1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「結局、朝食は食べた方がいいのか、食べない方がいいのか」睡眠のプロが導いた朝食の最終結論

プレジデントオンライン / 2023年2月24日 9時15分

出典=『働くあなたの快眠地図』 - イラストレーション=髙栁浩太郎

朝から充実して活動するための朝食は何か。スリープコーチの角谷リョウさんは「朝食を『食べない方がいい』『食べた方がいい』はどちらも間違っている。起きてすぐ使えるエネルギーがある人が朝食をとると過剰摂取になる」という――。

※本稿は、角谷リョウ『働くあなたの快眠地図』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■1日のパフォーマンスが変わる目覚まし時計の使い方

朝、アラームの大きな音で起きるたびに「もっと気分よく起きられないかな」と思った経験はないですか?

大きなアラームで起きると、起きるために自然に分泌されるストレスホルモンがより多く分泌されて、朝イチから体に大きな負担がかかり、日中のパフォーマンスが下がってしまいます。

かといって、小さなアラーム音や心地よい自然音だと起きられるレベルのストレスホルモンが出ないので、それもまた困ります。

この問題を解決するヒントが2つあります。

1つはアラーム音をアップテンポの音楽に変えることです。これはすでに実践されている方も多いと思いますが、アラーム音よりストレスが少なく自然に目覚められる、とても手軽で評判がいい方法です。

次の解決のヒントは、日本で一番有名な睡眠の先生で『スタンフォード式最高の睡眠』の著者である西野精治教授がおすすめする「2段階アラーム法」です。

この2段階アラーム法とは、その名の通り2つのアラームを用意します。

1つ目のアラーム(音楽がベター)は小さな音で、本来起きる時間の20分前にセットします。この小さな音楽に反応してレム睡眠もしくは浅いノンレム睡眠に入るので起きやすい状態になります。

そして本来起きる時間に、起きられる音量でアラーム(または音楽)が鳴ると、あら不思議、スッキリ起きられたということになるわけです。

この方法を採用しているクライアントからは「確実に目覚めが良くなった」との声を多数聞きます。

以前、浅い睡眠で起こすアプリの評判が良くなかった経験もあり、この2段階アラーム法には私も半信半疑でしたが、やってみたらほとんどの人が以前より目覚めが良くなったそうなので、どうやら本当に目覚めの改善効果はありそうです。

■接待が多い人は朝食を食べると過剰摂取になる

朝から充実して活動するためにあなたはどんな朝食を食べていますか?

そもそも朝食って食べたほうが良いのでしょうか?

中学生くらいの年齢までであれば、多くの研究で「朝食を食べる派」のほうが成績や活動が良くなることが分かっています。

しかし大人になると体が成長するわけではありませんので、全ての人が朝食を食べればベストというわけではなさそうです。

では、どんな人は朝食を食べないほうが良いのでしょうか? それは適正より体重が多く、どうしても夜の食事や接待でカロリーを多く摂取してしまう男性です。

このような方の場合、前日に食べた食事で作られたエネルギーが、起きてすぐに使える状態になっていますので、朝食をとる必要がなく、むしろ朝食を食べるほうが過剰摂取になりマイナスになるのです。

■タンパク質を摂ると午前中の集中力が高まる

ただし、このようなケースを除いて、朝食を食べたほうが目覚めが良くなり、午前中のパフォーマンスが向上する方がほとんどです。

ただ多くの女性から、朝食を食べるのがおっくうというお話をよく聞きます。女性は男性よりも筋肉が少なく体温も上がりにくいので、朝から男性のように食べることはかなりハードルが高いです。

ですから、胃腸に負担の少ない「果物」や「野菜スープ」などの朝食にされるとそれほど苦もなく食べられて午前中の調子を上げられます。

最近では「時間栄養学」という分野の研究が進んでいて、人は朝に食事をとることで体内時計にスイッチが入ることが証明されてきています。ですから前述の体重が多めの男性以外は朝食を食べたほうが良さそうです。

また、朝食のメニューにタンパク質が含まれていると、午前中の集中力が高くなることが分かっています。

反対に菓子パンなどの血糖値が急上昇する食べ物を単品で食べますと、急激に血糖値が上昇して食後眠くなりますので、菓子パンなどの単品の朝食はお控えくださいね。

【図表】朝食のメニューにタンパク質が含まれていると、 午前中の集中力が高くなる
イラストレーション=髙栁浩太郎
出典=『働くあなたの快眠地図』 - イラストレーション=髙栁浩太郎

■朝一のSNSやメールは脳のストレスになる

おそらく多くの方が体感的に「朝はメンタル的に不安定な状態」と感じているのではないでしょうか?

