供たちは、ある集団に属しているということに喜びを感じます。家族の一員であるということがうれしいんです。だからお父さんのこともお母さんのことも大好きです。これに対して、思春期の子供たちをアイデンティファイエイジといいます。自分は何者かということを考えはじめ、自分や周囲の人々を客観視しはじめます。これは子供から大人へと成長する過程の大切なステップなんです。それに加えて女の子は体が変化しはじめます。初潮を迎え、胸もふくらみはじめます。体の変化は心の変化よりも先に現れるので、女の子自身焦りを感じて、気持ちが不安定になるのです」

なるほど。小さなことにイライラしたりするのは、そういうわけか。では、そんな扱いの難しい時期の娘に言ってはいけない言葉は何だろうか。

「アンケートを拝見すると、体のこと、容姿のことを口にして嫌われているお父さんが多いようですが、当然ですね。一番気にしていることを無神経に言われるんですから、この時期の女の子なら誰だって傷つくし、嫌な気分にもなりますよ」

そうか。小さいうちは「大きくなったね」は褒め言葉だけれど、お年頃の女性に言ったら「それって、太ったっていうこと?」ってとられかねないもんな。「父親を異性としてとらえるようになるのもこの時期。お父さんの中に異性を見るようになる。と同時に、お父さんには『男』ではなく、『私のお父さん』でいてほしいという気持ちがあります。だからお父さんが性の話をしたりすると、お父さんの中の『男』の部分に過剰に反応して嫌悪感を抱いてしまうんです」

ヌードの載った週刊誌を持ち帰ったら口をきいてくれなかったとか、たわいないシモネタを言っただけで軽蔑されたっていうのは、そういうわけか。

「だから、初潮のことも、お父さんからは口にしないほうがいいですね。一番戸惑っているのは娘さん自身です。体調の変化に慣れていない状態で、不安でもある。それを最も身近な異性であるお父さんから、あれこれ言ってほしくはないですよね」

じゃあ、父親が盛り上がって「おめでとう」なんて言うのは……。「やめておいたほうが無難です。そういうことは、お母さんに任せているからというくらいの態度で。体調がすぐれないときにそれとなく気遣うだけで、お父さんも心配してくれているという気持ちはちゃんと伝わりますよ」

いや、正直言ってほっとしますよ。そういうこと、どんな顔して話せばいいのか、とんと見当つかなかったから。

それから、「友達のことを話してくれなくなった」という声も、アンケートではずいぶん見られたなぁ。異性ならともかく、女の子の友達のことくらい、話してくれてもいいのに……。

「友達との秘密の共有もアイデンティファイエイジの特徴ですね。女の子どうしで『このことは親には内緒。私たちだけの秘密ね』って。1対1の人間関係ができて、秘密の共有が快感になるのです。親友ができるようになるのも、この時期なのですが、実はこれって、擬似的な恋愛でもあるんです。こういった体験が少ないと、将来、恋愛が下手になると言われています」

恋愛 !? ああ、ついにその言葉が出てしまった。娘の恋愛!

彼氏なんか連れてきたらどうしよう。お前なんかに娘はやらん!……って、それは気が早いか。でも、好きな人はいるのか、彼氏ができたのか、お父さんとしては気になるし、心配だし、何だか腹立たしいし。やっぱり聞いてしまいそうだなぁ。

「恋愛話もNGですね。生まれてからずっとそばにいる異性なわけですから、女の子にとって初恋の相手というのは、実はお父さんなんです。お父さんが大好きだから、お父さん以外に好きな男の子ができると、悪いことをしているわけではないのに、どこか後ろめたい気持ちになる。何となくお父さんを裏切っているような気分です。しかも、お父さん自身も、娘の彼氏に対して少なからずジェラシーを感じているので、『彼氏はできたのか?』なんて言葉も、ちょっとトゲのある詮索がましい聞き方になりますよね。そんな聞き方をされて、警戒するのは当然です」

(山本 謙治)

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