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「ヘルシーで低カロリーな食事はかえって太る」ダイエットに失敗する女性がよく口にする"最悪の食べ合わせ"

プレジデントオンライン / 2023年2月25日 13時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/byryo

効果をうたうダイエット法は無数にある。しかし現実には、どれを試してもやせられない、というケースが大半だ。“ダイエット難民”はいったいどうすればいいのか。内科医の水野雅登さんは「実は、太っている人に必ずといっていいほど足りない栄養素があるのです。このことはあまり知られていません」という──。(第2回/全3回)

※本稿は、水野雅登『医師が教える 40代からの神ダイエット』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■「カロリー制限神話」は捨ててOK

「カロリーは前時代の非科学的なものであり、まったくあてにならない」というのが、私の考えです。あまり知られていないのですが、2020年には、ハーバード大学医学部も「科学的根拠が皆無なカロリー制限はやめるべき」と指摘しています。

その理由は、食べ物のカロリーの数値が「その食べ物を燃やしたときに水をどれぐらい温めるか?」で決められているからです。

一瞬、「……え?」となりますよね。それも無理はありません。私たちの体の中で、食べ物に火がつくことはないのですから。

■科学的な根拠に基づいたダイエットの指標は「PFC量」

食べたものは胃や腸に運ばれ、「酵素」によって消化や代謝が行われ、エネルギーや栄養として体に取り込まれています。つまり、カロリーは人間の消化・代謝をまったく反映していない、“謎の数値”ということです。

カロリーが低くても体脂肪が増える食べ物はあるし、逆に、カロリーが高くても体脂肪が増えない食べ物もあります。

カロリーは、その食べ物が体内に入るとき、また、入ってから起こす代謝や反応については完全に無視しているので、ダイエットするうえであてにならないのです。

カロリーを目安にダイエットをがんばってきた人たちは「そんな……」と絶望的な気持ちになるかもしれません。しかし、大丈夫です。科学的な根拠に基づいた、ダイエットの指標があるので、安心してください。

それは、食べ物に含まれる3大栄養素の目安である、「PFC量」です。

【図表1】ダイエットでチェックすべきは「PFC量」
出所=『医師が教える 40代からの神ダイエット』

Pは「Protein(タンパク質)」、Fは「Fat(脂質)」、Cは「Carbohydrate(炭水化物)」のこと。そして、これまでのカロリーに該当する言葉は、「エネルギー」と言い換えるのが適正であると考えてください。

■「肉は太る」「野菜はやせる」は大間違い

「カロリー制限」と同じくらい、ダイエットでよくある勘違いが「肉は太る」「野菜はやせる」というものです。この考え方も、カロリー制限神話がもたらした大きな弊害の1つといえるでしょう。

カロリーの大小と脂肪のつきやすさは関係ありません。「脂(あぶら)が多くてカロリーが高い肉は太る」「カロリーが低い野菜は食べても太らない」という認識は完全に間違っています。

私は、「野菜しか食べていないのに、どんどん太るんです……」と途方に暮れるダイエット希望の患者さんとたくさん出会ってきました。

そうした患者さんに多いありがちな行動として、最後には「何を食べても自分は太る」と思い詰め、食べる量を極端に減らしてしまうのです。結果、やせるどころか、健康を損なう方も少なからずいました。

■「糖質」と「肥満ホルモン」で考える

その方法では、体重は減っても、同時に筋肉も失うために疲れやすくなります。

さらに、内臓も弱り切って、とても健康とはいえない状態になります。しばらくすると今度は過食に走ってリバウンドし、ダイエット前よりも太ってしまう……というのが“あるある”のパターンでした。

健康的にダイエットをするためには、体に「脂肪をためろ!」という反応を引き起こす食べ物を減らし、脂肪燃焼を促す食べ物をしっかりとることです。そうすることで筋肉は落とさずに脂肪だけを落とし、血管や骨は健全、しかもリバウンド知らずのダイエットを成功させることが可能になるのです。

キーワードは、「糖質」と「肥満ホルモン」です。

■太っている人に決定的に足りていない栄養素

ダイエットというと、最初に「食事を減らす」ことをイメージするかもしれません。食べ過ぎたから太る……それはその通りですが、実は、太っている人に必ずといっていいほど足りていない栄養素があることは、あまり知られていません。

その栄養素こそ、「タンパク質」です。もっというと、肉、卵、魚などに豊富な動物性タンパク質が、絶望的に足りていないのです。

逆に、肥満がある患者さんに食事内容の聞き取りをすると、いったい何を食べ過ぎているのか。ほぼ同じ答えが返ってきます。ごはん、麺、パン、お菓子類……つまり、糖質です。

朝はパン、昼に丼もの、夜はカレーライス、さらに食後にはアイスやケーキなどのスイーツを必ず……といったように、1日に食べたもののうち8~9割を糖質が占める「超高糖質食」であることも珍しくありません。

それに対して、タンパク質はほんの付け合わせ程度にしか摂取していません。

太った若い女性
写真=iStock.com/ozgurdonmaz
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ozgurdonmaz

■タンパク質不足で太るメカニズム

人間の体にとって、本当に必要な栄養素の比率でいえば、この場合の糖質とタンパク質の摂取量は逆転させるのが適正です。

そもそも、私たちの体から水分をごっそり除くと、残りはほぼタンパク質です。体は7割が水分、2割がタンパク質でできていて、筋肉も骨も内臓もすべてタンパク質を主成分として構成されています。