もちろんまだ体温が十分に上がっておらず、脳も内臓もフル稼働している状態ではないので、そう感じるのも当然です。

ところが実は、朝起きて1時間後が、ストレスに抵抗するホルモンであるコルチゾールが1日で一番多く分泌されることをご存じでしょうか。

つまり、人間にとって「朝」は最強にストレス耐性が備わっている状態なのです。

ところが、どうでしょうか。朝起きて1日が始まると、ほとんどの人はさまざまな情報にアクセスします。SNS、メール、ニュース、仕事のチャットグループなど、いきなりフレッシュな脳に無意識にストレスをかけます。

さらに、会社に通うとなると、満員電車でこのストレス耐性をほとんど使い切ってしまいます(ちなみに満員電車は戦闘機のパイロット以上にストレスがかかっているという研究報告もあります)。

ストレス耐性や体がまだ目覚めていないことを考慮して、最もベストな朝の活用の仕方として、「少し運動」したあと、「最も困難な仕事を朝のうちにする」をおすすめします。

もしあなたがテレワークの働き方なら、せっかくのストレス耐性を無駄に使わず、あなたが本来発揮すべきことに使うことをおすすめします。

通勤する必要があるとしても、できるだけこのことを頭に入れて、極力不要なストレスを避けるようにしてください。その分を仕事や家族に使うように心がけてみてください。

あなたがストレスを感じない(むしろ気持ちの良い)掃除などの家事をして体温を上げつつ、その後心身ともに充実した状態でチャレンジングな仕事に取りかかるのがベストです。

SNSやメールなどの情報はストレスになりますので、朝イチの最重要事項が終わってからチェックされることを強くおすすめします。

■「二度寝」はストレスを癒すがホルモン分泌を乱す

睡眠改善のサポートをしていると「二度寝は朝の幸せなので奪わないでほしい」というリクエストをよくいただきます。

また私たちがビジネスパーソン6000人以上に取ったアンケートでは「目覚まし時計のアラーム1回でスッキリ起きられない」と答える方が62%もいます。

二度寝に幸福感を感じる方は多いと思いますが、実際に二度寝には幸福感を感じるベータエンドルフィンというホルモンが分泌されて、強い幸福感を感じる状態であり、ストレスで参っている心を癒してくれることが分かっています。

ストレスが多い状態だと、脳波のベータ波が増えて精神が不安定になりがちですが、アルファ波が分泌されるので精神が安定する効果も得られます。

ですから、きちんと睡眠を取っているのに二度寝したい欲求が強い時は、普段より多くストレスがかかっていて本能的に癒されたいと思っている可能性が高いでしょう。

とはいえ、実は二度寝にはデメリットが多いのです。

基本的に二度寝は生活リズムが崩れたり、ホルモンバランスが崩れたりして、メンタルダウンや病気のリスクを上げることが分かっています。

【図表】コルチゾールの日内変動
イラストレーション=髙栁浩太郎
出典=『働くあなたの快眠地図』 - イラストレーション=髙栁浩太郎

■二度寝は最大20分までを限度に

ですから、ここでは二度寝のデメリットを受けないヒントをお伝えします。

まず一番大事なことは「二度寝」に留めること。三度寝や四度寝はやらないことです。二度寝を繰り返すことでホルモン分泌が乱れます。

角谷リョウ『働くあなたの快眠地図』(フォレスト出版)
角谷リョウ『働くあなたの快眠地図』(フォレスト出版)

次に大事なことは、いったんカーテンを開けるなどして、ゆるやかに目覚めていくことです。これだけでも二度寝のデメリットを大幅に減らすことができます。

そして最後のポイントが少しだけハードルが高いのですが、二度寝は基本5分までです。最大でも20分を限度にしてください。

20分を超えるとホルモンの分泌が劇的に悪化するといわれています。また20分を超えると際限なく二度寝してしまうループに入ってしまいます。

二度寝で幸せを感じつつ、目覚めよくスッキリ起きられたら、1日のスタートが最高になりますので、ぜひ試してみてください。

----------

角谷 リョウ(すみや・りょう)
スリープコーチ
LIFREE共同創業者。NTTドコモ、サイバーエージェント、損保ジャパンなどの大手企業をはじめ、計120社、累計6万5000人の睡眠改善をサポートしてきた上級睡眠健康指導士。日本サウナ学会学会員。神戸市役所勤務時に体づくりに目覚め、パーソナルトレーナーをつけ、自分に合った理論的なトレーニングの有効性を実感。あらゆる有名トレーナーのメソッドを研究する。役所を退職後、トレーナーとして独立。神戸と大阪のトレーニングスタジオを経営しながら、自らもトレーナーとしてスタジオや企業で指導を行うエグゼクティブ専門のパーソナルトレーナーとして活動する。

----------

(スリープコーチ 角谷 リョウ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください