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引用を示す「と」の前にテンを打つ…ビジネス文書がグッとわかりやすくなる「テンの10のルール」

プレジデントオンライン / 2023年2月26日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

読みやすい文章を書くには、どこに気をつければいいのか。ライターの小川真理子さんは「読みやすい文章を書くうえで必要な『3つの文章作法』を身につけることで、伝わりやすい文章が書けるようになる。なかでも読点と呼ばれる『、』のルールを理解すれば、文や文章の意味を明確に伝えられるようになる」という――。(第2回)

※本稿は、藤吉豊、小川真理子『社会人になったらすぐに読む文章術の本』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■内容の切り替わりがなくても改行は効果的

本稿では、ビジネスで文章を書くときの基本の作法について説明します。ビジネスの文章上達に必要なのはスキルです。ここで紹介する「3つの文章作法(スキル)」を身につけると、文章が苦手な人でも、あらゆる場面でわかりやすい文章が書けるようになります。一つひとつ身につけていきましょう。

(1)こまめに改行する

改行をすると、文末に余白が生まれ、文字がぎっしりと詰まった印象がなくなります。見た目のすっきり感に加え、改行をして段落に分けていくことで、次の効果が生まれます。

藤吉豊、小川真理子『社会人になったらすぐに読む文章術の本』(KADOKAWA)
藤吉豊、小川真理子『社会人になったらすぐに読む文章術の本』(KADOKAWA)

【改行の効果】
・内容の切れ目がはっきりして内容がわかりやすくなる。
・息継ぎの場ができて、読みやすくなる。

段落とは、一般的に「長い文章を内容で分けた区切り」を指します。段落が始まるときは、改行して、1文字下げて書きはじめるのが普通です。例外として、ニュースサイトの記事やブログ、SNSなどウェブ上の文章では一字下げをしないこともあります。

ビジネスメールでは、一字下げしないのが一般的です。改行は、内容が変わるときにします。ただし、内容が変わらない場合でも、文章が長く続くときは改行をします。

■メールであれば「2~3行」を目安に改行すべき

ビジネス文書では、改行はだいたい「5~6行」を目安にします。メールの場合は、パソコンやスマホで見ることを考慮し、「2~3行」ごとに改行したり、空白行を入れたりすると読みやすくなります。

元の文章
(メール文)平素より◇◇通信をご利用いただき、誠にありがとうございます。このたび、有効期限を迎える◇◇通信ポイントに関して、期間を延長することにいたしました。対象となるのは、○年□月×日から□年×月末までに有効期限を迎える◇◇通信ポイントです。詳しくは◇◇通信ウェブサイトにてご案内しております。今後とも◇◇通信をご愛顧いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


改善例
平素より◇◇通信をご利用いただき、誠にありがとうございます。

このたび、有効期限を迎える◇◇通信ポイントに関して、期間を延長することにいたしました。対象となるのは、○年□月×日から□年×月末までに有効期限を迎える◇◇通信ポイントです。詳しくは、◇◇通信ウェブサイトにてご案内しております。

今後とも◇◇通信をご愛顧いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

元の文章は改行がないため、ぱっと見ただけで読む気がなくなります。改行と空白行を入れることで、理解もしやすくなります。

■漢字が多いと同じ内容でも伝わりにくくなる

(2)漢字とひらがなの比率は「2~3割」対「7~8割」に

漢字とひらがなの比率を変えるだけで、見た目の印象が大きく変わります。

●漢字が多い……硬い印象を与え、内容が頭に入りにくい。
●漢字が少ない……やわらかい印象を与え、内容が頭に入りやすい。
【図表1】ひらがなにしたほうがいい言葉の候補
ひらがなにしたほうがいい言葉の候補(出所=『社会人になったらすぐに読む文章術の本』)

漢字はひらがなよりも画数が多いため、漢字を使いすぎると、文字が詰まった印象になります。

元の文章
配付資料はページ数が僅かで殆どが図です。予め読んでおいて下さい。念の為、ご連絡しました。
改善例
配付資料はページ数がわずかでほとんどが図です。あらかじめ読んでおいてください。念のため、ご連絡しました。

改善例では、5カ所の漢字をひらがなにしました。印象がやわらかくなります。ただし、すべてをひらがなにすると、読みづらくなります。「漢字2~3割」「ひらがな7~8割」を目安にすると、バランスが整って、読みやすくなります。

■句読点の位置は文の意味とリズムを作る

(3)「、」「。」はルールに従って打つ

文章を書くときに必ず使うのが、句点(くてん)「。」(マル)と読点(とうてん)「、」(テン)です。この2つを合わせて句読点(くとうてん)といいます。両方とも、文を分ける働きをします。句読点は、内容によって文を分けるため、「文や文章の意味を明確に」します。

また、「リズムを刻む」役割も果たします。例を見てみましょう。

元の文
昨日入荷した部品はすべてA工場に届けた。
改善例(1)昨日、入荷した部品はすべてA工場に届けた。
改善例(2)昨日入荷した部品は、すべてA工場に届けた。
改善例(3)昨日入荷した部品はすべて、本日A工場に届けた。

元の文の場合、「昨日入荷した部品」を届けたのか、それとも、「入荷した部品」を昨日届けたのか、あいまいです。改善例のように、「テン」を打つことで、文の中にまとまりができるため、読み手は迷うことがなくなります。テンを打つ位置によって意味が変わります。

【意味】
改善例(1)「昨日」A工場に届けた。
改善例(2)「昨日入荷した部品」を(いつかわからないが)A工場に届けた。
改善例(3)「昨日入荷した部品」を本日、A工場に届けた。

