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「エアコンの調子が悪くて大変」にはどう返すべきか…なぜか妻を怒らせてしまう夫が勘違いしていること

プレジデントオンライン / 2023年2月20日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

感じがいい人は何が違うのか。セブン‐イレブン限定書籍『感じのいい人、悪い人 人間関係がうまくいく「話す技術」』を上梓した心理カウンセラーの五百田(いおた)達成さんは「ビジネスの現場ではロジカルさが重要だが、そうしたやりとりは『感じが悪い』と受け取られる恐れがある。会話の印象をよくするために必要なのは『正しさ』よりも『優しさ』だろう」という――。

※本稿は、五百田達成『感じのいい人、悪い人 人間関係がうまくいく「話す技術」』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■「感じがいい」とはどういうことか

誰しも「感じが悪い」よりも、「感じがいい」と思われたいですよね。でも、「感じがいい」と思われるにはどうすればいいのでしょうか。

なんだか漠然としていて、つかみどころがないようにも思える「感じがいい」ですが、決め手になるのは「この人は私の話を聞いてくれる」という印象です。

いまや、みんなが自分の話を聞いてほしくてうずうずしています。リアルはもちろん、SNSのやりとりでも、無視されるのがいちばんつらい。リアクションを求めて、日々情報発信に努めている人が大勢います。「一億総承認欲求時代」と言ってもいいかもしれません。

そんな中、自分の話を聞いてくれる人がいたら、どうでしょう。話を聞いてもらった側は、「この人は自分の話を聞いてくれるんだ!」とうれしくなるはずです。

感じのいい人だと思われるためには、「相手の話を聞くこと」が最初の一歩なのです。

■無意識の“話題泥棒”が評価を下げる

「感じのいい人とは、相手の話を聞く人」。

そう言われると、「そんなの当たり前のことじゃないか」「もちろんちゃんと聞いているよ」と思うかもしれません。

ですが、例えば誰かと話をしているとき、相手の話はそっちのけで、次に自分が何を話すかを考えてしまったことはありませんか。

「この話が終わったら、この意見だけは伝えておこう」「いいアイデアを思いついてしまった!」「この話はいつまで続くんだろう。なんとか適当に切り上げたい」などと考えていると、相手の話はほぼ耳に入ってきません。

あるいは、相手の話をきっかけに自分の話を始めてしまう人もいます。

「先週、バーベキューに行ったんだ」

友人にこう言われて、つい自分のバーベキュー経験について話してしまったことはないでしょうか。

「バーベキューいいね! そういえば、ここ3年ぐらい行ってないな。昔は家族でよく行ったんだけどね」
「バーベキューって楽しいけど、準備が大変だよね。なんだかんだで店に行くほうがラクじゃない? 天気の心配もいらないし」
「そういえば、最近ネットで見つけたビアガーデンがすごく良さそうで……」

話題を出した本人はそっちのけで、周囲が好き勝手に反応し、それぞれが自分の話を始めてしまうというシチュエーションは珍しくありません。

この“話題泥棒”はやっている側はなかなか自覚できないうえ、確実に好感度が下がる危ういふるまいです。

■聞き上手に共通する3つのポイント

人は「自分の話を聞いてくれる」人を「感じがいい」と認識する。この心理をよく理解すると、感じのいい人になることは実はさほど難しくありません。

「この人は自分の話を聞いてくれる」と相手に思ってもらうための、3つの「聞き方の基本姿勢」を紹介しましょう。

1.相手の話をすべて記憶するつもりで聞く

とかく自分に向いてしまいがちな意識のベクトルを相手に向けるためには、相手の話を「すべて記憶するつもりで聞く」という心構えが有効です。そこまで集中できれば、気がそれるのを防げます。

もし相手が話している最中に伝えたいことが浮かんできてしまったときには、メモしておきましょう。そうすると、メモしたことで安心し、再び相手の話に集中できます。

思いついた途端にあわてて伝えるのではなく、相手の話をきちんと聞いたあとに伝えるほうが、あなたの話も聞いてもらいやすくなるので一石二鳥です。

■リアクションはオーバーなくらいでいい

2.リアクションは大きく

「ちゃんと聞いているよ」ということを伝えるために、目をきちんと見て、うなずきは大きく、そして笑顔を忘れないようにしましょう。いつもよりオーバーめにリアクションをとるだけで相手はうれしくなりますし、身体を動かすと自分の気持ちもほぐれます。

