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早大入学の意外な穴場…難関付属一貫校「早大学院」は早実中や早稲田中より入りやすく内部進学率は何と96%超

プレジデントオンライン / 2023年2月21日 11時15分

出典=『小学生知育大百科 2023完全保存版』(プレジデントムック)

年々注目が高まっている有名大学の付属&系属・提携校。その内部進学率はどうなっているのか。学校規模、伝統、偏差値、学費などとともに確認してみよう――。第1回は「早慶編」(全3回)

※本稿は、『小学生知育大百科 2023完全保存版』(プレジデントムック)の一部を再編集したものです。数字はいずれも2022年11月30日、雑誌発行時点のもの。

■早稲田vs慶應…難関私立大付属の内部進学率の最新事情

大学付属の中学・高校の人気が近年高まっている。大学通信の情報調査・編集部の大野香代子編集長は言う。

「背景にあるのは2016年度から始まった私大の定員厳格化と21年から始まった大学入学共通テストをはじめとする大学入試改革で、大学受験の難化や混乱が予想されたこと。難関大学へエスカレーター式に進学できる大学付属中高への入学を希望する受験生が増え、多くの大学付属校で倍率と偏差値が上がっていきました。ここ数年は、高止まりしている状況です」

中学・高校の6年間を大学受験のためにきゅうきゅうとするのではなく、のびのびと部活や趣味に打ち込んでほしい、という親心もあり、付属校への進学を希望する受験生の数はしばらく減ることはないとみられている。

そこで、首都圏と関西の大学付属校についてリポートしよう。本稿では、まず早慶編をお届けする。

■慶應義塾大学への内部進学

慶應義塾の場合は、付属校という言い方はせず、一貫教育校と呼ぶ。中学が3校、高校が5校ある。内部進学率は95%以上と極めて高く、ほぼ全員が慶應義塾大へ進める。

進学できる学部は、高校時代の成績順などで決まる。最大規模の生徒数を誇る慶應義塾高校の場合、卒業生706人中(21年度)、進学者の多い学部の順に法224人、経済211人、理工102人、商93人、医22人、環境情報21人、文12人などとなっている。高校によって進む学部の割合は異なるが、最難関学部である医学部には各高校に定員の約3%が割り振られており、成績トップの生徒が進学する。

「慶應は東京歯科大と法人合併に向けて協議中です。実現すれば、医歯薬の医学系すべての学部がそろうことになり、大学としての存在感が高まり、付属校人気もさらに高まるでしょう」(同)

慶應の一貫教育校がほかの大学付属校と大きく異なるのは小、中、高がそれぞれ独立していることだ。

「普通部、中等部の中学生は、高校進学時にニューヨーク学院も含め塾内の高校から選んで進学できます(中等部から湘南藤沢には進学不可)。同様に小学校である幼稚舎の児童は、中学進学時に3校から選んで進学できます。湘南藤沢中等部は同高等部に進学する形です。また小学校の横浜初等部から進学できるのは湘南藤沢中等部のみです」(同)

【図表】慶応義塾大学への内部進学率
出典=『小学生知育大百科 2023完全保存版』(プレジデントムック)

※マークの見方  卒:卒業生数 内:内部進学者数 偏:偏差値(男/女) ¥:初年度納入金 倍:倍率 所:所在地 駅:最寄り駅 募:募集人数(男/女) 数値は2022年のもの。募集人数は23年度のもの。
※卒業生数、内部進学者数、他大学進学実績のデータは大学通信提供。
※学費は副教材代や制服代を含む標準コース(金額が明示されていない制服、スクールバス、給食、寮や教材の費用は含まず)。
※募集人数には推薦や帰国生を含む。
※首都圏編の中学偏差値は日能研提供。高校偏差値は進学研究会提供、協力は早稲田アカデミー。関西編の中学偏差値は日能研関西提供。高校偏差値は大阪進研提供(専願の偏差値)。コースが複数ある場合は、最も募集人数が多いコース

■【慶應義塾高等学校 内部進学率99.0%】

全生徒数は約2200人のマンモス男子校

1948年に発足。戦前の大学予科学校の校舎と教育理念を受け継ぐ。2003年から運動部を中心に入試に推薦枠がある。第2外国語を学ぶのも特徴の一つ。進学先の学部は3年間の成績で決まる。医学部への進学22人(2022年)。

