仕事中に自慰をすることも…16歳でセックス沼にはまった34歳女性が「社内でしたくてたまらない」と話す理由
プレジデントオンライン / 2023年2月18日 9時15分
※本稿は、沢木文『沼にはまる人々』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。
■どうすれば、すぐに“性交渉できる”か
IT関連会社で働く玲奈さん(仮名・34歳)は、16歳の初恋からセックス沼にはまり続けている。
「寝た男性の数は100や200では利かない。旅先で外国籍の人ともしたことがあります。でも、レイプはされたことがないんです。こっちが押し気味でロックオンする気迫があると、男性からはこないのかもしれない」
玲奈さんは黒のロングヘアに黒ブチメガネをかけており、化粧っ気がない。眉毛もボサボサで地味だが、肉感的な体つきをしていることがわかる。
「正直、それなりの人だったら誰でもいい。何か光るところがある人だと思った瞬間に、ベッドに入ることを前提に誘導しています。女友達としゃべっていると、みんなは性交渉を駆け引きの道具に使っている。
男性に我慢をさせて、いかに『やらずに引っ張れるか』を戦略的に考えています。そのほうが大切にされると言うんですが、『大切にされる』ってなんですかね? 私はそれとは真逆で、『どうすればすぐできるか』を考えています。だから女の子同士で話が合わないんです」
女友達は、すぐに相手の家やホテルに行ってしまう玲奈さんに対して、「もっと自分を大切にしな」と言う。学生時代は「玲奈がすぐにヤっちゃうと、ウチらも同じように見られるからやめてほしい」などと言われていたという。
■「クラミジアは、遊び賃」
そこまで男性経験があると、危ない経験も多々ある。裸で行う性交渉は、常に危険と隣り合わせだ。
「いっぱいありすぎて覚えていません。直近ではあるエリートビジネスパーソンとしたことかな。相手が快楽を求めるあまり行為がエスカレートして、首を絞められて死にそうになりました。
![脱ぎ捨てらるたハイヒール](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/1200wm/img_db77e2c24bf956215dd894eb9757e12a770970.jpg)
あとはコロナ中にメンタル的に追い詰められていた、売れない俳優さんとしたときは、数日間、彼のマンションに監禁され、スマホは奪われ、このまま帰れないんじゃないかと思いました」
性感染症は日常茶飯事で、「クラミジア(感染症)は、遊び賃だと思っています」と豪語する。ただ、望まない妊娠は18歳のときに1回したのみ。相手は初体験の相手で、これが原因で別れてしまったという。
「向こうの親も私の親もカンカン。特に私の母は、ちょっとおかしいというか、彼を徹底的に追い詰め、高校を中退させてしまったんです。
そして『玲奈がふしだらなことをするから、あなたと付き合った人が不幸になるの』と言ったんです。自分が彼を退学まで追い込んだくせに、私が悪いみたいな言い方をした」
■援助交際で自分の存在意義を知る
その後、玲奈さんは親に内緒で援助交際(当時『パパ活』という言葉はなかった)を行い、お金を貯めて膣内に避妊リングを入れた。
「援助交際をしたときに、私の存在意義を確認できました。私、親からも『容姿が悪い』と言われて育ち、自分でも『不美人で生きている価値もない』と思っていました。だって学生時代、出会い系サイトで釣った相手と待ち合わせたとき、私の姿を見て『ブス』と吐き捨てて帰った人もいましたからね。
でも、10人待ち合わせに来たうちの7人とは、性交渉ができました。若いってすごいです。当時は自分のことを『好きな人を不幸にするブス』だと思っていたので、そんな私に反応してくれる男性は神様のように思えました。
それに、性交渉は本当に落ち着くし、気持ちがいい。数を重ねるごとに上達していきますし、そこにはまっていったのだと思います」
■エリート家族に囲まれ「私は失敗作」
玲奈さんは東京から通勤圏の郊外で生まれ育つ。運動も楽器の演奏も苦手だったが、勉強はそれなりにできて、県内でもトップから3番目の進学高校から名門私立大学に進学した。
その大学は全国的にも有名で、誰からも一目置かれる学歴だ。それなのに「私なんて全然ダメですよ。超バカ」と言う。
「ウチは父親が『私大の雄』と呼ばれる超名門校、母親が国立女子大の最高峰を出ています。兄と妹がいるのですが、彼らは県内トップ校に進学し、2人とも父と同じ大学に進学しました。父は大手企業を定年まで勤め上げ、母は自宅の一部を改装して塾を経営していました。私だけが家族の中で『失敗作』なんです」
常に親から厳しくしつけられ、勉強をさせられてきたが、思うような結果が出せなかったという。だから簡単に「失敗作」という言葉が出るのだ。
「失敗作って、母からよく言われていたんです。母は『昭和の上司』みたいな人です。自分の中に正義があり、そこから曲がったことが大嫌いで、白黒をはっきりつけたがる。仕切るのも上手で、優秀かつ努力家です。運がよく器用に見えるのは、頑張り屋だから。
ただ、問題なのは他人に対しては冷静で常識的で面倒見がいいのに、身内に対してはヒステリックになることかな」
母は64歳の現在も、教育関係の仕事をしているという。母より2歳年上だという父について聞くと、「定年退職になった5~6年前に死にました」という。死因は自死に近かったという。
「もともと家庭を顧みず、家にお金を入れずに浮気をしていた。母からは『定年になったら、家からたたき出す』と言われていました。私にはいい父だったんですけれどね。でも会社の肩書が外れ、女性からそっぽを向かれたんでしょう。
別居先の家で亡くなっていました。母は『犬死だね』と言いながらも、葬式をきっちり上げていました。私は父の淫蕩の血が流れているようです」
■相手探しに窮して風俗勤務
遡り、大学時代の玲奈さんは次第に見た目も良くなっていき、それなりに求めてくる男性も増えてきた。クラスメイト、サークルの先輩や後輩、他大学の友達付き合いをしている人とも関係を持ち、ワンナイトも重ねた。
「おそらく、体質的にも性交渉に向いていたと思うんです。その最中はその人のことしか考えられなくなるし、胸は大きく、唾液がよく出て、唇、口の中が柔らかいので男性は喜びます。いわゆる『名器』だとは多くの人に言われていますから」
![性産業で働く女性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/f/1200wm/img_ff3f14d82a48490bcb9cc8b1f873a045759994.jpg)
あまりに性交渉を持ちすぎて、大学で孤立したときは、相手に不自由した。かつてよりどりみどりだったが、誰とでもすると噂が広まり男子学生が玲奈さんと距離を置くようになった。性欲処理のために性産業に従事したことがある。
「『ヘルス』と呼ばれる店で働きました。いわゆる本番以外のことは、ほぼすべてをします。この仕事が向いていたらしく、月収は100万円を超え、指名のお客様がつくようになると、収入はさらに増えました。これは違法なので絶対にしてはいけないのですが、お客様によっては行為そのものをしてしまったこともあります」
相手から求められる喜びと、一時的にせよ愛し・愛される心地よさ。行為をしている間は自己肯定感がどんどん上がっていくのが自分でもわかったという。
「ヘルスで仕事をしていた時期は、就活と重なった。大企業は大学名で落とされ、その他企業も面接で落とされた。お祈りメール(不採用を告げるメールのこと)が来るたびに、地の底まで自己肯定感が下がった。その傷ついた心がヘルスの仕事で回復していくこともわかりました」
■求められるまま転職
母親には「法律事務所でバイトをしながら弁護士を目指す」とそれらしいことを報告し、ヘルスで稼いだ金で実家を出た。
「ヘルスを本業にすると決意しても、友達や家族の前で宣言できなかったんですよね。それに、体力勝負の仕事です。結局、働いていたのは20歳から27歳までの7年間なのですが、25歳くらいまでは仕事で存分に男性と肌を重ねてもまだ物足りなくて、男友達を呼び出して“して”いました。
![ベッドルーム内の黒い光沢のあるハイヒール](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/6/4/1200wm/img_64d349e40bf57af244eae27c422a2d8d836084.jpg)
しかし、26歳から体力的にきつくなったんです。その頃から『これは一生の仕事ではないんだな』と思うようになりました」
26歳のときに、ナンパされた男性に大学名を言うと「そんな頭がいいんだったら、ちょっとバイトしてよ」とその男性の友人が経営するIT関連会社で入力のバイトをすることになった。
「当初はヘルス勤務と並行していました。でも、半年もしないうちに仕事量が増えていって正社員になり、ヘルスの仕事を辞めざるを得なくなったんです」
■40歳取引先の男性との不倫の果てに
しかし、体は異性を求める。会社に男性は3人おり、いずれも30代で既婚、子供もいた。不特定多数の性交渉が好きなタイプの人はその中にはいなかった。社長からは「ウチの会社では恋愛をしないでほしい」と釘を刺された。
そして、28歳のときに大きな転機があった。
「初めて恋をしたんです。12歳年上の男性と、心から愛し愛された。彼と交際しているときは『この人としかしたくない』と思いました」
