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母は金品をせびり、父は机をバンバン叩き罵倒する…歯科医の40代娘夫婦が直面した"二世帯住宅の断末魔"

プレジデントオンライン / 2023年3月4日 11時30分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kuppa_rock

歯科医の女性とその夫は、女性の両親と二世帯住宅をつくり、そこに住む決断をした。両親は土地代の3分の2を負担した。幸せな時間と空間を共有できるはずだったが、母娘の断絶により二世帯の関係は修復不可能なものに。両親は遺産相続を駆け引き材料にして娘夫婦を懐柔しようとするが――。
【前編のあらすじ】関東在住の上地美栗さん(仮名・現在40代・既婚)の両親は「交際0日婚」。父親は育児や教育に全くの無関心である一方、母親は教育虐待を続けた。上地さんは小学生の頃から塾に通わされ、テストの点が悪いと怒鳴られ、夕食抜きに。進路も母親の言いなりで、異性との交際にも口を出された。それでも上地さんは友人と遊ぶよりも、家で母親といることが好きだった。思春期を迎えても、反抗期はなかった。しかし上地さんが大学を卒業し、社会人になり、結婚・出産すると、少しずつ状況に変化が。上地家の“家庭のタブー”はいつ、どのように生じたのか。タブーのはびこる家庭という密室から、彼女はどのように逃れたのか――。

■二世帯住宅同居案がもちあがった

歯科医の上地美栗さん(仮名・現在40代・既婚)は長女(0歳)の育児休暇中に、商社で働く1歳下の夫と「自分たちの家を持ちたいね」と話し合い、3つの案を立てた。

① 戸建て住宅を購入して家族で暮らす
② 上地さんの両親が住む家の敷地に自分たちの家を建てて暮らす
③ 上地さんの実家を売却したお金で、新しい土地を購入して二世帯住宅を建て、上地さんの両親と同居する

上地さんは小さい頃から母親から教育虐待を受けつらい思いを何度もさせられてきた一方、「母親を好き」という気持ちも強かった。

「この3つの案を考えていた当時の私(39歳)は母からの影響を強く受けており、いわゆるアダルトチルドレンだったと思います。なので、どちらかと言えば同居した方が育児も楽だし、楽しいかなと思っていました」

この頃は夫も、上地さんと上地さんの母親は仲が良いと思っていたため、育児のフォローなども得られるだろうと、同居に賛成。夫の両親は、息子が決めたことに口出ししない人たちだった。

一方、当時の母親(71歳)は、実家の隣に建築された施設からの騒音が気になってイライラしていた。そのため上地さん夫婦が、「家を購入するか、もしくは二世帯住宅を考えている」と伝えたところ、すぐさま母親は父親(当時72歳)に対して、「(今住んでいるこの家の)土地を売って二世帯住宅を建てるのか、(あなた)1人でこの家に残るのか決めて! 私は美栗と一緒に住む!」と迫った。

しかし、父親はなかなか首を縦に振らない。親(上地さんの祖父)から相続した土地を簡単に手放すことはできないという理由だったが、3日後、土地を売ることを決断。そのことを伝えるために、父親は上地さん夫婦を呼び出した。

父親は、「二世帯住宅を皆が求めているようだし、土地は売ることにした。今不動産業者を当たっている。可能な限り高値で売る。それを元手に良い土地があれば探す。ハウスメーカーは、美栗たちで決めていい」と話した。

最後に父親が、「出発の日だから、寿司でも取ろう!」と提案すると、上地さんは、楽しい未来を想像し、胸を躍らせた。

■実家が売れない

ところが後日、上地さんは母親から冷や水をかけられる。母親はこう言ったのだ。

「いい気なもんだ。自分だけいいところ取りして寿司なんか頼んで。頼むなら自分で金を払え。金を払うそぶりもしない。」

父親は母親にひと月ごとに生活費を入れているため、その中から寿司代を出せということだったのだろうが、それが母親には気に入らなかったようだ。

「両親はずっと仲が悪いです。しかしそのくせ、2人で依存し合っている関係です。家族が一丸となって希望に向かっていこうとしていたときでさえも、母は毒を吐いてきて、私にそれを受け止めさせるのです。遠回しに、(歯科医と商社マンの共働きでいわゆるパワーカップルの)私たちに寿司代を払えと言っているようにも聞こえます」