■【慶應義塾志木高等学校 内部進学率99.2%】

埼玉県の私立校で最も難易度が高い

1948年慶應義塾高等農業学校として設立され、57年に志木高校に。農業学校の名残で文化祭は収穫祭という。校内には600種の植物と20種の野鳥がいる。系列中学からの内部進学者は少なく、学年20人程度。医学部への進学5人(2022年)。

■【慶應義塾女子高等学校 内部進学率95.0%】

三田の徳川家屋敷跡にある

慶應義塾大三田キャンパスから徒歩3分の旧徳川邸跡地にある。慶應グループの中では唯一の女子校。十月祭(かんなさい)という文化祭が名物行事。医学部への進学5人(2022年)。

■【慶應義塾湘南藤沢高等部 内部進学率99.6%】

1992年に生まれた唯一の中高一貫校

1992年に湘南藤沢キャンパス(SFC)創設時に開校。慶應初の中高一貫校。高校は帰国生枠と全国枠のみ。中学は1学年約100人と小規模。2019年度から横浜初等部の卒業生が入学するため、募集人数は縮小。医学部への進学7人(2022年)。

■【慶應義塾ニューヨーク学院 内部進学率97.9%】

1990年に設立。系列中学からの入学者も

マンハッタンから電車で45分。中3から高3の4年間。1990年に設置。授業の9割は英語で行われており、日常的なコミュニケーションに使う英語力が必要。卒業後は全員が慶應義塾大へ進学できる。医学部への進学2人(2022年)。

■慶應義塾の中学校以下の一貫教育校

<小学校>
【慶應義塾幼稚舎】倍率30倍以上になったことも

1874年に設立された日本最古の私立小学校。小学校受験での人気は常にトップクラス。定員は男子96人、女子48人。私立小学校では珍しく、面接やペーパーテストを行わない。→進路先の中学:慶應義塾中等部、慶應義塾普通部、慶應義塾湘南藤沢中等部

【慶應義塾横浜初等部】幼稚舎と並んで人気が高い

慶應義塾150周年記念として2013年に設立された。中学も併設される予定だったが、小学校のみに。天然芝のグラウンドなど広々とした設備がある。卒業生は湘南藤沢中等部に進学→進路先の中学:湘南藤沢中等部

<中学校>
【慶應義塾中等部】自由な共学校

慶應義塾で初の共学校として、戦後1947年に設立。慶應義塾大の三田キャンパスに隣接している。教育理念は「自由」で、校則はない。私服通学もOK。慶應義塾湘南藤沢高等部には進学できない。→進路先の高校:慶應義塾高等学校、慶應義塾志木高等学校、慶應義塾女子高等学校、慶應義塾ニューヨーク学院

【慶應義塾普通部】大学よりも早くできた伝統校

慶應義塾の中で最古の学校。1951年に三田から日吉に移転。中1のみ1クラス24人の少人数だが、中2以降は1クラス40人になる。成績が足りなければ留年することもある。制服は黒の学生服。→進路先の高校:慶應義塾高等学校、慶應義塾志木高等学校、慶應義塾女子高等学校、慶應義塾湘南藤沢高等学校、慶應義塾ニューヨーク学院

慶應義塾の学校の中で最も歴史がある慶應義塾普通部。
写真提供=慶應義塾広報室
慶應義塾の学校の中で最も歴史がある慶應義塾普通部。 - 写真提供=慶應義塾広報室
【慶應義塾湘南藤沢中等部】

→進路先の高校:慶應義塾湘南藤沢高等学校

■早稲田大学への内部進学

慶應と並ぶ私学の雄・早稲田大には、中高合わせて七つの付属・系属校があるが、早大への進学実績には差がある。

『小学生知育大百科 2023完全保存版』(プレジデントムック)
『小学生知育大百科 2023完全保存版』(プレジデントムック)

