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「英語力で年収に280万円の差」コロナ禍の裏で進む"英語格差"の実態

プレジデントオンライン / 2023年2月24日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Liubomyr Vorona

最新の調査によると、英語力の違いで「50代男性で年収280万円の差」「50代女性は120万円の差」「金融業界は368万円の差」など、年収と英語力の関係性が明らかになった。年収を上げる最短の方法は、「仕事の成果」より「TOEICの点数アップ」である。2月24日(金)発売の「プレジデント」(2023年3月17日号)の特集「英語0秒勉強法」より、記事の一部をお届けします――。

■英語力を上げれば年収も上がる!

当社はバイリンガル向け転職サイト「Daijob.com」登録者の英語力と、企業からのスカウトのデータを基に、英語力が年収・キャリアに与える影響について、毎年調査をしています。約2万5000人を対象に行った直近の調査では、企業からスカウトを受けた登録者の76%が、英語レベルが「ビジネス会話以上」(TOEIC L&Rテスト735点以上)でした。

また、企業からスカウトを受けた人材の平均年収を英語力の違いで比較すると、男女ともすべての年代で英語力の高さに年収が連動している結果となりました。最も差がついたのは男性の50代で、英語レベルが「ビジネス会話以上」は年収1038万円、「日常会話以下」(同テスト730点以下)は年収758万円と、280万円もの差がつきました。男性の30・40代、女性の50代も年収で100万円以上の差がついています。

調査で判明!英語力で368万円の年収差がつく職種も!

最終経験職種別の平均年収を英語レベル別で比較すると、ほぼすべてに近い職種で英語レベルが「ビジネス会話以上」のほうが「日常会話以下」よりも平均年収が高い結果となりました。最も差が開いたのは、金融・銀行・証券などの「金融関連職種」で約1.6倍差でした。背景として、金融業界はコロナ禍でDXが推進され、新たな採用ニーズが発生しており、求人数も多いことが挙げられます。次いで差が開いたのは「エグゼクティブ/経営」で約1.4倍差となりました。社内でのポジションが上がるにつれて、求められる英語力も高まる傾向があるようです。

調査結果からうかがえるのは、若年層よりも経験豊富な中高年層のほうが、英語力を求められているということです。一般的に英語力を持った人材は、中高年層よりも若年層のほうが多いと思います。しかし、若年層は英語力があっても、入社して、まずは仕事を覚えることから始まるため、英語を実務で使うことが意外と少ないのです。

年齢とともに実務経験を重ねるにつれ、海外との連携などで英語力を求められることが増えてきます。そのため、若年層では英語力のある人材が多くても、英語力を求められる仕事の需要が少なく、逆に中高年層では英語力を必要とする仕事の需要が多いのに、英語力のある人材が少ない状況にあります。こうした需給バランスからくる希少性が、英語力による年収差に表れています。

なお、同じ会社の中で英語力の必要な部署に異動しても、年収はそれほど上がりません。一方、転職の場合は前職よりも高給でスカウトされるため、英語力を高めて転職したほうが、年収が上がる可能性は高くなります。

■英語力の必要性はますます高まっている

日本の求人市場において、英語力の必要性はますます高まっています。その理由はおもに2つあります。1つは産業構造の変化です。情報通信技術の発達により、経済の中心を担ってきた伝統的企業が、技術に強い海外企業と連携するケースが増えました。そこで英語でのコミュニケーションが以前にもまして求められています。企業のニーズと連動してバイリンガル人材の動きも盛んになっており、Daijob.comの新規登録者数も昨対比で約30%増加しました。

もう1つの理由は、日本の労働人口の減少です。どの企業も新事業を立ち上げたり、DXによって生産性を高めるために、新たなスキルを持った人材を必要としています。しかし、そうした人材を社内で育成していては、変化のスピードに追いつけません。そこでスキルを持った人材の外部からの採用が活発化しています。しかも、日本人のマーケットだけでは人材が不足しているため、外国人の採用が増えています。特にコロナ禍以降、外国籍のIT人材の採用が一気に増えました。そのため、社内コミュニケーションにおいて英語が必要となっているのです。英語を社内公用語としている企業も少なくありません。

最近は日本でも、ジョブ型雇用を行う企業が増えています。オールマイティな人材が求められたメンバーシップ型雇用とは異なり、職務内容が明確なため、英語力の必要性も明示されています。ここでも英語力があることは武器になりやすいはずです。

■1年勉強するだけで年収を上げられる

実務経験が豊富な40〜50代ほど、英語力によって年収が大きく上がる可能性があるので、リスキリングで英語力を高めてほしいものです。ただ、全般的に習得しようとすると、覚えることが多くて大変なので、学ぶ範囲を絞るといいでしょう。40〜50代の場合、これまでの実務経験から、どんな英語が仕事に必要かがわかるはずです。その分野に絞って集中的に学ぶことで、効率よくリスキリングができると思います。

もっとも、40〜50代の世代であれば、わざわざ英語を身につけなくとも、現状の収入を維持したまま逃げきることができるかもしれません。ただし、現在のようにインフレが激しいと、現状維持では収入は目減りしてしまいます。収入を上げたいと考えるのであれば、やはり英語力を高めるべきです。仕事で成果を上げるのは大変ですが、英語なら、1年頑張って勉強すればTOEIC L&Rテストで100〜200点は上げられます。仕事で成果を出そうとするより、英語力を上げて転職したほうが給料は上がるでしょう。

5年後、10年後、日本企業で働く外国籍の人材はますます増えていきます。彼ら彼女らは仕事上、日本語をある程度話すことができるかもしれませんが、オフタイムなどに忌憚(きたん)なく話そうとするときには、会話は英語になります。そのときに英語力があったほうが、現場でのコミュニケーションは間違いなく高まります。なかには、アイスブレイクで外国籍の人と雑談ができるようになるために、英会話スクールでビジネス英会話ではなく、あえて日常会話コースを選ぶ人もいるのです。

最近、AIが進化して自動翻訳の性能がどんどんよくなってきています。「この先、わざわざ英語力を身につける必要はないのでは」と思うかもしれませんが、AI翻訳がどれだけ進化しても、気持ちや感情まで相手に伝えることはできません。自分の言葉で話すことで、初めて相手に思いが伝わるものではないでしょうか。ビジネスにおけるコミュニケーションツールとしての英語の必要性は、今後も変わることはないでしょう。

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横川 友樹(よこかわ・ともき)
ヒューマングローバルタレント代表取締役
2007年、早稲田大学スポーツ科学部卒業。ベイカレント・コンサルティングを経て、10年、同社に入社。20年より現職。グローバル人材の転職市場に深い知見を持つ。

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(ヒューマングローバルタレント代表取締役 横川 友樹 構成=増田忠英 図版作成=大橋昭一)

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