そのタンパク質が不足すると、当然ながら体の材料が極端に不足して、十分に機能しなくなります。代謝も極度に低下して脂肪燃焼がストップし、太ります。次のような項目が当てはまる人は、ぜひタンパク質不足を疑ってください。

■タンパク質不足チェックリスト
□ 食べる量が変わっていないのに年々体重が増えている
□ 傷の治りが遅い
□ 胃腸が弱い
□ 爪に凸凹がある
□ 肌、髪がパサパサしている
□ 疲れやすく、すぐ風邪を引く
□ やる気が出ない、うつっぽい、集中が続かない

■「血糖値を上げない」ことが脂肪をつけないコツ

体に脂肪がつくときには、ある条件が必要です。それは、「血糖値を高くすること」。体の仕組みから、血糖値が高くならない限り、脂肪はつきません

脂肪の発生は、次のような体のメカニズムからきています。

【図表2】体に脂肪が蓄積するメカニズム
出所=『医師が教える 40代からの神ダイエット』

図表2の通り、「体に脂肪を蓄えろ!」という命令を出すのは、肥満ホルモンとも呼ばれる「インスリン」です。インスリンは、血糖値が上がると、それを下げるためにすい臓から分泌されます。

つまり、血糖値を直接的に上げる反応を起こすのは、糖質だけ。だから、体を肥満させる主犯は、糖質ということです。

■タンパク質は脂肪の燃焼にも重要

ごはんやパン、麺やお菓子など、1日中、休む間もなくせっせと糖質の多い食事をしている人の体内では、「太れ!」「脂肪をためろ!」という命令がひっきりなしに飛び交います。そのため、どんどん脂肪が体にたまっていく……という恐ろしい状態になります。

その脂肪の蓄積をさらに後押ししてしまうのが、タンパク質不足です。

タンパク質は、「脂肪を燃焼させる反応」に欠かせない栄養素です。タンパク質不足で脂肪が燃えないまま糖質をとり続けると、脂肪はひたすらたまる一方。減ることはなく、増えていくのみ。そして立派な「メタボな体」になっていく……というわけです。

タンパク質が十分に足りていて糖質摂取は少ないのに肥満しているという人に、私は今までお目にかかったことはありません。

■やせない女性にありがちな傾向とは

あるとき、「全然やせない!」と訴える女性患者さんに、具体的にどんな食生活をしているのか詳しく聞いてみたところ、はたして、次のような内容でした。

「主食は健康によい、玄米や雑穀にしています」
「おかずは野菜をたっぷり。野菜だけの日もあります」
「肉はカロリーが高くて太るから避けて、ときどき魚を一切れぐらい」
「食後のデザートには、果物を必ず。ときどき、スムージーにして朝ごはん代わりにも」

これが、“やせない女性あるある”です。

■「ヘルシーで低カロリーな食事」という勘違い

玄米や雑穀は糖質たっぷりなので、当然ながら血糖値がグングン上がり、肥満スイッチがオンになります。野菜たっぷりというのも完全に葉物野菜だけならやせますが、タンパク質不足は進んでしまいます。

水野雅登『医師が教える 40代からの神ダイエット』(プレジデント社)
水野雅登『医師が教える 40代からの神ダイエット』(プレジデント社)

「おかず」というからには主食はとっており、その主食がやせるのを邪魔します。さらに、野菜でおなかがいっぱいになるから、脂肪を燃やすのに必要なタンパク源である肉類が食べられなくなります。

また、「果物ならヘルシーだし、太らないよね!」と思っている方も多いのですが、果物にも糖質は含まれているうえ、最近は品種改良で糖度の高いものが増えています。

やはり体の肥満スイッチをオンにする食べ物です。

「ヘルシーで低カロリーな食事」をしているつもりが、「高糖質低タンパク質太り」になっている典型的なケースです。

■糖質をとらなければ脂肪はつかない

逆にいえば、「糖質をとらなければ体に脂肪はつかないよ」ということです。

もっといえば、どんなにカロリーが高くても、脂質が多くても、糖質を含んでいなければ太ることはありません。「脂肪がつく反応」を起こす肥満ホルモンが大量に分泌されることがないからです。

たとえば、バターは太る食べ物の代表格とされていますが、実は、バター単体をかじっても太ることはありません。脂質だけ摂取しても、肥満ホルモンであるインスリンの分泌は増加しないからです。

ところが、高糖質なパンにバターを塗って食べると、ものすごく太る反応が起こります。パンに含まれる糖質によって血糖値がガンガン上がり、肥満ホルモンがドバドバ分泌され、パンの糖質だけでなく、いっしょに食べたバターの脂質も脂肪として体に蓄えられるためです。

このように「糖質+脂質」こそ最強の太る組み合わせなのです。

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水野 雅登(みずの・まさと)
医師
1977年、愛知県生まれ。2003年に医師免許取得(医籍登録)。日本糖質制限医療推進協会提携医。著書に『薬に頼らず血糖値を下げる方法』(アチーブメント出版)、『医学的に内臓脂肪を落とす方法』(エクスナレッジ)、『糖質オフ大全科』(主婦の友社)など多数。

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(医師 水野 雅登)

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