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糖質オフしても太る…中高年に絶望的に不足しているタンパク質を効率的に取れる「食材ランキング」

プレジデントオンライン / 2023年2月28日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/carlosgaw

糖質オフは「やせる」「やせない」、どちらが本当なのか。内科医の水野雅登さんは「糖質オフと同時に食事全体を減らしてしまう人がいます。結果として栄養不足に陥って、体がかえって脂肪をため込もうと、極端に太りやすい体質に変わることも。大切なのは、糖質オフと同時に、肉や卵、魚などのタンパク質と鉄分をしっかりとることです」という──。(第3回/全3回)

※本稿は、水野雅登『医師が教える 40代からの神ダイエット』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■「糖質オフ」ダイエットのありがちな失敗

糖質をとらなければ、新たな脂肪は体につかない。では、糖質を控えれば、どんどんやせるのでしょうか?

いえ、それだけではさほどダイエット効果は上がりません。糖質を控えるだけでは、すでに体にたっぷりついてしまった脂肪は燃えることなく残り続けることがあります。糖質オフでありがちなケースです。

糖質オフと同時にタンパク質と脂質も減らしてしまえば、当然ながら体を動かすエネルギーが極端に減ってしまって、フラフラになってしまいます。こうなると、糖質オフではなく、単なるカロリー制限です。

「糖質制限をしたら、体調が悪くなった」と言う人がときどきいますが、それはこのケースであることがほとんどです。

糖質オフと同時に、肉や卵、魚などをしっかり食べることで、はじめて糖質オフのダイエットはうまくいきます。肌や髪、筋肉が衰えることなく、脂肪だけが落ちてきれいにやせられるのです。

■「食事を減らす」のは間違い

食事全体を極端に少なくするダイエットは、一時的に体重が落ちても、極端に太りやすい体質に変わってしまいます。栄養失調に陥った体は、次に、入ってきた栄養を必死に脂肪として蓄えるようになるからです。

通常の食事に戻しただけで、一気にリバウンドが起こり、減食前よりも体重が増えてしまうのです(この現象を経験されたことがある方は多いでしょう)。

そのため、ごはんやパンなどの糖質を減らすと同時に、肉や卵などのタンパク質をしっかり食べることが重要です。

まず、人間の体の主材料であるタンパク質がなければ、代謝そのものが停滞して脂肪がどんどんついてしまいます。

次いで重要なのが、鉄です。肥満がある患者さんたちは、必ずといってよいほど、鉄不足が見られました。それもそのはずで、鉄は体の「脂肪燃焼機関」を動かす材料だから、足りなくなるとどんどん太ります。

■脂肪燃焼に必須の栄養素

脂肪の燃焼が体のどこで行われているかというと、細胞の中にある「ミトコンドリア」です。ミトコンドリアは、いってみれば人の体に搭載された「脂肪燃焼機関」なのです。

ミトコンドリアは、体中の細胞内にある器官で、人間の体重の約10%もの重さを占めています。この無数にあるミトコンドリアの中で糖質や脂質、タンパク質などが代謝されて、体を動かすためのエネルギーがつくられているのです。

【図表1】脂肪燃焼機関「ミトコンドリア」を活発に動かすには……
出所=『医師が教える 40代からの神ダイエット』

ミトコンドリアが元気いっぱいに働いてくれると、脂肪がメラメラ燃えるようになります。そして、ミトコンドリアを活発に働かせるために必須なのが、鉄。鉄が足りないと、ミトコンドリアは一斉に元気を失い、脂肪を燃やす働きも停滞します。

そのため、鉄もダイエットに必須の栄養です。

脂肪燃焼にはほかにも、ビタミンCやB群、マグネシウムや亜鉛などのミネラル類も必要ですが、太っている人はこれらすべてがタンパク質や鉄と同じく足りていません。ごはんやパン、麺、甘いものには含まれていないので、当然といえば当然ですね。

■肉、卵、魚を食卓の主役にしよう

中年期には体が一気に太りやすい体質にスイッチされる。そして、これまでの“普通の食事”では脂肪を燃やす栄養がまったく不足してしまうため、それがどんどん増長されていきます。

では、体重を減らすためには、実際に食べ方をどう変えればよいのでしょうか。

糖質が主となっている食品……ごはん、パン、麺などをこれまでの「主食」としてきたと思いますが、40代からは、タンパク質が主にとれる食品、つまり「肉、卵、魚が私の主食です」と生活習慣を切り替えていきましょう

食事の献立を考えるときも、まずは新しい主食である肉、卵、魚のどれから構成するかを最優先にする。外食のときも「タンパク質が十分とれる店は、メニューはどれだろう」という考えを軸として選択します。

とにかく、それまでほんの付け合わせ程度だった肉、卵、魚を食卓の主役にしていきましょう。

すると、丼ものやパスタ、麺類はほとんどタンパク質がとれないので選択肢から外れてきます。必然的に、とり過ぎていた糖質摂取を減らすことにもつながります。

■「豆や野菜からとる」はNG

「豆はヘルシーなタンパク源」というイメージを強く持っている方がたくさんいます。しかし、残念ながら、いくら大豆や大豆製品を食べても、タンパク質不足を解消する効果は薄いといわざるを得ません。