改善例(3)は届けた日(本日)を加えたことで、改善例(2)よりも文の意味が明確になりました。

文例(1)今日も明日も明後日もスケジュールがいっぱいだ。
文例(2)今日も、明日、明後日も、スケジュールがいっぱいだ。

同じ文でも、文例(2)のようにテンを打つとリズムが生まれます。テンは文にリズムを与える効果があります。

■「テン」には10のルールがある

「マルは文の終わりに打つ」というルールがあります。

例文
うかがいたいことがありますので、ミーティングのあとで15分ほどお時間をいただけますか。

マルのつけ方で注意したいのは、「」(カギカッコ)がついたときの位置です。

元の文
営業部の課長が「来週の金曜日に懇親会をやろう。」とおっしゃっていました。
改善例
営業部の課長が「来週の金曜日に、懇親会をやろう」とおっしゃっていました。

ビジネス文書では、文中のカッコ内で文がいったん終わっている場合、マルをつけないのが普通です。

テンには10のルールがあります。ただし、10のルールどおりに打たなかったからといって、間違いではありません。読み手が内容を間違えずに、スムーズに読めることが大切です。

(1)文の切れ目に
明日の定例会議では、次の資料が必要になります。

(2)修飾する文章が長いとき、そのあとに
弊社サービスの導入事例をお送りしますので、ご覧ください。

(3)対等な語句を並べるときに
お返事は、電話でも、メールでも、FAXでも構いません。

(4)接続詞、逆接の助詞のあとに
ところで、明日のご都合はいかがですか。明日は雨の予報ですが、開催いたします。

(5)誤解を避けるために
×ここではきものを脱いでください。
○ここで、はきものを脱いでください。

(6)挿入された語句の前後や文節を区切るときに
お申込みは定員に達しましたが、会場のレイアウトを変更して新しく席をつくりましたので、あらためて若干名募集します。

(7)強調するときに、強調する語の前に
文章術こそが、今もっとも求められているスキルです。

(8)引用を示す「と」の前に
明日の会議は出席できない、と部長から連絡がありました。

(9)感動詞や呼びかけの句のあとに
えっ、本当ですか。

(10)格助詞を省略した、その語のあとに
お手紙、ありがとうございました。(格助詞「を」を省略)

■引用するときは「マル」ではなく「テン」を使う

10のルールの中で、気をつけたいのは、(8)の「引用を示す『と』の前に」です。引用があると、「引用の文の終わりだから」という理由で「マル」を打ってしまうケースがあります。

元の文
体調が悪いので休みたい。と○○さんから連絡がありました。
改善例
体調が悪いので休みたい、と○○さんから連絡がありました。

文章の途中ですから、「。」ではなく改善例のように「、」を打ちます。

■1文のなかで「テン」を多用しすぎてはいけない

多くの内容をテンでつなげて1文を長くすると、文がわかりにくくなります。テンを使った文でも、60文字におさめるように意識します。

元の文章
日本企業の独自のITシステムは、改修を重ね、複雑化・老朽化し、システム開発を担った人材は定年退職し、全容を把握する人材が乏しく、「ブラックボックス」化が加速しており、DXが進まないと、ハードの故障やソフトの不具合などに起因する経済損失が急増するといわれている。
改善例
日本企業の独自のITシステムは、改修を重ね、複雑化・老朽化している。システム開発を担った人材は定年退職し、全容を把握する人材が乏しく、「ブラックボックス」化が加速している。DXが進まないと、ハードの故障やソフトの不具合などに起因する経済損失が急増するといわれている。

元の文章ではテンですべての文がつながり、読みにくくなっています。改善例では、マルや改行で文を分けました。

■1文は60字以内におさめると読みやすくなる

正確に伝えることが重視されるビジネス文書では、「1文は短く」が基本です。筆者は「1文の長さの目安=60文字以内」を推奨しています。

元の文章
クッション言葉とは、相手に対して何かを依頼したり、断ったり、相談したりするときで、とくにそのまま伝えてしまうと、とてもきつい印象を与えたり、不快感を与えてしまう恐れがある場合に、本題の前に前置きとして、添えて使う言葉のことです。(114文字)
改善例
クッション言葉は、相手への「依頼」「断り」「相談」の際に、本題に添える言葉です。(40文字)そのまま伝えると、きつい印象や不快感を与える恐れがある場合に、前置きとして使います。(42文字)

文章が長いため、まずは文章を2つに分けました。アンダーラインの部分を削り、すっきりさせました。ビジネスマンとして分かりやすく正確な文章を書くためには、本稿で紹介したひらがなと漢字の割合や、句読点の位置を意識するといいでしょう。

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藤吉 豊(ふじよし・ゆたか)
ライター、文道 代表
有志4名による編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。編集プロダクションにて、企業PR誌や一般誌、書籍の編集・ライティングに従事。編集プロダクション退社後、出版社にて自動車専門誌2誌の編集長を歴任。2001年からフリーランスとなり、雑誌、PR誌の制作や、ビジネス書籍の企画・執筆・編集に携わる。著書に『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(いずれも日経BP)、『文章力が、最強の武器である。』(SBクリエイティブ)がある。

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小川 真理子(おがわ・まりこ)
ライター、文道 取締役
有志4名による編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。日本女子大学文学部(現人間社会学部)教育学科卒業。編集プロダクションにて、雑誌や企業PR誌、書籍の編集・ライティングに従事。その後、フリーランスとして、企業のウェブサイトのコンテンツ制作にも関わる。著書に『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』、『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(いずれも日経BP)がある。

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(ライター、文道 代表 藤吉 豊、ライター、文道 取締役 小川 真理子)

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