歯科医院で使用する医療機器
写真=iStock.com/YakubovAlim
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/YakubovAlim

気を取り直して上地さんは、ハウスメーカーを決めるため、週末ごとに夫と住宅展示場に通った。

父親が実家を売りに出してから6カ月が経った頃、ようやく買い手がついた。やはり広さはあるが、旗竿地(道路に接している出入り口が細長く、その奥に敷地がある土地のこと)ということがネックになり、最初につけた値段からかなり下げられた。

「あんな土地、誰も欲しがらない。残されただけで迷惑だ。広いだけでどうしようもない。お婆ちゃん(上地さんの母方の祖母)が残してくれた土地は、広さはなかったけど、今回と同じくらいの値段で買い手がついた。もっと早く売れば良かったのに。馬鹿だね、売り方が下手なんだ」

上地さんは多少の違和感がありながらも、この頃はまだ基本的に母親の愚痴や悪態を受け止められていた。

「母は、一つ嫌になると徹底的に嫌がり悪口を言いまくります。父のこと、近所のこと、親戚のこと……。母と私は共依存関係でした。母の考えを自分の考えだと思い、無条件で受け入れてしまっていました」

「土地(実家)が売れて良かったね! これで家が建てられる!」と上地さん夫婦は喜んでいたが、ある日、父親から呼び出される。父親は、2人を前にこう言い渡した。

・二世帯住宅建設に父親が出すのは○千万円まで
・固定資産税は上地さん夫婦が全て支払うこと

固定資産税を上地さん夫婦が払うのは、後々、姉と相続の問題が出た際に、固定資産税を支払っているから、土地は上地さんが相続すると言いやすくなると父親が考えたためだった。

3歳上の上地さんの姉はすでに結婚し、夫婦で自宅を購入し、経済的にも安定した暮らしをしていた。それでも相続時にもめることは避けたいと父親は考えたようだ。

やがて二世帯住宅を建てる土地も見つかり、購入する際には、父親が予定通り数千万円(全体の3分の2)を、上地さんが3分の1を負担した。

■毒親だと気付いた瞬間

2020年1月。二世帯住宅建築が始まった。同じ頃、上地さん夫婦は第二子を望み、夏の終わりに妊娠。同年11月。完成した二世帯住宅への引越しは、妊娠初期の段階で無事完了した。両親には安定期に入るまで言わない予定だったが、かつて第1子妊娠中に体調を崩し、つらい思いをしていた上地さんは、早めに報告して、何かあったときに援助してもらった方が良いのではないかと考えた。だが、それは裏目に出た。

同居から2カ月経ったある日、悪阻(つわり)でしんどそうな上地さんを見た母親が、突然怒鳴り散らした。

つわりに苦しむ女性
写真=iStock.com/monkeybusinessimages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/monkeybusinessimages

「具合が悪そうだけど、そんなの自分で何とかして! 私たちを頼らないで! こんな時に妊娠なんかして大丈夫なの?」

上地さんは、まさかの妊婦に対する容赦ない攻撃に怒りを覚えた。

「何それ。コロナ禍だからって妊娠しちゃダメなの? 迷惑ならこちらにはもう(両親の部屋に)来ません。娘ももう連れてこないけど、それでいいってことね!」

これに母親はひるむことなく、さらに猛反撃してきた。

「来なくても私たちは大丈夫ですから。迷惑をかけないで!」

カチンときた上地さんは両親の部屋にあった娘の写真やおもちゃなど、全てを自室に持ち帰り、母親と距離を置くことに。この日、それまでよくも悪くもなんとかやってきた共依存母娘の関係に修復不可能な深い亀裂が走ったのだ。

「コロナであろうとなかろうと、妊娠を否定されるのも驚きましたし、孫と会わなくても良いというのも腹が立ちました。ちなみに父は、第1子の妊娠報告の時も、第2子の時も無反応。第2子の妊娠について、友人や職場の同僚、義両親からは祝福されましたが、実の親にだけ祝福されなかったのです」

夫に話すと、「そんなひどいこと言われたの? 何で急に」と驚き、産褥期をどうするかは2人で考えていこうと決めた。上地さんはこの頃から、「自分の母は毒親なのではないか?」と考え始めた。

■泥沼状態

上地さんは長女が2歳になる年に仕事に復帰し、両親の居住スペースには行かなくなった。長女は無事保育園にも慣れ、家事育児は夫婦で分担した。しかし第2子の臨月が近づいてくると、上地さん夫婦は、出産後の1カ月ほどの間、長女とこれから産まれてくる子をどう世話したら良いか、頭を悩ませた。夫の会社は1週間しか育休が取れない。居住する

地域の妊婦面談で悩みを相談すると、同居の親がいるのに手伝ってもらえないことを驚かれた。

悩んだ末に、東北地方に住んでいる義母にサポートを依頼することを決めると、念のため、夫がそのことを上地さんの両親に報告。すると、母親はびっくりした様子で、「何でいらっしゃるんですか? 何しにくるの?」と強い口調で訊ねた。

夫は、「母は以前から僕たちの家に来てみたいと言っていましたし、産後、家事を手伝ってもらおうと思って」と答えた。

翌朝、上地さんが出勤するために玄関に出ると、突然母親が話しかけてきた。

「夫くんは、何で私とあんたの間に入ろうとしてくるの? 別に私たち普通なのに、夫くんが入ってくるからおかしくなる。義母さんも呼んだりして……。私があなたたちの産後の面倒を見ます。私は母親ですから!」

手のひら返しの母親の対応に上地さんはあきれ顔で「面倒見たくないって言ってたじゃない!」と言えば、「前とは状況が変わったの! 私が面倒見ます!」と母親は言い張り、自分の部屋に引っ込んだ。

「あまりの身勝手さにびっくりしました……。自分が関係を壊したのに。母は、外面だけは良い人なので、自分がいるのにもかかわらず義母が来ることが嫌だったんでしょう。自分が除け者にされているとか、自分を差し置いて、とか思ったに違いありません」

結局、上地さんは母親に産後の面倒を見てもらった。その間、母娘関係は改善したかのように見えたが、それは上地さんが母親にお礼として金銭を支払い、ウナギをおごり、ご機嫌をとったから成立した見せかけの“良好さ”だった。

案の定、その後トラブルが勃発する。2022年1月ごろのことだ。

上地さんは、母親が姉に「コストコのキッチンペーパーがたくさんあるから半分持って行きなさい」と言っていることを知ってしまう。それは以前、上地さんが母親に買ってあげたもので、母親が使わないなら上地さんが使うことができるものだ。愕然とした上地さんは、「ずっと前から私が買ってあげたものを人にあげるのをやめてほしいと言っているのに、なぜやめてくれないの?」と聞いたが、「いいじゃない」で会話は強制終了。

ならばと、上地さんはキッチンぺーパーの料金を要求したところ、「ケチ」「前はそんなんじゃなかったのに」とふてくされる。

指をさしながら娘を叱りつける母親
写真=iStock.com/DragonImages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/DragonImages

「もう我慢の限界でした。言い合いになった末に、私から『距離を置いたほうが良い』と言いました。正直とてもくだらないことですが、なぜ私が姉や母の友だちに間接的にでも費用負担しないといけないのか、不満しかありませんでした。これも私の財産は自分の物だと勘違いしていることからきていると思います」

この日から母娘は再び断絶状態となり、二世帯間の交流は完全になくなった。

■父親の提案

関係が悪化してから約1年後。父親(75歳)から夫を介して上地さんに話があると言われた。ただし、夫の同席を拒否。上地さんは、一方的に罵倒されるのが嫌で拒むと、「言い合う場ではない、考えを話すだけ」と言った舌の根も乾かぬうちに父親は、テーブルをバンバン叩きながら、以下のようなことを述べた。

① あんたたち(母親と上地さん)のせいでこんな二世帯がいがみ合う空気になった。私は前の土地を売ることで、新しい生活を買った。元々土地は売りたくなかったんだ。この恨みをどうするべきか。許せない。必ず仕返しをする。