というのも、大豆に含まれる植物性タンパク質は、動物性タンパク質に比べると消化・吸収の効率が低いからです。

実際に、ある女性患者さんの血液検査をしたところ、タンパク質不足が見て取れました。そこで、「タンパク質が不足しているので意識的にとってくださいね」とお伝えしたところ、「え、どうしてなんでしょう? いつもタンパク質はすごく意識していて、豆腐や豆からしっかりとるようにしているのに……」と困惑されたことがありました。

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写真=iStock.com/puckons
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/puckons

■「アミノ酸のバランス」がタンパク質の質を左右する

実は、「一般的にイメージされる健康的な食事」をしている人ほど、こうした罠にはまってしまっています。

しかも、大豆をたくさんとることで、ミネラル不足になりやすくなるというデメリットもあります。大豆には「フィチン酸」という物質が含まれており、これが鉄やカルシウム、マグネシウムといった重要なミネラルの吸収を邪魔する働きをしてしまうからです。

ちなみに、発酵の過程でこのフィチン酸は失われるため、納豆やみそなどの大豆製品の場合は、ミネラル不足になる心配はありません。豆腐は豆乳をにがりで固めた加工食品で、発酵食品ではありません。そのため、フィチン酸を含んでいるため、やはり食べ過ぎには注意してください。

同じタンパク質といっても、食品によってその質に大きな違いがあることは、あまり知られていません。その質の違いは、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸にあります。中でも、人間の体内で合成できないアミノ酸は9種類あり、それらを「必須アミノ酸」といいます。

必須アミノ酸がバランスよく、十分に含まれていると体に効率よく吸収されます。そのため、このアミノ酸のバランスが、タンパク質の質を左右するのです。

具体的にいうと、アミノ酸のバランスがよい卵と、イマイチな大豆では、同じ量をとっても体の中で生かされるタンパク質の量が2倍違うということです。

■1日に必要なタンパク質の量とは

そもそも、タンパク質はどの程度とればいいのでしょうか。一般に、必要とされるタンパク質量の目安は次の通りです。

1日に必要なタンパク質量目安:なりたい体重(kg)×1g

体重は自分が理想とする体重(*)で計算してください。なりたい体重が60kgの場合は、1日に必要なタンパク質の量は「60g」ということです。

*健康的な理想体重の目安は、「BMI20~22」です。たとえば身長160センチの場合、適正体重は51.2~56.32kgだと考えられます。

■肥満がある人は全員、重度のタンパク質不足の可能性…

しかし、これはあくまで「これまでタンパク質不足ではありません」という健康体の方の目安です。

肥満がある人はほぼ全員、重度のタンパク質不足であると考えていいでしょう。そのため、私は肥満の方にはこの2倍から3倍の量のタンパク質をとるようにアドバイスしています。

つまり、なりたい体重が60kgの場合は、1日に必要なタンパク質は120~180gということです。

■効率よくタンパク質をとれるおすすめ食材

そういわれても、「何をどれぐらい食べればその量のタンパク質がとれるのか、まったくイメージできない!」という方が多いのではないでしょうか。でも大丈夫。以下の表を見れば一目瞭然です。

これは、アミノ酸のバランスを考慮して作成した、タンパク質10gをとるために必要な各食品の量がわかる資料です。私のおすすめ順に紹介します。

■効率よく「タンパク質10g」がとれるおすすめ食品
1位 鶏肉 55g
2位 牛肉 65g
3位 鶏卵 79g
4位 羊肉 68g
5位 豚肉 83g
6位 カジキ 48g
7位 サンマ 52g
8位 サケ 58g

これを見て、「鶏卵はタンパク質10gをとるのに79g(約1.5個)必要なのに、カジキは48gでとれるから、より効率的じゃないか。それなのに鶏卵より下位なのはおかしい」と思われたかもしれません。ほかにも、全体的に魚が獣肉よりも下位になっています。

■1日一食の私の場合

このような順番になっているのは、コストと食べやすさ、調理のしやすさを考慮しているからです。また、魚は少量で満足してしまいがちで、思ったよりも量がとれないことも考慮しています。

水野雅登『医師が教える 40代からの神ダイエット』(プレジデント社)
水野雅登『医師が教える 40代からの神ダイエット』(プレジデント社)

「おすすめ」の順であって、単純な必要量のランキングではない点にはご注意ください。

日々タンパク質を意識した食事をする中で、私としては、獣肉や卵を主とするほうが、魚よりもずっととりやすいと感じています。

私自身は「1日一食」という食習慣にしていますので、たとえば牛肉だとステーキ肉を一度にドカンと焼いて食べたりしています。タンパク質摂取の効率がよく、脂質もとれます。

もちろん、魚好きな方はそちらをメインにしていただいてもまったく問題ありません。

タンパク質のよりよいとり方については、拙著『医師が教える 40代からの神ダイエット』にわかりやすくまとめていますので、こちらも参考にしながら、「健康的にやせる食べ方」を日々の生活に取り入れてみてください。

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水野 雅登(みずの・まさと)
医師
1977年、愛知県生まれ。2003年に医師免許取得(医籍登録)。日本糖質制限医療推進協会提携医。著書に『薬に頼らず血糖値を下げる方法』(アチーブメント出版)、『医学的に内臓脂肪を落とす方法』(エクスナレッジ)、『糖質オフ大全科』(主婦の友社)など多数。

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(医師 水野 雅登)

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