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まるで就活…「ご健闘をお祈りします」50代バツイチ女性が婚活アプリで出会った男性から言われた"残酷な言葉"

プレジデントオンライン / 2023年3月3日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mykeyruna

出会い・婚活の手段としてすっかり浸透したマッチングアプリだが、活用しているのは若い世代だけではない。50~60代のシングルも積極的だ。その奮闘ぶりを追った――。

■例1)50代バツイチのA子さんの場合

▼50代女性だってニーズはある

50代後半バツイチのA子さんは長年営業ウーマンとして会社に貢献してきたキャリア女性だ。離婚して10年経ち、子供たちも独立した。残りの人生をよきパートナーと過ごしたいと思い、インターネットで調べて、試しに「M」というアプリに登録した。約1年前のことだ。

Mはユーザーの年齢層が幅広く、シングルファーザーやシングルマザーの再婚活も推進し、比較的真面目なユーザーが多い、との評判だ。通常、婚活アプリには既婚者が潜り込み、体の関係が目的で使う者もいるが、そういうやからも少ないといった書き込みもある。実態はわからないが、「50代女性もOK」などというアプリ内グループもあり、そこには多数の男性が参加していた。ネットで異性との出会いを求める……人生初の経験にA子さんの中には気恥ずかしさとワクワクする気持ちが共存していた。

▼色っぽい浴衣姿をトップ画像にあげる

一般的にマッチングアプリは、顔がはっきりとわかる写真をプロフィールに掲載するほうが「いいね」がくる可能性が高い。しかし、簡単に画像検索ができ、不特定多数の異性に自分の顔を晒すのは怖い。とはいえ、“奇跡の一枚”や本当の顔がわからないほど加工した顔の画像を載せるのはいかがなものか、とA子さんは思案した。

「アプリで恋人を見つけたタレントの新山千春さんが、後ろ姿をプロフィール写真に掲載していたことを思い出して……。いろいろ考えた末、髪をアップに結い上げた浴衣の後ろ姿をトップ画像に使いました。友人が偶然に撮影したカットですが、これがそんなに男性の妄想をかき立てるものだとは、思わなかったのです」

“料理が上手”など家庭的な面を強調したのも奏功し、予想を超える数の「いいね」がきた。その中には、年収1000万円超だという男性も含まれていた。

■婚活で“不採用”になると届く屈辱のメッセージ

▼「ご健闘をお祈りします」アプリ婚活と就活の類似点

「ちょっと舞い上がってしまいました(苦笑)。私に求めているのは若さじゃなくて、年齢なりの成熟度なのかなと勝手に解釈しちゃって」(A子さん)

出足は好調だったが、その後の男性側の反応ははかばかしくなかった。「ちゃんと顔がわかる写真を送ってほしい」と言われ、自分なりにきれいに盛れている写真をマッチング相手に送ったA子さん。それが裏目に出たようだ。

プロフィール写真の浴衣の後ろ姿から漂う女性らしい楚々とした感じと、キャリア女性風の気の強そうな実際の風貌ではギャップがあると、何人かとのやりとりの後わかった。

ある男性からは「自分があなたに抱いたイメージと写真では違っていました。すみませんがやりとりはここで終わりにさせてください。いい方に巡り合えますよう、ご健闘をお祈りします」

※本文を基に編集部でやり取りを再現
※本文を基に編集部でやり取りを再現

就活で不採用になった際に届く「お祈りメッセージ」をもらった上に、やり取りをブロックされたことがあった。しかしこれならまだ誠実さが感じられる。写真送信後、なんのコメントもなく突然ブロックされることもあった。

「勝手に清楚系美女かと勘違いされた上に、黙ってブロックされるなんてへこみました……。マッチング後に実際に会った別の男性に聞いたところ、『男って何歳になっても女性に対して妄想を抱くものなんですよ。一目惚れも男の方が圧倒的に多いらしいし、どうしてもビジュアルから入っちゃうんですよね。ま、男の性ですよ』と言われた時に合点がいきました。

そして数十年前の就活を思い出したんです。例えるなら、プロフィールがエントリーシートで、その後のマッチング成立が書類選考合格、実際に会うのが1次面接みたいな。でも会社や行きつけのバーなどのリアルな出会いと違って、アプリでの出会いは面接でアウトだったら、もうリカバリーは利かないですよね。1回目の出会いの印象をまずは良くしないとダメなんです」(A子さん)

▼キョンキョン、石田ゆり子級美女を求めるハイスペ男性

またこうも続ける。

「男性が50代もOKですよと言っても、キョンキョンや石田ゆり子級の美熟女ならば、彼らは付き合いたいということだと気づきました。ハイスペ男性は他の女性からのアプローチもあるので、自分好みの魅力的な女性を選べる確率が高い。全ての男性がそうとは思いませんが、女性の選択肢がいろいろある限り、この人はまあまあいいなと思っても次にいい“物件”が来るかもしれないと思っちゃうんでしょうね。私も男性の収入やステータス、容姿などを最初の判断材料にしているので、お互いさまかもしれません」(A子さん)

■張り切って婚活したA子さんのまさかの結末

▼減点方式で相手を見てしまう悲しさ

以上の“失敗経験”を踏まえて、A子さんは戦略を変えた。

「清楚ぶった後ろ姿を載せたのは間違っている。私のように気が強そうな外見が好きな男性に響くようにした方が、お互いに齟齬(そご)がなくていいかもと思いました」(A子さん)

そこで思い切って素の顔に近い写真をトップ画像に差し替えたところ、それまでと違う類いの男性群からアプローチを受けるようになった。

「私はそこそこ年収があることをプロフィールで公開しているので、頼りがいがある姉御タイプだと思われたようです。今度は20歳以上もの年下君とか謎の外国人とか、低年収シニアとかからアプローチが多くて、これはこれで微妙な気分になりました。これまで何人もお会いしていますが、男性側に嫌な部分が見えてしまうと、『お金もないくせに……』と意地悪な自分も出てきてしまって。男性を見る目が厳しくなっているのでしょう。お会いしたどの相手にも真剣交際しようと思える決定的な魅力を感じられないんです」

女性は年齢を経ると男性を“減点方式”で見る傾向が強くなると言われる。アプリの場合、第一印象の評価がマックスで、そこからNGだと思える部分がある度に点数が下がっていく。

それではいつまで経っても、いいパートナーに巡り会えないし、“加点方式”で人を見られた方が幸せになれる確率は高いのではないか、とA子さんに問いかけると「それはわかっています。でもこと恋愛に関してはそんなに自分の考えを変えるのって無理なような気がして」とため息をつく。

▼不倫相手と元サヤに収まってしまった

アプリを登録して1年が過ぎた今、婚活疲れを感じているA子さんは、なんと、コロナ前に交際していた恋人(既婚者)に連絡を取って、元サヤに収まってしまった。

「結局慣れ親しんだ恋人と過ごす方が心身ともに心地いいと思ってしまって。その恋人には家庭があるから、私の婚活も後ろめたいとは思いません。彼との逢瀬を楽しみながら、アプリとかバーなどで運命の人と出会うのを待ちたいと思います」(A子さん)

ワインで乾杯するカップルの手元
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

婚活アプリは女性の使用料が無料のケースが多く、全ての利用者が高額な料金を払う結婚相談所と違って気長に続けられるが、リアルな出会い同様、大願を成就するのは簡単なことではないようだ。

■例2)60歳バツ2のB男さんの場合

▼容姿以外はハイスペック。それなりに人気

還暦のB男さんは、数年前に伴侶を亡くした男やもめ。頭髪が寂しく、低身長のおじさんだが、プロフィール面では超ハイスペックだ。グローバル企業に研究者として勤務し、長年海外で生活した経験がある。博士号を持つスペシャリストで、最大の武器は年収が2000万円近くあることだ。

ちなみにアプリで人気のある中高年層は、女性の場合は容姿や家事能力がメインだが、男性の場合は……。

●年収1000万円以上の高所得者
●並でいいので清潔感のある容姿
●海外生活が長いインテリ、またはハイキャリア層
●大企業勤務や経営者など高ステータス

B男さんは、この4項目すべてに該当している。

「お酒が好きなので、積極的に居酒屋などで隣に座った女性に話しかけていましたが、酒飲み友達止まりでなかなか交際に発展しないのです。スペックを披露しなければ、ただのおじさん、いやおじいさんだからかな(苦笑)。だけど、リアルな相手にいちいち自分のハイスぺぶりを言うのは嫌味ですしね。だからアプリに登録したんです」(B男さん)

登録したのは、全世代から高い支持を得ている「P」というアプリ。プロフィールでは、彼のハイスペックぶりを余すところなく伝えられるので、それなりにいろんな女性からアプローチがあった。

▼まるで別人の写真を自分と偽る怖さ

「年下のものすごい美女からも連絡が来たので、うれしくなって『すぐ会いましょう!』となりました。でも、待ち合わせ場所に現れたのは疲れた感じの中年女性。写真を盛っているというレベルではなく、完全な別人でした。それとなく聞いてみたら、仕事で付き合いがあるモデル女性の画像を掲載したそうです。『マッチングしたいがためにそこまでするか?』って彼女のメンタリティが怖くなりました。30分ほど喋った後に、会社から急な呼び出しメールが入ったとウソの言い訳をして、すぐに別れました。申し訳ないけれど、アプリもブロックしました」(B男さん)

美容室でセット後の女性の後ろ姿
写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/yamasan

イタい女性は他にもいた。

「その人はメッセージのやり取りからしてちょっと怪しかったんです。会う場所をカジュアルなレストランに指定したところ、『もっと高級店がいい』と。少し無作法だなと思っていたんです。極めつきは、会うなり、私の定年後の仕事の状況や、年金、貯金などを問いただしてきたんです。その女性はずっと非正規雇用の状態で、老後の資金が心もとないことを延々と喋っていました。私個人への関心は経済状態のみ。高級店でコース料理を食べましたが、支払いは僕がするのは当然といった感じで完全になえちゃった。別れた後はもちろんブロックしました。おじさんの僕が言うのもなんですが、若い女性ならまだしも、おばさんでこの高慢ちきな態度は一発アウトですね」(B男さん)

■「還暦オヤジの話を聞いてあげたのに時間返せ」

▼いつの間にかビジネス相手に想定されていた?

もちろん、前出の画像詐欺まがいやお金目当てではない、“普通”の女性とマッチングできることもあった。

「マッチングしたC子さんはキャリア女性で経済力があるから、金目当てでもなさそうだし、会う場所もカジュアルな居酒屋で全然OKでした。お互いの仕事について盛り上がり、僕の定年後のセカンドキャリアについて話したところ、彼女が『相談に乗るわ』と言ってくれたんです。キャリアコンサルタントの資格も持っているし、興味があるからと。だから自分のこれまでのキャリアやスキルの詳細をまとめて、彼女に渡しました」(B男さん)

それからは、主にキャリア相談に乗ってもらうようになったB男さんだが、ハキハキとして性格が明るいC子さんのことを好きになり始めていた。

日本酒で乾杯
写真=iStock.com/Yuzuru Gima
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yuzuru Gima

「アプリで出会ったのですから、もともとは婚活目的です。ちゃんと付き合いたいと言ったところ、『あなたとはいい友人でいたい。できればこのセカンドキャリアに関しての相談も有料にしてほしい』と言われてしまいました」(B男さん)

恋愛感情が芽生えていたB男さんは、「友人では嫌だし、お金の支払い受け取りをする関係でない形を望みます」と告げたところ、それまでのフレンドリーな態度が一変した。

「『還暦のオヤジに付き合って話を聞いてあげたのに時間を返してほしい』とか『そんなに収入があるのに他人にただで話を聞いてもらおうとするなんてケチだ』とか、さんざんダメ出しされました。今度は相手からアプリをブロックされましたよ。女性が求めるものは結局金なんですかねえ……」(B男さん)

B男さんもA子さん同様アプリ疲れを感じているが、諦めたわけではない。あくまでポジティブにこう語る。

「日本の人口の半分は女性ですから、マッチングした人にどんどん会い続けていれば、いつかいい人と出会えるはず。Pだけでなく他のアプリも並行してやっていこうと思ってますよ」(B男さん)

世代に関係なく、女と男はどこまでいってもすれ違うものなのだろう。しかし若者と違って年齢なりの知恵も経験も蓄えているはずの中高年の場合、より異性を理解しようという気持ちをもたなければ婚活は成立しないのかもしれない。

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東野 りか フリーランスライター・エディター
ファッション系出版社、教育系出版事業会社の編集者を経て、フリーに。以降、国内外の旅、地方活性と起業などを中心に雑誌やウェブで執筆。生涯をかけて追いたいテーマは「あらゆる宗教の建築物」「エリザベス女王」。編集・ライターの傍ら、気まぐれ営業のスナックも開催し、人々の声に耳を傾けている。

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(フリーランスライター・エディター 東野 りか)

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