② あんたたちの思い通りになるような遺言は絶対に書かない。それが嫌なら今まで通りの関係に戻れ。その手助けが必要なら私も手を貸す。このままでいいなら、死ぬまで恨み仕返しをしてやる。私が死んだ後のことは知らない、勝手に骨肉の争いをしろ。

③ 自分はこの家を出る。距離を置くことで関係が改善するかもしれないと思ったから、家を出ることを決めた。引っ越し先の賃貸料を全額もしくは一部出してもらう。

④ 家は出るが荷物は一部置いていく。

⑤ 不満があるなら、ここの家の土地を買った際に自分たちが出した分(○千万円)を買い取れ。

こぶしを握り締め机を叩く男性
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Liudmila Chernetska

「自ら提案してきた土地の相続(上地さん夫婦が固定資産税を払うことで相続しやすくする)についても破棄する内容でした。やっと母から離れたのに、今度は父の顔色をうかがって生きろと言っているのだと思いました。私の中で母との和解はあり得ません。父は以前、母には精神疾患があると言っていましたが、私が母の相手さえしていれば、自分への害が少ないと思っていたんでしょう。私たちの関係が崩れて、母が自分に文句を言うようになったことで、たまらなくなって私に当たってきたんだと思います」

上地さんは夫のアドバイス通り、何も言わず黙って聞いていたが、最後に父親に言った。

「以前の口約束(土地の相続)はなくなったってことで良いのね? じゃあ、土地の固定資産税は自分で払ってください。私が払う義理はない」

父親の本音は、おそらく「妻と娘の関係を改善させたい」だと思われる。だが上地さんは、「遺産を使って娘の心を思い通りにしようとする時点で、人としても親としてもう無理」と肩を落とした。

このことを夫に伝えると、夫も同様に憤慨し、金輪際、上地さんの両親とは距離を置くことを決めた。

■上地家のタブー

筆者は、家庭にタブーが生まれるとき、「短絡的思考」「断絶・孤立」「羞恥心」の3つがそろうと考えている。上地家の場合、両親が“交際0日婚”で相手のことを深く知らないうちに結婚に至ったこと。約2年後に長女をもうけているが、父親が長女をかわいがることはなく、子育てに無関心。それなのにその3年後に2人目をもうけていることは、「短絡的思考」と言わざるをえない。

父親は娘たちだけでなく、母親にも無関心だったのだろう。上地さんいわく、“外面だけは良い母親”は、家庭に対する夫の無関心さを世間に露呈しないために、娘たちの教育に力を入れ始めたのかもしれない。母親が自分の家庭の内情や、等身大の家族を社会から隠すようにしていたことで、上地家は社会から「断絶・孤立」していた。さらに、「子供の頃は、友達と遊ぶより家で母親といるほうが好きだった」と話す上地さん自身、母親との共依存関係に陥ることで、社会から「断絶・孤立」していたとも言えよう。

そして「羞恥心」に至っては、上地さんはこう話す。

「両親は、その場その場で思ったことを口にしますし、熟慮熟考することがありません。恥ずかしい親だと思いますし、恥ずかしい以上に自分の身内だと思いたくないと思っています」

居間でけんかする夫婦
写真=iStock.com/janiecbros
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/janiecbros

■冷戦の果てに

上地さん夫婦は、父親から5項目を宣言された後、相続について調べたり、専門家に相談したりして知識を得て対策を考えた。その結果、「(両親、もしくは自分たち夫婦が)固定資産税全てを負担しても、そのことが遺産相続には影響を与えない」こと、「遺産相続は親の自由意志であり、周りは何も言えないもの」ということがわかった。

「つまり、固定資産税を私たちが負担していたのは、後々、姉とのもめ事を可能な限り避けたほうがよいという(両親と私たちの友好関係に基づく)“気持ち”で口約束していたものでしたが、妊婦である私に対する心ない発言などで“気持ち”を踏みにじったのは母であり、それに迎合した父自身でした」

