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月別で最多「3月に離婚」した熟年夫婦の大誤算…A判定の息子が名門私立高校入試に落ちて人生が狂ったワケ

プレジデントオンライン / 2023年3月7日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

年度終わりの3月は月別の離婚件数が最も多い。夫婦問題研究家でパートナーシップアドバイザーの岡野あつこさんは「3月で区切りをつけようとしたことで、かえってその後に離婚とは別の新たなトラブルを抱えてしまうケースが多い」という。3つの事例を紹介しよう――。

■「熟年夫婦」と「3月離婚」の関係

「離婚する夫婦5組のうち、1組は熟年離婚」といわれるくらい、同居期間が20年以上になる熟年夫婦が離婚するケースは年々、増加傾向にある。そうした熟年組を含め月別の離婚件数が一年で最も多いのは3月だ。

今回は、3月に離婚をした熟年夫婦の「その後」を紹介しよう。離婚して夫婦の関係は解消されたが、3月というタイミングが思わぬダメージをもたらした3つの事例に共通するのは「子ども」というキーワードだ。

■CASE1 夫婦の修羅場がトラウマになった娘

「私たちの離婚のせいで、娘の価値観を変えてしまった」と嘆くY也さん(55歳)は、29歳で会社の同僚と結婚し、二人の子どもに恵まれた。49歳で熟年離婚にいたった理由はY也さんの不倫が妻に発覚したことだった。

「6年にわたって関係を続けていた不倫相手が、私がなかなか妻と別れないことに業を煮やした。そして、そのことがきっかけで私たちの夫婦生活も崩壊した」

当時、30代後半になったY也さんの不倫相手は「私だって結婚したいし、子どももほしい。ただ待っていても奥さんと別れてくれないなら、私にだって考えがある」と、Y也さんの妻に対し、挑むように嫌がらせの行動をはじめたのだった。

「あろうことか不倫旅行に行った時にスマホで撮った二人の写真をわざわざプリントして僕の自宅に妻宛てで郵送してきたり、私のスーツのポケットに自分の使用済みの下着をこっそり仕込んでおいてそれをクリーニングに出す妻を驚かせたりと、とにかく激しい嫌がらせの連続で妻はすっかり精神的に参ってしまった。当然、二人の子どもたちにも僕の不倫のゴタゴタの話は伝わり、家庭は修羅場と化しました」

結局、Y也さんは不倫相手と別れたものの、夫婦の信頼は失墜し、20年という夫婦生活にピリオドを打つことになった。「ちょうど上の子は地方の大学に、下の子は高校にそれぞれ進学するタイミングだったので『3月中に決着をつけよう』という話し合いで妻とは合意した」

ところが、そこからが大変だったという。

「3月中というタイムリミットには圧倒的に時間が不足していたこともあり、やるべきことや決めなければならないことで妻も私も相当追い詰められた。その結果、顔を合わせれば大声で罵り合い、家具や食器に八つ当たりしては二人の子どもを泣かせるのが日常になった」

そうした劣悪な家庭環境に置かれた子どもは災難としかいいようがない。

「とくに、多感な時期だった下の子の心を深く傷つけたようで、『私は一生、誰とも付き合わないし結婚もしない。パパとママみたいには絶対になりたくないから』と頑なに人間関係を拒むようになってしまいました。もともとは私の不徳の致すところに端を発した話ですが、離婚のタイミングは3月にこだわらなくてもよかったのかもしれません……」

■CASE2 親の都合で引き裂かれた兄妹

K太さん(58歳)も2年前の3月に熟年離婚をしたことを今、激しく後悔している。

「3月に離婚をしたことにも関係していますが、そもそも2人の子どもの親権を妻と分けたことは、はたして子どもたちにとって正しいことだったのか今でも迷っています。将来、どんな影響を及ぼすのか考えると不安で仕方ありません」

夫婦関係
写真=iStock.com/bee32
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/bee32

K太さん夫婦の離婚原因は、1歳下の妻の浮気だった。K太さんが仕事にかかりきりで長い間家庭を顧みず、妻に寂しい思いをさせてしまっていたことが浮気に走らせた主な要因。

「『あなたと別れてでも、彼と一緒になりたい。年齢を重ねても、私をひとりの女性として大切にしてくれる人だから』と離婚を切り出された時は、ショックで頭が真っ白になった」

