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体のカタい人がストレッチをしても逆効果になるだけ…筋肉は「伸ばす」より「ゆるめる」ほうがいい理由

プレジデントオンライン / 2023年3月6日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/K-Angle

いい姿勢を保つにはどうすればいいのか。ウォーキングコンサルタントの犬飼奈穂さんは「猫背は大胸筋が固くなり、周囲の骨が引っ張られることで起きる。だから胸を張って背筋を伸ばすのではなく、胸や背中の筋肉をゆるめることを意識してほしい」という――。

※本稿は、犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■無理なストレッチは逆効果になる

年齢とともに固くなった体をなんとかやわらかくしたくて、がんばってストレッチを日課にされている方は多いと思います。

しかし残念ながら、ストレッチで筋肉は柔らかくなりません。むしろ、筋肉が固い人ほど、無理に伸ばすとさらに固くなってしまうのです。

固くなった筋肉を無理に伸ばしたり、伸ばしたまま静止させたりすると、筋肉に大きな負荷がかかります。筋線維が傷ついてしまい、修復する際にさらに固くなるからです。

そもそも、なぜ、人の体は固くなってしまうのでしょうか?

筋肉をずっと動かさずにいたり、逆に負荷をかけすぎたりすると、筋肉が縮みっぱなしの状態になってそのまま伸縮性を失います。ストレスや脳の疲労、栄養不足や睡眠不足などでも筋肉は固くなります。

こうして柔軟性が低下してこわばった筋肉が、関節の動きを制限してしまいます。これが、いわゆる「体が固い人」の状態です。

柔らかな体を手に入れるためには、固くなった筋肉をゆるめ、関節の可動域を広げることが大切です。

■猫背が簡単に治らないのはなぜか

「猫背」を例に説明します。猫背は背中が丸まり、肩が内側に入ってしまっている状態です。内臓が下に押されることで、お腹が出ているように見えます。スタイルが悪く見えるのです。

それだけではありません。猫背をそのままにしておくと、呼吸が浅くなり、疲れやすくなったりします。筋肉が固くなっていることで、首や肩のコリ、腰痛などを引き起こすことにつながります。

これを改善しようと、多くの人は、肩甲骨をグーッと寄せて、力ずくで胸を張るようなストレッチをします。丸まっているのを逆方向に伸ばすような動作ですね。

一瞬、猫背が治ったような気持ちになります。でも、残念ながらこれで猫背は治りません。猫背も、筋肉が固くなることで引き起こされているからです。

大胸筋という胸の筋肉が固くなって縮まると、腕の骨が内側に引っ張られます。腕は内側にねじれるので、巻き肩になります。固くなった胸や腕の筋肉は、背中の筋肉を前に引っ張ります。すると、背中の筋肉はどんどん前に引っ張られながら固くなっていきます。

■胸や背中の筋肉をゆるめることが必要だ

筋肉が固くなると、周囲の骨が筋肉に引っ張られてしまいます。骨は本来の位置に戻れなくなります。これが、猫背の状態です。

【図表1】猫背の状態と巻き肩
出所=『背中をゆるめると健康になる』

筋肉が固まった状態でどんなにストレッチをして筋肉を寄せても、骨が正しいポジションに戻ってくれることはありません。筋肉が固くなることで、関節の可動域が狭くなっているからです。

巻き肩や猫背を改善するには、胸や背中の筋肉をゆるめることが必要です。筋肉をゆるめることで、肩甲骨の可動域が広がって肩が開くようになります。

がんばって時間を作って、わざわざストレッチをするよりも、歩きながら全身の筋肉を動かしたり、座りながら小まめに筋肉を動かしたりするほうが、効果的にゆるめることができます。結果、可動域も広がります。

ストレッチと同様、ハードな運動をしている人も要注意です。

ジムや自宅で日常的に筋トレをしている人は、「背中を十分に動かしている!」という自信があるかもしれません。チェストプレスやベンチプレスなどのトレーニングマシンは、いかにも上半身の筋肉をしっかりと動かし、鍛えているようなイメージですね。

■運動する人も背中の筋肉は固くなりやすい

筋トレ以外にも、定期的にテニスをしたり、ランニングをしたり、ゴルフをしたりと、「しっかりと運動をしている」人は、背中の筋肉が十分に柔らかい状態なのでしょうか? 残念ながら、そうではありません。

例えばチェストプレスで腕をガシガシと前後に動かし、胸や腕、背中の筋肉を大きく動かしているつもりでも、実は思ったほど筋肉が動いていないという人が多いのです。なぜならば、筋肉をゆるめていないからです。