上地さん夫婦が話し合いの末に出した結論は以下の通りだ。

① 親族が持つ土地に家屋を建てている場合、契約書がなくても土地の賃貸契約が結ばれているとみなされる。そのため、土地が父親のものであっても、上地さん家族が追い出されることはない。

②さらに、「土地賃貸借契約」を父親と結べば、万が一父親に土地を売却されても契約がそのまま業者に引き継がれるため、上地さん家族は家を出る必要がない。そのため、費用の3分の2を出した父親の土地を借りているという前提で「土地賃貸借契約」を結び、上地さんが土地の賃貸料を支払う。

③ 「土地賃貸借契約」の月の支払額は、子どもたちの教育資金、及び、遺産相続で上地さんが相続する遺留分 を考慮した額なら支払う。荷物は置いておいても構わない。

④ 別居後2年を前提に、別居継続や父親の土地を買い取るなど、今後どうしていくかを判断する。

⑤ 子どもたちとの面会可否は、今後の経過で考えるが、現状の言動を考えると距離を置く。

⑥ 遺言は、本人の思った通りに書いてもらって構わない。

上地さんの夫は上記内容を父親に伝えた。

父親は、「あんたたちの思い通りになるような遺言は絶対に書かない。それが嫌なら今まで通りの関係に戻れ」などと、遺産をネタに 上地さんと母親の仲直りを強要したが、夫から理性的に拒否されたことに驚いた様子だったという。

上地さんは、「毒親たちが出て行ってくれたら、やっと精神的に安定した生活ができる。将来父親の土地を購入できるように貯金をしよう」と考えるなど、前向きになっていた。

そんな矢先、大どんでん返しが待っていた。

■結局、両親は「土地を買い取ってほしい」と懇願

父親は、「今までの話を白紙に戻す。もう少し時間をかけて考えたいので、家を出ることなども今はしない」と一方的に伝えてきたのだ。

自分たちを振り回し続ける両親に心から憤慨した上地さんは、下の子の「お宮参り」「お食い初め」。上の子の「七五三」など子供のイベントを、夫の両親だけ呼んで、自分の両親を無視して行った。新年には毎年実家に集まっていたが、姉に協力してもらい、上地さん家族は欠席。案の定、母親は怒り狂っていたという。

「私の両親自身がアダルトチルドレンだったのかもしれません。70歳を過ぎたいい大人なのだから、自分たちのことくらい自分たちで責任持って生きてほしいです。姉は、私たちには両親の介護で迷惑はかけないと言っていますが、そう言わせているのは両親でしょう。子供に依存し過ぎです。姉には申し訳ない気持ちでいっぱいです」

2023年2月。結局両親は、「土地を買い取ってほしい」と懇願してきた。そのお金で中古マンションを購入するという。上地さん夫婦はその申し出を受け入れることで、ようやく自分たち家族だけの平穏な生活を手に入れることができた。

社会人になって一度親元から離れてから再び親と同居することは、子供側の生活スタイルや価値観の変化などもあり、難しいことは予想がつく。それでも二世帯住宅なら、心理的・コスト的に同居と別居のいいところ取りができるのかもしれないと考えるのは自然なことだろう。しかしあくまでもそれは、“お互いの距離感が保たれているのであれば”の話。タブーのはびこる家庭で成立させるのは至難の業だ。

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旦木 瑞穂(たんぎ・みずほ)
ライター・グラフィックデザイナー
愛知県出身。印刷会社や広告代理店でグラフィックデザイナー、アートディレクターなどを務め、2015年に独立。グルメ・イベント記事や、葬儀・お墓・介護など終活に関する連載の執筆のほか、パンフレットやガイドブックなどの企画編集、グラフィックデザイン、イラスト制作などを行う。主な執筆媒体は、東洋経済オンライン「子育てと介護 ダブルケアの現実」、毎日新聞出版『サンデー毎日「完璧な終活」』、産経新聞出版『終活読本ソナエ』、日経BP 日経ARIA「今から始める『親』のこと」、朝日新聞出版『AERA.』、鎌倉新書『月刊「仏事」』、高齢者住宅新聞社『エルダリープレス』、インプレス「シニアガイド」など。

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(ライター・グラフィックデザイナー 旦木 瑞穂)

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