ちなみに、うなずくときは小刻みに「うん、うん、うん……うん、うん」とうなずくより、じっと聞いていてたまに大きくうなずくほうが、実感がこもって伝わります。せかせかした印象を与えないという効果もあります。

3.心の余裕を大切にする

誰かと話をするとき、緊張してしまうことがありませんか。

緊張とは、「どうしよう」と意識が自分に向いてしまう状態、あるいは、「頭が真っ白」とも表現されるように、意識が散漫になっているような状態です。

どちらも、相手の話をきちんと聞ける状況ではありませんね。

聞き上手になろうとするあまり、緊張した雰囲気を作ってしまっては本末転倒。落ち着いて話を聞けるよう、自分のコンディションに十分気を配りましょう。

■会話に沈黙はあって当たり前

また、実は自分が緊張すると、相手も緊張します。緊張は伝染するのです。ですから、まずは自分が落ち着ける環境を作りましょう。

例えば、座席の位置。正面で向き合うより、カウンター席のように並んで座れる場所のほうが緊張しづらいです。

相手が自分の右側にくるか、左側にくるかでリラックス度が変わるようであれば、より落ち着くほうを選びましょう。

テーブル席にお互いが斜めになって座るのもおすすめです。

会話の最中は沈黙を過度に怖がらないことも大切です。

私自身もそうですが、相手の言葉が途切れると「とりあえず何か言わなくては」と考えてしまう人は多いはず。でも、相手が黙っているのは「これから話すことをじっくり考えているため」かもしれません。

無理に話題をつなごうとせず、黙って笑顔で相手の言葉を待ち、「それで?」と続きを促すぐらい心の余裕を持てるとベストです。

■必要なのは「正しさ」よりも「優しさ」

さて、書店でビジネス書の棚を見ると、「ロジカルシンキング(論理的思考)」「できる人の話し方」といったハウツー本が大きなスペースを占めています。ビジネスパーソンの間では「ロジカルであるべし」は常識になりつつあります。

しかし、こうした「できる人(ふう)のコミュニケーション術」は、「感じがいい」どころかむしろ「感じの悪い」方向へと振れてしまいます。

【妻】今日、エアコンの調子が悪くて大変だったの
【夫】そういうときはすぐ修理業者を呼んだほうがいいよ
【妻】そうかなと思ったんだけど、業者の電話番号がわからなくて
【夫】そういうときのために、連絡先はまとめてどこかに貼っておいたほうがいいっていつも言っているだろう
【妻】なんでそういう言い方をするの。もういい!

このような「トラブル」に関する話題において、聞く側にもっとも求められるのは「感情」を受け止め、共感することです。

口論する夫婦
写真=iStock.com/laflor
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/laflor

しかし、この会話の中で夫は「生活家電の調子が悪くなった場合にはどうすればいいか」「そのためには日頃からどういう備えをすればいいか」といった理屈・対策を語っています。

その話しぶりは「頭がいい人(ふう)」のそれですが、妻の気持ちをないがしろにしています。だから、妻は怒ったのです。

■「事柄」ではなく「感情」に着目する

相手が「エアコンの調子が悪くて大変だった」と言ったら、そのとき注目すべきは「エアコンの不調」という事柄ではなく、「大変だった」という感情面です。

五百田達成『感じのいい人、悪い人 人間関係がうまくいく「話す技術」』(プレジデント社)
五百田達成『感じのいい人、悪い人 人間関係がうまくいく「話す技術」』(プレジデント社)

「それで、どうなったの?」「もう業者は呼んだ?」などと言わず、まずは「それは大変だったね」と受け止めましょう。

それだけでも相手は「話を聞いてもらっている」「共感してもらえた」と感じます。

「ロジカルに話す」というのはある種、気持ちがいいものです。その感覚はわかります。

私も過去には、「なんでそうなったの?」「問題の本質はここだよね」「じゃあこうしたらいいじゃん」と、グイグイと“有益なアドバイス”をしていました。

でも、相手の表情は晴れず、それどころか不満げでもある。そのとき相手の中にあったのはきっと、「この人は話を聞いてくれない」「もう話したくない」という「感じの悪さ」だったのでしょう。

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五百田 達成(いおた・たつなり)
作家・心理カウンセラー
1973年生まれ。東京大学卒業後、角川書店、博報堂をへて独立。コミュニケーションをテーマに執筆・講演を行う。『察しない男 説明しない女』ほか著書多数。

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(作家・心理カウンセラー 五百田 達成)

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