相手は当時40歳の取引先の男性で、結婚していた。支配的な専業主婦の妻がおり、1日に3回、居場所の自撮り写真付きのLINEをしなければならなかった。
玲奈さんは妻からあっという間に特定され、執拗な嫌がらせを受けた。結局、男性は妻と離婚し、玲奈さんも彼も妻に対して多額の慰謝料を支払った。
「彼は42歳、私は30歳で結婚しようかと思いましたが、一緒に住み始めると彼の、優柔不断なのに独善的なところが愛せなくなった。私の父親と重なったこともありました。結局、2年同棲して、33歳のときに別れました。その間は、彼以外としなかったのですが、最後のほうは満たされなくって浮気していました」
同棲期間中、彼の性欲は減退していった。そもそも彼は離婚時に元妻の鬼のような形相を見たことなどがきっかけで勃起不全になった。仕事も多忙になり、体力的に行為をせずに寝てしまうようになった。
彼はコンプレックスと不安から、玲奈さんを支配するようになっていく。
「男がいる飲み会は禁止されました。残業も浮気だと疑って、自撮り写真を送るように言われたんです。元妻と同じようなことをしてくるんですよ。決定的だったのは、実家から転送されてきた同窓会の案内に“欠席”に○をつけて返信していたこと。
性産業勤務のときは同窓会に出たいとは思わなかったけれど、今の私なら出られる。それなのにそういうことをするので、私の心も離れていきました」
■「社内恋愛禁止」を破る
そして肌は異性を求める。彼としようと試みても、彼の男性機能は思うように働かない。
「発情とコロナ禍の初期が重なって、大変でしたよ。誰でもいいからできる人をアプリで探して、行為をして、その数日後に発熱したこともありました。すぐに熱が下がったし、味覚も嗅覚もあったので、陽性ではないと思いますけどね。
人に会えないけれど性欲はあるので、器具を使って自慰していましたが満たされない。人間の重みとぬくもり、そして私を求める男性の肉体の変化、その後の快楽を求めました。回復すると、街で男性をナンパして、ホテルに行ったこともあります」
その後、彼とは別れた。そして、「社内で恋愛はしないでくれ」という社長から言われた禁忌も破ってしまった。
■ダメと言われると手を出したくなる
「私も33歳になり、加齢している。ヘルスで働く体力もないし、オシャレやファッションに気を配るのも面倒くさいし、そこにお金も使いたくない。既婚者に手を出すと大変な目にあうのは、前回学んでいる。手っ取り早く男性としたくて、転職してきたばかりの25歳の男性に手を付けた」
その男性は女性経験が少なく、一気に玲奈さんに夢中になる。しかし、2~3回関係を持つと、玲奈さんに欲望がなくなる。そして新しい対象を求めるようになる。
![沢木文『沼にはまる人々』(ポプラ新書)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/c/1200wm/img_8c7eb0346259156b346ac27503712ca9301685.jpg)
「今は性欲が盛り上がっていて、仕事中に自慰することもありますし、アプリで出会った人と乱交などもしています。大学時代のセフレに連絡をして、ウチに来てもらったこともあります。刺激を得れば得るほど、もっと他の快楽が欲しくなるんです」
玲奈さんの話を聞いていると、生活習慣病になってしまう人の食生活を連想してしまう。甘い水を飲めば飲むほど喉が渇き、そしてその水は全身を巡り、血管や臓器を壊していく。それがわかっていてもやめられない。
「たぶん、依存症なんだと思います。女性ともしたことはあるんですが、男性器のように目に見える変化がないと、快楽のアタックが弱い。今、社内でしたくてたまらない。
私が手を付けた25歳の男の子は、明らかに私を避けていて、社長はそれに気づいている。『次やったらアウト』という無言の圧力もあるんです」
ダメと言われると手を出したくなるという。快楽の先に何があるのか、それは玲奈さん自身が一番よくわかっているのだ。
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ライター/編集者
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。さまざまな取材対象をもとに考察を重ね、これまでの著書に『貧困女子のリアル』『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)、『沼にはまる人々』(ポプラ新書)がある。
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(ライター/編集者 沢木 文)
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