早寝早起きは大間違い…布団の中で「あと5分だけ」と言う人が知らない9割が成功する“目覚め”のコツ
プレジデントオンライン / 2023年2月22日 9時15分
※本稿は、角谷リョウ『働くあなたの快眠地図』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。
■読書したくても、夜の時間は動画やゲームが中心になりがち
今ではビジネスパーソンのみなさんも、学生時代に楽しいことをやろうと思ったら、活動時間は夜間あるいは深夜が定番だったのではないでしょうか?
高校時代は部屋で隠れてこっそりと、大学時代は深夜までみんなと遊んだりしたことでしょう。同様にビジネスパーソンのほとんどの方は、自分の楽しみや好きなことを夜にされています。
私はよく「なぜその楽しみは夜にされているのですか?」と尋ねるのですが、ほとんどの方が「夜しか自由な時間がないから」と答えます。
さらに「その楽しみは十分に楽しめていますか?」と尋ねると、「いや、夜は疲れていて、実際には疲れていてもできる動画視聴やゲームが中心で、本当にしたい読書や趣味はできてないんです」というのが最も多い回答です。
現代のビジネスパーソンの仕事のハードさ、情報量の多さを考えると、夜になったころには頭の中はノイズだらけで疲れ切った状態になっています。
そこでいったん「夜に好きなことをする」という習慣をやめて、早めに寝て、朝に好きなことをする時間を作ってみるのはどうでしょうか?
■好きなことは「夜」でなく「朝」にシフトが人生を充実させる
私は24時間開いているオフィスで働いているのですが、早朝が最も静かで仕事が捗(はかど)ります。また最近ではジムやカフェも早朝から開いているところも増えてきました。
心も体も疲れた状態で好きなことをしても集中できないのであれば、夜は回復するために快眠に集中してみてはいかがでしょう。
朝イチに疲れが取れていて、フレッシュな状態であれば、ほとんどの趣味を楽しむことが可能です。私も難しい本は朝しか集中して読むことができません。
朝からプログラム言語を勉強したり、大好きなゲームをしたり、ヨガや運動をしたり、朝に好きなことをする時間をシフトした人は、同じ時間でもやれることや集中度合いが全然違うとおっしゃいます。
ひと昔前であれば、夜でも朝でもどちらの時間でもそれぞれ良さがあったと思うのですが、今の情報社会、ストレス社会では、好きなことは夜でなく朝にシフトしたほうが、より人生を楽しめる可能性が高くなりそうです。
■「寝る2〜3時間前は目が覚めるようにできている」
私が睡眠について最初に学んだのが日本睡眠教育機構という団体です。
そこで睡眠改善の上級資格のための授業があり、先生が唐突に「『早寝早起き』という言葉をみなさんはどう思いますか?」と受講者に尋ねました。
その時の受講生の一人が「素晴らしい言葉だと思います。これを広げていくのが私たちだと思います」と、いかにも優等生らしい回答をしました。
受講者の全員がその回答を誉めてくれるのだろうと思った瞬間、先生は「『早寝早起き』という言葉のせいで日本人みんなが睡眠改善に失敗しているんですよ!」とかなり強い口調で言いました。
どういうことなのかみんなが理解できないでいると、先生は「みなさん、いつもの寝る時間より2時間早く寝ることって簡単にできますか?」とふたたび質問されました。そして今度は意地悪をせず、次のように強く語りました。
「実は寝る2〜3時間前は人間は目が覚めるようにできているのです。だから、人間は早寝することは基本的にできません」
「その代わり、早起きは頑張れば可能です。ですから睡眠を見直して、早く寝て早く起きられるようになるには、早起きから始めるしか成功しないのです。だから私たちは『早寝早起き』という言葉を『早起き早寝』にするために日夜頑張っているのです」
ちなみにその後、私は私以外で「早起き早寝」を提唱している人に会ったことがありませんので、まだ世の中にはほとんど浸透していないものと思われます。
実際に睡眠改善指導の現場では、早寝から始めて失敗した人が多いです。
早起きに成功するパターンで確実なのは30分ずらす方法です。このやり方だと9割以上が成功します。
体内時計がずれるのに1~2週間かかりますので、完全に慣れたらまた30分ずらしていきます。早起きの必要に迫られて時間がない場合、2時間までなら成功率は7割を超えます。
ただし、始めて3週間は朝調子が悪かったり、日中に急激に眠くなって重大な事故や失敗につながることもあるので、十分に気をつけてシフトしてください。
■布団から出ないと、覚醒が後ろにずれ込む
小さい頃なら遠足の朝、大人になってからはゴルフや旅行に行く朝に「バチッ」と目が覚めて、すぐに布団から出られたなんて経験は誰しもあると思います。
多くの方はこの感覚で起きられることを「目覚めが良い」と勘違いしています。
この1年に1回レベルの覚醒度を基準にすると、99%の人が「朝スッキリ起きられない」ことになります。
そして実際に朝起きられない人たちにヒアリングすると「十分起きられる状態」まで二度寝したり、布団でモゾモゾしてから起きるとおっしゃいます。
これは「起きられる状態になったから起きる」という感覚です。ここで種明かしとなる要素は「体温」と「ホルモン(コルチゾール)」の上昇です。
多くの人はこの2つが上昇するのを待って起きています。もちろん朝型と夜型で上昇するリズムが違いますが、どちらにせよ、布団の中にいては体温もホルモンもなかなか上昇してくれないので、覚醒がどんどん後ろにずれ込みます。
一方、朝スッキリ起きられる人の多くは、体温とホルモンが上昇していなくても、いったん起きて光を浴びたり、水を飲んだりして自らで上げていきます。その結果、かなり早い段階でスッキリした状態を手に入れることができます。
これを繰り返すことで、少しずつ体温もホルモンも早く上がるようになり「スッキリ朝起き体質」になっていくのです。
■「起きてから目覚めていく」と考える
要は考え方を「目覚めたので起きる」ではなく「起きてから目覚めていく」に変えて実行しているだけなのです。この考え方を取り入れるだけで、朝目覚めるまでの時間がかなり短くなって、朝から活動的に動けるようになります。
よく「私は低血圧なので朝起きられない」とおっしゃる方がいますが、目覚めやその後の活動と低血圧はほとんど関係がないことが分かっています。
ただ、その考え方で長年体も脳も慣れているので、普通の人より少々時間がかかりますが、このやり方で朝早めにスッキリできるようになります。
ちなみにこの朝の起き方を取り入れると、平均28分の時間が生まれることが私たちの調査で明らかとなりました。「早起きは三文の徳」とは、まさにこのことですね。
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スリープコーチ
LIFREE共同創業者。NTTドコモ、サイバーエージェント、損保ジャパンなどの大手企業をはじめ、計120社、累計6万5000人の睡眠改善をサポートしてきた上級睡眠健康指導士。日本サウナ学会学会員。神戸市役所勤務時に体づくりに目覚め、パーソナルトレーナーをつけ、自分に合った理論的なトレーニングの有効性を実感。あらゆる有名トレーナーのメソッドを研究する。役所を退職後、トレーナーとして独立。神戸と大阪のトレーニングスタジオを経営しながら、自らもトレーナーとしてスタジオや企業で指導を行うエグゼクティブ専門のパーソナルトレーナーとして活動する。
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(スリープコーチ 角谷 リョウ)
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