K太さんの妻の浮気が発覚した時、2人いる子どもの長男は高校生で、長女は半年後に中学進学を控えた時期だった。K太さんいわく「僕は、代々続く家業の3代目。長男も実家の家業を継ぐ意思を見せていたので、僕も僕の両親もどうしても息子を手放したくないという気持ちが強くあった。浮気をした妻に子どもの世話をさせるべきではないと思ったが、妻本人と妻の母親に泣きながら説得されて、仕方なく娘の親権だけは譲ってしまった」。

当時、すでに高校生だった長男はそのまま父親と暮らすことで環境の変化は少なかったが、妻に引き取られ、他県へ引っ越す長女は中学進学をきっかけに名字も住まいも変える必要があった。

「できるだけ早く娘の住環境を整えなければという焦る気持ちが先行して、夫婦間で十分な話し合いができていなかったのは事実です。子どもたちの本音も、どこまで正しく理解できていたか……。元妻は今、スーパーマーケットのパート仕事でなんとか生計を立てています。近い将来、『再婚したいと思っている』とは言っているのですが、具体的な時期までは決まっていないようです。当座、娘のためにも進学先のことや、ひとり親の福祉サポートについても僕がもっとしっかり調べるべきだったと思う」

■CASE3 A判定の受験校にまさかの不合格だった息子

「『子どものために』と思って決断したことが、かえって裏目に出るとは……。息子には、いまだに申し訳ない気持ちでいっぱいです」と語るのはK代さん(48歳)。K代さんは25歳で結婚し、30歳で出産。3年前、ひとり息子が高校に進学するタイミングで、4歳年上で会社員の夫と熟年離婚をした。

離婚に関するもろもろの手続きに関して、「何がなんでも3月中に終わらせよう」と夫婦で決めたのは、子どもの環境の変化を考慮したためだという。

「夫婦間で協議した結果、息子は私が引き取って実家の両親のサポートのもとで育てることになったため、名字や住まいなど環境が変わることが避けられなかった。だからこそ、できるだけ息子にかかる負担を少なくするためにも、学校や友だちが変わる進学のタイミングで離婚をしたかった」

地元の公立中学を卒業する3月に離婚が成立すれば、進学先の私立高校では4月の入学の時に合わせて新しい名字を名乗っても、比較的目立ちにくいと考えたのだ。

K代さんの息子は受験勉強が得意だったこともあり、模試でも第一志望の名門私立高校はつねに合格確実のA判定だった。ところが、満を持して受けた第一志望の学校だけでなく、第二志望の学校にすら不合格となってしまい、万が一の「滑り止め」として受けていた学校に進学することになったという。

合格発表の日、予想外だった不合格の通知を受けた息子は泣きながらも、両親に次のように訴えたそうだ。

「『お父さんとお母さん、どっちと住みたいの?』とかわるがわる何度も問われたり、『高校や大学の学費はどうするの?』と両親が揉めるのを聞かされたりしていたら、思うように受験勉強に集中できなかったよ」

K代さんは、「自分たちの都合で、いちばん大事な時期に息子の心を乱してしまった。こんなことになるなら、息子が第一志望の高校に進学してから離婚するべきだったのではないかと後悔している」と肩を落とすが、後の祭りになってしまった。

お母さん、お父さん、子供を描いた子供の絵の父親との間が破れている
写真=iStock.com/Zhanna Danilova
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Zhanna Danilova

■3月の熟年離婚で後悔しないためにもスケジューリング

子どもがいる熟年夫婦が、夫婦の不和など危機に直面した時、離婚するなら3月がベストタイミングだと判断する理由はさまざまだろうが、大きいのは「子どもが受けるダメージや負担を軽減したいから」だろう。

妻と夫の資産の分割
写真=iStock.com/AndreyPopov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AndreyPopov

ただ、条件面を優先して離婚の手続きを強引に素早く進めた結果、肝心の子どもたちの将来の可能性を奪ったり、本音に気づけないという落とし穴が待っていたりすることもある。だからこそ、余裕を持ったスケジューリングをするのは必須。熟年離婚ならなおさら、残された人生を後悔し続けて過ごすことのないよう、立つ鳥跡を濁さずでいかなければならないのだ。

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岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー
夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー、NPO日本家族問題相談連盟理事長。立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに32年間、38000件以上の相談を受け、2200人以上の離婚カウンセラーを創出『離婚カウンセラーになる方法』(ごきげんビジネス出版)。近著は夫婦の修復のヒントとなる『夫婦がベストパートナーに変わる77の魔法』(サンマーク出版)。著書多数。

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(夫婦問題研究家・パートナーシップアドバイザー 岡野 あつこ)

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