筋肉が固い状態でどんなに激しく動かしても、筋肉の伸縮性がなく、可動域が狭まっているため思うように縮みませんし、伸長もしません。場合によっては筋を痛めてしまいます。だからこそ、まずは背中の筋肉の緊張を取ることが大切なのです。

先ほど挙げたチェストプレスで鍛える主な筋肉は、大胸筋(胸の筋肉)・上腕三頭筋(腕の後ろ側の筋肉)・三角筋(肩の筋肉)です。

背中の大きな筋肉である広背筋をゆるめることで、広背筋と「対」になって伸び縮みする大胸筋が動きやすくなりますし、肩まわりもゆるみ、骨が本来の位置で機能的に動かせるようになります。

■筋肉は、使っていないと前側に引っ張られていく

運動は悪いことではありません。筋肉は使わないと固くなってしまうのも事実です。でも、「激しく大きく」動かしても筋肉はゆるみません。ぜひ、「ラクに小さく」動かすことも意識してみてください。

そしてもう1つ、意識して頂きたいことがあります。

筋肉を使っていないと、筋肉は体の「前側」にどんどん引っ張られます。猫背や巻き肩は、典型的に背中の筋肉が前に集まってしまった状態です。腕は内側にねじれて、肩が内側に巻き込まれ、背中の筋肉は前のほうに引っ張られています。首から肩、背中にかけて筋肉が前のほうに引っ張られて、突っ張っているような状態です。

下半身も同様です。背中の筋肉が固くなると、連動してお尻や太ももの筋肉も前に引っ張られます。本来、お尻の中心に筋肉が寄っている状態が自然なのですが、前に引っ張られてしまうと、筋肉はつぶれて広がります。

ラクに動けて、なおかつ崩れた体形を元に戻すためには、背中をゆるめる筋肉は「ゆるめて、集める」ことが大切であると同時に、「背中に筋肉を集める」ことがとても大切です。

■ゆらす、細かく動かす、緊張させて解放させる

「背中に筋肉を集める」というのは、骨に引っ張られて前のほうに寄ってしまった筋肉を、後ろに戻すということです。本来、筋肉は後ろに集まっているのが自然な状態です。

犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)
犬飼奈穂『背中をゆるめると健康になる』(プレジデント社)

筋肉が前に寄って固くなると、体を動かすときのブレーキになってしまいます。体が動かしづらくなるので、腕の可動域は狭くなりますし、歩くときに太ももが前に出づらくなります。

体の後ろにしっかりと筋肉が集まっていると、このブレーキが外れて、とても自然体でラクに動けるようになります。もちろん、筋肉が後ろに集まると、ほっそりとしてスリムに見えます。

デスク作業やスマホ操作などの合間に、10秒だけ、背中をゆるめることを考えてください。この10秒が、とても効果的なのです。固くなった背中をゆるめるには、激しく大きな動作ではなく、小刻みで小さな動作が必要です。

日本人ビジネスマンの屋外画像
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monzenmachi

筋肉は、「ゆらす」、「細かく動かす」、「緊張させて解放させる」などの動作でゆるめることができます。例えば、イスに座ったとき、フニャ~ッと背中を丸めます。

■すきまの10秒を、筋肉をゆるめる時間にあててほしい

これだけでも「緊張させて解放させる」という動作になります。長時間同じ姿勢でいたり、動かさない状態が続いたりすると筋肉は固くなります。だからこそ、日常のすきまに、10秒だけゆるめることを習慣にしていただきたいと思います。

1日の中で10秒を何度か繰り返してみてください。10秒とはいえ、貴重な時間です。目まぐるしい日常の中ではどうしても優先順位が下がり、忘れてしまいがちです。

そこで、「パソコン作業中に、お茶を飲むタイミングで一緒に行う」「スーパーのレジ待ちの時間で行う」など、マイルールにしてしまうと良いでしょう。

自分が忘れないタイミングで続けられることがポイントです。

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犬飼 奈穂(いぬがい・なほ)
ウォーキングコンサルタント
歩き方コーチ。「ORO(オーロ)ウォーキングスタジオ」代表。「オーラをまとう歩き方レッスン」主宰。愛媛県松山市出身。「正しい歩き方」ではなく、「心地よい歩き方」を探求し、これまでに述べ6000人以上に指導し、肩こり・腰痛、猫背、坐骨神経痛など、体が抱える数々の悩みを改善してきた。開催する講座やセミナーは1000回を超える。

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(ウォーキングコンサルタント 犬飼 奈穂)

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