「付属校の早稲田大高等学院と早稲田大本庄、系属校の早稲田実業はほぼ100%が早大に進学します。一方、早稲田高と早稲田佐賀から早大への進学枠は約半数。残りは他の大学に進学します。早稲田高は22年春の合格実績では東京大29人、京都大や大阪大など最難関国立大にも受かっており、『最低でも早大』という雰囲気があります。早稲田佐賀は九州大をはじめとする地元の国公立大やMARCHや関関同立に進んでいます」(同)

一方で、早大へ例年1割弱(直近は8.4%)しか進学しないのが大阪の早稲田摂陵高。付属の中学校は21年度以降の生徒の募集を停止した。

「付属校なら、わざわざ東京の早稲田大学に進学するよりも、地元の関関同立系列でいいのではないかとの考えが強く、人気はいまひとつのようです」(同)

早稲田大学への内部進学率
出典=『小学生知育大百科 2023完全保存版』(プレジデントムック)

それでも全体としては人気絶大の早稲田の付属・系属校だが、意外な穴場校があるという。

「早大高院付属中学部は、歴史がある大学直系の付属校ですが、中学入試の偏差値が早実(男子65、女子66)、早稲田中(65)に比べ、やや低い(62)傾向があります。全員が早大に進学でき、政治経済学部など難関学部の枠が多いことを考えると狙い目と言えるでしょう」(同)

■【早稲田大学高等学院 内部進学率96.7%】

大学直系の男子中高一貫校。高入生が多い

高校は1920年開設。私服通学OKで自由な校風。もともと大学内にあったが、56年に練馬区上石神井に移転。2010年に中学部を設置。高3ではゼミ形式の指導を通じて1万2000字以上の卒論を執筆。付属中学部あり。

まるで大学のような早稲田大高等学院の校舎。
写真提供=早稲田大高等学院
まるで大学のような早稲田大高等学院の校舎。 - 写真提供=早稲田大高等学院

■【早稲田大学本庄高等学院 内部進学率98.8%】

高校のみ。2時間かけて通う生徒も

埼玉北部の本庄市に位置し、新幹線の駅が敷地内にある。早稲田大学創立100周年の1982年に開設。寮もあり2018年には女子寮を新築。教科センター方式で、各教科ごとに教室が分かれていて生徒が移動する。

■【早稲田実業学校高等部 内部進学率97.8%】

(他大学の主な合格実績 東京2、慶應5、上智4)

唯一の12年間一貫教育

付属・系属校の中で、唯一初等部がある。系属校だが、ほぼ全員が早稲田大に内部進学する。商業科があったが、2002年に共学化とともに廃止された。もともと早稲田鶴巻町にあったが01年に国分寺に移転。付属初等部・中等部あり。

■【早稲田高等学校 内部進学率52.0%】

(他大学の主な合格実績 東京29、京都2、東北1、大阪1、一橋2、東京工業2、慶應50)

半数は難関国立大を狙う男子一貫校

1895年に大隈重信の理念に基づき坪内逍遥が設立。1979年に早稲田大の系属校に。早稲田大の前に立地しながらも、系属校で内部進学は約半数。もう半数は東大などの難関国立大に進学する。付属中学校あり。

■【早稲田摂陵高等学校 内部進学率8.4%】

(他大学の主な合格実績 中央1、関西28、関学30、立命館26、同志社6)

2021年度以降の中学の募集を停止

大阪繊維工業高校が起源。2009年に早稲田大の系属校になり、10年に共学化。早稲田大への進学枠は40人程度と学年の13%程度。実際の進学者数は10%を切ることが多い。

■【早稲田佐賀高等学校 内部進学率48.0%】

(他大学の主な合格実績 東京1、大阪1、一橋2、九州4)

寮があり九州だけでなく、首都圏からの生徒も

2010年に大隈重信ゆかりの地である佐賀に系属校として開校。生徒の約6割が寮「八太郎館」に住み、首都圏や大阪、福岡から生徒が集まる。早稲田大への進学枠は50%程度。国立大への進学者もいる。付属中学校あり。

■【早稲田渋谷シンガポール校】

渋谷教育学園との共同経営学校

保護者が日本以外に居住しているか勤務していることが入学の条件。1991年に渋谷教育学園が設立し、2002年に早稲田大の系属校に。早稲田大には82人の内部進学枠がある。

(プレジデントFamily編集部)

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